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利益相反と研究費の寄附

2007年03月15日 16時30分22秒 | 社会全般
最近、タミフル問題でちょっと話題になっておりましたので、メモ。

まずはニュースから。

Yahooニュース - 時事通信 - タミフル研究への影響否定=中外製薬寄付で-厚労省研究班教授

(記事より引用)

インフルエンザ治療薬「タミフル」服用後の異常行動を調査研究している厚生労働省研究班の主任研究者、横田俊平横浜市立大教授(小児科)の講座に、輸入販売元の中外製薬から1000万円の寄付金が渡った問題で、同教授らは13日記者会見し、「研究には他の大学も参加しており、裁量が入る余地は全くない」と述べ、寄付金による研究への影響を否定した。



Yahooニュース - 毎日新聞 - <タミフル>岡山大教授講座にも年200万円の研究資金

(記事より引用)

インフルエンザ治療薬「タミフル」の副作用を調べている厚生労働省研究班長の横田俊平・横浜市立大教授(小児科)の講座に、輸入販売元の中外製薬から研究資金が渡っていた問題で、班員の森島恒雄・岡山大教授(同)の講座にも同社から年間200万円程度の研究資金が渡っていたことが、13日分かった。
 同社によると、森島教授の講座に使途を制限しない「奨学寄付金」として03、04、06年に各200万円ずつ、計600万円を支出した。また、横田教授の講座には計1000万円を支出した。ただ、岡山大は受け取ったのは04、06年に計450万円だったとしている。
 同社は「奨学寄付金は社として年間十数億円出しており、両教授への講座への寄付もその一部。優れた研究が生まれることを願って出しており、研究結果に影響するものではない」と言う。
 森島教授は「奨学寄付金は10社以上から受けており、すべて大学に届けている。研究結果をゆがめることはない。小学生以上は、タミフルはインフルエンザ患者みんなが使うべき薬ではないと言ってきた」としている。
 また、横田教授は13日夜、厚労省で会見し「研究はゆがめようがない」と訴えた。同席した阿部万里雄・横浜市立大病院管理部長は「今後、利害関係のある会社からは、調査年度には奨学寄付金を受けないなどのルール作りを検討したい」と話した。
 厚労省は全班員(8人)について、中外製薬からの資金提供の有無を調べており、今後、研究班の調査結果の信頼性も確認する。
 同省安全対策課の伏見環課長は「研究班は合議で結論を出しており、結果がゆがめられた可能性は小さいと考えるが、国民の関心の高い問題なので確認したい」と話す。【高木昭午】




私の考えとしては、これまで企業の寄附は奨励してきました(笑)ので、寄附自体を問題にするつもりはありません。ただ、情報を「隠す」意図がなかったにせよ、後から出すとなれば(私も好きだけど)「陰謀論」を払拭できなくなりますので、予め公表するべきでしょうね。報告書で提出する場合には、記載事項として講座で受けている寄附は列記しておく、ということです。これを必須ということにしておくことでいいのではないかと思います。報告書を読む側が判断するべきことになります。


優秀な研究者に研究費がもらえる方が望ましいのですし、もらったからといって「スポンサーの顔色を窺わないと・・・」みたいな研究者ばかりとも言えないわけですし。テレビや雑誌なんかであれば、そういう面がないとも言えないでしょうけどね(笑)。優秀なのに、研究費の寄附を受けているから「利害関係者であり、研究班のメンバーには相応しくない」ということになれば、企業が目をつけない「あまり優秀でもない」研究者がメンバーに選ばれる、というような(研究者の方々、ゴメンなさい。あくまで想定ですので、実際の能力の優劣を判断するものではありません)ことが起こってしまうのが果たして望ましいのか、国民の利益になるのか、という問題もあると思います。なので、メンバー選出は必ずしも寄附の有無で選別しなくてもいいのではないか、と思います。研究者として適格かどうか、というのが条件でいいと思います。寄附を受けることは「OK」でいいとして、それを「黙っている、隠している」ということが不自然なのです(政治家もそうですよね、政治資金問題!!)。ですので、寄附を明示するというのを、基本的な慣習として定着させるべきなんでしょうね。


時々拝見しているこちらのブログでも取り上げておられたので、是非お読み下さい。とても良くまとまっています。

大「脳」洋航海記 「利益相反はない」と論文の最後に書かされることの意味



以前に、こういうことを理解できない人々がいる、と記事に書いたのですけれど、同じようなものですね。

これは早稲田大学消費者金融サービス研究所が消費者金融会社などから資金提供を受けているのではないか、という私の「下衆の勘繰り」が発端( 消費者金融顧客の分析は果たして妥当か?)であり、坂野教授なんかの出しているペーパーには書かれていない、ということを言ったものです。私のような愚かな人間が勘繰ると、「陰謀論」しか頭に浮かばない人間、というようなことを非難されてしまうわけですね。まあ、それは普段の行いとか人間性に問題があるのだ、ということなんでしょうね(笑)。過ぎたことですのでしょうがないわけですが、今後、どの分野のペーパー類でも受けている資金は明示するのを基本とするべきでしょうね。それができないペーパーなら、「そういう程度で読んで下さい、信頼性は低いです」ということを示すものと考えるのが当たり前になるように、読み手が変わらねばなりません。そういう教育をしたり、環境(主に研究側、学会の姿勢・方針とか)を作っていくことが必要になるでしょう。




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2 コメント

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eeee... (aki)
2007-03-21 04:17:08
Soreha chigau kato omoimasu.

inga kankei wo akirakanisurutame no kenkyu wo
futsuu no kenkyu to isshoni shiteimasune, anata.

konnkai mondai nanoha, inga kankei ga aruka naika de, sorede, kaisha ha, rieki wo eruka, baishou seikyu wo ukeruka no setogiwa na wakedesu. futsuuno kenkyu nara mondai naiga, kouiu jyuu youna handan wo kudasutokini higisha to tsunagariga aru ningen ga, tatoeba saiban de saibannkan to shite fusawashii to omoimasuka? omoimasennne.
返信する
読み難いので (まさくに)
2007-03-22 18:00:01
普通の日本文で書いて頂ければ幸いです。

仮に企業Xがある分野Yの研究で有力な大学に、毎年200万円づつ寄附しているとします。厚労省が必要に迫られてYについての研究班を作ることにしました。するとXが寄附している大学が10とか20とかあれば、それら有力な大学は全部外されることになります。企業Xが目を付けない、分野Yでは所謂「名の通った、権威的研究者」ではない人を選ぶしかなくなってしまう、ということも考えられます。

研究班の方々の役割としてどの水準が求められるのか私には判りませんが、①自分が調査・研究する、②既出の論文を集めて検討する、ということがあると思います。すると、恣意的操作が可能なのは①の場面でしょうけれど、仮に自分の書いた論文で「都合の良い結果」を「捏造」したにせよ、そうした「少数の論文」だけをもとに判断することは極めて少ないのではないか、と考えています。

恣意的操作を防ぐシステムとしては、
・検討されている議論を公開すること
・メンバーの偏りを防ぐこと
・研究班の報告を学会等で検証すること
・できるだけ多くの論文との比較検討

などではないかと思われます。

例えば、海外論文を含め論文のグレードを分類(掲載誌のグレードなどによる)、論文の中身で基本的手法が踏襲されているものを優先(例:ダブルブラインドとか)、論文毎の数字の比較(例:母集団の大きさとか)、他の機関報告との比較検討(例:WHOやNIHの報告書とか)、これら資料から、専門の人たちの議論を経て報告書にまとめられると思います。もしもメンバーが自分で行った研究結果だけをピックアップしてきて恣意的な報告書を作成すれば、読む側は直ぐに判ると思います。分野Yの専門家ではなくとも、科学研究に携わっているような人であれば、大抵「やり方がオカシイんじゃないか」と看破できるということです。

注意が必要なのは、例えば「日本人という民族的特異性があることは可能性は否定できない」といった意見が付与されたりすることで、海外論文はあくまで日本人以外を対象とする研究報告であるので、民族による違いを主張されると反論の論拠にはならない、ということが有り得ます。

それでも一般的な研究者が読めば、議論の道筋にあんまり「科学的じゃない」部分(=企業に有利なように意図した場合とか)が挿入されていると、大体バレると思いますね。
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