なにまた尖閣問題?……と言われそうなので首相夫人の話から入りますか。
保釣運動(尖閣防衛運動)活動家たちを乗せて10月22日に香港を出港した「保釣二号」(100トン)がドタバタの末に尖閣諸島近海に到達し、海上保安庁の巡視船・巡視艇に包囲されお約束の公開処刑に遭っていたのが昨日(10月27日)の朝。
香港における親中紙の筆頭格『香港文匯報』のこの日の紙面が面白いのです。かたや「保釣二号」が海保と組み打ちしているときに、同紙は1面トップ(たぶん)で何と「安倍首相夫人特集」(笑)。
安倍首相夫人がいかに人柄がよくて、中国が好きで、実は5月にプライベートで訪中していて、キムタクや台湾のF4のファンでもあって、先の訪中でも和解に一役買って……なんて記事をズラりと並べてみせました。ええ、「保釣二号」が孤軍奮闘しているその日に、です。
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●「夫人外交」が5年にわたる冷えきった中日関係を一変させた
http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0610270001&cat=002CH
●「日本のヒラリー」は活発で颯爽、お好みのアイドルも
http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0610270002&cat=002CH
●中国人の友人とはチャイナドレスで再会
http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0610270003&cat=002CH
●安倍夫妻「和諧社会」(調和社会)の理念を絶賛
http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0610270004&cat=002CH
●「魅力トリオ」にはそれぞれ「必殺技」が
http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0610270005&cat=002CH
●3日間の訪中で和解の基礎を構築
http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0610270006&cat=002CH
自民党総裁選までは安倍晋三氏を散々こき下ろしていた中共系メディア、その安倍氏が首相になってどう豹変するかと思えば、意外にも夫人をヨイショ。なるほどそういう手がありましたか。でもよりによって「保釣二号」が苦闘している日の朝刊にこんな特集を組まなくても、ねえ。
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要するに、現在の中共当局にとっては尖閣問題より日中関係の友好ムード維持が大事ということです。むしろ友好ムードに水を差しかねない保釣運動などもってのほか、という気分が紙面に垣間見えるといってもいいでしょう。
●駐日中国大使「日中関係、難局は去った」(Sankei Web 2006/10/27/19:50)
http://www.sankei.co.jp/news/061027/kok008.htm
中国の王毅駐日大使は27日、横浜市で講演し「安倍晋三首相の歴史的な訪中で、日中間の政治的障害を克服するための意見の一致を見た。政治的難局はすでに去った」と述べた。その上で両国の今後について「日本は最も重要な隣国のひとつであり、友好的な関係を築こうという姿勢は変わらない」と説明。「これは既定の政策であり、国策だ」と強調した。(後略)
……と、王毅の姿勢も保釣運動などどこ吹く風、という雰囲気です。中国海軍が尖閣諸島から300km離れた海域で実弾射撃演習を行うという通告も出されましたが、日本で騒がれないうえ、中国・香港メディアもその内容について報じていないところをみると、本当にやったのか演習?という気もします。
まあ実際にやったにせよ、前回書いたように、日中友好ムードを大事にしたいけれど「保釣二号」が公開処刑された際の中国国内の反応にも対処しなければならない中共政権としては、演習は「保釣二号」の出港を阻止できなかったために国内向けに行われた苦渋の選択、といったところでしょう。
たぶんその決定が出された時点で日本側に言い訳を交えた通告が行われたのだと思います。演習のニュースどころか「保釣二号」の件も日本のマスコミでは大きく扱われていません。
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「中国海軍にできることといえば、せいぜい尖閣の近くでドラムソロ32小節です。ドンタカうるさいことはうるさいのですが、結局は例によって海保が網を張っているところへ予定調和的に「保釣二号」などが入ってきてお約束の公開処刑。」
「日本側は例によって「保釣二号」を粛々と公開処刑をする、中国外交部がそれに対し抗議声明を出す、という形で幕引きとなるのてしょうか。」
と前回書きましたが、どうやらそのようです。新華社電によると、中国政府による抗議は行われたものの、中国側は李肇星外相でも外務次官でもなく、「アジア局責任者」としか書いていないうえ、呼びつけられたのが日本大使館の誰なのか、これも実名が出ていません。
抗議内容はいつも通りの能書きです。
http://hk.news.yahoo.com/061027/153/1ve3g.html
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こうした流れからみると件の実弾射撃演習、海軍当局なり実戦部隊にしてみれば、
「これで日本を威圧するのだ」
「海上保安庁はきっとガクガクブルブルだろうな」
という意気込みがあったのかも知れませんが、政府レベルでは上述したように国内からの反発を抑えるための措置。むろん「これで日本を威圧するのだ」という実戦部隊の気分が、フラストレーションが限界まで鬱積された際に、
「もうどうせなら実力行使で奪っちまおうぜあの島」
となって独断専行に走る危険がない訳ではありませんが、そうなれば安保発動で米軍や自衛隊が動いて、経済制裁と北京五輪中止によって対外依存度の高い中国経済は(以下略)。軍部にとっては台湾が最大の関心事で、台湾を占領してしまえば尖閣諸島にはいつでも手が出せる、という認識なのではないかと思います。
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さて段取りの悪さと大自然を舐めてかかった報いを散々に受けた「保釣二号」、日本の領海に侵入できたものの巡視艇の体当たりや高圧放水でまたまた公開処刑。上陸をあきらめて退散してしまいました。荒波の外洋で連中にとっての上陸用秘密兵器「水上バイク」を走らせるとどうなるか、見てみたかった気もしますが(笑)。
それにしても今回の保釣活動家は根性が足りませんね。何のために悪天候下の台湾海峡を突っ切るなんて無茶をしたのか。あれで乗員が頭を打って脳震盪になったり機関が故障して、その手当のため台湾沖で余計に時間を喰ったりしたのです。
ところがいざ本番、海保との組み打ちでは負傷者がゼロなうえ機関故障もないというのに、体当たりと高圧放水にビビってあっさり白旗(笑)。ここぞというときに踏んばれなかった連中がヘタレていたというべきなのか、公開処刑も洗練されてきたというべきなのか。
まあそもそも領土問題に名を借りつつも、連中の本当の目的は選挙運動ですから、当然のように「命あっての物種」を優先した、というところでしょうか(笑)。それならそれで、台湾海峡で沈没して全員海の藻屑、なんてオチがほしかったところですね。
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ともあれ海上保安庁のみなさん、どうもありがとうございました。現場では領海侵犯をした「保釣二号」に対し、拿捕でなく公開処刑で済ませるという方針に忸怩たる思いがあったかも知れませんが、よくぞこらえて与えられた任務に徹してくれたものだと思います。
特に今回は「保釣二号」がもたついたおかげで警戒態勢が長時間にわたり、大変だったことでしょう。日本の海を守ってくれて、本当にありがとうございました。
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本日たまたま川崎の街中で「The Daily Yomiuri」を拾った(笑)のですが、一面トップが処刑を報ずる記事と写真でした。
「9時21分に領海に侵入し警告を受けた後11時35分に領海外に退去した」と、やけに細かく報じています。
写真は「保釣二号」と並進する巡視船。巡視船の船名は映っていませんが、舷側に防舷材を並べており、挟撃接舷への備えをしていることが伺えます。ちなみに写真の出所は11管区海上保安庁との説明があります。「保釣二号」はけっこう立派なサイズの船のようです。五星紅旗を掲げ、堂々と驀進しております。こういう写真こそ連中が喜ぶ物なのでしょうね。
せっかくのチャンスなのに、外務省のアホはまた言わなかったんですかね?
「香港及び台湾の民間団体の件で中共に抗議を受ける筋合いは無い!」とキッパリと。
何だか頭来ますよ。。。。。(現地での予想通りの顛末はトモカク)
中華は自軍相手軍問わず女性をコマとして使おうとするところがありますからね。
(だから独り身の小泉前首相は外部から強硬に攻撃する手段しか思いつかなかったのかも(笑))
まぁ以前の媚中レベルよりはマシかと。
しかし・・・1ヶ月後くらいに糞青連中は
「日本軍艦(笑)を7隻も動員させたぞ!」
と意気込むのでは?(笑)
追伸
御家人さんの”花火大会”という揶揄に大爆笑させて頂きました。
ナイス・センスです!
ところで、ながら読みということで、
最近音声読み上げ、解析ソフトで、
テキストを貼り付けて読み上げを聞きながら他のことをしてます。
で、その読み上げソフトが、
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を「ダッシュ」と読み上げるんですね。
御家人さんの記事、
段落代わりに
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がはいるので、
段落ごとに読み上げソフトが
「ダッシュ、ダッシュ、ダッシュ、ダッシュ」
と連呼するんですよ。
これが記事の内容と凄くあっていて、
こ一時間爆笑させていただきました。
機会があればお試しあれ。
すんげー可笑しいです。
さて、当地で中共がらみの行事で気になったものを報告します。ホロコーストの際にユダヤ人を1万2千人も人道的に匿った中国(上海)というテーマで、今ワルシャワで展覧会が行われています。これって、「人の褌で相撲を取る話」のように思えるのです。人権・人道でマイナスポイントを重ねる中共が、さも偉そうに、ユダヤ人排斥に反旗を翻したかのように宣伝をしています。展覧会を見に行ったのですが、上海に出国した人の多くが、北部ポーランドからモスクワ経由でアジアに出国した人たちで、中共が言う1万2千人のうちのどれくらいが本当に中国政府がかくまったのか、「根拠を出せよ」と突いてみたくなりました。中には杉原千畝公使や、反枢軸の各国の大使館や、バチカンが出したビザのおかげで出国することができた人が6千人含まれているわけで、しかも日本の占領下実質的に中共にどれくらいの意思があったのか?国民政府としては、これを誇る権利があると思いますが、山に隠れていた中共が、上海の人道的な動きをどれだけ誇ることができるのでしょうかね?
たしかに御家人さんの言われる通り、台湾の併合が中共にとって最優先且つ最大の課題になっているのかも知れません。
ただ、一方で尖閣を押さえると台湾北部に猛烈な圧力をかけられるメリットもあるとのことです。
昭和53年に100隻以上の中国漁船が押し寄せた時に、乗ってた連中の一部に武装した人民解放軍も混じってたという話があったりして。まったく油断出来ませんね。
そうは言っても、当面は次期台湾総統候補の馬何某さんと中共が共同戦線を張れるように尖閣問題は問題として残しておくのが自然ですか。
国威発揚も上手くいかなかったようで…
中国、東シナ海で軍事演習中に爆発事故
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/asia/20061103D2M0300Z03.html
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