日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 先日紹介した香港人らによる尖閣諸島防衛運動「保釣運動」ですが、大方の予想(期待?)を裏切ることなくドタバタめいてきました(笑)。ただ中国の方では気になる動きも出ています。香港紙の報道から事態を眺めてみましょう。

 香港を出港した小型漁船改造の「保釣二号」(100トン)。まずは台湾の基隆港へ向かい、そこで台湾側の保釣分子と合流する手筈になっていたようです。台湾側は台湾側で漁船をチャーターして船出するプランでした。

 また、香港の「騒ぎ屋」代表格である梁国雄こと「長毛」は、船に極度に弱い(笑)ということで飛行機で台湾入りして「保釣二号」に乗り込む予定でした。「長毛」は計画通り、昨日(10月24日)台湾入りしています。

 ところが肝心の「保釣二号」、中国沿岸を福建省沖まで北上してから面舵一杯で転舵し、一路台湾海峡を突っ切って基隆へ向かうつもりが、外洋に出るやいなや暴風と高波に襲われました。意気軒昴たる保釣分子たちもこれには参って右舷でも左舷でも麻婆豆腐。

「立ち上がるということがこんなに贅沢な行為だったとは!」

 とは乗船している『蘋果日報』記者によるレポート(2006/10/25)。波にもまれて船が大きく揺れた際に身体をぶつけて軽傷を負う者まで出る始末です。

 傷を負ったのは乗組員だけでなく、「保釣二号」もこの悪天候下の航海で船体の一部が損傷。修理の必要もあり、基隆ないしは台湾北部の港に入ろうとしました。……が、悪天候を理由に基隆をはじめ台湾北部の各港に10月24日から閉鎖措置がとられており、「保釣二号」は漂う木の葉となってしまいました。本来ならもう基隆港に入っているんですけどね。

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 ともあれ入れる港を探すか、このまま尖閣諸島へ向かうか、という選択を迫られることになった「保釣二号」。要修理なのと「長毛」も台湾入りしているので、予定より大幅に遅れながらもいったん基隆港に入ることになりそうです。

 ただ、台湾当局が入港許可を出しそうにないので台湾側とは洋上で合流する見込み、と『東方日報』(2006/10/25)は報じています。

 http://orientaldaily.orisun.com/new/new_c54cnt.html

 ところがその「保釣二号」を待っている台湾側にもトラブル発生。もともと漁船をチャーターして尖閣諸島へ赴く予定だったのが、台湾当局の圧力と悪天候に尻込みし、チャーターを断る船主が続々と出てきたのです。

 さあ大変。「船がない」のですから話になりません。仮に「保釣二号」が入港・修理できたとしても、小型船ゆえ定員不足で台湾側の保釣分子全員を乗船させるだけの余裕はありませんし、入港した「保釣二号」に対し、台湾当局が出港許可を出さない恐れもあります。困っています。進退に窮しています。

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 ところで、困っているのは保釣分子だけではありません。安倍首相訪中前後から躍起になって国内で日中友好ムードを盛り上げてきた中共政権にとっても、尖閣方面に船を出されることで努力が水の泡になるかも知れないのです。

 まず無用の挙を起こすことで日本側に借りをつくってしまうというのが一点。さらにまた従来通り保釣分子の船が海上保安庁の精鋭に公開処刑されることで、ネット世論から軟弱だ弱腰だといった政府批判が出てくるのは必至。お門違いながら、「何をしているんだ」と批判が海軍に及ぶことも避けられないでしょう。

 ですから中共政権は「保釣二号」の出港をあれこれと口実をつけて妨害してきました。中国本土の港で「保釣二号」の整備が進められていたことを奇貨として、難癖をつけて出港許可を引き延ばし本来予定していた「八・一五香港出港」を御破算にさせています。

 が、保釣分子らは延期してでも船出するという意志を曲げようとしません。そこでメンバーに対し、香港における中共政権の出先機関が説得工作を行ったりもしました。『明報』(2006/10/13)がそれを報じています。

 http://hk.news.yahoo.com/061022/12/1v1ru.html

 今回「長毛」が香港から船に乗らず台湾にまず飛んだり、主要メンバーのひとりが「ケガが全治していない」「母親が心配している」などと言って参加をとりやめたのは、ある意味中共政権の「顔を立てた」ということなのかも知れません。他にも中国本土から参加するべく入境手続きを踏んで香港に入ろうとしたメンバーの多くが出境を阻止されてもいます。

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 それでもとうとう船出してしまった「保釣二号」。さあ困った中共政権、というところですが、誰の献策なのか妙手を打ってきました。

「舟山群島南東にて海軍が実弾射撃演習を行うので、民間船舶による演習海域内の航行及び高度1万5000m以下での航空機の飛行を禁止する」

 というものです。その海域に入ってもいいけどケガしてもこちらは責任持たないよ、という通告。

 『星島日報』(2006/10/25)の報道によると演習を行うのは東海艦隊で、ロシアから購入した現代級駆逐艦も参加するとのこと。

 http://www.singtao.com/yesterday/chi/1025eo01.html

 この実弾射撃演習に指定された海域が尖閣諸島から300kmという微妙な、というよりむしろ近いといえる距離にあること、演習日程が10月24日正午から10月26日午後6時と「保釣二号」の尖閣接近時期と符号していることから、

「海軍による側面援護だ」
「日本に対する圧力だ」

 と糞青(自称愛国者の反日信者)どもはネット上で湧き立っています。

 日本側に対して手を出せない以上、ネット世論を喜ばせる一方で海軍の士気低下も防げるという一石二鳥。なかなかやりますね。あるいは台湾当局にも手を打つよう水面下で話し合いがもたれていたりして。

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 個人的にはこの演習、どういう手順で実施が許可されたのか興味があります。胡錦涛まで話が通っているのか、海軍が勝手にやることにしたのか。その海軍にしても、胡錦涛サイドの軍主流派なのか、それとも対外強硬色の強い一派なのか……。

 間合いが300kmということなので、あるいは不測の事態、ということも考えられます。これに対応して海上自衛隊も展開するのかどうか。

 興味は尽きないのですが、肝心の「保釣二号」が台湾沖でヨタヨタしていますからねえ。台湾側も船のチャーターが難航していることから中止という線も十分あります。

 せっかく派手なお膳立てが整っているのに、当の保釣分子のヘタレっぷりからして、肩すかしを食わされそうな気もします。

 ヘタレといえば、『東方日報』(2006/10/25)に気になるニュースが。保釣分子が資金集めの募金活動を政府に無届のまま人の集まる繁華街やフェリー乗り場でやっていたという疑惑が浮上したのです。

 http://hk.news.yahoo.com/061024/10/1v6xo.html

 こういう段取りの悪さや粗放なところも騒ぎ屋らしいというか。……ともあれ続報に期待しましょう。




コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
ヨタヨタどころか (芋焼酎)
2006-10-26 00:01:46
エンジン故障にて基隆港で死にかけとか。空気も天候も読めないとは。
 
 
 
Unknown (でんすけ)
2006-10-26 01:46:24
うあぁ・・・マヌケ過ぎ・・・。



連中って誰かが御膳立てしないと何も出来ないのでは…と思ってしまいます。

問題はその”誰か”なんですけどね・・・。
 
 
 
台湾(ノ∀`)アチャー (h333)
2006-10-26 10:45:07
2chより【中台】「総統になったら中国と和平協定を締結。独立しないことと交換で武力侵攻を回避」と馬英九・国民党主席[10/24]



2008年の総統選挙で勝てば、馬は独立しないことと引き換えに中国に武力行使させないことにサイン

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★ ソースは、自由時報 [台湾] とか。

ttp://www.libertytimes.com.tw/2006/new/oct/24/today-fo1.htm (中国語・繁体字)

★ 訳注。

(*1) 該当記事っぽいやつ。

Taiwan Presidential Hopeful to Seek China Peace Pact

ttp://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=aKmMwJfeOJZk

(*2) 中国-台湾間の「通郵(通信)・通航(航空)・通商(商取引)」を直接行うことを

   開放するという政策。



国民党の馬氏が総統になったら尖閣諸島に台湾軍を向かわせそうな勢いですよね。中共と平和条約を結んでも中共が台湾に武装解除する訳が無いとは考えないのでしょうか。やはり今の国民党は、中国と統一したいだけな気がしてなりません。しかし、民進党政権も現状では選挙に強いとは言えず、非常に危うく見えますし・・・しかし、日本としては李登輝前総統率いる国民党政権では無く、馬国民党政権になれば今までのような交流も難しくなるでしょう。馬国民党政権になれば中共から対日圧力要求にNOとは言わないと思います。香港出身反日戦士の面目躍如と云う感じで嬉々として日本叩きをするのでは?とも思われるぐらいです。御家人様。本当に台湾国民の真意の大勢は、まず中国との統一有りきの国民党を支持しているのでしょうか?どのようなご考察をされておられますか?日本も台湾もマスコミ報道は信じられません。御家人様はお忙しくておられるので、お仕事の息抜きタイムの時にでもコメント下さると幸いです。m(_ _)m



【※注】コピペや記事本文の引用などでコメントが必要以上に長くなるのはここでは御法度です。という訳で当ブログにて出典のリンクのみを残し、不必要と思われる部分は削除致しました。ご了承下さい。(御家人)
 
 
 
Re:台湾(ノ∀`)アチャー (御家人)
2006-10-26 10:56:19
>h333さん

 コピペ部分が大量にあったのでコメントを整理させて頂きました。この点ご了承下さい。

 台湾人に関する私の見方は楽観的です。以下のエントリーで書きたいことはほぼ書いてしまっていますので、ひとまずこちらをご参照頂ければ幸いです。



 ●台湾人の未来について(2006/08/18)

 http://blog.goo.ne.jp/gokenin168/d/20060818

 
 
 
Unknown (ヘタレ。)
2006-10-26 16:53:04
それにしてもNHKとか朝日新聞が報道してくれないのでインターネッツのない国民は楽しめません。

もったいない。
 
 
 
恐縮です。m(_ _)m (h333)
2006-10-26 18:30:24
申し訳ありません。コピペ記事が長すぎでした。ご迷惑をお掛けいたしました。

「国民党支持=中共政権との統一希望派」ではない事は理解できます。やはり、とどのつまり教育がネックなんですよね。日本と台湾のマスコミを信じる事が難しい現在、馬国民党政権になると台湾内での対日感情も悪化の一途を辿る可能性も考えながらも、台湾大好きな日本人としては台湾の人々を信じて台湾を見守りながら両国民の絆を強くしていく他は無いですよね。どうも、心配性の日本人の性でネガティブに考えがちになってしまいます。御家人様、お忙しいところ、コメントを本当に有難うございました。
 
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