(「上」の続き)
小泉首相による「八・一五靖国参拝」といえば本来の中共にとっては大事件の筈なのですが、意外にも「上」で紹介したような、熱を帯びていないリアクション。その理由についてぼんやり考えてみたところ、3つばかり浮かんできました。
(1)日本の対中世論をこれ以上硬化させたくない。
(2)騒ぐことで中国国民の反日感情が沸点に達し、昨春の反日騒動のような無秩序な状況が再現されては困る。
(3)「八・一五靖国参拝」は織り込み済み。むしろ外患より内憂で、国内に靖国問題よりも頭の痛い重大な案件が控えている。
……という訳で、ようやく標題の件ということになります。(3)ですね。ええ、『江沢民文選』です。
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「靖国」報道が溢れるなか、ドーンと出たのがこの記事。
●中共中央の『江沢民文選』学習に関する決定(新華網 2006/08/15/15:12)
http://news.xinhuanet.com/politics/2006-08/15/content_4964322.htm
「靖国」記事20本分くらいの存在感があります。この日に中共系メディアから発信されたニュースで最も重要なのが実はこのニュースかも知れません。『江沢民文選』については、
●江沢民文選と謎の靖国声明。――政情緊迫は必至だ?(2006/08/12)
●予想以上のインパクトに?――江沢民文選は既得権益者の聖典。(2006/08/13)
……と当ブログでも最近取り上げたばかりですが、江沢民語録ともいえるこの談話集、趙紫陽への批判や対日外交では歴史問題で叩きまくれといった記述が含まれているそうで、意外に読みごたえがある予想以上に赤裸々な内容かも知れません。この問題の『江沢民文選』1-3巻が発売されたのは、8月10日のことでした。
胡錦涛としては有り難くない本でしょう。これを「聖典」とする従来型改革が生んだ既得権益層は、「科学的発展観」「調和社会」といった改革新路線を掲げる胡錦涛にしてみれば紛れもなく抵抗勢力であり親の仇も同然。
とはいえ先代の最高指導者の著作ですから粗略には扱えません。そこで江沢民の顔を立てて発売当日の10日に「『江沢民文選』1-3巻発売」のニュースと「各巻の主な内容紹介記事」を全国各紙やその電子版、また大手ポータルのニュースサイトで大きく賑々しく報じさせました。
胡錦涛の拠点である『中国青年報』や『解放軍報』もそれにならいました。「新華網」の「『江沢民文選』発売」記事に飛ぶと、タイトルの下にいきなり江沢民の下卑た顔写真が大きく掲載されていました。日本国民の感情を傷つけ日中関係の基礎を破壊しかねない言語道断な振る舞いといえるでしょう。国際正義への挑発であり、人類の良知を踏みにじる行為でもあります。
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胡錦涛にしてみればこの『江沢民文選』、抵抗勢力の追い風になりかねないアイテムですからなるべく地味に扱って流してしまいたかったところでしょう。ところが、発売翌日である8月11日に早くも不穏なニュースが新華社から配信されました。
●各地の幹部や民衆『江沢民文選』を真剣に学習すると表明(新華網 2006/08/11/19:48)
http://news.xinhuanet.com/politics/2006-08/11/content_4951207.htm
「各地」とあるので地方当局レベルであり党中央には至っていない動きですが、「江沢民に学べ」という流れが生まれてしまいました。
ほーらこの通り。末端レベルの賞賛報道ひとつひとつは断片にすぎなくても、それをひとつにまとめ上げて全国ネットが報じると意味合いが違ってきます。こうした幾筋もの細流が合流していき、まとまった大きなムーブメントに発展する可能性があるから怖いのです。
……とそのときに私は書きましたが、幾筋もの細流が実際にまとまっていくのです。
この胡錦涛にとって禍々しいかも知れない記事は10日付で出た「各巻の主な内容紹介記事」とセットになって、「新華網」のトップニュースに続く主要記事一覧の上位に座を占めました。それが14日まで続くのです。ある種の意思が存在していなければかくも不自然なことにはなりません。
そしてその14日にはまた新たな動きが。
●河北省各地の幹部・民衆が『江沢民文選』を真剣に学習(新華網 2006/08/14/09:33)
http://news.xinhuanet.com/politics/2006-08/14/content_4958057.htm
河北省は首都であり直轄市の北京市とかなり仲が悪いそうですが、それと関係があるかどうかは知りません。ちなみに関係が険悪な理由は、北京五輪を控えて北京市の大気汚染改善や黄砂減少を実現するために、河北省がその盾となってきたことにあります。
北京に砂が飛ばないよう防風林・防砂林を作らされたり、大気汚染を呼びかねない企業の進出・設立はNG、などと経済発展にも枠をはめられ、北京のために犠牲になるという役回りを演じさせられているのです。ちょっと前にそのことでついにマジギレした河北省側が、北京に賠償を求めるといった出来事もありました。
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香ばしい方角に話がそれましたが、こうした『江沢民文選』礼讃の動きに胡錦涛が対応した形跡があります。
●第2期全国幹部学習研修教材に胡錦涛が序文を寄せる
http://news.xinhuanet.com/politics/2006-08/13/content_4956781.htm
その翌日である14日、つまり河北省の記事が出た日には序文の全文が報じられています。
http://news.xinhuanet.com/politics/2006-08/14/content_4957544.htm
一方で、黒龍江省を視察した温家宝・首相が、
「経済成長方式の転換が持続的発展を実現させるのだ」
と訴えています。「諸侯」すなわち各地方勢力が勝手に疾走して経済に過熱懸念が出てきたなか、この発言はそうした「諸侯」を牽制するものであり、「科学的発展観」「調和社会」の実現を目指す改革新路線を売り込むものともいえるでしょう。
一応、胡錦涛への掩護射撃といえるかも知れませんが、そのこととは全く無関係に病院を視察した温家宝、赤ん坊を抱っこしてみせるという取材陣の期待を裏切らないお得意の庶民派イメージ形成に余念がなかった模様です。
http://news.xinhuanet.com/politics/2006-08/13/content_4956179.htm
ともあれ、15日には前掲のこの記事が出現。
●中共中央の『江沢民文選』学習に関する決定(新華網 2006/08/15/15:12)
http://news.xinhuanet.com/politics/2006-08/15/content_4964322.htm
とうとう党中央にまで動きが及んでしまったという訳です。この決定によって党中央の「『江沢民文選』学習報告会」なるものも開催され、最高意思決定機関である党中央政治局常務委員会のメンバーが全員顔を揃えるなか、胡錦涛が長々とした演説をぶつ破目になっています。
中共のトップ9名が勢ぞろいして胡錦涛が演説。……格式の高さをうかがわせるには十分すぎるボリュームですね。
http://news.xinhuanet.com/politics/2006-08/15/content_4962183.htm
http://news.xinhuanet.com/politics/2006-08/15/content_4964223.htm
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と、現時点ではここまでです。まあ『江沢民文選』を学習するといっても、どの部分をどう学ぶかによって経済政策も外交も政情も変わってきますので、未だ先のみえない状況です。
……とはいえ、『解放軍報』の「八一建軍節社説」に「科学的発展観」を連呼させて、胡錦涛が指導理論の主導権掌握を内外に印象づけてから僅々2週間ばかりで「先のみえない状況」まで逆戻りしてしまったことは事実。今秋開かれる「六中全会」(第16期中央委員会第6次全体会議)における人事権の争奪戦が白熱化しそうな気配を帯びてきました。
実のところ、私は胡錦涛サイドが基本的にはいまなお優勢だとみています。ただ「六中全会」での人事権を掌握できるほど相手を圧倒できていませんし、この先そこまで持っていけるかは不透明。優勢ではあってもそれが圧倒的なものでなければ、結局人事に手をつけられない。……ということは、昨年秋の「五中全会」で証明されています。
いずれにせよ、この『江沢民文選』をめぐる動きが政局の焦点に発展しそうな空気です。この展開では胡錦涛もさすがに「靖国」に入れ込んでいる場合ではないでしょうね。苦しいでしょうが、辛くなったら呉儀の胸に顔を埋めて思いっきり泣いてしまいなさい。
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Schindlerのリストをまねて、日本軍の残忍さを世界に訴えるのが目的のようですが。
http://news.xinhuanet.com/english/2006-08/14/content_4959780.htm
変な〆方しないで下さいよwお茶吹きそうになっちゃったじゃないですかw
それにしても小泉総理の靖国参拝、一部を除いて国内メディアは相変わらず批判的なものがほとんでですが、よく読むと微妙にヘタレてるというか、泣き言チックなものが多くなってますね。
やっぱり後ろ盾にヘタレられたら、前線部隊の彼らとしても辛いところ・・・特に朝日の社説あたりは彼らの無力感というか挫折感が滲み出ていていい感じです。
またマスコミや知識人(笑)が一生懸命笛吹けど、国民は全く踊らず・・・こうなるとあのメモ流出騒ぎあたりの時に出ていた世論調査(参拝反対が60パーセント近く)ってのも怪しいもんですね。今内閣の支持率調査をしたら、彼らが操作してもなお彼らにとって不本意な数字が出そうな気がします。
例の靖国問題、ネットの掲示板等では参拝断固支持が圧倒的ですが新聞報道とテレビは紋切り型の批判一色。この国のマスごみもキチガイです。国民は連日の参拝攻撃で洗脳されてはいけません。産経以外の新聞を読まないのが一番です。マスごみの批判記事も露助の銃弾一発で粉砕されました。また泣き虫加藤の自宅全焼も吹き飛びました。自国民の生命を守ることを忘れて周辺諸国に媚びへつらう政治姿勢が売国的だと一発の銃弾が教えてくれたからです。
露助に殺害された漁民に哀悼の意を表します。その死を無駄にするような売国政治家にこそ天誅を。
折角の一大イベントですが、一段落着いた頃と思いますので、もし良ければ御意見下さい。
発展途上国の多くでは欧米(特にU.S. 東海岸)の大学に留学してこそエリートと見なされます。
# まぁ日本にもそういう風潮有りますよね。
でも、日本人と特亜人一般で大きく違うのは、そのまま U.S. に居つく所です。エリート官僚として帰国する者も入れば、working VISA や green card を得て様々な職に付く者も大勢居ます(working VISA は特定期間定められた職種に従事できます。green card は恒久的にU.S. で働く事が出来ますが、citizenship とは違います)。これ等の中には、立派な見識を持つ人も、そうでない人も居るでしょう。
で、此処一年ぐらい暇に任せて特亜と日本に関連する英語BLOGに乱入しています。これがまた殆どが酷い。良く言えば左巻きの民主党系、悪く言えば日本鬼子憎しに凝り固まった者が多い。
殆どはとんでもない英語で罵詈雑言を書き並べる者ばかりですが(特に韓国系が酷い;kyopi と言うそうな)、中には弁の立つ者も居て言い負かされる事、しばしばです。
但し、現地に行けば話は別です。同じアジア系、大して英語も上手くない、食の好みも似通っている、という所から、特亜含めて様々なアジア系の人々と話す機会・友人になる機会は少なからず有ります。
この中でも台湾系は比較的親日なので簡単に仲良くなりますし、大勢居るベトナム系も発音の問題は有りますが付き合いは其れほど難しくない。大陸系もまぁ、特殊な人を除き会話可能でしょう。一番難しいのが、当然の事ながら朝鮮系で、多くの場合日本人相手だと身構えている事が多いのですが、敢えて政治的な話題に話を持ち込む必要も無いですから、社交的な人であれば仲良くなれます(韓国を嫌っている人も少なくないのも事実ですが、そんなデリケートな話題に踏み込むことも中々無いでしょう)。
②へ続く。
先日8/13(日)の日経に「注目すべき台湾の政治変動」と題するコラムが載りました(副題は「馬英九国民党主席」への疑問;山本 勲論説委員署名)。
まぁ、内容は陳水扁政権の後釜として確度の高い次期国民党総統の政治姿勢の分析なのですが(つい先日、日本にゴマ摺りに来ましたよね、このヒト)、一部を以下に抜粋します。
# 記事から左巻き発言の部分のみを抜き出してますから、余り強い先入観持たないで下さいね、読者の方々。
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「日本は台湾や韓国を侵略した事実は無い」との日本側メディアの反論に対して、馬氏は「台湾では日本が植民地支配を始めた(一八九五年)最初の半年間で十万人以上の死傷者を出した」と、再び驚くべき発言をした。台湾の歴史教科書は植民地書記の抵抗事件で一万四千人の犠牲者が出たと記しているが、十万人以上とは初耳だ。
どうやら馬氏にとっては日本の侵略戦争は一八九四年の日清戦争から始まり、台湾や朝鮮の統治もその一環という事のようで、この点では中国の歴史観と相通じるものが有る。
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で、このヒト U.S. に留学しており(確か NYCU の法科?ええと Wiki には以下のように書いて有ります)、論文は御承知の通り「尖閣諸島」。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A6%AC%E8%8B%B1%E4%B9%9D
そう、朱に交われば紅くなる、それを地で行ってるのじゃないの、このヒト?というのが当方の主張です(そんなの、誰でも知ってるじゃん、と言われそうですが)。
台北市市長としての政治力量は良く知りませんが、U.S.留学中に刷り込まれたのであろう大中華の夢に恋焦がれるばかりに、「併呑」を積極的に受容する事は無くとも、徐々に(経済分野から)消極的・暗黙的に認知するのでは?と思います。
# 随分と大きな地殻変動になりそうですが。
我等の愛すべき南鮮大統領・盧武鉉氏が北鮮に飼いならされ、半島丸ごと支那属国になるのも秒読みのこの時勢、数年先に日本として二正面作戦をする羽目に陥るのは少々荷が重い(戦争するって行ってませんよ)。
御家人さんはどう読みます?台湾の今後を。
というところでしょうか。ホントにユーモアがありますね。
日経の社説、論説は、スポーツ紙的にいえば、「小泉浅慮!商売の邪魔!」という見出し以上の何物でもなかった・・・デス。分かりやすいというか、悲しいというか・・・
御家人さん、余りテンションを上げるのは健康によくないですヨ。抑えて抑えて・・・
アメリカに留学したり働いたりする特ア人の連中がBBCなどのサイトに反日言動をしたりしているようですが、こういう連中は実際の日本人や国で見られないさまざまな情報に接したりして目を覚ますことはないのでしょうか?外国に留学するなら地位も高く優秀なんでしょうが、このレベルでこれなら先が思いやられますし、アメリカの世論にも妙な影響が出たりしたら心配ですよ。
日本側が特アに強い態度で出て向こうの政府に謝罪させなければ、この連中の妄想は続いていきそうですね。
概して、中国系は、たとえ史実にほど遠くとも、よく資料を読んで居る連中がいるのですが、半島系は情念先行型が多いですね。
次期政権は、中西輝政氏もブレーンの一人のようですから、日本の対外インテリジェンス戦略の向上に期待しましょう。
Iris Chan のような電波塔そのものは珍しいですが、確かにU.S. には反日の特亜連中は大勢居ます。アジア系BLOGにはX線でも発していそうなのが大勢居ます。
例えば、南鮮関連の多くのBLOG(K-BROG Sphereと呼ぶそうな)には kushibo という有名なコテハンのヒトが居て、コヤツは英語となると討論が上手い(少なくとも説得力が有るかの様に書く技術に長けるという意味)。「韓国は正しい。何でもかんでも謝罪しろ」という風に議論を持っていくので、apologist という名前を頂戴してました。
暫く見ないなぁと思っていたら、以下 URL のように別のコテハン NORA を使って議論を左巻きに自分に都合よく捻じ曲げている事が晒されました。それ以来湧いて来ません。
ttp://www.occidentalism.org/?p=296
Iris Chan の著作も嘘八百がばれてる事ですし、まぁ、底の浅い連中はいずれ正体が露呈すると信じたいですね。
本気でやるなら、上記BLOGの善意の豪州人のように情報源を示した上で議論を明確に英語で書かなきゃいけませんが、下手を打つと粗探しをされ、結局下手の横好きという事になりかねません。
日本は日本。捏造こそが歴史の支那・朝鮮とは違うぞと、これで良いのでは無いでしょうか?
個人的には国会図書館始め、第二次世界大戦時迄の歴史的な記録が全てオンライン化され、英訳されると状況が一変するのでは?と思ってますけど。個人の趣味でやれることではないですからね。
まぁ、支那と南鮮が道を自ら踏み外せば、またそれも良しですね(こっちの方が可能性が高かったりして)。
いや、どこでもものを見ない人は見ないのですね。murunekoさんも大変ですね。
Iris Chanの場合はまだ嘘が一般的にばれていないのじゃありませんか?ばれているなら電波特アももう少しおとなしいでしょう。私は人民日報の掲示板を見ていますが、もともとの対日観がおかしいので何を議論しても的外れな方向へ行ってます。
私は日本側の洗脳を解除してから特アに立ち向かわないと更にお互い電波度が高まる気がします。
シナと韓国は近頃自爆モードなので、国家が崩壊してみな目が覚めることを期待しています。
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