かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠352(スイス)

2016年11月28日 | 短歌一首鑑賞

   馬場あき子の外国詠49(2012年2月実施)
      【ロイス川の辺りで】『太鼓の空間』(2008年刊)178頁 
       参加者:N・I、井上久美子、崎尾廣子、曽我亮子、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
       レポーター:N・I
       司会とまとめ:鹿取 未放


352 そこにゆく秘密のおそれアンティクの壺に魂を吸はるるやうな

     (当日意見)
★古いものには歴史の重みがあって、それに魂が奪われてしまいそうだと言っている。(曽我)
★「そこ」は、壺のことをさしている。(藤本)
★作者には「やうな」に類するまとめ方は少ない。(崎尾)
★「やうな」という危うい収め方が、アンティックのすばらしい壺に否応なく魂が吸い寄せられて
 いく恍惚感をうまく表現している。レポーターは「シンプル故に魅了されてしまいそう」と書い
 ているが、この壺がシンプルとはかぎらない。アンティックの壺は、むしろ装飾過多といえるほ
 どのものの方が多い。(鹿取)
★作者は快い気分になっている。その欲しいものが有るところへ、店でもよいが行きたくなるのだ。
  (曽我) 


        (レポート)
 オットットあぶない!壺はシンプルなものが多いのでシンプルさ故に魅了されてしまいそう。作者の気持ちの揺れが秘密の恐れと言わせ、それは甘美な誘惑感も含まれている。(N・I)




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