エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

恵庭岳 (1320m)

2013年11月06日 | 山紀行 (道央・札幌・積丹)
4ヶ月振りの夫婦登山・・・恵 庭 岳 (1320m)
記憶も失せた20年振りのコース再び・・・

■ 山 行 日   2013年11月06日(水)  日帰り
■ コ ー ス   ポロピナイコース
■ メ ン バ ー    夫婦登山 №12
■ 登 山 形 態     登山道
■ 地 形 図    1/25000地形図   「恵庭岳」
■ 三角点・点名   二等三角点  点名「恵庭岳 エニワダケ」 
■ コースタイム   登り 3時間13分  下り 2時間19分 (休憩含む)
<登り>
登山口7:45-5合目8:50-7合目(見晴台)9:50-第二見晴台(9合目)9:50-頂上10:58
<下り>
下山開始11:06-第二見晴台11:30~40-見晴台11:55-登山口13:25


★ 遭難・滑落事故・・・
メディアでの報道で、つい先日の11月2日に単独の女性登山者が道迷いが原因と見られる滑落事故が
発生し死亡した事を知りました。詳しい原因などはまだ調査中と言う事で分かりませんが、登山口で「黙
とう」しご冥福を祈ってからの登山開始となりました。

恵庭岳で道迷い?
20年振りでこのコースを登るが記憶はほとんど無く覚えているのは直登の登山道と見晴台の眺望そし
て頂上直下の見上げる岩峰だけだった。
今回、新聞記事などを参考にしながらいったい彼女はどこで間違えて「滑落死」までに至ったのか自分
たち成りに検証してみたいと臨む事にした。

北海道新聞による記事では、登山開始は10:00(実際に彼女の記載した記録を確認)で下山の記載は
無かった。11時頃道迷いに気付き知人に電話したらしい。その後連絡が取れなくなりこの日の夜に捜
索が開始され、翌朝標高500m付近の沢で発見され死亡が確認された。死因は脳挫傷という。


★ 落ち葉・・・
登山開始 7:45
登山口のポストに記入して出発。
平日で雨予報の今日は他に誰も居ない貸切の恵庭岳だった。



湖畔からポロピナイに向かう道路から恵庭岳を望むも頂上部の雲が今日の天気を占っているのか?


登山口


出発してすぐの登山道・・・


土で埋まった砂防ダムを越えてポロピナイ沢上の涸れ沢が登山道だった・・


水溜りと苔と岩と落ち葉に晩秋を感じて一枚撮る・・・

★ テープと倒木と落ち葉2・・・
旧登山口? 7:57
10分程進んだ所に「恵庭岳登山入口」の古い看板が置かれていた。
昔はここが登山口だったのだろうか? 周りは針葉樹林帯で足元は岩混じりの荒れた登山道。
落ち葉が登山道を覆い以前の台風でなぎ倒されたと思われる倒木の残骸が著しかった。

ピンクと赤布の標識テープが異常に目立つ。
要所要所には寅ロープも張られ、先日の事故後に付けられたのかな?と想像出来る。
事故当日これだけのテープやロープがあったかどうか判らないが、迷いようがない程に付いてるテープ
なのに私も2度ほどコースを外してしまった。すぐに気が付いて戻る事が出来たが、彼女がそれに気が
付かず外れたルートのまま歩いてしまえば「道迷い」も納得の樹海な場所だ。
この時期、登山道がまったく分からない程に「落ち葉」が登山道を覆ってしまい、あちこちに踏み跡らし
き窪みに誘われる可能性は大だった。


「三合目」 8:12
この辺から本格的に針葉樹林帯の中に突入する。
傾斜も急になって高度を上げて行く。右奥にはポロピナイ沢があるが急斜面の断崖状の所もありそうで
もしこちらの方に迷い込み足を踏み外したら・・・である。
発見された場所が標高500m付近の沢であれば、三合目~四合目付近であり登山道から外れた急斜
面から滑落と推測できる。
ある程度上の方に登って来ても登山道を外してしまいそうな不明瞭な場所はいくつか感じたが、テープ
とロープがびっしりと付けられている事で迷わず歩けると思う。

検証はここまで。
藪山に慣れたエバ夫婦でも2度登山道を外した。
テープが異常に付いていても間違える事実があるということだ。
道中の夫婦の会話で遭難した彼女の心中を思いながら死なずにすむ方法はいくつもあったのに・・・と
悔やまれてならない。ご冥福を祈りながら自分たちも慎重に登る事を再び心に誓った。



登山開始から10分ほどの場所にあった「恵庭岳登山入口」の看板


前方に三合目標識がある。樹林帯に突入だ・・・。


四合目付近の樹林帯・・・



★ 思わぬ産物・・・
「五合目」 8:50
すっかり落葉したダケカンバとトド松の樹林帯は明るく歩き易かった。
のんびりと周りを見渡しながら登っていた時ふと目に飛び込む産物に足が止まる。
まさかの「カバノアナタケ」だった。
大勢の登山者が登っている登山道の近くなのに今まで誰も気が付かなかったのだろうか。
思わずニッコリしながらゲットしてしまった。他にも2本見つけたが高い場所にあったので取る事は出来
ず諦めた。



カバノアナタケをゲット!!・・・

★ 登り専用・・・
「六合目」 9:20
9:35頃 写真の「登り専用」の看板を確認。右隣りに「下り専用」と見られるルートも見えた。
急斜度のガレ場なので落石などがあることから登りと下りを分けたルート取りにしているとすぐに理解
出来るが上手くこの場に二つのルートが取れたものだと不思議でもあった。






★ 見晴台・・・
「七合目」見晴台 9:50
今日の予報からここが終点と覚悟して登っていたが、以外にも展望が望め風も弱かった。

昔この見晴台を終点にしてジンギスカンで一杯やりながら宴会をしていたグループに遭遇し
単純に「羨ましい」と指をくわえた自分がいた事を何故か思い出してしまった。今それが許されるかどう
かは別にしても夏の好天時絶景を見ながら山の上での宴会が楽しくない訳がない。ただアルコールが
入り過ぎて下山もままならない状況だったり事故にも繋がるこの会場では「不適切・非常識」と呼ばれる
に違いないだろう。



見晴台から望む支笏湖と紋別岳方向・・・

★ ニセピーク・第二見晴台・・・
第二見晴台 10:30
一瞬自分の目を疑った。「えっ!ここが頂上?」って。
第二見晴台の存在も記憶に無かったが、7合目の見晴台にあった看板に「登山はこの先の第二見晴
台まで・・」とあったので、どこが第二見晴台だろう?と登っていた。

突然現れた平らな展望台のような場所には「恵庭岳」と書かれた古い頂上標識がハイ松の枝に括りつ
けられていた。そして登山口にもあった「入山される方へ」の看板が英語版と共に二枚設置され更に
その先への登山道を遮る寅ロープが張ってあった。

ここはニセピークだ!・・・と、ちょっと怒りが走る。
違和感を感じたのは「寅ロープと立入禁止のテープ」だった。
「この先には入らないようにして下さい」という文言の後に「入山される方は自分の責任において・・」と
記されている。なのに寅ロープで制限し、ニセモノの頂上標識まで用意して「ここが頂上です」と思わせ
る手法は考えものだ。

当然ながら私たちは寅ロープを潜り本当の山頂を目指す事にした。



第二見晴台に設置された頂上標識・・・以前は本頂上にあったものだ。


関係団体が設置した「注意書き」の看板




ガスの中見晴台から見えた岩峰が頂上岩峰のはず・・・

★ テープ無し・・・
一般的には、第二見晴台が事実上の頂上となるためその先までテープを付けるのは過保護すぎる
お節介なのだろうと思う。そう理解してテープが全く無い事を理解して敢えて先に進む事にした。
もちろんロープより先は自己責任で登るのは当然だが、ここにこそ恵庭岳の醍醐味と感動の景色が
あって第二見晴台がいかにつまらない場所か分かってしまう。

と言いつつ、はやりロープより先には危険な場所は多いのは事実だ。
関係者が安全登山を願い苦肉の策として第二見晴台を仮の頂上とするのも分かる気がした。



頂上岩峰直下から振り返ると際立った別の岩峰群と眼下にオコタンペ湖を望み
                                高度感たっぷりの感動さえ覚える場所だ。



岩峰の取付き岩・・・簡単でもなく難しくもなく、ただしリスクはあるかな?

★ 7回目の登頂・・・
頂上 10:58
恵庭岳の初登頂は、1992年8月だった。
初登山が1991年で紋別岳、翌年の5月残雪の旭岳に登り恵庭岳は3つ目の山だった。
まだ登山のイロハも判らないずぶの素人、だから言われるままに登って登頂したに過ぎない山だった
かも知れない。1994年には妻チーヤンと当時10歳の娘も連れて3人で登っていた。
翌年95年には職場の仲間大勢で登り、下りは1時間で降りた記録が残っている。
5回目と6回目は残雪期の春4月に夏道とは逆の北西尾根ルートから山スキーで登った。
それ以降は、崩落の危険があるという事で頂上まで登れない情報がありすっかりご無沙汰という山だ
ったのだ。

今回恵庭岳を選択した理由の一つは、登頂制限が解かれて自己責任で頂上まで行ける・・という
情報とチーヤンが久々の登山再開で日帰り出来る山の選択を迫られ浮かび上がった山だったのだ。

夫婦で登るのは約20年振りの山であるが、つい先日第二子を出産し里帰りしていた娘がまだ小学生
の時に3人で登った記念すべき山の一つを選んでいたと考えると、その歴史と共に考え深い思いが錯
綜し時を忘れる一瞬だった。

諦めていた景色を望み、緊張した岩場の登攀気分を味わい、危険と知りつつ懐かしい頂上に立つ事は
新鮮に感動した。
強風のため僅か10分足らずの滞在だったが、満足の登頂だった。



94年以来約20年振りで夫婦での登頂である・・・


右に漁岳、左に小漁山とオコタンペ湖を望む・・・


眼下に広がる支笏湖とその先の風不死岳、樽前山がようやく望めた。

下山開始 11:06


第二見晴台 11:30~40 休憩

★ 幸運・・・
時間と共に風は冷たくそして強くなるもガスが流れ去り視界が広がる幸運となる。
7合目見晴台に降りると登りでは望めなかった頂上部がくっきりと姿を現してくれた。



爆裂火口を挟んだ中央のポコが頂上・・・


頂上岩峰のアップ・・




下り専用の急傾斜のルート

登山口 13:25

雨予報にも関わらず下山するまで天気は持ってくれた。
夫婦登山の再開?、復活?と言いたくなる程約4ヶ月のブランクは始めて・・・でも
また一緒に登れる幸せを噛みしめながらこれからもよろしく・・と心でご挨拶。

目指す目標は果てしないが、目指すものがあるだけでも幸せなのだと自問自答する。

貸切の恵庭岳・・・と思っていたら12時を過ぎているのに4合目付近で単独の男性とすれ違う。
さすがに頂上までは行かない・・と言っていたが、軽装でもあり心配事になってしまった。

下山後は苫小牧の温泉とむかわのシシャモを求める寄り道をして帰宅した。



※ 11/07 追加アップ終了しました・・・。



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3 コメント

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恵庭岳で道迷い (yah)
2013-11-08 13:21:26
初めまして。

実は少し前から勝手にリンクさせてもらって、度々読ませてもらっていました。
(報告が遅くなり申し訳ありません)
いつも詳しい記事で、大変参考になりありがたく思います。

恵庭岳は何度か登ったことがありますが、幸い今まで迷ったことはありません。
なので自分ではどの辺りで迷い込むのかがイマイチわからないのですが、知人に聞くと「道を間違ったことがある」と言う方が複数いますので、やはり迷いやすい場所があるのでしょうね。

先日の事故の方は迷ったことによる焦りもあってか、滑落してしまったのでしょう。
昨年も秋に札幌の男性が恵庭岳で遭難していますよね。
(見つかったという話は聞きませんがその後どうなったのでしょう)
やはり落ち葉の季節は登山道が不明瞭になって迷いやすくなるのでしょうね。

ところで恵庭岳の本物の山頂にはまだ行ったことがありません。
今年は事実上の規制解除がされたということで、行ってみたかったのですが、行く機会のないまま終わりそうです。
(冬に恵庭岳山頂に行く自信はありません・・・)
いつか山頂からの絶景を見てみたいものです。
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リンクは自由です。 (エバ)
2013-11-08 23:23:46
Yahさん 初めまして コメントありがとうございます。
またブログのリンクをしていただき光栄です。

Yahと書いて何と読むのでしょうか。
YahさんもブログかHPを開設しているなら是非訪問させ
てください。よろしくお願いします。

恵庭岳に限らず晩秋の山は危険がいっぱいなのかも知れません。
道なき藪山を好む愛好家は、必ず地図とコンパスを持って行きます。登山道のある山でも自分の位置を知るためや登山道と地図に違いはないかなど安全に登るための備えは欠かせません。
みんな怖いのだと思います。

今回、規制解除になったとは正直思っていません。
自己責任ならなんでも良いと言うわけでもありません。
安全な山なんて無いんです。だから知識や技術、経験や勘も生かし備えて臨んでいるのだと思います。

是非恵庭岳の山頂に立って下さいね。



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ありがとうございます。 (yah)
2013-11-09 12:09:32
リンクの件了承いただきありがとうございます。
(事後承諾で申し訳ありません)

yahと書いて「やー」と読んでもらっています。
一応ブログもやっております。
エバさんのように他人の役に立つブログではありませんが、もしも気が向いた時には覗きに来てください。
このコメントの名前にリンクを張っております。

思うように山に登れないことも多いですが、細々と続けて行きたいと思っております。
よろしくお願いします。
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