日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 きのう(8月30日)、中国政府つまり北京の中央政府である国務院の大幅な閣僚入れ替えが発表されました。10月15日開幕と決まった党大会を前に行われた世代交代です。

 派閥力学とか汚職絡みで云々、という色彩も多少はあるかも知れません。例えば金人慶・財政部長が「私的な理由による辞表を受理」されて辞任、というのは女性絡みのスキャンダルではないか、いや汚職関連らしい、などという憶測が香港紙に出ています。

 もっとも金人慶は国務院発展研究中心の副主任職へとスライドしており、このポストも一応閣僚待遇(正部長級)ではあります。とはいえ財政部長に比べれば同じ閣僚待遇でも格下ですから、いうなれば降格人事。でも「私的な理由による辞表を受理」しておいて閣僚待遇のポストに残したのですから、金人慶はいずれかの政治勢力から保護されたのかも知れません。

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 これまで人工衛星設計の主務や有人宇宙船プロジェクトのサブリーダーなどを歴任し中国における宇宙関連事業の若き牽引役として注目されていた張慶偉・中国航天科技集団総経理が国防科工委主任へと昇格したのもトピックです。

 最近、軍内部では「二砲」(戦略ミサイル主管部門)の鼻息が荒いようですし衛星破壊ミサイル実験なども行われています。そんな折も折、国防科工委のトップに衛星事業のホープを持ってくるというのは、やはり何らかの意図を感じさせます。……ええ、ロケットつながり。

 ちなみにこの張慶偉は1961年生まれで当年とって46歳。閣僚級としては初の60年代出身者ということでも注目されています。まあ5年前の党大会でも最年少中央委員として話題になりましたし、指導部のおぼえめでたいテクノクラートといったところでしょう。

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 私に直接関係しそうなものを強いて挙げるとすれば国家安全部でしょうか(笑)。あり得ない話ではありますが、万に一つ、中国当局が私のこの大毒草ブログをチェックしているとすれば、たぶん中国大使館勤務の「国安」の担当でしょうから。

 留学中に聞いた話ですが、国家安全部の人間は留学生を受け入れている大学など外事関連の部門には必ずひとりはいるそうです。ただしそれが誰なのかは秘されているため周囲にはわからないとのこと。隠密かいっ。こちとら御家人でい。……ってどっちも下級幕臣。orz

 余太はともかく、新たに部長へ就任した耿惠昌は副部長からの昇格で、日本通・米国通として知られているとのこと。耿クンよろしくねーと言ってみるテスト(笑)。

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 最も注目すべき人事は中央ではなく山西省で行われました。于幼軍・山西省長が辞任したのです。

 山西省といえば、闇レンガ工場での少年工多数を含む強制労働事件。本来、省政府のトップとしてその責を負うべき于幼軍は北京に出向いて状況報告&自己批判したり記者会見を開いて全容解明に全力を挙げると宣言したり人民に謝罪したりで、気がつけば当事者と地元当局の非を鳴らす弾劾者へと変身していました(笑)。

 ●大甘判決が浮き彫りにしたもの。(2007/07/18)

 于幼軍は省長を辞任したものの「他の職に転ずる」との一句がついており、それが中央のポストとの噂が流れていることからすると、これは更迭ではなく昇格人事。栄転です。

 前掲エントリーでもふれましたが、于幼軍は胡錦涛直系の共青団出身人脈、いわゆる「団派」のホープ。それで保護されたという一面もあるでしょう。

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 もっとも「団派」だから全てが許される、という訳ではありません。2004年秋に四川省で発生した10万人規模の漢源農民暴動、これを当局は武装警察ないし正規軍2個師団を投入して鎮圧したといわれていますが、このとき四川省のトップだった省党書記の張某さん、この人はその後中央に戻されたものの、あてがわれたのは閑職だったと記憶しています。国家指導部入りへの登竜門をパスできなかったのではないかと。

 于幼軍が栄転で中央入りするとすれば、それは「団派」であることに加え、闇レンガ工場事件でみせた鮮やかなダメコン技(笑)が中共の統治者基準に照らせば「お見事」だった、ということでもあるのでしょう。

 ちなみに于幼軍の後を継いで山西省長に就任したのは孟学農・元北京市長。この人も「団派」なんですが星回りが悪く、2003年に北京市長に就任したと思ったら例の中国肺炎(SARS)隠蔽事件で解任。このときは江沢民系の衛生部長がクビを飛ばされていますから、一種のバランス人事ということもあって辞めさせられたのかも知れません。

 ところが雌伏4年にしていきなり省長就任です。北京市長解任に無能属性があったのならこの復活劇はなかったでしょう。共青団人脈すなわち胡錦涛派がじわじわと勢力を広げているのを象徴する人事、ともいえそうです。

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 いまちょっと忙しくて上っ面をなぞっただけのような内容になってしまい申し訳ありません。一難去ったと思ったら今度は別口から急な仕事が押し寄せてきた上に、こうした数々の人事異動や曹剛川・国防部長の来日などもあって昨日は拾うべき記事が当社比2倍ほどもあり、まだ収集作業も完了していないのです。

 ……あ、他にも物価問題の記事が多いです。それから乱高下しつつも右肩上がり基調である中国の株式市場に証券筋あたりから「そろそろ気をつけろ」警報が一斉に出されています。目を通したい記事が色々あるのですが当分その時間がありません。残念無念であります。

 それにしても閣僚人事というのは日本でいえば内閣改造。非共産党員が閣僚に昇格したことが大きなニュースとしてくどくどしく報道されるお国柄に、日本との距離の大きさというか別世界ぶりをみる思いがします。

 ま、カビ臭い旧世代がいまだに執行部のヒナ壇に並んでいる、なんていう中共もビックリの政党もあったりしますけど。




コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
人事といえば (きんぎんすなご)
2007-08-31 21:10:33
王毅駐日大使が、この度目出度く本国へ栄転だそうで…
もうあの流暢な日本語が聞けないかと思うといやあ残念(嘘
後任は、崔天凱だそうでこりゃ何かと口煩く言いそうですなァ
それにしても今度は、日本通じゃない人物を送ってきたという事は気になる所
 
 
 
Unknown (町方同心)
2007-09-01 10:09:56
金人慶財政部長が首になった(?)のは、中国が、外貨運用のための国策会社の設立資金を調達するための特別国債(日本円で9兆円相当)を発行したのと同時期でしたね。この二つ、何の脈略もないとは思いますが・・・・、何しろ、いろいろ詮索好きなもんですから。無意味なコメントですいません。
 
 
 
メインテーマの変更はなし? (dongze)
2007-09-01 12:04:09
御家人さん、
個々の交代人材のダンアンも気になりますが、メインストリームの課題である、上海人脈の命脈を絶つ&軍事関連の人材把握を進めるにどう決着が付くのでしょうかね?
最年少のテクノクラートにしても、多分に論功恩賞だけではない意図があるのでしょうが、、、日本大使の交代人事、(日本通の)客寄せパンダではなく、アメちゃんとの連携(もちろん都合の良いとこだけつまみ食いする)も考えた人事だとちょっと警戒?すべきかな。
 
 
 
東シナ海ガス田orz (Oink)
2007-09-02 23:16:55
二階氏 ガス田で早期結論促す
http://www3.nhk.or.jp/news/2007/09/02/d20070902000137.html

唐国務委員は、先週行われた内閣改造と自民党の役員人事に触れ、「新しい内閣と党役員には、わたしたちの古い友人がたくさん入っている。
今後、日本の政局がどう変わろうとも、中国政府として、
日本との協力関係を進めていく方針に何ら変わりはない」と述べました。
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東シナ海ガス田で、こんな状態の日本が
「自由と繁栄の弧」構想とか打ち出して対中包囲網だと
気負ってみてもチャンチャラおかしいでしょう。
 
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