うさこさんと映画

映画のノートです。
目標の五百本に到達、少し休憩。
ありがとうございました。
筋や結末を記していることがあります。

0173. My Best Friend's Wedding (1997)

2007年01月25日 | 1990s
ベスト・フレンズ・ウェディング / P.J. Hogan
105 min USA

My Best Friend's Wedding (1997)
Directed by P.J. Hogan, written by Ronald Bass, cinematography by Laszlo Kovacs, music by James Newton Howard. Performed by Julia Roberts (Julianne Potter), Dermot Mulroney (Michael O'Neal), Cameron Diaz (Kimmy Wallace), Rupert Everett (George Downes), Philip Bosco (Walter Wallace).


どうしてジュリア・ロバーツがこんなフツーの相手に執着するの? キャメロン・ディアスはかわいいにせよ、ロバーツをふって彼女を選ぶって、まさか? といった明るいツッコミ(笑)が友人たちから飛んでいた。とはいえ庶民的な感じのよさで女性層からおおきな支持があるにちがいないロバーツのようなスターとしては、やっぱりここは「身をひく」ことになるのよ、とディフェンスを心のなかでつぶやきながらみていました。しかしロバーツは貫禄。このひと、表情がさっぱりしていていい。キャメロン・ディアスもおもしろい俳優だと思います。潜在的に、やれる役の幅が広そう。



メモリータグ■ガーデンウェディングのセットや結婚式の新郎新婦のメークは、タイムスリップしたような古風さが印象的。一瞬、大昔のハリウッド作品をみているような錯覚がおきた。眉が太くて彫ったような顔立ちの新郎は、ああ、かつての「アメリカ映画」の「二枚目」(死語)ってこうだったような、という……。ライティングがオーソドックスだったからかも。年配のかたにも親しめる仕上げという気がします。




0172. AEon Flux (2005)

2007年01月17日 | 2000s

イーオン・フラックス / カリン・クサマ
93 min USA

AEon Flux (2005)
Directed by Karyn Kusama, written by Phil Hay and Matt Manfredi. Original characters by Peter Chung. Cinematography by Stuart Dryburgh, costume design by Beatrix Aruna Pasztor. Performed by Charlize Theron (Aeon Flux), Marton Csokas (Trevor Goodchild), Jonny Lee Miller (Oren Goodchild), Sophie Okonedo (Sithandra), Frances McDormand (Handler), Amelia Warner (Una Flux).


ひさびさに「古典的タッチ」のSF。シャーリーズ・セロンが強くて美しい暗殺者を演じている。衣装、セットとも、どこかスタートレックに東洋趣味をまぜたような雰囲気で、でも全体は意図的に虚構性を強調している。原作はピーター・チョンのアニメだそう。

設定はクローン社会。クローンすなわちリインカーネーションというとらえかたが不思議な飛躍感で、逆に印象にのこった。いっぽうで「これではアップルシード」という声も聞いた。そういう見方もあるかもしれない。わたしはSFが好きなので、たのしくみていました。

なんとなく、初期の予算はBランクでスタートしたけれど、主役をシャーリーズ・セロンに打診したら思いがけず承諾の返事がきて、それではというのでCGやセットの予算が格上げされたようなつくりにみえないこともない(笑)。セロンの相手役は『キングダム・オヴ・ヘヴン』でギイ・ド・リュジニャンを演じたマートン・ソーカス。

 


メモリータグ■クローンもの、というカテゴリーがこの作品にふさわしいかはわからないけれど、"Never Let Me Go" を思い出した。あのやわらかい繊細なタッチはわすれがたい。

 

 

 


0171, THE 有頂天ホテル (2005)

2007年01月03日 | 2000s
The Uchoten Hotel / Koki Mitani
136 min / Japan

THE 有頂天ホテル (2005)
脚本・監督:三谷幸喜、撮影:山本英夫、音楽:本間勇輔、出演:役所広司(副支配人新堂平吉)・原田美枝子(新堂の別れた妻)・松たか子(客室係竹本ハナ)・佐藤浩市(国会議員武藤田勝利)・香取慎吾(ベルボーイ只野憲二)・篠原涼子(娼婦ヨーコ)・戸田恵子(アシスタントマネージャー矢部登紀子)・生瀬勝久(副支配人瀬尾高志)・麻生久美子(憲二の幼なじみ小原なおみ)・YOU(シンガー桜チェリー)・オダギリジョー(筆耕係右近)・川平慈英(ウェイター丹下)・榎木兵衛(腹話術師坂田万之丞)・唐沢寿明(芸能プロ社長赤丸寿一)・津川雅彦(会社社長板東健治)・伊東四朗(総支配人)・西田敏行(演歌歌手徳川膳武)


三谷さんはむしろ舞台劇を念頭においていたかもしれない。さらにいうなら「舞台でできない舞台劇」をやりたかったのでは。現実の舞台の制約は、ひとつしか空間がないことである。複数の空間と、同時進行の時間とを使いまわしてみたいという執念が伝わってくる。そのために、たくさんの物語を編んだ。アヒルや制服、探偵に政治家、書道係、演歌歌手。手は抜いていない。

それにしても唖然とするほど絢爛豪華なキャストだった。篠原涼子さんは今回はじめてきちんとみた。娼婦役、といってもコメディーなので遊びの要素がつよいものの、このひとは見かけよりはるかにうまい。ちょっと驚いた。

喜劇の手順は伝統どうりにふまえている。笑いを煮詰めていって、大詰めでは真顔のメッセージをさらける。喜劇は、最後にひらきなおって本音を出すものなのだろう。

あえて課題をあげると、舞台劇としての様式的な演劇性と、映画というメディアににじむ一種のあからさまな現実感がぶつかるところでは、しかけが空回りしがちになる。これは誰にとってもむずかしい罠だろう。脚本だけを提供して監督はまかせるという無難な選択肢もあったとは思うけれど、やりたかったのだからこれはこれ。

映画の笑いとはどういうものなのだろう。なぜわたしはフィフス・エレメントに爆笑したのだろう? あのパロディックな演出のインパクト? うーん、巨大な宿題をいただきました。



メモリータグ■メッセージはの核はひとつ。「いいたいやつにはいわせておけ。やりたいことをやれ」です(笑)。