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素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)
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御家人と申します。中国観察の素人ですけど、馬鹿なりに挑戦してみます。趣味はもちろんチナヲチ。あと「中共の嫌がることを真心を込めて念入りにやってあげること」。
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お祖母さん孝行の話。
台湾
/
2006-02-09 16:54:42
別のネタを用意していたのですが、前回のコメント欄に寄せて頂いた「るる」さんのお話が心に沁みるものがありましたので、急遽差し替えということにさせて頂きます。
「るる」さん、事前承諾なしで申し訳ありませんが、コメント欄からの引用は当ブログの常なので諒として頂ければ幸いです。
ではまずそのコメントから。
――――
Unknown (るる) 2006-02-08 23:07:05
6日にジェイ・チョウのコンサート(東京国際フォーラム)へ行ってきました(^^)♪
そこには、ジェイのお婆ちゃんも来ていました。
ジェイのお婆ちゃんは日本語が話せるようで、正直言ってビックリしました。
ジェイのお婆ちゃんの挨拶が終わると、私の周辺にいた中国人が”ジェイのお婆ちゃんは日本人なの?”と興味津々のようでした。
私の方は、”本当に日本語教育を受けた台湾人がいるんだ~”となんだか不思議な感じでした。
――――
ジェイ・チョウ(周杰倫)について私は詳しく知りませんが、台湾出身の男性アイドルというかミュージシャンというか俳優というか、とにかく多彩な才能の持ち主でもちろん眉目秀麗、日本でもファンが増えつつあるそうです。現地でドラマ化された「花より男子」(ドラマ名は「流星花園」)でブレイクした「F4」などと並ぶ「台流」の主軸、といったところでしょうか。
F4には配偶者も一時ハマっていた時期があるのですが、その配偶者の知人でやはり「るる」さんと同じコンサートに出かけた方がいらっしゃいまして、
コンサートを詳細にレポート
なさっています。以下はその一部分とそれに対するコメントからの引用です。
――――
アンコールの時、突然ステージを降りて「僕の大切な人を紹介します」と言って、客席の通路をモミクチャにながら進み、たどり着いたのは、なんと外婆の席!!
外婆はとても流暢な日本語で、「私は杰倫のお婆ちゃんです。日本でコンサートを開けてとても嬉しいです。」というような事を言ってたと思います
この外婆の言葉に感動して、思わず「お婆ちゃ~ん!」と叫んでしまいました(苦笑)
杰倫も外婆の言葉を隣で聞いてたんですが、すごく嬉しそうな優しい笑顔を外婆に向けておりました
ホントに外婆が大好きなんだな~って伝わってくる笑顔でした
――
>おばあちゃんの挨拶
あの時代の人らしく、すばらしい日本語でした。そして、控えめなんだけど笑顔が暖かい素敵なおばあちゃん。あんなおばあちゃんになりたいですね。そしてあんな孫がいたら言うこと無い...っていうか、最高!
おばあちゃんは、「孫は小さい頃から歌が大好きでした。私が童謡を教えます。これからも応援して下さい」みたいなことも言ってましたよね。
それで「ももたろう」へ。
流暢な日本語だけど、時制だけはちょっとアヤシイところも、外婆、好Qでした!
――――
「外婆」ですから母方のお祖母さんなんでしょう。いい話だなあ、と思った次第です。ステージにお祖母さんを連れて上がるというのはファンもびっくりの珍事でしょうけど、ジェイ・チョウはいいお祖母さん孝行をしましたね。
このお祖母さん、孫に日本の童謡を教えたりするくらいですから、日本あるいは日本統治時代への思いはネガティブなものではないのでしょう。今回は日本見物ができて、孫が日本のファンから愛されているのを目の当たりにして、とても嬉しかったのではないかと思います。
童謡といえばかつて、
「夕焼け小焼けの童謡にあるような人間と自然が溶け合う日本人の持つ情緒的ないい面は他国にないこと」
と台湾前総統の
李登輝氏が語っていた
のを思い出します。
――――
実は私も台湾在住時代、似たような体験をしたことがあります。
物の弾みで当地の出版社で編集部長兼編集長を務めていたころ
の話ですが、休み時間のときに部下の女性編集者が私のところに来て、
「編集長、実は私には日本人の血が流れているんですよ」
と言うのです。お祖父さんが日本人だったらしくて、早くに亡くなられたそうですが、お祖母さん(台湾人)は健在とのこと。日本語が達者だそうです(女性編集者自身は少しだけ日本語ができました)。
「今度、上司が日本人になったって話したらとても喜んでくれました。家が近いので、今度連れてきたら会ってもらえますか?」
と言うので、そんな大袈裟なと思いつつ「いいよ」と私は返事をしました。
それから2週間ぐらい後のことです。残業に入って他の部署の連中があらかた帰った時間、こちらは電話で「辯當」(弁当)の出前を頼んで、それを食べ終えて一服しているところでした。
例の女性編集者は言の通り会社から徒歩3分のところに住んでいたので、一時帰宅して夕食を済ませて戻ってきたのですが、そのときにそのお祖母さんを連れてきたのです。私はその話をもう半ば忘れていたのでビックリしました。
――――
編集部は乱雑かつ不衛生なので(笑)接客室に招じ入れて、30分もなかったでしょうが、女性編集者も交えて話をしました。といっても会話は日本語、しかもネイティブ同士によるものなので、女性編集者はお祖母さんの隣に座ってただニコニコしているだけです。
お世辞でなく私が日本人であることを喜んでくれているようなので、こちらは恐縮するばかりでした。話題はとりとめもないものでしたが、お祖母さんは普段は使う機会のない日本語を話せることが嬉しいらしく、話すにつれて表情が生き生きしていったのを覚えています。
私自身は、こういう日本語教育を受けた台湾人の老世代と言葉を交わすことが好きです。わざわざ日本語を使ってくれるくらいですからみな親日的というのもありますが、私にとってはその日本語を聞くのが一種の快感なのです。
冷凍保存されていた60年前、70年前の日本語が目の前に飛び出てくる。……陳腐な物言いですが、昔の時代にタイムスリップしたようなものです。日本のお年寄りも若いころはそういう日本語を話していたのでしょうが、時間を経るにつれて現代風な言い回しや発音にどうしても染まってしまい、昔のままという訳にはいかないでしょう。
小津安二郎の映画で使われる日本語でさえ現在からみれば化石同然。それよりもさらにひと昔かふた昔前の、日本ではもう聞く機会の少ないあの歯切れのいい日本語を耳にできる場所はもう台湾しかないかも知れません。その機会も今後どんどん減っていくのが淋しい限りです。
――――
……と、忘れていた記憶が「るる」さんのコメントで蘇った次第です。お祖母さんは、
「孫のことをよろしく頼みますね」
「よかったら是非うちに遊びにお出でなさい」
と言って(記憶モード)帰っていきましたが、ジェイ・チョウ同様、この女性編集者もお祖母さん孝行をしたことになるのだろうと思います。私もその片棒を担がせてもらうという光栄に浴したこと、また耳に心地よい日本語を聞かせてもらったことは台湾時代のいい思い出です。
こういう話をすると、中共政権では麻生外相の発言に脊髄反射したとき同様、
「植民統治を美化したもの」
「台湾独立派を支持するもの」
といったレッテルを貼られるのでしょう(笑)。でも、「哈日族」に代表される若い世代の親日感情も含めて、台湾庶民のこうした感情を無視し、それを中共史観で排除し続ける限り、中共政権が平和的に台湾を併呑することは不可能だと思います。
――――
台湾=親日的という図式は当然のように語られていますが、僅々約20年前までは国民党が戒厳令統治を行っていて日本関連のものはあらかたNGでしたし、日本の歌や映画、ドラマが解禁になったのも戒厳令解除(1987年)後のことだった筈です。
「二・二八事件」に代表されるような国民党による台湾統治のマズさ、それに対する反発だったのかも知れませんが、その間、伏流水のように息をひそめつつもしっかりと残っていた親日的感情の根強さに驚かされます。それが解禁となって勢い良く噴き出したものが若い世代に継承されて「哈日族」などになる訳です。
その意味で、ジェイ・チョウがお祖母さんを舞台に上げ、お祖母さんも嬉々として日本語でスピーチしたというのは実に象徴的な風景です。ジェイ・チョウの両親は戒厳令統治下で生まれ育ち、教育を受けている世代でしょうから、お祖母さんのような日本への思い入れは少ない筈です。
要するに三世代のうち第二世代だけ親日度において遜色ある、ということになります。私がいまも尊敬している台湾在住当時の出版社の社長もこの第二世代ですが、
「若いころは国民党の教育を叩き込まれたから、日本が大嫌いだった。でもこの仕事を始めて日本人と付き合うようになって、考え方が180度変わった。国民党の教育がウソだとわかったんだ」
とよく話してくれたものです(いまは李登輝大好きで台湾独立派)。
台湾はいま、こうした第二世代が政治や経済の第一線で主役を務めている時代にあたります。台湾独立派である筈の陳水扁総統と与党である民進党にはどうも最近、スキャンダルやら仲間割れやらで、幻滅させられることが多くて嫌になります。
でも、世代交代は着実に進みつつあるでしょう。今後、ごく自然に自分が台湾人である(=中国人とは違う)と認識し、親日的感情も比較的強い第三世代が台頭することで、台湾に新たな変化が起きることを祈りたいような気持ちです。
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