うさこさんと映画

映画のノートです。
目標の五百本に到達、少し休憩。
ありがとうございました。
筋や結末を記していることがあります。

0452. マイケル・コリンズ (1996)

2017年01月29日 | ヴェネチア映画祭金獅子賞

マイケル・コリンズ / ニール・ジョーダン
2h 13min | UK, Ireland, USA

Michael Collins (1996)
Written and directed by Neil Jordan. Cinematography by Chris Menges. Film Editing by J. Patrick Duffner and Tony Lawson. Production Design by Anthony Pratt. Costume Design by Sandy Powell. Performed by Liam Neeson (Michael Collins), Julia Roberts (Kitty Kiernan), Alan Rickman (Eamon de Valera).


http://cinetropolis.net/extra-relish-my-on-set-adventure-with-michael-collins/



イングランドが食べる羊のためにアイルランドが飢える。その悲惨さを伝えたマルクスたちの報告は有名だろう。この映画は、屈辱的なありかたでイギリスに支配され、窮乏のうちにおかれていたアイルランドが独立の契機を迎えた20世紀初頭の時期を切りとったものだ。闘争の指導者マイケル・コリンズを通して当時の動きをえがいていて、『麦の穂をゆらす風』などにさきだつ、歴史の声を伝える作品として位置づけることができる。

映画は紆余曲折の経緯を荒々しい速度でざくざくと切り進め、主演のリーアム・ニーソンも過激な強引さを演じきっている。史実の人物よりはかなり年上だと思うけれど、役づくりの力は伝わる。1996年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞、最優秀男優賞。個人的には、ヒロインを演じたジュリア・ロバーツがむしろ印象に残った。このひとが現れると、画面が静かに深くなる。個性と品が出ていた。

主人公コリンズは工作員たちを指揮したゲリラ戦をつうじて英国の譲歩を引き出し、自治を獲得する。だが共和国として承認されるにはいたらず、国内が悲劇的な分裂におちいったことはよく知られるとおりである。記録によればマイケル・コリンズは1890年生まれ、1922年に満31歳で狙撃されて亡くなった。映画はそこで終わっている。こののちアイルランド共和国が成立するには1949年まで待たなければならない。作品の最後には、コリンズの葬儀を映した実際の記録映像が流れていた。ダブリンでおこなわれ、じつに50万人が集まったという。



メモリータグ■ずっとまえ、東京に滞在していたアイルランドの人たちとたまたま話す機会があった。よもやま話をしたあとで、かれらは別れ際にエレベーターのなかからこう叫んだ。「ねえ、君たちはアイルランドについてなにを知ってる?」わたしはこたえようとした。「ジョイスの国! わたしダブリンの地図が描けたわよ」。だがその瞬間、隣の友人が先に叫んだ。「国内で殺し合いをしてたわ」 彼らはかなしそうにうなずいた。

いまもあの声が頭のなかで響く。「ねえ、君たちはアイルランドについてなにを知ってる?







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