日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 ニュースは鮮度が肝心です。その時機を逸して放ったらかしにしておくと古びてしまい、面白味も失せます。

 今回の話題もその悪いお手本のようなものですが、前回のエントリーでお問い合わせを頂いたので臆面もなく取り上げることにします。



 ●楊丞琳(Rainie レイニー・ヤン)の問題発言って? (損政好)
 2007-04-09 01:16:00

 いつも楽しく拝読させて頂いております。

「流星花園」に出てた娘ですけど、御家人様、この発言と問題の背景についてご解説頂ければ幸いかと。。。

 MyPersonalLinks+ 楊丞琳(Rainie レイニー・ヤン)ってどうよ?~ビビアンスー、インリンに続く台湾アイドル~
 http://blog.goo.ne.jp/ykimata/e/f9af0be7534fbb88863ab0114986bb4e



 このニュース、私は「新華網」(国営通信社の電子版)の隅っこでタイムリーに拾うことができて「これは上ネタ」と喜んでいたのですが、仕事に追われていたため放置していたら鮮度が落ちて取り上げる機会を失ってしまった次第。原文はこちら。

 ●「新浪網」(2007/04/04/08:39)
 http://ent.sina.com.cn/s/h/2007-04-04/08391504383.html

 ●「新華網」(2007/04/04/08:44)
 http://news.xinhuanet.com/tai_gang_ao/2007-04/04/content_5931819.htm

 ●「新華網」(2007/04/04/09:50)
 http://news.xinhuanet.com/tai_gang_ao/2007-04/04/content_5932378.htm

 その後数日して日本のメディアにも取り上げられました。



 ●「前世は日本人」台湾アイドル、中国人の怒り招き謝罪(Sankeiweb 2007/04/08/00:41)
 http://www.sankei.co.jp/kokusai/china/070408/chn070408000.htm

 【北京=福島香織】台湾の人気アイドル、レイニー・ヤン(楊丞琳)さん(22)が、過去に抗日戦争の期間を言い間違え、中国人の怒りを招いたことなどについて、このほど北京で謝罪会見した。

 楊さんは4年前の台湾のバラエティー番組で抗日戦争の期間を質問され、11年と回答、司会者から8年だと訂正されると「たったの8年?」と答えたことに批判が集まった。さらに「私の前世は絶対に日本人」「(大陸の)中国人はかっこわるい」といった発言などについて、一部ネット・ユーザーの間では怒りがくすぶりつづけ、最近も楊さんのテレビCMが打ち切られたりしていた。

 楊さんは香港アイドルのイザベラ・リョンさんと共演した新作映画「刺青」の中国公開を12日に控えていたことから3日、北京で記者会見を開いて「私が歴史を知らないために誤解を招いてしまいました」と公式に謝罪した。しかし、逆に過去の発言内容が蒸し返される結果となったほか、「謝罪の動機が不純だ」といった新たな非難も巻き起こった。
(後略)



 この記事を書いた福島記者のブログでより詳細な事情をつかむことができます。

 http://fukushimak.iza.ne.jp/blog/entry/148162/

 余談ながら、「抗日戦争」などと中国では呼ばれていますが、本当は「11年」も「8年」も不正解。厳密にいえば、日本と中国は「戦争」をそんなに長くやっていません。だから日本では「なんちゃって戦争」の期間を「支那事変」と称していた訳で。

 さらに余談を続けますと、

「台湾の人気アイドル、レイニー・ヤン(楊丞琳)さん(22)が、過去に抗日戦争の期間を言い間違え、中国人の怒りを招いたことなどについて……」

 とサラリと書いてのけた福島記者は粋筋ですねえ。なるほど確かにレイニー・ヤンは台湾人であって、中国人ではない。……と読むこともできます。深読みのしすぎでしょうか?

 レイニー・ヤンの方も「謝罪」を営業活動の一環と割り切ってやっていますね(たぶん)。彼女の「謝罪文」の内容が「新華網」の記事(上記原文記事の2本目)において写真付きで紹介されています。

「みなさんこんにちは。レイニー・ヤンです。私は口下手ですけど、幸い全てのメディアとファンの皆さんにずっと応援してもらっています。これからも私はもっといい仕事ができるよう努力していきます。本当に本当にありがとう」

 ……謝罪してないじゃん(笑)。ていうか逆にネット世論を煽っているような。釣り師の素質十分とみました。

 ――――

 中国には台湾の芸能人に対して「緑色芸人」という分類の仕方があります。というか一種のレッテルですね。「緑色」というのは台湾独立派ということで、「芸人」は芸能人。要するに陳水扁・台湾総統あるいは李登輝・前総統などの政治的スタンスを支持している芸能人に、

「緑色芸人」

 というレッテルが貼られます。具体的に支持表明したのではなく、仕事として独立派のイベントに呼ばれてゲストとして登場するだけでもアウトのようです。台湾の代表的モデルである林志玲は両親が陳水扁との縁が深い、ということで「緑色」扱いされました。

 他にも台流の中心的存在であるF4、コミック「花より男子」を原作とした台湾ドラマ「流星花園」で一躍ブレイクしたあの男性グループも「緑色芸人」認定された時期がありました。いまはどうだか知りませんが、私の周囲にいるF4ファンの人に尋ねても、レッテルを貼られた理由は「わからない」ということでした(ケンちゃんが「東京裁判」に出演しているからチャラになったのかも)。

 ●そっと「チーリンたん」と呼んでみる――もしかして烽火?(2005/08/12)

 この「緑色芸人」というのも内情は複雑で、単に政治的スタンスに「緑色」の香りがする、ということでレッテルを貼られる場合と、2005年春の「反日騒動」のように党上層部内の主導権争い(より具体的には対台湾政策に関する争い)の具にされているケースがあります。

 道聴塗説・事実無根の話がネットを通じて広まって事実扱いされて騒ぎになる、ということもありますから手に負えません。民度の成せる業です。

 ――――

 今回のレイニー・ヤンの場合は「緑色芸人」とは無縁のようです。彼女を叩いたネット世論やそれを煽った気配濃厚の中国国内メディアにしてみれば、

「あいつはムチだから批判されるんだ」

 といったところでしょう。ムチとは「無知」であり「無恥」です。「無知」とは中共史観について無知、ということ。では「無恥」とは何かといえば、

「私の前世は絶対に日本人!和服を着て雪の中を歩くあの感覚がたまらない!」

 という発言です。日本びいき・日本ファンたる「哈日族」を自認するあたりが気に入らない、シャクにさわる、といったところではないかと。

 そういえば、やはり台流の一角を担うジェイ・チョウ(周杰倫)にも似たようなことがありました。



 記「大陸をどうみますか?」

 周「僕が大陸をどうみるかなんてことじゃない。そんなこと全く僕とは関係ないことだ」

 記「でも私たちも大陸に属しているじゃないですか。私たちが中国人ではないとでも?」

 周「そんなことは自分に聞いたらどうだ!(語気強まる)何度言えばわかるんだ?僕は台湾人であって、大陸人ではない。僕たちの祖父母はかつて日本人だったことをしっかり覚えておけ」(インタビュー強制終了)



 という記者とのやり取りが台湾であった、というニュースが中国国内の掲示板を一時大いに賑わせたものです。これは事実無根のネタが広まったケースだと思います。

 ●尖閣ツアー中止で新たな報道管制?(2007/03/14)

 ――――

「日本びいき・日本ファンたる『哈日族』を自認するあたりが気に入らない、シャクにさわる」

 といった空気がなぜかくも濃厚なのか、といえば理由は簡単。当ブログで再三強調してきたように、中華意識にあぐらをかいて世界の潮流から超然としていたために19世紀以降散々な目に遭った(自業自得)ことに起因する「中国人」の民族的疾患によるものです。

 ●もんのすごーく高いプライド(中華意識)
 ●もんのすごーく強いトラウマ(屈辱の歴史)

 という2種類の特異な性質がいずれも医学で扱うべきレベルに達していて、しかもその両者が一人格・一民族の中に同居しているということです。

 一人格としていえば絶対隣人にしたくないタイプですけど、遺憾ながら日本の隣にそういう始末の悪い連中が棲息しています。しかもわらわらと13億も。

 さらに江沢民が十数年にわたって行った「愛国主義教育」のおかげで30代以下は「反日」と「なんちゃって愛国」でキレやすくなっています。

 ●愛国主義教育でオトナになった「亡国の世代」面目躍如。・上(2006/12/08)
 ●愛国主義教育でオトナになった「亡国の世代」面目躍如。・下(2006/12/08)

 そのくせ「コナン」や「ガンダム」とかJ-POPや日本のグラビアアイドル画像がないと困る連中がたくさんいますから連中を束ねている中国共産党も骨が折れることでしょう。

 もとより中国国内は「和諧社会」(調和のとれた社会)の実現を呼号しなければならないほど社会状況が悪化していますから、「反日」であれその逆であれ、舵を大きく切りすぎると胡錦涛政権存続の危機。中共による一党独裁制が揺るがないという前提のもとであれば、それを虎視眈々と狙っている政治勢力も少なくないかと思います。

 それはともかく。ここまで騒ぎになったのは中国人の民族的疾患の症状がモロに出てしまったのと同時に、レイニー・ヤンに対する需要が強いことを示すものではないかと。

 中国国内メディアが騒ぎを大きくした部分もありますけど、「謝罪した」と報じたことでみそぎは済ませたから、レイニー・ヤン解禁ってことでよろしく。……というニュアンスもあるように感じられます。

 ――――

 そういえば香港のスターであるアンディ・ラウ(劉徳華)が昔、北京でコンサートを開いた際、MCで「北京」を「北平」(中華民国における呼称)と言ってしまったという武勇伝(笑)を耳にしたことがありますけど、あれって事実だったのでしょうか。




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コメント
 
 
 
中国人のプライド (五香粉)
2007-04-10 01:32:48
中国受任でございます。先日、海賊版DVD屋を漁っていると、『日本沈没』が二種類のレーベル仕様で並んでいました。”中国人が喜ぶタイトルだから二種類あるのかな?”と思いきや、さにあらず。そのうちの一種類は筒井康隆先生の『日本以外全部沈没』でした。
タイトルを変えるくらいなら売らないほうがいいのでは?それとも、ナンチャッテ反日だからどうでもいいのかな?
 
 
 
知りませんでした。 (御家人)
2007-04-10 02:12:43
 『日本以外全部沈没』って映画化されていたんですね!初めて知りました。私は中学生のころ原作を読んだことがあります。確か毛沢東や蒋介石も出てきたのでは?

 原作の通りなら「なんちゃって反日」どころか中国では間違いなく発禁だと思いますけど。……映画版が俄然観たくなりました。もうレンタルされているのでしょうか?ともあれ海賊版製造業者の勘違いによる勇み足に一票。
 
 
 
DVD出てますよ (きんぎんすなご)
2007-04-10 08:15:23
日本沈没と同時期に作られたのですが、上映館数も少なくあまり話題にもならなかったので知らないのも当然かも…
私も原作を知っているので、特撮だけがウリな新作・日本沈没よりこっちが見たかったのですが…田舎では映画は勿論、レンタルにも無い>買えよ

日本以外全部沈没http://www.all-chinbotsu.com/
 
 
 
Unknown (中華好き(台湾・香港限定))
2007-04-10 11:24:03
レイニー・ヤンと言えば「可愛教」教主ですが「哈日族」でも幹部級の熱心さですよね。
去年偶然来日イベントで見ました(目的は他の人だったんですけど)が日常会話はほぼ問題ないくらいの日本語力と営業とは思えないくらい嬉しそうなコメントに親近感を覚えました。
大陸は港・台の歌手・俳優がこの手の発言をすると意気揚々とバッシングを始めますが毎回民度の低さを証明するだけで終わってますね。

華仔の話は北京で「台湾に来れて嬉しい」と発言した、と聞いております。真偽のほどは確かではありませんがあのワーカーホリックぶりを見ていると今自分がどこに居るのか?さえ判らなくなっても不思議ではないと思いますわ。

ところで、前回頂いたコメントですがあまりに図星を指されモニターの前でちょっと固まりました。(笑)
最初は王道・周潤發から入った道ですがどんどん横道にそれ、現在は黄秋生・呉鎭宇・陳奕迅・任達華などがご贔屓で監督は杜峯・邱禮濤などを好んでおります。
學友の友友倶楽部は相変わらず活発でイベント開催時には日本からもクラブ員が駆けつけます。もちろん私も行っております。
それと「半年ROMってろ」は2ちゃんねるで空気の読めないコメントに言うお約束の科白のようです。
 
 
 
Unknown (御家人)
2007-04-10 21:56:55

>>きんぎんすなごさん
 私も「日本沈没」なんかより激しく観たいです「日本以外全部沈没」。近所のレンタル店にあるかどうか今度チェックしてみます。


>>中華好き(台湾・香港限定)さん
>去年偶然来日イベントで見ましたが日常会話はほぼ問題ないくらいの日本語力と
>営業とは思えないくらい嬉しそうなコメントに親近感を覚えました。
 そうなんですか。東京でのライブで日本語を話せる外婆(母方の祖母)をステージに上げちゃったジェイ・チョウもすごいですけど、レイニー・ヤンは筋金入りですね。

>華仔の話は北京で「台湾に来れて嬉しい」と発言した、と聞いております。
 そうですか。やはり何らかのエピソードがあったようですね。それにしても劉徳華は忙しいのにファンサービスもちゃんとしていて感心させられます。今回の甘粛省からのストーカーには辟易したことでしょうけど。

>ところで、前回頂いたコメントですがあまりに図星を指されモニターの前でちょっと固まりました。(笑)
>最初は王道・周潤發から入った道ですがどんどん横道にそれ、現在は黄秋生・呉鎭宇・陳奕迅・任達華などが
>ご贔屓で監督は杜峯・邱禮濤などを好んでおります。
 お、黄秋生とイーソンで4打数2安打!しかし呉鎭宇はともかく任達華とは深い(笑)。私が香港にいたころは「屯門色魔」とか「湾仔之虎」とか「AK47」とかキワモノの役が多かったようですけど、なかなかいい歳のとり方をしたようで厚みと独特の味が出てきた印象があります。相変わらずドンパチ系が多いような気もしますけど……。
 
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