銀幕大帝α

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ある優しき殺人者の記録

2015年05月11日 21時00分37秒 | 邦画ホラー
A RECORD OF SWEET MURDER
2014年
日本/韓国
86分
ホラー/サスペンス
R15+
劇場公開(2014/09/06)



監督:
白石晃士
『戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 最終章』
脚本:
白石晃士
出演:
ヨン・ジェウクパク・サンジュン
キム・コッピキム・ソヨン



<ストーリー>
韓国の障害者施設から脱走した連続殺人事件の指名手配犯、パク・サンジュン。女性ジャーナリスト、キム・ソヨンは彼から電話で呼び出され、インタビュー収録に臨む。

この結末は、誰にも予測できない。

-感想-

これもワンカット長回し“風”に撮ってるんかなぁ。
もし“風”だとしても、きちんとそういう形として完成させているんだから、白石監督は本当に撮影の仕方や編集の仕方が優れているという事になるわな。

奇才白石監督が日本から飛び出し、韓国で撮った本格的サスペンススリラー作。
率直に書くと面白かった。
これさり気無くだけど『コワすぎ』とちょっとだけ繋がってる。
繋がっていると言ってもカメラマンが田代だという部分だけですけども。

連続殺人犯がジャーナリストで幼馴染でもあるキム・ソヨンをとある廃墟と化したマンションの一室へと呼び出し、単独インタヴューを依頼する。
彼が言うには自身が27歳になった今、27人の人間を殺せと神からのお告げがあったらしい。
26人目と27人目は首にアザがある者ではないといけないらしく、又その2人は日本人であって、先にお互いの「愛」を確かめた上で殺さなければならない。

「愛」を確かめると聞くと、どうしても同監督のスプラッター問題作『グロテスク』を思い浮かべてしまうのだが、あれ程のグロい描写は残念ながら登場しなかった。
となるとこの映倫指定されているR15+はどういう経緯があって付けられたのかが気になる所だが、多分殺人犯の予言通りに現れた新婚旅行中の日本人カップルの妻役を演じた葵つかさチャンが半裸になっておっぱいを揉み解され、サンジュンや夫相手にパコパコしていたシーンがR15+指定にされてしまったというのが正解なのかもしれない。

カメラマンに日本人を指名してきたというのも、この日本人カップルに田代がサンジュンの言葉を通訳するという役目があったからという明確な答えもきちんと用意されている。
又、田代は『コワすぎ』シリーズにて数々の超常現象を目撃してきた人物でもあり、サンジュンがこれからやろうとしている「奇跡」を田代に信じ込ませ、全てを撮影させるという意図も白石ファンならニヤリとさせられるものもある。
現に予言がピタッと当たるものだから、カメラマン田代は相当驚いていたし、本気でそれら全てを信じ、これから起きるであろう「奇跡」をも見届けたいという期待の現われが言動からもピンピン伝わってきた。

が、余りにもサンジュンが焦りと怒りからか簡単にその場に居る人間を次々刺していくものだから、正義感の強すぎる田代は本能的なのか彼の邪魔をしちゃうんですわ^^;
で、激怒したサンジュンに腹を刺されて死亡。
死亡!?
田代が死んだら『コワすぎ』登場不可能やん!!

そもそもサンジュンがやろうとしている「奇跡」とは何なのか。
これが本作最大のポイント。
この「奇跡」が彼の言う神のお告げ通りに最後本当に起こり得るのかが観客全員の注目を一斉に浴びる事になる。

首にアザがあるのは日本人カップルでは無かったが、真実が判明した時に26人目と27人目の「死」が誰でないと駄目なのかがサンジュンとキム・ソヨンにとっても受け入れなければ成らない実行にも繋がる。

もう一人の幼馴染が幼少の頃に出くわした事故死が伏線。

「奇跡」が起きた時、世界は変わる。
当然、田代も生き返る。

邦題にある「優しき殺人者」という文字には嘘偽りなしで、ラストを見届けた後は、残酷的な恐怖の展開ながらも、主は「奇跡」を信じたサンジュンの“願い”というタイムワープを取り入れた心温まるものへと変貌を遂げるものだから、この良き捻りの効いたストーリー構成の面白さを目と心で深く感じ、感動と共に声を唸らせてしまった。

今カメラマン田代はこれら全てのやり取りや「奇跡」を何も知らずに『コワすぎ』新作に参加しているんだろうなぁと思うと可笑しくもなるのだが、こういうちょっとした遊び心を別作品にも取り入れちゃう所が白石脚本の魅力。
白石ファンは当然ながらも『コワすぎ』ファンにも是非観て欲しい新たな怪作がここに誕生した瞬間だった。


インタヴュー中他、終始困り顔しているキム・コッピさんのその表情が個人的に可愛く思えて堪らなかった。

評価:★★★☆
15/05/11DVD鑑賞(新作)
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2 コメント

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TBありがとうございます (ONE OF THE BROKEN)
2015-12-20 10:58:52
取材クルーvsキ○ガイvsDQNカップルという
トンデモな設定が、まさかあんな泣けるラストに繋がるとは
さすが白石監督です!
返信する
>ONE OF THE BROKENさんへ (ヒロ之)
2015-12-20 14:49:03
こんにちは!
コメントありがとうございます。
まさかあんな展開から最後には感動に繋げてくるとは予想にもしなかったですよね。
白石監督のアイデア箱には底がないのかもしれません。
返信する

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