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原油価格のこと・2

2008年06月12日 12時29分13秒 | 経済関連
追加ですけれども、何と言いますか、「情報の質」ということを、よく考えて頂ければと思いますね。

つい先月にはこのような記事がありました。
円債こうみる:原油先物に調整リスク、インフレ沈静で金利低下も=大和総研 奥原氏 マネーニュース 最新経済ニュース Reuters

(一部引用)

一方で、米国のガソリン価格高騰や供給能力不足を受けて、日本政府はガソリン対米輸出の検討を開始。米国政府は戦略的備蓄の積み増し停止に加えて、サウジアラビアから6月以降に増産を取り付けるなど原油高対策を打ち出した。また、米議会は商品取引の相場操縦に関する罰則を強化するCFTC(米商品先物取引委員会)の拡大法案を可決。こうした諸策が原油高に一定の効果が見込まれると予想される。

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この「日本政府はガソリン対米輸出の検討を開始」という記述なんですが、この「内部情報リーク」はどこから出たものなのでしょうか?市場に流されたのだろうと思うのですけれども、そうするとマーケット関係者たちは「その情報を元に判断、行動しようとする」だろうと思いますので、米国ではガソリン需要が逼迫しているのだな、という印象を持つのではありませんかね。いや、これは私個人の印象でしかないんですけれども。


では、実際に米国のガソリン需要というのはどうなのかといえば、価格高騰のあおりを受けて「需要減少」ですわな。サブプライム問題もあって、消費減退でしょうし。つまり、ガソリンを日本から輸出する必要性なんて、これっぽちもなさそうだね、ということは普通に判るわけです。

米ガソリン需要は前年比38%減、ガソリン価格の高値更新で=マスターカード・アドバイザーズ マネーニュース 最新経済ニュース Reuters

(一部引用)

マスターカード・アドバイザーズが10日発表したスペンディングパルスの週間報告によると、6月6日までの週の米ガソリン(小売り)需要は、価格が最高値を更新するなか、1日平均908万6000バレルとなり、前年同期比3.8%減となった。
前週比では0.5%増加した。年初からの需要は前年比1.9%減少した。

マスターカード・アドバイザーズのバイスプレジデント、マイケル・マクナマラ氏は「地域別の前年比ベースでみると、全地域で2007年よりも消費が減少している」と述べ、ガソリン価格が最も高い西海岸での需要の落ち込みが特に目立つと指摘した。ガソリン平均小売価格は1ガロン=3.97ドルと、前週から0.03ドル上昇した。年初からは0.91ドル上昇した。

ガソリン需要の過去4週間移動平均は前年比5.2%減少した。

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はい、需要減少ですね。
経済学の教える通りの状況が観察された、ということになりましょう。移動平均でも減少傾向が続いていたわけですから、先月20日頃の時点でも「需要は減少傾向」だったでしょうね。なのに、日本から輸出を検討、ですって?(笑)

EIAの統計でも、ガソリン在庫は特別少ないわけではありません。見通しとして、消費減退だろう(サブプライム・ショック等のリセッション懸念とか)という時に、在庫を増やそうとする意味なんてあまりないでしょう。むしろ、いつもより売れなくなっているなら「在庫が積みあがる」ということになりますし、輸入量を落としていくしかない、ということにもなるでしょう。


米原油在庫が大幅減、輸入減で=EIA週報 ワールド Reuters

(一部引用)

米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)が11日発表した週間石油在庫統計(6月6日までの週)によると、輸入減を背景に原油在庫が予想以上に減少した。一方、ガソリン・留出油在庫は増加した。原油在庫は460万バレル減の3億0220万バレル。アナリストは110万バレル減と予想していた。原油輸入は日量9万8000バレル減の日量969万バレルとなった。

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ええー、当方のブログ記事に対抗して天下のロイターさまが記事を出してきた、ということでもないでしょうが、ちょっと引っ掛かるんですよね。
ガソリン在庫は増えているけど、「原油在庫は大幅に減ったんだ!」と強調したいのかもしれませんが、3億バレル割れの年さえあったじゃないですか。今年の原油需要見通しが減少であれば、在庫を多くするメリットなんてないんじゃありませんかね。

またデータを見てみましょうか。
U.S. Weekly Crude Oil Ending Stocks Excluding SPR (Thousand Barrels)

ここ最近では、00年、01年、03年、04年なんかは、08年よりも少ないか同程度でしかないですね。輸入量が減って在庫が減るのは、景気がパッとしない時期だから、ということもあるのではありませんか?
経済成長が落ちるのですから、生産活動も低迷していまいがちでは、ということですよ。少なくとも「今年が特別な年」ということではなく、あんまり大きく違わないんじゃないですか、ってことを言っているんですよ。現に、ガソリン需要は減少が観察されており、通年でも需要減少が続くことは予想されますね。

日本から輸出が必要なほど需給は逼迫しているのでしょうか?


調整局面を迎えておかねば、上昇幅が今よりも大きくなってからでは「傷が深く」なるでしょう。体力が散々削がれてきたハズなので、今度大きな崩落が起こったら、少し倒れるだけでは済まなくなるでしょう。耐え切れないかもしれませんよ。



※ちょっと関係ないけど

過去に、こういう記事を書くと、必ず報復の嫌がらせをされるんですよね(笑)。私個人に損をさせることができたとしても、それでみなさんが儲かるわけではない、ということは憶えておいた方が良いでしょう。
目の敵にしたい気持ちは判りますけれども、だからといって、正しい情報や考え方を隠蔽してよい、ということにはなりませんので。

米国には、「米国の良心」を持つ人々がいるんですよ。私のようなちっぽけな取るに足らない人間の言うことでも、真摯に考えて正義を実行しようとする方々がおられる、ということです。私は、そういう米国の正義を信じてきたし、今でも変わっていませんよ。
日本のマスメディアとか、政治家とかに比べれば、はるかに勇気ある人たちがいるのです。それは羨ましい限りだな、といつも思うんですよ。

日本みたいに、権力に馴れ合ったり隠蔽に加担するのではなく、どのような権力にも立ち向かう、勇気と正義を信じる人たちが、マスメディアにも知識人たちにも大勢いるのだ、ということを過去に実証してきた国がアメリカなんですよ。世界にそういう国は滅多にないでしょう。日本と決定的に異なるのが、そこなのです。

日本のマスメディアを見れば一目瞭然です。権力に対して、あまりに弱い。むしろ片棒を担ぐ連中の方が多いくらいですから(笑)。比較にもなりませんよ。





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