WBC・WBA・IBFヘビー級王座統一戦
1999年3月に行われたヘビー級王者同士の統一戦。WBC王座を4度防衛中のレノックス・ルイス選手(Lennox Lewis)とWBA・IBF統一王者のイベンダー・ホリフィールド選手(Evander Holyfield)との一戦は米国ニューヨーク州のMSGで行われ、ルイス選手がペースを一方的に支配する試合展開に終始したものの、不可解な12回スプリットドローで統一王者誕生が阻まれた一戦でした。(体格比較)
2期目のヘビー級王座に君臨する33歳のルイス選手と、マイク・タイソンに連勝してヘビー級王座に返り咲き、以前敗れているマイケル・モーラーとの再戦にストップ勝利しての王座統一も果たして36歳ながらも充実の時を迎えていたホリフィールド選手。待望の両者によるヘビー級王座統一戦でしたが、ボクシング史上に残る不可解な判定による後味の悪すぎる結末に終わってしまった一戦でした。
身長で3インチ(7.6cm)、リーチで6.5インチ(16.5cm)、体重で31ポンド(14kg)、という圧倒的な体格でのリードを誇るルイス選手。試合立ち上がりから体格の利を生かした長い左ジャブを正確にヒットさせて試合のペースを掌握していきます。
ルイス選手の進境著しい左ジャブリードで何度も顔面を跳ね上げられるホリフィールド選手。ジャブから繋ぐ右ストレートや接近戦で突き上げる右アッパーなどのルイス選手の強く正確なブローにホリフィールド選手は苦戦を強いられます。
5回にはホリフィールド選手の左フックでの飛び込みをかわし、サイドから打ち込んだ右フックでチャンスを掴んだルイス選手。両者の身体が入れ替わるような状況でのパンチで後頭部付近に決まった右でホリフィールド選手の動きが止まり、ロープ・コーナーを背にルイス選手の長く強いショットを次々に浴びせられてしまいます。
8回にもルイス選手の左ジャブやジャブのように出す右ストレートリード、さらには強烈な左フックのボディブローや右アッパーなど、力まずスムーズに出すものの威力は十分のルイス選手の正確な攻撃を連続で浴びてピンチに陥る場面も見せたホリフィールド選手。
9回10回と左フック右ストレートでの攻めで前に出たのは流石でしたが、攻勢は取っているものの効果的なショット、攻撃はほとんどなかったようにみえたホリフィールド選手の攻撃。逆に攻め込まれ、後退する場面の中でもルイス選手の左右ストレートでのリードは常に正確にヒットし続けていました。
やや疲れたのと、ポイントでの大量リードを確信しての流し、さらには偉大なる戦士ホリフィールド選手への敬意なんかもあったのか、前半に比べればペースが落ちた終盤のルイス選手でしたが、ペース的にもポイント的にもルイス選手が圧倒的にリードしていると誰もが感じたワンサイドの12ラウンズでした。
しかし公式のスコアは116-113ルイス、115-113ホリフィールド、115-115ドローという3者3様でのドローという信じ難いものでした。シロート採点118-110ルイス。
トータルヒット数でルイスが218リード。手数でもルイスが228リード。
ラウンドごとのヒット/手数(8R,9Rは不明)、オフィシャル3氏のスコア。
詳細が判明している10のラウンド全てでヒットで大きく勝っている。手数も10ラウンド以外ルイスがリード。オフィシャル3氏がいずれもホリフィールドのラウンドだと見た3回などもスタッツではルイスが圧倒している。
公式のスコアを見ると3者が一致したラウンドはルイス、ホリフィールドともに3つづつ。2者以上が支持したラウンド、で見るとルイス7、ホリフィールド5となる。
オコーネルさんが2度、クリストドーローさんが1度、10-10をスコア。ヒットで4倍、手数も3倍近くルイスがリードした7ラウンド目、ここをオコーネルさんがルイスにスコアしていればルイスがスプリットで勝っていたんだけど… まぁこんなことを今更言ってもしゃーないです。
Evander Holyfield vs Lennox Lewis I
レノックス・ルイス対ビタリ・クリチコ(2003/06/21)
イベンダー・ホリフィールド対シャーマン・ウィリアムス(2011/01/22)
イベンダー・ホリフィールド対フランソワ・ボタ(2010/04/10)
ニコライ・ワルーエフ対イベンダー・ホリフィールド(2008/12/20)
スルタン・イブラギモフ対イベンダー・ホリフィールド(2007/10/13)
イベンダー・ホリフィールド対ルー・サバリース(2007/06/30)
イベンダー・ホリフィールド対ビニー・マダロン(2007/03/17)
イベンダー・ホリフィールド対フレス・オケンド(2006/11/10)
イベンダー・ホリフィールド対ジョージ・フォアマン(1991/04/19)
ドワイト・モハメド・カウイ対イベンダー・ホリフィールド(1986/07/12)
チゾラ対ヘレニウスは非世界戦
ホルヘ・パエス対トロイ・ドーシー(1990/02/04)
ロバート・ヘレニウス対デレック・チゾラ(2011/12/03)
セバスチャン・ズビク対フリオ・セサール・チャベスJr(2011/06/04)
フェリックス・シュトルム対マシュー・マックリン(2011/06/25)
ホエル・カサマヨール対ホセ・アルマンド・サンタクルス(2007/11/10)
ガブリエル・カンピーヨ対ベイブット・シュメノフ(2010/01/29)
ホアン・グスマン対アリ・フネカ(2009/11/28)
2012-02-13 18:42:06
ルイスはパンチ力、サイズ、スキルを兼ね備えたオールラウンドボクサーでしたね。
もし今のクリチコ兄弟を倒す事のできる選手がいるとしたらこのレノックス・ルイスをおいて他にはないと思います。
素晴らしい選手でした。
ホリフィールドに付けたジャッジも地元のローカルな試合での経験しかなくて、やっぱり叩かれていた記憶が。
ヘビー級統一戦だということで、職場のボクシング好きの間でも盛り上がってたのに、
試合内容はお寒いし、判定はアレだわでみんな月曜はションボリでした。
アメリカでは当然日本以上に酷い判定によるマイナスの効果があったのではないでしょうか。
とにかく酷い判定でした。
キャリア初期から知っているルイスに関してはとにかく右一辺、その後矯正されたけれどもなんかぎこちない、ってなイメージが拭い去りきれなくてイマイチな印象を抱いてるんですが、しばらく時間を置いてみると本当に見事だと感じます。
このルイスに限らず選手の評価の難しさみたいなものを痛感します。
>ふみさん
解説のジョージ・フォアマンが「恥だ」と言い放った通りの裁定だった思います。
紹介したcompuboxのデータでも、1位のドーシー対パエスはスタッツ上は一方的ながらも試合内容を見れば十分納得できるものだったりして、事実上のワースト1はこの試合、という事が言えるのかもしれません。
ヘビー級の3団体統一戦という試合の注目度、格といった面からも史上最悪の問題判定といっても良いとも感じた試合でした。
若い頃あれほど不安定だったレノルイやウラジがベテランの域になってから絶対的な政権を築いた事を考えると、唐突ですがボウは本当にもったいなかったな~、と残念でなりませんね。
ボウも後のレノルイや現在のクリチコのような存在になる可能性、能力は十分持っていたと思いますけどね。
結局メンタルが問題だったんでしょうか…。
まさに不安定、という言葉がぴったりだったルイスだったんですけどね。
ジャブが磨かれて、この試合なんか本当に素晴らしいパフォーマンスでした。
ボウがなぜああなってしまったのか。私もとても残念です。メンタルももちろん重要な要素なんでしょう。加えて環境なんかもあったのかな、とは推測でしかないのですが感じてます。