日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 最近記事漁りをしていて気になっていることが2つあります。

 ひとつは電波系基地外反日紙『環球時報』がやや元気を回復しつつあることです。国営通信社の電子版「新華網」にもやや似た傾向がみられます。……要するに反日記事ないしは日本をネガティブに捉えた報道が少し増えてきたということです。

 なぜか、といえば安倍晋三・首相の支持率が下落したとか、防衛庁の省への昇格が衆議院で決まったといった、中共政権にとって「おいしいネタ」が出てきていること、それから先日の森喜朗・元首相の訪台も軍部を刺激したように思います。……ただ余り叩き過ぎて国内で対日世論が硬化しても困るでしょう。これをキャンペーンとしてみるなら、かなり手加減している印象です。

 まあ基本的には季節要因だと私は思います。ほら、南京虫事件の記念日がもうすぐですから(12月13日でしたっけ)。加えるなら今日12月8日は「米英軍と戦闘状態に入れり」な日な訳で。

 愛国主義教育でオトナになった「亡国の世代」。……と標題に据えましたが、天安門事件(1989年)当時に小学6年生か中学1年生だった連中が今年で30歳。反日風味満点の愛国主義教育を全身にたっぷり浴びて育って、揃いも揃って平衡感覚を失った馬鹿ばかり。……とまではいいませんけど、アジア大会に関する記事のタイトルだけを追っていると、ああ連中ウズウズしているな、などと思ったりします(笑)。

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 もう一点は、この秋口からインドに関する記事が目立って増え始めたことです。

 中国側が国境線問題で口を滑らせたことで事前にひと悶着あったため、歴史的快挙になる筈だった胡錦涛訪印は事実上空振りに終わりました。中国側には外資の対中投資が東南アジアや南アジアにシフトしつつあるという危機感もあるでしょう。また、インドに対するライバル意識は元々ありましたし、チベットに絡む問題もあります。

 要するにそこそこ火種があるところにとうとうボウッと火がついた、というところかと思います。かなり気になるようです(笑)。

「インド空軍が中国の潜水艦を追尾・撮影した」
「インドが空母建造構想を打ち上げた」

 といったようなインドの軍事的台頭に警戒感丸出しの『環球時報』型報道が出るようになりました。あとは経済発展に関する中国とインドの比較記事ですね。当然ながら、

「インドも成長著しいけど、中国が一段上にあるという優勢は動かし難い」

 といった結論で終わるものが多いです。自分で自分を安心させたいのでしょう(笑)。

 実際にキナ臭いニュースも流れています。香港紙『明報』電子版の報道によると、チベットに領事館を開設したいというインド側の要望を中国側が一蹴したということです。

 ●『明報』電子版(2006/12/13/16:45)
 http://hk.news.yahoo.com/061203/12/1xk5k.html

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 ところで、「亡国の世代」とは私の実感として勝手に使っている言葉です。

 ●黄河文明以来、数千年の歴史を有して「中華」を自称してはばからないといったプライド。
 ●しかしながら近代においては欧米列強にボロボロにされたうえ、「中華」という文明のスポットライトの枠外にいて「倭人」と見下していた日本に対しても独力では手も足も出ず、連戦連敗を重ねたというトラウマに基づいたコンプレックス。

 そして第二次大戦後も自業自得(政治運動)により敗戦国の日本に経済発展など各面で大きく水を開けられた、という事実も「中華」を自称する民族のプライドをいたく傷つけた上にコンプレックスをも増強させました。プライドもコンプレックスもすでに病気といえる段階で、これを一人格に見立てるなら心療内科あたりに通院するか即入院ということになるでしょう。

 思うにこの病気は、私が留学していた1980年代末期の中国人(知識人・大学生含む)の心にも内在していたと思います。ただ自分たちが後れているということで小癪な「小日本」に矛先を向けることへの自制心があったのでしょう。

 一方で建国以来1980年代後期まで何度となく繰り返された政治運動が祖国の発展を無用に後らせているという認識から、そこまで認識することができ、また組織力もあった当時の知識人や大学生は、民主化運動という体制内改革へと情熱を注いだのだと思います。そうした動きが完膚なきまでに叩き潰されたのが天安門事件です。

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 問題はその後で、失脚した趙紫陽・元総書記の後を受けた江沢民政権が、天安門事件で地に墜ちた中国国民の中国共産党に対する求心力を回復するため、中共の栄光の歴史や民族主義を強調する一方で日本をその仇役に仕立て上げた「反日風味満点の愛国主義教育」が行われたことです。

「中共はすごい。すごいんだ」
「中華民族はすごい。すごいたんだ」
(だから何だよ「中華民族」ってのは)

 という建国前のはるか昔のことを喧伝する一方で、党への不満を当時の悪役だった日本へとスライドさせることを狙い、それを十数年続けることで、天安門事件をロクに知らない児童や生徒に念入りに刷り込みを行いました。平衡感覚を持った思考能力を著しく低下させるという点で、愚民政策のひとつということもできます。

 余談としていうなら、中国にコンプレックスを植え付けたのは英仏独露などが先輩格であり、日本が後発組なのはまぎれもない事実です。ところが中共政権は第二次大戦を「反ファシズム戦争」と位置づけることで英仏露などを除外し、ドイツに対しては「日本と違ってちゃんと戦後処理をやった」という理屈をひねり出して日本だけを悪者扱いするという手品を使いました。いまも使っています。

 現在の胡錦涛政権はこの愛国主義教育から反日風味を薄めて、「風紀粛正」「刻苦奮励」「祖国や人民のために犠牲になることを厭わない」といった物語を増やすことで教育方針の転換を図っているようにみえます。江沢民がはやし立てた「反日」も、胡錦涛時代に入ってからは「政争の具」や庶民の鬱憤晴らし(プチ暴動)のお題目に墜ちています。

 ただ、社会に出るまでに十二分に刷り込みを行われた「亡国の世代」は厳然として存在しています。……というどころか、30代前半から下の社会人はみなこの世代であり、前述した中国人特有のプライドやコンプレックスを増幅させられているのです。こいつらはもう治癒不可能。

 「愛国主義教育」が通用してしまうのは民度というほかありませんが、突き詰めれば批判勢力の存在を許さない中共による一党独裁体制が元凶ということになるでしょう。

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 ところで。

 やや話題を転ずるようでもありますが、近年になって歪んだ経済成長の恩恵にあずかったごく一部の中国国民が海外旅行(香港・マカオ含む)に出かけるようになりました。

 「ごく一部」といっても13億人と基数が大きいものですから相当な人数になります(2005年でのべ3100万人)。ところが、それによって問題になったのが中国人のマナーの悪さ。これは東南アジアでも欧州でも顰蹙を買っているようです。

 それがあまりにひどいので政府の関連部門(国家旅遊局)がたまりかねて腰を上げ、マナー改善に向けた呼びかけを行ったほどです。「七つの罪」(七宗罪)という文革テイストで弾劾された具体的な問題行為は7種類。

 (1)ところ構わずゴミをポイ捨てする。
 (2)飛行機やレストランで周囲に構わず大声で騒ぐ。
 (3)秩序を無視して我先にと順番を争う(行列しない)
 (4)禁煙ゾーンでも構わずに悠然とタバコをくゆらす。
 (5)宴席で脚をテーブルの上に乗せたり、テーブル上に座り込む。
 (6)スーツ姿・革靴の格好で街頭にウンコ座りしたり、パジャマ姿でホテルを出入りする。
 (7)トラブルに遭遇すると著しく怒気を発する。

 ●「新浪網」(2006/09/01/16:32)
 http://news.sina.com.cn/c/2006-09-01/16329912752s.shtml

 ●「新浪網」(2006/09/04/16:27)
 http://news.sina.com.cn/o/2006-09-04/16279933037s.shtml

 当初は香港でも大騒ぎになったものです。

 ●さすがはHDL、正にアメイジングワールド。(2005/10/04)

 チャイニーズという点では同類である筈の香港人までが眉をひそめたほどですから、これは民度の違いということになるのでしょう。


「下」に続く)




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