遠き山に日は落ちて
毎月、第一月曜日に櫻井よしこ氏の『美しき勁き国へ』が連載されます。日本のメディアが書けないような事、書かなかった事、変な方向に行く様子が見えると櫻井氏の言葉は一段と光る輝く気がします。
尖閣諸島付近にチャイナの陰が見え始めてから、もう何年たったでしょうか。その影は日本の様子を見ながら気長に、しかし着実に目的をもってその数や、既成事実の積み重ねを積み重ねていきます。
チャイナの1%に近い共産党首脳部関係の、生き残りを掛け、チャイナ人民の生存権を確保するため、死に物狂いで、しかも気長に、相手の内乱や、紛争を起させ、自分たちの手に入れようと虎視眈々と狙っています。
そもそもその前に大東亜戦争にアメリカを巻き込んだのは、蒋介石の中華民国でした。日本を軽く見てアメリカも軽く載ってきましたが、あのロシアでさえ破った世界最強の軍隊にアメリカは恐怖に苛まれました。
アメリカ自身、此処まで徹底的に戦った戦争はないでしょう。神にも背く原子爆弾を使ってしまう羽目になってしまいました。こんな武器を使うほど、アメリカ自身も世界の中で追い詰められていたとも言えます。
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(産経新聞2016年12月5日掲載分より)
【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】
米国「根絶の政策」からいかに決別するか? 中国との力の差は拡大するばかり
米国を代表する政治学者、サミュエル・ハンチントンの名著『軍人と国家』によると、米国の軍事政策は「根絶の政策」と「変形の政策」に集約される。
前者は軍事力や軍事制度を排除させる政策、後者は自由主義的方向に沿って軍事体制を作り直させる政策だと分析した。
敗戦した日本に対して米国は最も極端な「根絶の政策」を取ったとハンチントンは喝破し、「陸海空軍の保有を禁じ、国策の手段として戦争に訴えることを放棄」させた憲法9条2項に言及した。
日本の課題はいかにしてこの根絶政策から脱却するかである。国防の責務に耐え得る十分な軍事力の保有と、軍国主義への暴走を抑制する文民統治の維持という、2つの課題をハンチントンが指摘したのは、40年も前のことだ。
韓国でさえ、氏が指摘した、国家に必須の2要素を備えている。すなわち大韓民国憲法第5条において、明確に侵略戦争を否認し、同時に「国軍は、国家の安全保障および国土防衛の神聖なる義務を遂行することを使命」とすると定めている。
日本は韓国にも国際社会にも、遠く引き離されたままだが、それでよいのか。現行憲法には、日本国民の9割以上が支持する自衛隊が明記されていないが、この状態を放置し続けて気にならないのは、米国による根絶政策に70年間もしがみついてきた結果なのか。
日本の後ろ盾となってきた米国の変化が次期大統領、ドナルド・トランプ氏の下で加速中だ。
大統領選の勝利からホワイトハウス入りするまでの2カ月余りの間に歴代大統領の大半が受けてきた中央情報局(CIA)をはじめとする16の主要情報機関のブリーフィングを、氏はほとんど受けていない。
選挙期間中の暴言や常識外れの政策は、当選後、十分な情報と適切な助言を得て軌道修正されるという期待に冷水がかけられているのである。
トランプ氏は12月2日の台湾の蔡英文総統との電話会談を含めて、すでに50を超える国々や地域の首脳と会談した。
自分流の外交・安保政策を貫くということであろうが、氏の戦術戦略は厳しい国際情勢の試練に耐え得るのか、心許ない。トランプ流対外政策は世界のリスク要因となりかねない。
まだ途中だが、決定済みの国防長官や国家安全保障問題担当補佐官の人事からは対外強硬路線が浮かんでくる。
強い政策と、米国が再び世界の秩序に責任を持つことは別で、米国第一主義を説くトランプ氏の米国は、強大国ではあっても普通の国になるということだ。
その間、中国はますます独断的な役割を演じようとするだろう。この局面での課題は日本を呪縛する根絶政策を打ち破ること以外あり得ない。
一日も早く、急いで憲法を改正しなければならない。眼前の中国の脅威を見れば理由は明らかであろう。彼らは新政権発足のタイミングで米国を試そうとするだろう。
国際社会の秩序と規範に挑戦し、どこまで中国の侵略が許されるか、米国を瀬踏みする可能性がある。考え得る具体的行動のひとつが尖閣諸島(沖縄県石垣市)占拠である。
尖閣周辺海域における中国の行動には去年以降、明らかな変化が見てとれるのであり、そのいずれもが尋常ならざる危機の到来を暗示している。
昨年秋には中国人民解放軍の海軍軍艦が初めて北緯27度線を越えて南下し、北緯26度と25度のちょうど中間に位置する尖閣諸島に、より近づいた。以降、彼らは度々27度線を越えてくる。
今年8月1日、中国最高人民法院は中国の管轄海域を侵す者に刑事罰を科すと定めた。沖縄トラフまでを自国領域とする中国の、日本を念頭に置いた強硬措置である。
彼らは中国版の国際海洋裁判所、「国際海事司法センター」創設も宣言し、同時期、公船20隻以上が漁船400隻以上に伴走して尖閣海域に押し寄せた。領海を侵犯した漁船には海上民兵が、公船には中国版のイージス艦がまじっていた。
これまで3隻の公船が月3回、2時間ずつ、領海侵犯をしてきたが、この数カ月、前述した例も含めて艦船の数が増えている。艦船はより強力な装備を積み、イージス艦もやってくる。
彼らがイージス艦を派遣するのはフリゲート艦では探知できないより広い領域をカバーし、探知能力を東側に拡大、東シナ海、尖閣上空において優勢を確立するためだ。
一連の行動を可能にするための発進基地の新設も進んでいる。沖縄本島よりも約100キロ、尖閣諸島に近い浙江省温州市の南●(なんき)列島にも新たな軍事拠点が完成した。
同基地を含めて、有事の場合、中国が活用できる基地は30を超える。那覇基地をはじめ1、2カ所の基地しか使えない日本とは雲泥の差だ。
尖閣の海も空も、かつてない程緊張が高まっている。艦船も航空機も、この数年で彼らは量的に日本を凌駕した。質的にもかなりの水準まで追いつかれた。中国は日本にはない攻撃用兵器も大量に保有する。
彼我の力の差は拡大するばかりだ。掛け値なく、日本は深刻な危機の中にある。このことを、まず日本国民が認識し、問題を理解し、憲法改正を急ぎ、国防力を倍加するときだ。対日根絶政策と決別し、まともな国となり、次の世代のためにも国の守りを全うするのが、私たちの責任だ。
●=鹿の下に机のつくり
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アメリカのGHQは、日本の持つ民族的精神性に心の底から恐れたのでしょう。自らの命も顧みず国のために戦う、皇国と言う存在に身震いし、今の憲法を当然のように押し付けたのでしょう。すなわち根絶政策と言うのでしょうか。
しかし日本人の本質は、非常に洗練された静かな、争いを好まぬ、誠実な世界でも稀な民族だということを、この70年間で、世界は知ることになり、しかも先進的技術も、世界のトップクラスであることも併せて宣伝もしないのに世界に広まってしまいました。
この根絶政策に、アメリカ自身は今どう思っているのでしょう。大統領も変わりました。日本の持つ潜在能力に対してどのくらいの知識を持っているのでしょう。しかし日本人が取るべき道は彼に須賀領とする今迄の姿勢を改めて、自分で決めることでしょう。
戦う事を根絶させようとしても、日本も生存権をかけて見事立ち直りつつあります。それを一番恐れているのがチャイナ、支那でしょう。今頃気付いてももう日本の目的は変わらないはずです。