うさこさんと映画

映画のノートです。
目標の五百本に到達、少し休憩。
ありがとうございました。
筋や結末を記していることがあります。

0454. ツーリスト (2010)

2017年03月26日 | 2010s

ツーリスト / フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
1h 43 min,  USA | France | Italy | UK

The Tourist (2010)
Directed by Florian Henckel von Donnersmarck, Germany Cologne, 1973-. Screenplay by Florian Henckel von Donnersmarck, Christopher McQuarrie, Julian Fellowes. Cinematography by John Seale. Film Editing by Joe Hutshing and Patricia Rommel. Costume Design by Colleen Atwood . Music by James Newton Howard. Performed by Johnny Depp (Frank Tupelo), Angelina Jolie, 1975- (Elise Clifton-Ward), Paul Bettany (Inspector John Acheson), Timothy Dalton (Chief Inspector Jones), Steven Berkoff (Reginald Shaw), Rufus Sewell (The Englishman).


http://wallpaperstone.blogspot.jp/2011/12/2010-tourist-wallpapers.html
    

結末がしゃれている。めだたないところにお金をかけたシックな軽さがあって、じつはコメディーという、意外な収穫だった。タイトルは心配になるほど地味だし、公開当時のポスターも個性があったとはいえない。予想どおりImdbの評価点はそれほど高くなかった。でも、意図した層にうまく宣伝が届かなかっただけでは、と思う。ところどころに往年の古典映画へのオマージュがひそんでいる気がして愉しかった。

主要な配役もよく合っていて、みんなじょうずです。華やかなヒロインをアンジェリーナ・ジョリーがきっぱりと演じていき、ちょっと間抜けで人のいい田舎教師としてジョニー・デップが登場してくる。かりかりと事件捜査を指揮するけれど失策つづきという敵役をポール・ベタニーが担当していた。その上司役はトミー・リー・ジョーンズをイギリス人にしたらこうなるかも、というちょっとくたびれたボスで、これがティモシー・ダルトンだったことはあとから知って思いがけなかった。年をとってからのほうが味が出た俳優の一人かもしれない。

さて誰の作品だろうと思ったら、『善き人のソナタ』を作ったフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクが監督をしている(上の写真の左)。脚本も本人のオリジナルらしく、彼とほかに2人が掲げられていた。なるほど。たしかにあの作品のきまじめなトーンからあと一、二歩下がって客観的批評性を加えると、十分コメディーができそう(あれじたい潜在的にコミカルな要素をもっていた)。爆発的で大味な定型のハリウッドアクションとは違って、クラシカルなサスペンスを思い起こさせるレトロなトーンに、それとない品が漂う。貴重な個性です。



メモリータグ■最後に金庫が爆破されてその扉が開く。このカットから入る音楽が、明確にものをいっていて、結末を語るもう一つの「台詞」になっていた。そう、音楽や編集はこうでなくちゃ。