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消費者金融顧客の分析は果たして妥当か?

2006年04月26日 15時11分13秒 | 社会全般
早稲田大学商学部といえば、一般にはそれなりの評価を受けるような学校なのだろうが、このようなお粗末な論文を公表しているとは如何なものか、と思ってしまう。指導教授である坂野先生という方は、私のような下種とは比較にならないくらいに立派な学者さんなのだろうけど。まあ、大それた批判など、私には難しすぎるし。

消費者金融顧客の自己破産


この論文に出されるグループBのロジスティック回帰分析であるが、「非破産」グループはそれまでの分析に用いていたサンプル数9964件と同一であるのに対して、「破産」グループは10709件となっており、サンプル提供を受けた10800件のうち何故か91件が除かれている。他の分析については、「欠損値」を持つサンプルも分析対象に加えていながら、ロジ回帰分析においては除外しているということに問題があると思われる。普通であれば、意図的に除いた理由を明示するのではないかと思うが。商学部の論文とかの”ルール”などは、よく知らんのだけど。


更に、モデルの設定として、明らかな間違いなのではないかと思われることがある。それは「非破産」グループがあたかも「破産しないこと」を意味するかの如くに、「破産」グループと比較されていることである。例えば、意図的なのか或いは単なる勘違いなのか不明ではあるが、本文P22で『新規時において与信者が無理な貸付を行っているということはないことを示唆している』と記しているが、これはミスリードとしか思えない記述であろう(まあ、単なるsuggestionですから、とか言うのかもしれないが)。


簡単な例で考えてみよう。飛行機の飛ぶ高度が、ある飛行高度以上であれば「安全高度」、それを下回ってくると「注意高度」、さらに低くなってくると「危険高度」、そして遂には墜落してしまう「墜落」という区分であるとしよう。「破産」グループは要するに「墜落」という群であり、「非破産」グループとは残りの墜落していない(=現在飛んでいる)群である。そして、今は飛行を続けていられるが、何かの拍子に墜落する危険性の高い飛行機も当然多数含まれている。データ解析時には「飛行していた」けれども、翌年にはその中から相当数の墜落が発生しているかもしれないのである。そして、「危険高度」で飛行を続けている群は、「安全高度」で飛行している群よりも、「明らかに」(有意に)墜落率が高いはずであろう(調べてないからわからんけど、普通に推測されるという意味です)。

そういうサンプルが多数混入している(であろう)「非破産」グループのデータをもって、「今後も墜落しない」とか、「墜落危険性は予見できない」とか、そういった意味付けを行うことはできない。また、「墜落」した飛行機(破産)と、現在飛行中の飛行機(非破産)の違いについて検討してみたところで、仮に「危険高度」の飛行機の半数以上が明日墜落してしまっていれば、「墜落」群と「危険高度」群の明確な違いを説明するのは困難である。「危険高度」群と「墜落」群とでは、実質的に対象区分が同じものが含まれていることになってしまうからである。むしろ、「危険高度」に陥る要因(そこに降下しないような対策も含めて)と、「危険高度」「注意高度」の実際的な高度がどこに設定されるべきか、といったことが重要であろう。


ある割合の人々が「墜落」しないまでも「危険高度」に陥る可能性が高いであろう、ということを前提にして貸付を行うことは、現実には「無理な貸付」「追加貸付」となることも十分考えられるのである。一般に、自己破産者の殆どが最初の借入から1年以内で破産に至るというのは稀だと思うし、通常は数年かけて破産に至ってしまうわけですから、「非破産」グループのうち来年以降に「墜落」する群というのは、現時点で既に大きな債務を抱えている「非破産」グループから誕生することは容易に想像できる。


この研究モデルにおいては、「非破産」グループの中に、「破産に向かって一直線」の途上にある対象が数多く混入している可能性を否定できない以上、「破産」「非破産」の区分はモデル設定の重大な失敗としか思えない。


他の考察でも、借入額の増大は「非破産」グループと「破産グループ」に違いがないことや「多額の新規借入が可能」ということをもって「低リスク者への貸出」という業者側の与信があたかも機能しているかのような記述が見られるが、これらも同じく適切な分析とは言いがたい。


また、もしも消費者金融サービス研究所に対して、関連業界の法人・団体等からの研究資金提供などがあるとすれば、下種の勘繰りをされても仕方がないような程度の分析とも言えるのではないか。


学問・研究をまとった都合の良い「業界の意見」というものも、世の中にはないわけではない。しかし、普通ならば「学問的に正しいかどうか」が重要なのであって、こうしたペーパーを読んでいく時に、頭のよい人々や専門家等の誰もモデルに疑問を感じないのだとしたら、きっと「正しい分析」ということなんだろうけど。

私のような素人にとっては、このような有名大学教授の出す意見に太刀打ちできるほどの信用も知識も分析能力もないのですし。せいぜい頑張っても、空想記事くらいしか出せないですからね(爆)。




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10 コメント

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悪徳商法 ()
2006-04-26 16:07:34
高利貸しは悪徳商法と何ら変わらぬ。

いや昔からの悪徳商法である。

消費者金融というふうに名前を変えたのはいいが、やってることはサラ金だからな。



まぁこんなとこで金借りる奴がおかしい。
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まさくに (まさくに)
2006-04-27 15:41:58
>悪徳商法



個人的にはそう思います。ただ、貸す人がいなければいないで困る面もあり、適度な水準での貸出が望ましいと思います。



借りる奴がおかしい、というのも本当にそう思いますね。なぜか世の中では、貧乏『なので』高利で借りるという不思議があるのです。本来は金持ちなので高利で借りてもいいが、貧乏なのであれば低利で借りるか借りない、ということになると思うのですが。



貧乏ほどわざわざ多く損をする方法を選択してしまっているので、何故なのかな?と感じています。
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Unknown (Unknown)
2006-05-07 17:29:21
>貧乏ほどわざわざ多く損をする方法を選択してしまっているので、何故なのかな?と感じています。



銀行なら返済能力を審査しますよね。所得の少ない方が、銀行から融資できますか?

普通は断られるでしょ。



だから、お金を貸してくれるところに行かざるを得ない状況に陥る→悪徳商法へ行かざるを得ない。



じゃないですか?



そんなことも分析できないのですか?

これで、よく経済を語れますね。

感覚がおかしいんじゃいの?



じゃあ、銀行が貸してくれないなら、他に貸してしてくれるところを用意しなくてはならない。

それがあなたの言う民間にできますか?



そう言うことです。
返信する
これは破産者のデータでない-1 ()
2006-05-25 18:21:35
分析は、分析以前にデータ・サンプリングに恣意性が入っていることが重大なdisinformationしようとする意図がみえてきませんか。

個人破産の手続きとは、破産申立し 全額負債の返済を免責され免れる救済手続きです。だから裁判所により破産手続き開始がなされれば、手続きは免責により同時廃止になり、また管財人などは資産がないから任命されることもありません。負債を返済するに資産が足りないこと、債務超過であることが証明されない限り、破産は認定されません。社会の救済制度でそれを裁判所が運用しているのですから。

そのために病人でない限り、まじめに働いているとか、ギャンブラーでないことが条件になります。破産裁判所は、ギャンブラー依存症であれば、破産を認定してくれません。また負債金額によりますが、仕事を持っており、20万円以上の所得があって、債務の返済余力があれば、債務の一部免除の債務整理すればよく、全額免責を求める破産はできません。

したがって、破産認定を受けられる「適格者」は、生活費負担以上に所得がないことが前提になってきます。ということは、債務超過と為るためには、大半のケースはライフイベントがそもそも当たり前です。さもなければ、所得があっても、それに比べて、どうしようもないほどの巨額の借金を負っており、返済しようがないケースです。

しかし不思議なことは、分析対象のデータの破産者の負債額ですが、200万円程度だということです。たぶん個人の破産者は通常、住宅ローンがなくても500万円近いだろうと思いますので、どうやってわざわざこんな小さな金額ばかりのデータを集めたか、これが実際に消費者金融機関の実態なのか不思議なのです。債務者は有価証券報告書からみると、数社から平均60万円借り入りているので、確かに総額で250万円くらいでしょうか。

でもその金額では、25万円を超える月収があれば、全額免除しなくても、返済は可能であるので、その程度の金額で裁判所が破産を認めるケースは、返済原資のないライフイベント顧客に限られます。

それについて、計量学的アプローチを議論しても意味がありません。

破産債権とみなされた債権が、仮に220万円が専業者負債総額だとして、月の約定返済率を平均3.5%としますと(武富士のFacts and Figuresの最低支払額の意味)、77000円。これが払えなくなるような債務者ですから、月収で30万円どころか、もっと少ない所得者となります。破産が認められるには、たぶんライフイベントで失職するか、長期病気か、ギャンブル依存症で司法書士から破産認定されるため治療するため長期療養でもしているのか。

そうすると、このデータは、業者がそもそもライフイベントだけを選って学者に提供し、現実社会を知らない早稲田の学者と学生にそれらの要因を無視して、要因分析をさせたのでしょうか、それともそれを承知で分析して公開したかと、うがった見方、憶測がでできます。

大手貸金業者の貸倒率が6.5%だとしますと、1.5兆円で250万口座ですから、年16万件も貸倒がでています。破産は、通常司法介入、すなわち弁護士などを雇って資産負債表を作り、隠し財産、所得がないことやデータが正しいことを証明して、免責認定を受ける作業ですが、貸倒の6割が司法介入として、その1/3が破産で推定されるでしょうか。

さてそれにしても、貸倒が16万件、それ以外に91日以上延滞がありますが、選ばれた1万4千件はどのようにして選ばれたか、まったく説明がありません。サンプリングが無作為抽出という表明保証もありません。

そんな計量経済分析など、意味がありますか。

ここで私が主張したいpointは、統計分析上の標本数ではなく、サンプリング方法に明らかな恣意がかかっており、全く誤っている怖れが高いということです。そして、なぜ破産する通常のケースのような負債総額のサンプルが少ないか。無作為ならともかく、有意な分析になるかもしれませんが。

破産の要因分析しながら、破産のケースとしては、特殊な事例を取り上げていることにはなりはしないか。あるいは想定破産として代置していれば、さらに破産とは関係のないデータを利用して、仮説を証明しようとする。そこに問題があると申しているだけで、そこに主張のポイントがあります。少ないとは、そういう意味で使ったので、その説明をしていたつもりでしたが、書き出しの表現がいきすぎたためと説明不足で、違ってうけとられてもしかたありません。

私も、計量経済学者とともに、破産者、弁護士介入債権の特徴と貸す時にどのように見分けるかの計量分析的要因分析をしたことがあります。破産申立だけで、6年分30万件を分析したことがあります。

大手業者であれば、破産を分析するのであれば、14000件の申立があるかないか分からない長期延滞債権で、想定破産の延滞データを使うのではなく、容易に14000件の破産を選ぶことできます。なぜ管理部管理延滞債権を使うのか。管理部にあるとすれば、会社によって異なりますが、91日以上か、181日以上の延滞でしょうけれど、181日も支払のないひとで、その後に破算申立する債務者は限られます。多くが、申立は、延滞31-120日(未払い期間で61-150日)に行っています。たぶん7割方。調査を要しますが。そうすると、そんなに長期に払わないだけの人は、破産でない可能性もあるし、弁護士が介入したりしない債権かもしれない。統計分析する前に、正確に性格分析をすべきでしょう。しないで利用した目的が何であったかが、疑義が生じます。

業者のどこかが、それともTAPALSが、どうして早稲田にこれほど、負債額から破産しそうもない(それでも債務超過が認定される)無関係なデータをだして、破産の研究を依頼したかは、わかりません。データの内容が分かっていなければ、結論は使いようがありません。

破産の研究の目的は、破産宣告だけで20万人に達し、その原因が業者の貸付姿勢にあり、多重債務問題を引き起こしているのではと、問題視され、業者はそれを否定するための論証が必要だったようです。通常、産学協同研究であれば、委託報酬があり、研究成果は委託者が利用するのでしょうけれど、一部結果について、発表が目的の委託ということになります。

業者は適正に審査し、payment abilityがある債務差者に貸しており、業者の貸付が多重債務の一例=破産を引き起こしているのではないという命題が正しいころを論証したかったのでしょう。お金を払って、しかも公衆の閲覧に付し、こうして事情を知らない研究者に、中立的研究として、取り上げられるのが目的でしょう。

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これが破産者のデータか? ()
2006-05-25 18:23:35
そうした選出に恣意性の疑義があれば、抜き出したデータでは、要因分析、判別分析するに、特定のvariablesにより説明されるデータ にどうしても偏りがでる場合が多く、現実的な結果が得られない場合が多いと考えます。パフォーマンスに影響を与える説明変数とは、住居地域、社保、国保険形態、住居形態、配偶者の有無、職業、雇用形態、年収、負債総額、借入件数、勧誘方法(雑誌、新聞などの認識媒体、ティッシュ、ネット広告・ブローカーなど)、ローン情報として、与信額、loan age and seasoning、約定支払額、返済期間、過去延滞実績、リボ状況、追加途上与信、カード(融資枠)利用停止状況と頻度、など信用リスク・パフォーマンスに影響を与えるファクターは様々です。驚くことに、偏りがあれば、materially distinctiveな結論がでてきます。標準的な安定的な統計的特徴を得るのに、最低3年のaccount seasoningを要し、最低1万件はいるでしょうけれど、これらのファクターあるいはvariablesの組み合わせ数だけで、1000は容易になりますので、共分散つくり、相関をどう見るかだけでも大変な作業になりますが、1万件程度では、おおざっぱな、特定の特徴がでてくる分析にしかならないということです。

私はよく、800通りのパフォーマンス(31-60, 61-90, 91日以上延滞率、貸倒率、司法介入率、破産/民事再生申立、調停申たてなど)を、直近3、6、12箇月、1年、2年、3年の期間ごとにつくり、さらに詳細な区分は、3000区分でパフォーマンス・レポートできるようにしています。組み合わせとは、上記債務者特性xローン特徴の組みあわせで、男性、20代、独身、居酒屋、年収300万、借入件数4、借入総額225-250万、横浜川崎地区、社保、残高50-65万、アパート住まい、勧誘・媒体:スポーツ新聞、新規ローンなどフィルターを満たす債務者集団という意味。これを、既婚に変えるだけで、貸倒は年0.3%ほどパフォーマンスは変わってきます。また地域、住居形態でも、変わります。全体として安定したプールにするにはは、1万件はいりますが、それだけでは、800組み合わせも、該当者が数人の区分がでて、データは安定するどころではありません。その場合は、スムージングすることなります。重回帰がきれいに出ることもありますが、ロジスティックは、当てはまりが悪く、使ったことはありません。共分散は、借入件数、借入総額や、所得と負債比率などにみられますので、どう影響を調整するか、検討課題です。

もっとも、回帰で予測モデルを作ることはありません。数年おきにくる、市場環境のダイナミックな動きで、モデルが使えなくなります。金融ビジネス4/25にあるように、01.03~05.03の100万円以上のローン残高比較では、まったく違ったポートフォリに為っているのですから。モビット、アットローン、キャッシュワンなどだけでなく、IT系、電気系の信販も消費者金融市場に参入し、また従来の信販会社のキャッシングも急拡大です。



何を目的(仮説の証券)として分析するかによりますが、破産を検討するにも、さまざまなケースがあるだけに、あまりに14000件は少ないということになります。というより、特徴的に典型的な破産とは思えないような多くのデータを、集めてもどれだけ意味があるでしょうか。統計分析するに、基本を欠いていませんか。



データを分析するにあたり、たとえば2002年1月に貸した2万件の債権を取り出し、その後の状況を見ていくstatic pool 集計は、口座を確定すればよく、割合と容易にできます。貸付月を経過月ゼロとおいて、何ヶ月目に、どういう債務者事由が発生するかを見ていくのです。いくらの負債総額になったら、どうなるかとか(いつごろまで支払が持ちこたえ、破産にいたるか)、借入件数でみていくとか、所得ゼロになったひとがいれば、翌月からの経緯をみていくとか。すなわちいつ、いくらまで貸せるか分析のために、見ていきますが、そのとき、説明変数による影響を加味して、支払回数、返済額を決定して、リスクを見極めた上で、得たい収益を確保する。だから安定的収益にするためには、1万件は必要になります。一人一人は、当たりませんので。回帰手法とは異なりますが、判別分析なら、あります。



しかし、逆に遡ってみていくというのは、至難の業かもしれません。たとえば、2006年4月に破産申立した債務者をえらび、遡る。どういう状況で破産になるかを予測するモデルを作るのですが、いろんなパターンがある。まず負債総額50万円単位で分けて、トレースする。それに所得50万円単位を入れてさらに組み分ける。それで100通りくらい作ってみる。所得700万円台であれば、きちんとした安定的職業についているということでしょうけれど、そういう人と、年収300-400万円では、破産に至る原因は違います。それをみていく。そして、グループ分けして、統計にかければ、確かに駆り始めてから、ライフイベントがない場合、どのくらいで、くたびれるか、予想できますが、何ともライフイベントは、force majuerではないですか。



結論として、データ分析は、将来予測のためでしょうから、精度を上げるためには、依頼者の抽出の恣意性を外すため、監査されているものがふさわしい。それ全部をみる。ある業者が証券発行しようとするときの目論見書記載の開示となる証券分析を例にとって考えれば、恣意性があるデータで、ある債務者の特性がどうこう言うのは、何を誘導にしたいかは別にして、misrepresentative statement, 不実あるいはfraudulent instrument とみなされかねません。発行業者がそんなproforma analysisをすれば、開示と募集についての証券法開示規制の違反行為でしょう。それでもし株価、社債評価に関連したということであれば(今回はそういう意図がないですから該当はしませんが)。

たとえば、それを発行者のIRサイトに掲載したらどうなりますか?

だけど、それを大学の研究会に委託して、研究成果を発表すれば、問題にならない。 業界のイメージはよくなるし、多重債務もつくっていないし、破産予備軍を作っていない。そして株価は安定し、銀行から借入ができて、ますます貸出ができる。

イメージ戦略も、少し間違えば、市場の詐欺理論でも適用できないのか。

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詳しいコメント有難うございます (まさくに)
2006-05-25 23:37:22
とても難しい部分もあって、理解が不十分であるとは思いますが、少しお答えをしてみたいと思います。



実証研究には色々な考え方とか、モデル構築はあると思いますが、そこは私のような素人では難しいので、やはり専門の研究をされているような人たちの業績に期待するしかありません。そういうデータそのものを用意することも、研究機関でなければ難しいかと思います。



いずれにしても、問題のある論文ではないかと思いました。
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吉行誠 (吉野直行経済学部教授論)
2006-07-18 19:20:59
早稲田は業者からすりよられ毎年数千万円の金をもらって研究。慶応は金融庁に利用してもらいたいのか、実証検証、論証のない思い込みですり寄る。



吉野直行経済学部教授は、金融庁の貸金業懇談会の座長。



金融庁と吉野直行は、債務者をグループ化して

A)長期の病気・失業などライフイベント生活苦、

B)ギャンブル依存、

C)事業資金者

の3グループに分かれるという。



実際にどの程度の数が、それに該当するか、その利用者数を示してから、議論を始めるのが筋だろうが、データもないのに、もっともらしい理屈だけで、金融庁のお抱えになり、多くの議会関係者とを惑わしている。



A)といってもいろんなパターンがあるだろうが、そもそも失業や入院では、収入が途絶えている債務者であれば、業者からの借入は承認されないのが通常だ。

会社の与信方針に違反までして、従業員は解雇をかけては貸付しない。

業務方針違反して、そんな債務者に貸して、貸倒になれば、与信担当者は、減俸ですむどころか、解雇も当然で、場合により会社から損害賠償請求を食らうおそれさえある。

一度も返済されず貸倒れてしまえば、債務者による詐欺に等しいから、与信担当者は処罰の対象になるだろう。

中小のオーナー資金であれば、貸してそのまま貸倒が合理的に予測できるような場合、貸してはならない方針が徹底しているはずだ。

業者の与信方針、業務運営態勢を勉強もしないで、こういう分類がさもあるように、主張される無責任は何か。



B)は、いることはいるが、面と向かって本音を言って借りに来ないからわからないが、どの程度いるのか。750万人の債務者のうち、最大で7-8%いるだろうか。予想もつかない。



C)は、業者は与信方針上、原則事業資金目的には、貸してはならない、生活資金だけという厳しい与信方針ががあるので、貸さない。ただしひとり自営業、国保の場合には、生活費か事業費か区別がつかないケースがあり、そういう人は、全体の5%もいないだろう。(トラック運転手とか、ダンプ運転手とか、自宅での自営など)。





結論

この学者は、まったく業者には、与信方針がないという前提か、それともコンプライアンスを全くしないという前提に立って議論をなさるような、現実を全く見ていない。

ABCグループに、例外的に貸すとしたら、どういう場合だろうか。700万人のうち、ABCが何百万人がこれに当たるか、説明を欠いており、にもかかわらず、金融庁ともども、市場の全部のような説明をする。



さらにこの学者、実証データを出すことを求められなければ、とことん根も葉もないことを展開する。

「借り手が返済できないような場合でも、他の消費者金融から借りさせて返済させるケースがあれば、いくらリスクの高い借り手に対してでも貸し出しして....」と仮定形にしても、「事実」らしさを説明する。

そもそも返済能力のない債務者に貸して、回収できなければ、与信担当者の責任が問われないというか。解雇になるケースだろうに。また大手中堅は、債務者の返済能力をみて貸すが、他社借入能力を根拠にして信用を評価することは割りえず、通常スコアリングを導入しており、勝手にそんなことは許されない。



750万人の実在利用者のなかで、1万人か、それとも10万人か。そもそも焦点をあてて議論が必要なものか。



そうすると、資産100億円以下の業者のことか。全部合計しても、5000億円を下まわるだろう規模の、従業員の与信方針違反の世界を議論したいそうな。

そうであれば、10.5兆は問題としないとしているのか。



この学者、対象市場も特定化しないで、11兆円の市場のうち、年1万件以内の貸倒を議論されているのか。

ちなみみ貸倒件数は、年50万人は下回らないだろうに。

どうしうて金融庁は、データの裏づけもだせない、検証あるいは論証されもしない思い込みの理屈で、立法提言するような慶応大学の学者を重宝するのか。



こうしてみれば、早稲田のほうが、まだデータを分析しようという態度があって、人を説得しようとする

態度が違います。無思慮意に金融庁の言うままの学者か、金融庁が無思慮に学者の言うままか。



いずれにしても、わが国立法過程は、なんとも貧しい
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Unknown (吉野直行の論説 7/18日経新聞)
2006-07-18 20:00:46
上記吉野直行の論説は、7/18日経新聞、経済教室にあります。
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Unknown (まさくに)
2006-07-19 15:31:14
日経新聞を取ってないので、どこかで探してみます
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新聞寄稿 (吉行誠)
2006-07-21 12:58:07
新聞寄稿はメルアド下されば、メールします。
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