エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

初秋のニペソツ山 (2013m)

2013年09月09日 | 山紀行 (十勝・大雪)
初秋、標高年の・・・二ペソツ山 (2013m)
■ 山 行 日    2013年9月7日(土)~8日(日)  1泊2日
■ コ ー ス    杉沢(十六の沢)コース
■ メ ン バ ー     部員12名、エバ
■ 登 山 形 態     登山道
■ 地 形 図   1/25000地形図   「ニペソツ山」
■ 三角点・点名  二等三角点・点名「二屏卒山(ニペソツザン)」
■ コースタイム   登り 4時間45分   下り 3時間30分
<登り>
登山口5:15---岩峰6:55---天狗のコル7:08~15休---前天狗8:23~30休
ニペソツ山10:00
 (登り 4時間45分)
<下り>
下山10:30--天狗岳11:15--前天狗11:43~12:00休--天狗のコル12:35~46休
--岩峰12:57---登山口14:00
 (下り 3時間30)

★ 強化合宿・・・
社内山岳部の部活に久々参加して来た。
9月は「強化合宿」を行う月で、昨年に続く「ニペソツ山」に決定した。ただ昨年は、未明から雨となり
山行は中止になったようなので今年はそのリベンジ的合宿という位置付けかも知れない。

7月の全国登山大会「羊蹄山」では、腰痛で何もお役に立てず若い部員のパワーに圧倒されて
自分の老いも実感する反省の大会だっただけに、もう一度みんなと登って見たいと言うのが
正直今回参加の理由かも知れない。もう一つ、9月のニペソツ山にも興味があり初秋の標高年
というフレーズにも誘われた次第だった。


★ 101番目の百名山?・・・
ニペソツ山は、5年振り6回目の登頂となるが、その昔とは異なり中高年の登山ブームは今や
山ガール、山ボーイも含めた百名山から二百名山の時代を迎えているようだ。

7日土曜日、登山口に着いたのは13:30だったが、登山口から約500m手前から林道脇に車が
連なって停まっていた。その車の多さにびっくりしながら登山口まで進むとやはり停めるスペースは
無く、暫く様子を見ていると二組のパーティーが下山して来た。下山組の中でも早い方だと思うが、
天候は雨でガスの立ち込める秋雨の中をまだ多くの登山者がこの山に居るんだと想像するとその
苦悩と同時に悪天でも登るピークハンター的パワーには脱帽していた。

ニペソツ山は、101番目の百名山とも言われるほど人気急上昇の山となりオーバーユースの心配も
されているが、トイレは登山口に一つと中間地点の前天狗付近にトイレブースが一つあるだけ。
片道7キロの長い登山道と入山の数には到底間に合わないのは当然だが、携帯トイレの回収ボックス
が整備されていない事も起因してブースの使用は少なく排泄物の処理場は今後問題になりそうな
予感がする。

ただ登山道の笹刈りは昨年の9月に実施されたようで整備された歩き易い登山道だった事は
嬉しい情報として記して置きたいと思う。

登山口に設置された登山ポストにはこの日だけで約70名の記入があり、明日はもっと多いのかなぁ
と思いながら仲間の到着を待っていた。


★ 土場の利用・・・
登山口から500m程手前に広い土場があり、前泊組の駐車場とテン場には適地な場所がある。
土場の利用には、本来関係する森林管理署の許可が必要で今回も許可を得て利用する事になった。

17:00には、参加者全員が到着。合流後は、小雨混じる土場のキャンプ地で部員の交流を含めた
前夜祭として盛り上がった。21:30にはお開きとなり明日に備えての就寝となる。

【9月8日(日)】


★ 快復の兆し・・・
早朝4時過ぎから登山口へ向かう車が次々と通過して行く。
天候はくもりだが、回復の兆しもあり今年は決行出来そうだ。
5時出発の予定を少し早めて準備出来た組から順次出発して行く。



早朝5:00も賑やかな登山口でした・・・

★ 賑やかな登山口広場・・・
登山口には私たちを含めた40~50名の登山で賑わっていた。
本州からの登山ツアーも二組先行し30名を超える。一歩遅れるも早々出発となるがツアー組の
スピードは遅く渋滞となって足を止める事が多かった。ツアー組の休憩時ようやく抜く事が出来
自分たちのペースで登行出来た。



1500m付近から振り返る通称オッパイ山のピリベツ山(左)と西クマネシリ岳、手前軍艦山

★ 整備された登山道・・・
以前から比べて広くなってしまった登山道を見るだけで入山者の多さを実感できる。
昨日の雨の影響もあってグショグショの場所も何箇所かあるが、脇の笹は刈り取られていて
朝露でズボンを濡らす事は無かった。

小天狗の南尾根端になる1600m付近の岩峰に辿り着くまでは、樹林帯の登山道を辛抱して
登るだけだが高度を上げるに連れ視界も広がり、振り返ると眼下に軍艦山その向こうに
「オッパイ山」の愛称で呼ばれる「ピリベツ山」と「西クマネシリ岳」が雲海の中に望み、一気に
登行意欲が湧く一瞬である。また、小天狗頂上付近に紅葉するナナカマドと爽やかな風も手伝って
疲れを吹き飛ばす登行が楽しかった。



1600m付近の岩峰 (小天狗の南尾根先端)


岩峰から方向を南西に変えて「天狗のコル」へ向かう・・前方の山は前天狗1888m

★ 見て撮って食べて・・・
若い部員たちのパワーにはやはり付いて行けないエバである。
パーティー最後部をいつもキープしながら天狗のコル付近から発見した「クロマメの実」を大量に
口にしながら、秋の花々や景色を楽しみゆっくりと登るマイペース登行が一番合っていると思った。

団体行動なのだから先頭に遅れる事無く付いて行かなくては・・・が基本なのだろうが、休まない
ハイペースの一行には付いて行けないから仕方なかった。(ゴメンである)

見て、撮って、食べて・・・の自然を満喫したマイペーススタイルはもう崩す事が出来ないかも知れない。



ピンボケです・・・ウメバチソウが多く咲いていました。


ピンボケです・・・エゾオヤマリンドウも天狗のコル付近で咲いていました。


徐々に紅葉が始まったナナカマド


天狗のコル付近を歩く一行・・・


1800m付近の紅葉したウラシマツヅジ (遠方の山は石狩岳方面)

★ 声も姿もナキウサギ・・・
小天狗のコルを過ぎて森林限界を超えるとこの山の特徴的岩場のロックガーデン地帯が現れる。
視界は広がり石狩連峰や大雪山系も目に飛び込んで来る最初の絶景ポイントだが、いつもの
ナキウサギの声も姿も見えない。いったいどうした事だろう・・・。

一抹の不安を抱きながら登行を続けるもこのまま逢えないのは寂し過ぎると思った。



前天狗手前の登山道を歩く・・・


前天狗への登り・・


前天狗唯一?のテン場 (2~3人用1張分)

★ もう一つの絶景ポイント・・・
前天狗 8:23着
ニペソツ山に登る時に一番の期待をする場所が前天狗である。
登り始めて3時間、一度も本峰を望めずにじっと我慢の登行を続けるのはここに来て初めて望む
ニペソツ山が余りにも感動的に現れるからだと思う。上手く表現できないが、凛として心がキュッと
締められる思いがこの山にある。

北海道らしくない・・と言えば何が北海道らしいのかと問われるかも知れないが、日高にも無く
表大雪にもこれだけの鋭鋒は思い浮かばない。東大雪の中で石狩連峰と共に代表する名峰は
ここに来て初めてそれを実感出来る山だと思う。



前天狗の標識と前方にはニペソツ山が出現する・・・


天狗平からニペソツ山を望む・・・


天狗平から西側の岩峰を撮る・・・

★ 一番好きなビューポイント・・・
人によってそのポイントは様々だと思うが、天狗岳の下から望むニペソツ山の勇姿が一番好きな
ビューポイントになっている。残念ながらこの日はその全容を見せてくれなかったが、痩せた稜線に
頂上まで続く登路を一望し、切り立った断崖絶壁と紅葉したナナカマドやウラシマツヅジのコントラスト
に感動しながら登るのは実に充実感溢れる場面だ。

この日は多くの登山者で賑わい痩せ尾根では下山者とすれ違う場面で待つ事もしばしばだったが
キツイ登りの休憩と思えばありがたいものである。



天狗岳下からニペソツへの登山道と本峰を望む・・

★ ナキウサギとの出逢い・・・
もうほとんど諦め掛けていたが、頂上直下の北斜面をトラバースする岩場でようやくナキウサギと
出逢う事が出来た。先行隊は誰も見ていないと言うから後から小人数で静かに通過した事で、
ご褒美の顔出しだったかもと嬉しい限りだ。

一説によるとやはり登山者が増えた事が一因しているという事だが、お騒がせしてゴメンね・・と
冬支度に忙しいナキウサギを見ながら「ゆっくり休んでね・・」を声を掛けてお別れする。


★ 全員、無事登頂・・・
頂上 10:00到着 (登り 4時間45分)
最後の最後まで最後部をキープしての登頂だった。
他の部員は15分位前に登頂していて私を含めた3名の後続隊の登頂を暖かく迎えてくれた。
全体的にガスで覆われていて期待する景色は望めなかったが、時々合間から顔を出す石狩連峰や
トムラウシ山も望む事は出来たので満足の登頂である。

10:30下山の指示を受けて暫しの休息を取る。



ニペソツ山頂上にて (顔写真の掲載については全員から承諾を得て公開しています)

★ 山ガールとテン場・・・
下山開始 10:30
満員御礼の頂上に別れを告げて下山を開始する。
久しぶりのハード山行でさすがに足のダメージ感が強い。
続々と登って来る登山者は後を絶たない。
すれ違う度にどちらかが待つので時間は掛かるが休めるのは歓迎だ。

休まない先頭グループをよそにパーティーの紅一点Tomoちゃんと再び最後部キープのエバである。


前天狗 11:43~12:00 休憩
ここまで休憩無しで着く。ホッとして腰を下ろし行動食を頬張る。
先着した中の元気組は、前天狗頂上を目指す・・・
唯一のテン場にはテントが張っていてメンバーの一人が話をしている様だったので顔を出して見た。
真新しいテントの上に「オカピー」のぬいぐるみが乗せてあり許可を得て撮らせてもらった。
持ち主は山ガール二人パーティー、ネットでテン場を知り是非ここに泊まって見たかった・・と
話していたが、いかにも現代っ子らしいコメントだった。

ちょっと羨ましく、ちょっと危険。

でも私も今月下旬に再びこの山に訪れ、この場所にテントを張る予定なので思いは重なるところだ。



下山時、前天狗のテン場にテントを張った山ガールと「オカピー」

★ 全員無事に下山・・・
登山口 14:00到着  (下山 3時間30分)
二度目の休憩は天狗のコルで最後だった。
ここから約1時間15分休憩無しで歩き続けた。
自分にとっては大いなる「強化合宿」だった。

参加した部員の中にはビギナーや初登頂者も数名いるが、登山道のある山としてはハードな
ニペソツ山も元気に登れる事がちょっと羨ましかった。

リーダーが土場で挨拶をしてこの場で解散となり、私と一部の部員は「ぬかびら温泉郷」の
「中村屋」という老舗の旅館で汗を流し別れた。



日帰り入浴500円も雰囲気の良い綺麗な温泉でした。お勧めします。


温泉の裏にある駐車場で鹿が戯れる自然多き温泉郷である・・・

参加者の皆さん 大変お疲れ様でした。
ようやくアップ出来ましたが、足の筋肉痛は今も続いています。

今月再び訪れる予定のニペソツ山、テントを背負ってのグループ山行ですが紅葉も進み
もしかすると初雪の体験もあるかも・・・です。









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2 コメント

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初秋のニペソツ山、いいですね (GAKU@神奈川)
2013-09-12 18:08:15
標高年とは言え、1日に70人もの入山とは驚きです。
私が登った10年ほど前は、やはり9月の同じような天候でしたが、登山者は数人だけでとても静かな山でした。
懐かしく拝見しましたが、前天狗からの写真、ニペの山頂は僅かに隠れていますが、とても良いですね。
今月中にもう一度、前天狗にテン泊で訪れるなんて羨ましい。
私もまたますます行きたくなりました。
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次も絶景を期待して・・・ (エバ)
2013-09-12 18:56:08
GAKUさん いつもありがとう・・です。

私のニペソツ初登頂は94年6月でした。
この頃はまだ百名山の登山ブームでも無く、本州の登山者には無名の山に近く静かな山でしたね。

2000年10月には幌加川源頭から東壁を登るクライミングに同行し、ゴロゴロ崩れ落ちる落石に注意しながら登頂を前に日没となり岩場でビバークした体験がこの山に登る度に鮮明に蘇ります。

きっとどの季節もどのルートも登るものを満足させる何かを持った山かも知れません。ニペの山中で泊まるのは初めてなので楽しみです。

チャンスがあれば是非また来道して下さい
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