WBC・WBAスーパーミドル級タイトルマッチ
統一スーパーミドル級王者のアンドレ・ウォード選手(Andre Ward)にWBCライトヘビー級王者のチャド・ドーソン選手(Chad Dawson)がクラスを落として挑む注目の一戦はウォード選手の地元米国カリフォルニア州オークランドで行われ、予想外の一方的な展開の末にウォード選手が10回TKOで勝利して統一王座の防衛に成功した一戦でした。(体格比較)
ウォード選手のパーフェクトといっていい素晴らしいパフォーマンスでの完勝劇でした。
体格に勝るサウスポーのドーソン選手の深い懐に苦戦も予想できたスタートだったのですが2回から右ジャブを少しづつヒットさせて徐々にペースを引き寄せていったウォード選手。3回に入って左ジャブのクリーンヒットを一気に増しペースをはっきりと奪うと、右ストレートのボディブローから返した逆ワンツーでの左ショートストレートでライトヘビー級王者から鮮やかにノックダウンを奪います。
4回開始早々にも左フックでダウンを追加したウォード選手。以降、ステップインして綺麗に決める効果的な左ジャブや上下への右ストレートリード、完全に密着状態から繰り出す強い左アッパーや左フックを決め続け、そして相手のパンチをほとんど全く食わず、確実にペースをキープし続けます。
時折左アッパーやストレートなどをカウンターで繰り出す場面も見せたドーソン選手でしたが、当たらずそして食い続けるペースが続いて目に見えて失速。8回に接近戦でウォード選手の左アッパー左フックを連続で食い、9回に右ストレートを打ち抜かれて一瞬動きが止まったあたりで既に限界に達していたのかもしれません。
10回にウォード選手の右ストレートからフォローされた左フックでトラブルに陥り、左アッパー右ストレート左ストレートなどを次々に浴びせられて耐え切れず膝をつき、立ち上がったもののレフェリーが続行を許さず試合は終わっています。ダウンから立ち上がったドーソン選手がレフェリーのスティーブ・スモーガーさんに対して何事かを発していたのですが、表情を見る限りこれ以上の続行を望んでいないようにも見えました。
ドーソンの言葉を聞いてスモーがーさんがストップをコール、という風にも見えた最後のシーンでした。
CompuBox Stats: Andre Ward Lands 48% of His Power
Powerpunches,Punchzone
ラウンド毎のパンチヒット数(上トータル、下パワー)
ウォード有利とは思えた試合前でしたが、思った以上のドーソンの懐の深さを生かしたプレッシャー、当日体重で9ポンドドーソンが重いというデータ、さらには密着戦でのウォード選手の上手さを十二分に考慮していたと感じたドーソン選手のホールディングの巧みさ、などを目の当たりにした初回の攻防ではウォードにとって最も難しい、やりにくい相手はこのドーソンのようなタイプなのかもしれないとか感じながら見てたのですが、ウォード選手のスキルの高さには本当に驚かされました。
立ち上がりには封じられていた密着戦でのパンチも徐々に決め、そしてストップを導いた大きな要因にまで持っていったあたりも見事。ウォードの試合を見ていつも感じるパンチ食わねぇなあというのもこの試合でも強く感じさせました。
選手のタイプは大きく違いますが、ホプキンスがトリニダードを完全に封じながら確実に切り刻み続け、そして痛烈にストップしたあの試合を見た時に感じた、ある種の完成形というか芸術作品みたいなものを見せつけられたかのような感銘をこの試合から受けました。
本当に見事なウォード選手のパフォーマンスでした。
ウォード選手は26勝(14KO)。ドーソン選手は31勝(17KO)2敗。
Andre Ward Punishes Chad Dawson For a Ten Round TKO(Rick Reeno/BoxingScene)
Ward stops Dawson in the 10th round(Michael Rosenthal/Ringtv)
Andre Ward vs. Chad Dawson: Ward Dominates, TKO's Dawson in Tenth(Kevin McRae/Bleacher Report)
Ward graduates with beat-down of Dawson(Michael Woods/ESPN)
Ward turns in a special performance(Michael Rosenthal/Ringtv)
Andre Ward's World: Dawson Rocked, Shocked, Stopped(Cliff Rold/BoxingScene)
写真
Ward KOs Dawson; DeMarco destroys Molina(David Robinett at ringside Photos: Stephanie Trapp / @trappfotos//Fight News)
Report/gallery: Ward vs. Dawson(David Robinett at ringside Photos: Stephanie Trapp / @trappfotos//Fight News)
アンドレ・ウォード対カール・フロッチ(2011/12/17)
アンドレ・ウォード対アーサー・アブラハム(2011/05/14)
アンドレ・ウォード対サキオ・ビカ(2010/11/27)
アンドレ・ウォード対アラン・グリーン(2010/06/19)
ミッケル・ケスラー対アンドレ・ウォード(2009/11/21)
アンドレ・ウォード対シェルビー・パドウィル(2009/09/12)
アンドレ・ウォード対エディソン・ミランダ(2009/05/16)
アンドレ・ウォード対ヘンリー・ブキャナン(2009/02/06)
アンドレ・ウォード対ジャーソン・ラベロ(2008/06/20)
アンドレ・ウォード対ルビン・ウイリアムス(2008/03/20)
アンドレ・ウォード対ロジャー・カントレル(2007/11/16)
バナード・ホプキンス対チャド・ドーソン(2011/010/15)
チャド・ドーソン対エイドリアン・ディアカヌ(2011/05/21)
ジョーン・パスカル対チャド・ドーソン(2010/08/14)
チャド・ドーソン対グレン・ジョンソン(2009/11/07)
チャド・ドーソン対アントニオ・ターバー(2009/05/09)
チャド・ドーソン対グレン・ジョンソン(2008/04/12)
チャド・ドーソン対エピファニオ・メンドサ(2007/09/29)
チャド・ドーソン対ヘスス・ルイス(2007/06/09)
トーマス・アダメク対チャド・ドーソン(2007/02/03)
最新の画像[もっと見る]
ウォードが勝つのは間違いないとは思っていたものの、この日のパフォーマンスは圧巻でしたね。P4Pのトップにパッキャオ、メイウェザー、マルチネスとともに名を挙げてよいと思います。
ライバルはほぼ一掃してしまってこれからのキャリアがどうなっていくのか気になりますが、チャベスJrにレッスンするのを見てみたいです(勝負論は薄くなりそうですが)
ドーソンは元気がないように映りました
さすがに今更スーパーミドルは無理があったのでは?
にしても、ウォードっていいボクシングをしますね。
相手の小さな弱点や隙から傷口をえぐっていくような。
なかなか関心させられました。
ごぶさたでした。
海外の記事を見ると、メイに次いで2位に躍り出たみたいな事を言ってる記事もあります。私もこれに大いに同意です。
>WOWWOWさん
ドーソンにとって約6年半ぶりの168での試合ってのは確かにこの敗戦の大きな要因だったのかもしれません。
加えて相手が悪かったです。
>観戦記録のファンさん
全てにおいてそつがなく、最適な対処で常に状況を処理できている、との印象です。
試合途中で少しづつ変えて最適化する、てなのも見えて、その上手さにわたくしも本当に唸ったパフォーマンスでした。
もはやミドルからLヘビーまででウォードに勝てそうな選手が思いつきません・・・
階級を上げてドーソンと再戦もしくはパスカルと対戦っていうのは観てみたい気もしますが、複数階級制覇がトレンドの今だからこそ、逆にSM級で四団体統一し、絶対王者として君臨し続ける方が面白いかもしれません。
ウォードがNo1だという意見に大きく頷ける部分があるってのが今現在の私の感想です。
と同時にメイがトップだとの立場ですが。
ウォードのような万能的なタイプをメイがどう攻略していくのか、あるいは逆となってしまうのか、非常に興味あります。
カルザギとやったらどんな試合になるのか、ってのは確かに興味深いですね。
ただそれはどの時期のカルザギ、なんかも踏まえた上での仮想上。
今やれば流石にウォード絶対有利でしょうし、そうでなくてはならないと感じます。