日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 何といいますか、ここにきて川の流れが突如急になったような感じです。私にしてみますと当ブログで取り組むべきことが激増した(ちょっと大袈裟)といったところですが、とりあえず宿題を片付けることにします。前回、

 本来ならこういうときこそ「狗仔隊」(パパラッチ)と諷される香港プレスの潜入取材に期待したいのですが、それもなし。……というより香港は香港の事情で目下大騒ぎの真最中、記者は深セン市周辺を駆けずり回っているところでしょう。

 と触れた「大騒ぎ」のことです。

 以前「重金属野菜」(2005/03/25)にて、工業廃水などにより土壌が汚染されたため、作物まで基準値をはるかに超えた、いわば重金属まみれの野菜が広東省で増えているとお伝えしましたが、今度はその「お魚編」です。香港のマスコミはここ何日もこの話題で騒いでいます。

 ――――

 ちょっと前に例のブタの連鎖球菌に感染して(とされています)四川省などで30人前後が死んだ奇病騒動がありました。安全宣言めいたものが当局から出されていますが、んなわきゃーない。たぶん現在進行形だろうと私は考えています。

 ちょうどいいタイミングで昨日の香港紙『明報』(2005/09/01)がこの問題……というより病死豚を含む無免許の豚肉解体がヤミ業者によって行われているという特集を組んでいます。

 http://hk.news.yahoo.com/050831/12/1g5ky.html
 http://hk.news.yahoo.com/050831/12/1g5l0.html
 http://hk.news.yahoo.com/050831/12/1g5l4.html
 http://hk.news.yahoo.com/050831/12/1g5l6.html
 http://hk.news.yahoo.com/050831/12/1g5l7.html

 舞台は香港に隣接する深セン市。驚くべきことに、同市内でスーパーなどで普通に売られている豚肉の3分の1が無免許解体によるもので、もちろん病死した豚肉もその中に入っているとのこと。ヤミ業者は近接する宝安、龍崗あたりに集中していて、無免許解体の約7割を占めるとされています。

 ――――

 ともあれ、先の奇病騒動で四川産豚肉の輸入が一時ストップされ、その後深セン市で病死した豚肉が市場に出回ったという情報も流れたことで、香港では豚肉屋さんが大打撃を受けました。

 今度はその魚バージョンという訳ですが、最初に火の手が上がったのはウナギでした。日本でも報道されましたが、広東省で養殖されているウナギから合成抗菌剤「マラカイトグリーン」が検出され、同省当局が輸出停止措置をとったというものです。詳しいことは私も知りませんがこのマラカイトグリーン、発ガン性物質で食品に含まれていてはいけないもののようです。日本向け輸出もストップされました。

 これを契機に、「一応養殖つながりだし」と香港の衛生当局が広東省で養殖されている淡水魚のサンプルをとってチェックしたところ、何とその一部からもマラカイトグリーンが検出されて大騒ぎに。というのも、香港の一般家庭で食卓にのぼる魚は淡水魚が中心で、一部は香港で養殖されているものの、大半は広東省からの輸入に頼っているからです。

 ――――

 豚肉騒動では輸入停止に踏み切ることが遅れて散々叩かれたこともあり、香港政府も今回はすぐさま広東省からの養殖淡水魚を御禁制の品に。……で、豚肉屋さんに引き続き、いまは魚屋さんが商売ガタ落ちで困っているところです。香港産を扱う店もこの状況下では消費者に信じてもらえません。中華レストランも値段の高い海水魚を淡水魚の代わりに出すしかなく、コスト上昇によりこの状況が続けば経営が苦しくなるということです。

 夫婦でやっている香港系ブログで最近この話題を配偶者(香港人)が取り上げ、

 ついこの間は「豚」がダメで、もっと前は鶏がダメで、結局、今は何を食べたらいいのでしょう!さあ、次は何になるんでしょう。恐いですね。

 ……と書いていたので私は、

 一番怖いのは「中国と地続き」ということではないかと愚考する次第。

 と茶化してみたのですが、全然シャレになってません。だって豚肉にせよ淡水魚にせよ、さらに鳥インフルエンザからあの中国肺炎(SARS)に至るまで、香港に厄災をもたらすのはいつも中国本土ではないですか。

 ――――

 まあ、魚類をノーチェックで輸入していた香港も香港ですけど。……ということで、今さらながらそのあたりを厳格にしよう、ということになりました。

 販売業者は抗議デモの決行をチラつかせ、当局の尻をつついてきます。食卓への影響も大きいので、焦眉の急は安全な養殖淡水魚の輸入再開。そのための緊急措置として、香港政府は安全な淡水魚の供給が保証できる養殖業者のリストアップを広東省当局に求めました。

 広東省衛生当局によって速やかに作成され、国家質検総局の御墨付きも得たそのリストは、8月29日に香港政府より発表されました。安全が保証された養魚場は合計18カ所。淡水魚の輸入再開に道が開かれたのです。

「国家質検総局の推薦する養魚場だから、安全基準を満たしているものと確信している」

 と香港食環署の梁永立・署長は胸を張って宣言しました。めでたしめでたし。

 ……と、そうならないから香港各紙の記者がここ数日、広東省や深センを駆けずり回っているのです。

 ――――

 これまで騒いできた流れから、マスコミとしては養魚場の写真を撮ったり経営者のコメントを取ったりして、一件落着のニュースに華を添えるのがセオリーというものでしょう。発表されたリストによると、18カ所の養魚場のうち、8カ所が深セン市内、残る10カ所が広東省内の業者でした。

 ところが、実際に現地へ行ってみた記者たちは仰天することになります。

 ――――

 ●養魚場の筈が埋め立てられて造成地になっていた。
 ●養魚場らしきものはあったものの、養殖はもう行われておらずすっかり荒れ果てていた。
 ●リストアップされた経営者から「誓ってウチは養殖をやっていない。この身にかけて保証する」と言われた。
 ●リストアップされていることを知らない業者がいた。
 ●養殖は行っているものの香港向けの淡水魚とは全く別種の小魚ばかりだった。
 ●養殖しているのが淡水魚ではなく、海水魚だった。
 ●養魚施設は残っているものの、営業を停止して久しいと聞かされた。
 ●業務用電話登録がされていないため現地へ足を運んでみると整った養魚場はなく、地元村民相手の細々とした養殖だけが行われていた。
 ●深セン市質検局はリストアップされた市内8カ所の養魚場のうち一部の存在を知らなかった。
 ●深セン市内にあるリストアップされた養魚場のうち、2カ所は営業免許を剥奪されていた。
 ●御墨付きの筈なのに安全基準を満たしていなかった。
 ●資料の提供を拒否された。

 ――――

 ……というのが、『蘋果日報』と『香港文匯報』(2005/08/31・2005/09/01)によるレポートで、他の香港各紙の報道も当然ながら同じようなものでした。

 開いた口がふさがらないというか、さすがに予想の遥か斜め上、まさに中国クオリティーと言うほかありません。『香港文匯報』によると、その「遥か斜め上」ぶりに呆然と立ちすくんだ記者の耳には、

「国家質検総局の推薦する養魚場だから、安全基準を満たしているものと確信している……している……している……」

 と、あの自信に満ちた香港当局者のコメントが改めて甦ったそうです(笑)。『蘋果日報』(2005/08/31)の大見出しは、

「粤官愚弄港官」

 というものでした。「粤」とは広東省のこと。つまり香港政府が広東省当局に愚弄された、という意味です。香港人の大陸(中国本土)及び大陸の中国人に対するある種の優越感や軽蔑する感情(汚い・臭い・粗雑・無知・垢抜けない・マナーが悪い……など)を踏まえると、この一見淡々とした6文字には「騙しやがったな」といった強い怒りと悔しさが込められていると思われます(笑)。

 ――――

 と、まあそういうオチでした、これは大変ですねえ、ジャンジャン。……とここで終わると思ったら大間違いです。

 今日付の香港各紙(2005/09/02)の報道によると、
アオハタからもマラカイトグリーンが検出されたというのです。こちらは何と海水魚。養殖つながりで検査してみたのかどうかは不明ですが、淡水魚に続いて海水魚もアウトということで、香港の関連業界には戦慄が走りました。

 クロ判定が出たのは大手スーパー「恵康」(ウェルカム)で販売されていた台湾産の養殖アオハタ。

「政府の認可する問屋から仕入れたものなのに、無念です」

 とは広報担当者のコメントです。ウェルカムでは直ちに全店からアオハタを撤去しましたが、当然ながらこの影響は海鮮料理店にも及びます。養殖アオハタに代わってアカマダラハタ(タイガーグルーパー)を出したりしているようですが、これもコストアップになるので長期戦になると苦しいとか。

 ともあれ台湾からのアオハタ輸入はストップ。ただアオハタは天然ものを含め、フィリピン、インドネシア、タイ、中国本土などから広く輸入されており、香港産もあります。とりあえずは衛生担当者が主要市場に足を運び、アオハタに限らず海水魚全般について検査を行うことになるそうです。

 ――――

 以上、今回のエントリーはこれで本当に終わりですけど、香港の魚騒動はまだ終息する気配がありません。これは大変ですねえ、ジャンジャン、であります。



コメント ( 20 ) | Trackback ( 0 )



« 斜陽の広東王... 江沢民と胡錦... »
 
コメント
 
 
 
中国産は全部駄目 (暇人)
2005-09-02 12:01:03
野菜も重金属汚染、肉も魚も薬物汚染、穀物も多分中国産だと汚染済みしかないとかいうオチですかね。だとすると全部海外(韓国除く)から輸入したものしか安心して食べられないという悪夢みたいな展開になりそうですね。生物濃縮で人間も汚染されてすごい事になりそうな予感が。

 二十世紀後半から二十一世紀前半の生物汚染で中国人というと皆公害病患者というオチになりかねない事を北京は理解しているのでしょうか?
 
 
 
Re:中国産は全部駄目 (御家人)
2005-09-02 12:17:04
 暇人さん、コメント有難うございます。

 水が水ですよね。土壌まで汚染してしまう程ですから、マラカイトグリーン云々がなくても果たして健康な魚といえるのかどうか……。

 以前「養魚場に工業廃水が大量に流れ込み魚が全滅、農民はただ涙」といった感じの写真をみたことがありますけど、死なない程度に汚染されているのが一般的な養殖魚なのかも知れません。

 そういえば日本も上海蟹の輸入をストップしていましたね。
 
 
 
Unknown (大丈夫?)
2005-09-02 12:34:57
へー、上海蟹が輸入禁止になっているんですか。

汚染問題以前に、そろそろ三峡ダムの影響が漁業に出てくる頃かな、なんて私は思っています。
 
 
 
天然汚染水 ()
2005-09-02 12:55:11
 人為的に汚染されていない地下水が安全かというとそういう訳でもありません。



 砒素や弗素が含まれている水を飲まざるを得ない人々も居ます。



 砒素で有名なのは,ガンガーデルタで1億近い人が砒素で汚染された水を飲んでいます。中国でも同じ情況の地方も有ります。日本のある大学の医学部が慢性砒素中毒患者の調査・治療を行っていました(多分現在も)。日本でも東京湾沿岸で大深度の地下水を利用する場合は,砒素汚染に注意すべきと警告を発している学者がいます(中公新書だったかな?)。



 弗素が大量に含まれている水を長期間利用すると歯が変色(黄色,黒色)し,『四環素牙』と言うそうです。四環素は薬品名です。陝西省のある地方では,現在国連の援助で水の浄化を行っているそうです。
 
 
 
水の問題ですか……… (暇人)
2005-09-02 13:13:01
>水が水ですよね。土壌まで汚染してしまう程ですから、マラカイトグリーン云々がなくても果たして健康な魚といえるのかどうか……。

 水が汚染済みですか。シナ大陸歴代王朝の最大の問題は治水だったはず。まあ、水の汚染なんて問題が起きたのは初かもしれませんが。汚染水を使っている地域の生物濃縮がどの程度になっているか、考えるだけで怖いですね。今まで知らずに口にした中国産食品で我々も汚染されてるでしょうし。中国人に比べれば軽いでしょうが。

 
 
 
 
食の安全 (まかぼろ)
2005-09-02 18:54:35
食の安全の問題は深刻です。中国在住なので本当に笑っていられません。先日売れ残りの賞味期限切れ調理済み食肉を包装だけ張り替えて翌日引き続き販売するという違法行為を行っているスーパーに関する報道がなされていました。汚染、衛生観念のない生産者、商業道徳のかけらもない商人、汚職まみれで放任主義の当局………中国では「生産」「加工」「流通」「販売」すべての過程において「食の安全」など省みられていません。



個人的には猪疫が発生して以来豚肉を口にしないなどの防衛策を取っていますが、はっきり言って焼け石に水でしょう。日本社会が食の供給を安易に海外に依存することに対し、不安を募らせるこの頃です。



この記事を中国BLOG記事アーカイブプロジェクトに推薦しておきました。



http://www.chinawalkers.net/weblog+details.blog_id+57.htm
 
 
 
知らぬが仏は現実に・・・ (へび使い)
2005-09-03 02:22:46
近所の格安スーパーで買ったタラコ5本で150円を思い出しました。orz



さらにショッキングな画像です。

http://blog.livedoor.jp/safe_food_of_asia/archives/50010839.html
 
 
 
まともな研究者が・・・。 (おたきち)
2005-09-03 06:28:13
下記のような記事を見つけました。

http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1371570/detail

これ以上の詳細は不明ですが、この研究者が今後どのように扱われるのか?気になります。

 
 
 
Unknown (aquarellisute)
2005-09-04 00:31:15
江沢民も例の式典に出席していましたが、序列が胡錦濤の次でした。10:05のとこにあります。日経では朱容器も出席していたとの事ですが、写真は見つかりませんでした。



http://live.people.com.cn/note.php?id=273050902161811_ctdzb_003
 
 
 
Unknown (Unknown)
2005-09-04 09:16:19
無添くら寿司に「当店のウナギは安全を確認してあります」と貼り紙がしてありますが、中国産であることを否定していないところが恐いです。
 
 
 
Unknown ()
2005-09-04 11:38:50
aquarellisuteさん>

朱鎔基TVのニュースで見ました。李鵬・李瑞環も出席していました。李瑞環は見た目には大分もうろくしているようでした。
 
 
 
いいですねぇこのブログ (ろろ)
2005-09-05 01:00:42
うちの生徒たちに、どっかのブログの「七色に輝く中国の川」や「北京市の『緑化』計画」をバラしたら大笑いでした。しかし、ひとしきり笑った後に戦慄が・・・。



シナの病的実態を知るのに、活用させていただきます。また見に参ります。よろしく
 
 
 
韓国の小売りが (おむら)
2005-09-05 02:27:43
 韓国の小売店、支那産の野菜なんかを輸入やめはじめてるようですね。加工食品はわかりませんが。



 こういうのは日本も見習わないと。

 それでもジャスコだけは支那産野菜があったら笑う。
 
 
 
同感です (なすび)
2005-09-05 09:33:39
日本も食品を輸入に頼ってる以上、対岸の火事と笑ってられません。中国人はお気の毒様。でも、自業自得だね(笑)。

そういえば、アメリカの牛肉業界も制裁をちらつかせて、輸入再開を迫っているみたいですね。
 
 
 
ユニー・ナフコも中国産物販売中 (おかか)
2005-09-05 11:51:48
日本でも加工食品で原産地表示が無いもの多いです。

冷凍のギョウザしゅうまいミートボール。

肉エキス、パスタソース、レトルトカレー等々。

大人は半ばあきらめていますが、せめて子供達には国産で割高の、多少なりとも安全なものを食べさせてやる・・・需要が高まれば国内農家の皆さんも頑張ってくれるでしょうか。
 
 
 
Unknown (えの)
2005-09-05 13:55:19
中国産冷凍食品、原材料の売り込み。

http://japan.alibaba.com/cnsupplier/products/japan/213.html



そういや正月に付き物の天津甘栗というのも天津の港から輸出される栗のことだ。
 
 
 
Unknown (えの)
2005-09-05 14:49:24
日本の6000万人の就業者の35%が正社員でないという事は2100万人が年収250万円近辺に貼りついているという事です。

パート、派遣社員による人件費のグローバルスタンダード化は着実に進んでいます。近い将来、日本の所得分布は250万円近辺に50%、700万円近辺に20%くらいのふたこぶに収束します。パート、派遣社員は実運用上レイオフが簡単です(これもグローバルスタンダード化です)。

低所得層は、長生きできない。高度な医療は受けられないし、健康に悪い(中国産など)安物食品しか食べられない。
 
 
 
Unknown (おじん)
2005-09-05 21:14:12
御家人様

貴方は文章の天才!!!

情報を広く集め、難しいことも実に分かりやすく解説して下さって有難うございます。

長めの文章ですが、実に面白く、すっきり読めてしまいます。日本のマスコミが報じない中国の実情が実によく分かります。

ところでこのところお忙しいですか?

今日は9月5日。最新情報のアップロードの日付は9月2日。ちょっとあいていますね。貴方のブログは評判のブログ。私だけでなく多くの愛読者が今日もまた新しい情報はないかと毎日期待して貴方のサイトをクリックしているものと思います。

先日の「業務連絡のようなもの」でも結構です。毎日アップロードして下さると嬉しいです。もうそれだけのファンがついているのですよ!御家人様の奥様のブログにも期待しています。

 
 
 
輸入冷凍野菜 (えの)
2005-09-06 12:54:23
http://www.nishinippon.co.jp/news/2004/shoku/shoku5/06.html

『 外食・中食業界が輸入冷凍野菜を重宝する最大の理由。それはひとえに国産との価格差にある。

 同センター所長の石黒昌孝(73)によると、業務用冷凍ホウレンソウは一キロ百十円前後だが、国産品は七百円。一個六十円台を競ってきた安売りハンバーガーに象徴される業界は過当競争で、「新鮮でなくても、ソテーで濃いめに味付けすれば分からない。ましてや外食や弁当、総菜なら産地表示の義務もなく、どの道を進むかは自明の理だ」(石黒)。』
 
 
 
Unknown (えの)
2005-09-06 19:35:03
輸入食品に日本は潰される

http://www.h2.dion.ne.jp/~apo.2012/bookstand-foods03.html

『なぜ腐らないのか、横浜に野積みされた輸入食品

中国産のこのような怪しい液体に漬け込んだ状態で原料が入ってくるのである。』
 
コメントを投稿する
 
現在、コメントを受け取らないよう設定されております。
※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。