ごく小さな記事扱いだけど、
新型コロナ、致死率は0.2%未満か? シリコンバレーで抗体検査
https://www.technologyreview.jp/s/200081/up-to-4-of-silicon-valley-already-infected-with-coronavirus/
スタンフォード大学の研究チームがシリコンバレーの住人3300人を対象に血液検査を実施したところ、推定2.5%から4.2%が新型コロナウイルスにすでに感染している
他方、死んだ人の数は実数で出てくる
ということは、母数にあたる感染者が多くなれば、死亡率は小さくなる
そこから、
パンデミック懐疑論者であるスタンフォード大学のジョン・ヨアニディス教授ら今回の研究報告の著者によれば、サンタクララ郡の実際の感染者は確認されている数を大幅に上回る50倍以上で、感染者の致死率は0.2%に満たないという結論が導き出された。
こういう可能性はとてもあると思う。
今現在やたらに「感染しました!」と大騒ぎするわけだけど、前から言われている通り、多くの国で、多くの感染者には大した症状はない。
ロシアの医療関係者が4月7日にプーチンに報告していた中では、ロシアの想定では、80%の患者はマイルド(軽い)、15%が中、5%が重、と言っている。
だから、その5%をどう治療できるかを念頭に置きながら、準備をしています、と。これは前からいろいろ書いている中でもわかりますね。
下表はさっき取ったデータ。ロシアはここ2週間でぐんぐん感染者数を増やし4万人を突破。1週間ぐらい前10万人路線もあり得るだろうと書いた通りの展開になってきて自分にとってはいいけど、当たり前だがうれしくない。
で、現在感染者数約43000に対して死者数361だけど、感染者が激増基調になって10日経ってないからこの死者数は、2週間後には700とか800になる可能性は多いにある。
しかしこれが1000になっても、率でいえば2.3%。
ドイツの場合は、3%+といったところ。
https://www.worldometers.info/coronavirus/country/russia/
だがしかし、これは、確定感染者に対する率。
ロシアの人口は1億4,000万以上で、そこで200万の検査をしてこれだけ。もしこれが1,000万になったらどうなるのか。死者は2%のまま増加なのか、それとも、母数が増えると死亡率は低下となるのか。現状では一応わからない。
わからないが、検査数が増えれば増えるほど、無症状の人が増えている、といった報告を加味して考えると、重症者はむしろ減るのではないのか、という推測の方が確からしい可能性はあるように見える。
モスクワのデータでは、確認感染者の60%が、無症状。この割合は1週間前には40%だった、という。
MOSCOW, April 19. /TASS/. Some 60% Muscovites with a confirmed coronavirus infection are showing no symptoms, compared with 40% a week ago, the anti-coronavirus crisis center reported on Sunday.
https://tass.com/society/1146787
症状がない人が別の人の感染を引き起こし、その別の人が重症化する可能性は依然としてあるものの、突然の変異を除いて、通常は感染が繰り返されるうちに人間にフィットしていく方向に弱くなるのが感染らしいので、今後爆発的に重症者が出るという確率は日を追うごとに低下する、のでしょう。
ということは、現在の検査体制を続けて1,000万人大規模検査が完了した場合、感染者に対する死亡率は大幅に低下するものと見込まれる、って感じではなかろうか。
以上のことから、冒頭のスタンフォードのデータには一定の確からしさが見込まれる、などと言ってみたい。
こうなったら、ロシアとドイツでじゃんじゃん検査してほしい。この2つの場合、国民の保健施設へのアクセスに問題がないし、医療のキャパもある、国民もまたそういうものだと思ってる、その意味で落ち着いた国状なので、病院に行かずに亡くなってた大規模集団が想定されますみたいなことがあまりなさそうなのが、データとして非常に良い。
で、日本の中で検査が足らない、足らないとお嘆きの方が多数存在するけど、そういう人たちって、どのぐらいの検査の規模を考えてるんでしょう?1億人検査とか?
あと、そういう人たちが取り上げる韓国は検査を50万件ぐらい検査したところでだいたい収束した。けど、検査が収束に対する唯一のファクターではないと思う。治療体制と上手くマッチしていたこともあるだろうし、あと、早期に危険なクラスターを潰して他に広がらなかったというのも非常によかったんだろうと思う。(さらには、例の3分類でいうC型でなかったというのももちろん重要なんでしょう)
そう、検査をいつするかというのも重要。
検査をして、総計的に処理して先の予測を立てて、その予測を基に治療体制を確立するから。
要するに、最後は治療体制。検査が目的じゃないってことだと思う。
■ オマケ
で、なんで日本では検査しないのかという話なんですけど、やったら大したことがない、要するにだいたいインフルエンザと思ってて間違いないってのがバレるからでは?
未知の、治療法もない、死者が累々の何かだからこそ、お前ら言うことを聞けと言えるわけでしょ。
政治の側はともかく医療側は医療崩壊さえしなけれ大抵いける、という想定だったでしょう。ところが医療の側に余裕がないのが判明した。雨カッパとか言うなよ、って感じだしベット数も微妙だった。だったらこっちにこそパワーを割けばいいのに、こっちに話があまりいかない。嘆くだけ。
それはつまり、国が資金を突っ込んで医療体制を充実すべきだ!となったら困るからでは? (医療民営化路線派が強い。下のロシアと異なる)
■ オマケ2
じゃあ、なんでそんな脅しが必要とも思われないロシアが大規模なことをやっているのか。もちろん、防ぎもしないで人を死なせたくないからというのが第一だろうけど、そのための方策として、
現在のロシア政府が、この機会を「医療は国家管理が基本だ派」の勝利の機会に使っていて、国民も、かなりわかってて、ほうらやっぱり医療は大事だわ、そうよそうよ、となっているからではないかと思う。
負けてるのが医療民営化推進派ね。
ロシアウォッチャーによれば、上述した4月7日のプーチンへの報告のミーティングに出ている4人はみんなロシアの国立の医療施設のエキスパートで、全員国産であるらしい(つまり、西側の大学に繋がれてる人たちではない)。
Meeting on coronavirus pandemic development and preventive measures
http://en.kremlin.ru/events/president/news/63173
■ 関連記事
コロナ:生産拠点国内回帰支援&準備にしくはなし
日本政府の❝やたら検査はしない❞、という姿勢が正しいということが改めて証明されたのではないでしょうか。私も以前、数学的見地から❝みんなに検査をする必要がない❞と言う動画を紹介しましたが。
テレビに出て、❝検査を増やせ❞、と言っている偽陰性、じゃなくて偽専門家、考えられないのでしょうか。クラスターが出てきたらそこでの検査は必要と思いますが。
そうそう、検査してみないことにはわからないことってのもある。タイミングは重要だけど。
要するに、日本の政府、政治家は日本国民に全体ピクチャーを見せる気はないって話でしょう。誰に頼まれたのかは知りませんが。
そして、医療の側は政治の思惑なんか関係なく自分たちは自分たちと思って行動してるだけ。
つまり、一般人の方を向いた責任者がいない社会になってる。
今、アメリカでは、新型コロナが完璧に政治問題化していて、国民そっちのけで、大統領選を睨んで対立が先鋭化しています。
自宅退避という贅沢ができる富裕層や大企業の社員とそんな贅沢はできない、今日働かないと明日食べていけないクラスとの対立。前者は長期に渡る厳格なロックアウトを支持し、預言者ファウチの一言、クオモやニューサムに羊のごとく従い、信頼できる唯一のデータをジョンズホプキンスに求める。一方、後者は早期の経済活動開始を渇望し、ファウチや民主党知事を嫌悪、ワクチンを拒否する。
前者が強烈なまでにマジョリティであるシリコンバレー、その学術上の巨頭、スタンフォードが当初からジョンズホプキンスと対極にある言論に組するような研究結果を発しているのは、大変注目すべきだと思う。
という記事を書いていたのですが、浮いた感じで寂しく思っていましたので、
こちらの記事を読ませて頂きホッとしました。
セコイアの娘さん、概ね同意なんですが、そのワクチンを拒否するという方向に引っ張られないようにしないとだわ、とか思ってます。必要なものと必要でないもの、リスク管理できるものとできないものを分けてワクチン(他の治療も)すればいいだけで、なんでもかんでもワクチン反対論は愚かしい。そのうちWHOの輝かしい事績である天然痘の記事を書こうと思ってます。
4月まで日本医師会が自民政府に歩調合せていたのがいまや政府有識者の感染研のメンツをつぶす行為までしているのは自己の意思に従って行動しているのではなく、院内感染やマスク、防護服などの欠乏状態で仕事する環境の悪化からくる鬱憤に過ぎません。
自民の票田の看護師協会が危険手当要求するのも同じです。
https://www.youtube.com/watch?v=FVIGhz3uwuQ&feature=emb_logo
たぶんこの動画がこの病気のリスクを一番理解しやすい。インフルエンザと症状がほぼ同じ、致死率1~3%というのは自分や家族が感染したときのような個人単位の指標としてはそれほど危険なリスクとは認識できない数値だけど、これは1000万人が感染すると10~30万人が死亡、200~250万人が重症化して入院、30~50万人が重篤化するということなんで、母集団が大きくなってしまえばインフルエンザと同じ致死率は受け入れられない。
国民の8割が感染して集団免疫を獲得するまでネズミ算式で感染拡大するのに日本全体で入院できる病床数は1万床しかなく、人工呼吸器も1万台しかないという話なので、対応を間違えれば、まず間違いなく社会が崩壊する数値と考えざるを得ない。
検査するかしないかは考えるまでもなく結論は出てる。「今どの段階にいるか、拡大に向かっているか、収束しているか、いまのやり方は有効か、さらなる強化が必要なのか」を判断するのは信頼できるデータを取得するのがスタート地点。日本は宿泊施設や企業の研修施設が大変充実している上、政府がしっかり説明すれば国民は従順に従い、規律を守るので検査で医療崩壊など起こりようがない。
それは論理モデルだから、そりゃ説得力はあるでしょう。
しかし時間と共に現実が加味される。
例えば治療の薬剤が非常に有効だったら重症者の数は減る。
また、BCG仮説のように、肺疾患の重症化になんらかの影響があるものがあるかもしれない。去年のインフルワクチンだってあるかもしれない。
そしてこれが感染者の拡大に対するブロッカーとなることもあり得る。
つまり、石ころを並べて転がしているモデルの中に倒れないものがいくつか混じってたら理論通りには倒れない。
いずれにしてもアジア各国と西欧州には非常な違いが見られる。これも論理モデルでは説明がつかない。
ということで、2ヵ月経ったんですからそれを加味して論理モデルからの修正が行われるのは当然だと思います。