森中定治ブログ「次世代に贈る社会」

人間のこと,社会のこと,未来のこと,いろいろと考えたことを書きます

利他性ー自然科学と社会科学の架け橋として

2022-03-27 21:27:03 | 人類の未来

今年2022年4月2日に午後1時から市民シンポジウム「次世代にどのような社会を贈るのか?」をZoomにて行います。

テーマ:利他性ー自然科学と社会科学の架け橋として

私は真の利他性(純粋の利他性)、つまり自分の利益を動機としない利他性が、現代以降つまり人新世において人類を導くと考えます。

昨年は、「真の利他性とは天動説である」と言うお話がありました。つまり本当は利己性に基づいてあらゆる生物はこの世に存在できるのだけれど、真の利他性があるように見えるから、あるいはあると思いたいから、それがあると人は考えるのだと、そう言うお話しと受け取りました。
以下の文章は、私の講演要旨の冒頭の部分です。
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ヒトは生き物である。宗教や生活習慣など特定の制約のない限りヒトは魚や牛や鶏を食べるが、もし魚や牛や鶏の身動きが自由であれば逃げるであろう。すなわちヒトは、自分個人の生存と繁殖のために嫌がるものを力づくで捕らえ殺して食べる。そうしなければ生物個体として存在し得ない。ヒト以外の動物もまた植物も、何らかの手段を用いて自己を存続させ、また自個体の遺伝子を未来に繋ぐことが必須である。でなければ、この世に存在できない。ゆえに地球上の生物はその100%が必然的に利己性をもつ。
これは生物がこの世にあるための原理と言い得る。
平易な言葉に変えれば“生き物は私欲で成り立っている”。
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人間は論理的です。ですから、上記の文章が正しいと直感的にわかっていただけると思います。自分の利益をどんどん捨てて他人に与えていけば自分自身も自分の子孫も生存し得ない・・。論理的にそうなるでしょう。
しかし、果たしてそうか?
昨年の市民シンポジウムから丸1年が経ち、人間の持つ真の利他性とは本当にそのようなものか・・と考え続けて、1年後のこの市民シンポジウムにつながりました。昨年と同じような話になるかどうか。自然科学と社会科学の架け橋になるかどうか、私は最大限の努力を尽くすつもりです。
2022年2月24日、ロシアがウクライナに攻め入り戦争が始まりました。私がこの趣旨説明を書いている時点(3月27日)で、ロシアとウクライナの戦争終結に向けた会談はすでに何度も行われていますが、まだ奏功しておらず戦争は継続しています。先般もこの戦争に関する大きなシンポジウムに参加しましたが、ここでこの戦争について議論するつもりはありません。
私が大きな論点としてここで取り上げるのは、ロシアがウクライナへ派兵した大きな理由が、少数のロシア人を守るためということでした。ウクライナではロシア人は少数です。民主主義の原理は多数決にあります。多数決で物事を決めれば、少数者は常に不利になります。集団における人数の多い少ないが、この世に生きていくことの難易を決めます。集団 vs 集団、「俺たち」と「あいつら」。こうなると多数決は罪なものです。ある人たちを不幸に陥れます。実際に、この戦争の原因になっています。人間はこの矛盾を乗り越えることができないのでしょうか。利他性は集団内でしか働かないのでしょうか。集団を越えることができないのでしょうか。真の利他性とは一体何なのでしょうか。
・ハミルトンの方程式以外に、生物の存在における普遍的な原理は存在しないのか?
・人類は“集団”という壁を越えることができないのか?

今回の市民シンポジウムではこういう広い視点から問題提起をし、よく考え、自然科学と社会科学の架け橋になればと思います。

講演:
森中 定治(日本生物地理学会会長)利他性ー自然科学と社会科学の架け橋として
小林 佳世子(南山大学経済学部准教授)経済学における利己と利他
論評:
大門 高子(作家(児童文学)、作詞家、演出家)
大槻 久(総合研究大学院大学先導科学研究科准教授)
奥田 太郎(南山大学社会倫理研究所教授)
川上 祐美(上智大学、立教大学講師)
川西 諭(上智大学経済学部教授)
土畑 重人(東京大学大学院総合文化研究科准教授)
クロージングアドレス:
悠木 そのま(キャリアデザインフォーラム代表理事)

ポスター
https://biogeography.iinaa.net/image/22poster.jpg
講演要旨(日本生物地理学会HP)
https://biogeography.iinaa.net/index.html

参加費無料

参加申し込みは、お名前と年齢を明記して学会事務局 (delias@kjd.biglobe.ne.jp)へ

 

 

 

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