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生産性と日本の戦略

2008年12月15日 15時58分42秒 | 経済関連
日本しか住んだことがないので、諸外国との比較というのはよく判らない。が、日本というのは、とても便利である。物理的な面では、かなり高度に発達している。東京の鉄道や地下鉄などの乗り物の料金計算などについても、恐るべき時間効率化が図られている。一般的なコンビニやスーパーなどでもそうだし、製造ラインやロボットなんかも「謎の工場」みたいにオートメイション化が進んでいるだろう。

一方では、サービス産業の生産性が低い、とよく言われるのだ。確かにそういう面は否めない。
日本の景気対策を考えるなら、道路だの誰も乗らない新幹線だのに巨費を投じるくらいなら、医療情報ネットワークをきちんと構築、整備する方がはるかに必要性が高いように思われるのだが。中期的投資として、将来に渡る重要なインフラとすることができるので、メリットは大きいと思う。過疎地の医療資源の乏しい地域においても、遠隔地の専門医がコンサルテーションを受けたり診断や処置の指示などを行えるようになるので、医療資源の効率化が図られると考えられるだろう。そういうインフラにこそ投資するべきなのだと思うが。未だに非効率な組合や共済をバラバラに存続させておく意味も判らないな。資格確認や請求事務に関する無駄、審査関連の過剰な人的コスト、医療機関側と保険者側双方にロスは大きい。無保険者を生み出す環境となったままであるし、組合も政府管掌も国保も「面倒な被保険者はそっちでやれ」と、たらい回し状態みたいなものだ。コストを負担したくないから、「ウチじゃありません」とか言い張る。保険資格が切れてるなら百パーセント保険証を回収しておけばいいものを、そうした管理義務を怠っておきながら、被保険者が使った後になってから「資格はありません」とか事後的に言う。医療情報ネットワークがきちんと整備されると、そういうのは全て自動化され機械がやるのだよ。これが生産性向上ということの意味だ。


労働集約的産業は生産性が低い、とか「机上の空論」好きな学者さまなどが言うのだけれども、社会全体のコストを考えた時には失業者を多く生むよりはいいし、人的サービスには物理的限界があることや現実に需要が多い分野であるなら、供給するのが自然である。

またいくつか例で考えてみよう。
銀座の高級クラブのホステスは、どれくらいの生産性だろうか?
ハゲた大企業のお偉いさんのアゴの下あたりを撫ぜるだけで、1時間に軽く10万円くらい稼げるとしよう。多分普通の人にはないスキルが要求され、代替性も厳しいのでこのホステスの賃金は高くなるだろう。高級クラブ全体の利益率は、当たりハズレの大きい「水商売」だけに、かなり高い水準になければならないだろう。エロじじいの相手をするだけで、かなり付加価値が高い(笑)ということなのだろう。少なくとも、一知半解の学者気取りが売れない著書を書いている生産性に比べると、ホステスの方がはるかに生産性の高い仕事であろう。弁護士のタイムチャージに比べても、十分高いと推測される。つまり、人的サービスが必ずしも生産性が低い、ということにはならないのでは。多分、価格設定のやり方によって変わるだけであろう。

今度は、専業主婦の生産性を考えてみる。妻は夫の給料以外には収入がないものとする。
年収300万円の夫を持つ妻がいるとして、この妻の貢献度は金銭に換算するとどの程度なのであろうか?離婚する場合に夫と妻の共有財産への貢献度が収入に比例して按分されるなら、もし妻の貢献度が年収換算で500万円ならば夫とは3:5に按分されるだろう。それとも、夫の給料を超えない、ということなのだろうか?夫の年収には無関係に、妻の貢献額が決まる場合には、その額はどのように決まっていくのだろうか?

年収300万の夫の場合と、年収1億円の夫の場合には、多分妻の年収換算値は後者の方が断然高くなるのではないかと思う。もし妻の労働の絶対価値が決まるのであれば、世界共通で決めることが可能となるだろう。所得の低い国でも、高い国でも、同等の価値ということになるだろう。しかし、実際にそんなことが起こっているだろうか?年収1億円の夫が妻から受ける効用というのは、300万円の夫よりも多いだろう、と考える。

ベンツやロールスロイスが故障したりしてサポートを受ける場合、修理工場の工賃は安い車なんかに比べると多分高くなるだろう。元々の部品点数の量によって単価が違っているということはあるかもしれないが、修理工の工賃はそれとは別に決まる。ベンツやロールスロイスが安い大衆車に比べて稀少であり高額なので、そのサポート費用も当然ながら高くなるであろう、ということだな。つまり修理工の工賃は高いだろう、というのが一般的な相場なのかな、と。妻は夫の修理工なんかではないのだけれども(女性の方々は怒らないでね)、年収水準が高い夫(=ベンツやロールスロイス)なら妻の貢献度(=修理工の工賃)は高いし、夫の年収が低いならやはり妻の貢献度も低く見積もられてしまうだろう。だから、分割できる財産が100万円しかない夫婦と1億円ある夫婦では、妻の貰える額が異なるのだろうと思われる(後者の貰える額が断然多い)。同一であるなら、年収の低い夫には払えないような額となってしまうか、高収入だった妻には耐え難い過少な額となってしまうだろう。何が言いたいかといえば、妻の生産性なんてものは男次第ということで、それは割りと簡単に「価値が変動してしまう」という程度のものなのではないか、ということだ。サービスの生産性の評価というのは、案外といい加減なものなのでは。

だから以前にも書いたけれども、介護や育児サポートを民間企業が行う場合に、年収水準の高い人のサポートを行うなら高い金額設定となるし、同じサービス内容であるにも関わらず年収水準が低いと安い価格設定となってしまうので、生産性は落ちることになってしまうだろう。それは労働の内容や質の違いなどではない。同一のことをやっているのに、生産性はいくらでも変わるということだ。日本人はホスピタリティ能力が基本的に高いと思うので、何でも外国と同じ水準でなければならない、なんてことはないのだ。

因みに、普通の工業製品ならば、日本での価格が1万円のテレビはアメリカでも1万円だしマレーシアでも1万円でしょう(輸送費や関税はとりあえずおいといて)。妻の労働価値は工業製品とは異なり100万円の国もあれば5万円の国もあるのに、1万円のテレビは世界中のどこでも1万円ということです。製造業の方々は自分たちの産業分野と何でもかんでも同じように考えているかもしれませんが、それは殆どが正しくはないだろう。経済界の政治的影響力がかなりの大きさを持つので、そういうお偉方がセンスのない思考をしてしまうことで、世の中に誤った考え方が流布されるとともに余計な圧力(たとえば社会保障費削減圧力)が加わることになるのだ。


<寄り道:
日本における文系の大学教授とかいう人種ほど生産性が低い職種はないのではないかと内心思っているが、GRIPSあたりの経済学を専門とする大先生方は頭数だけは無駄に揃っておいでのようだから、自分たちの生産性の低さを今すぐ検証してみてはいかがであろうか。そういう生産性が低い職種こそ、構造改革(笑)を推進し参入障壁を撤廃して競争させ、ダメな連中を排除するべく市場の評価を受けさせるべきではないか?そういう「非効率」分野に人が固まっているのがよくないのだから雇用を流動化(=非常勤化)させ、無駄に貼り付けている予算などは既得権益に過ぎないのだから即刻廃止すべきだろう。ですよね?w>


日本の医療・介護・福祉分野の売上高はざっと50兆円あるので、これに教育を加えると、かなりの産業分野ということになるのですよ。この分野は、これまでに「これで儲けてやるぜ」というようなことを考えてこなかった分野なんですね(中にはそういう人たちはいるだろうけど)。現場にいる人たちの殆どは善良で一生懸命やるだけで、ついつい相手の立場というものを考えてしまうので、利益については無頓着に来ていたわけです。利益がないと、市民病院廃止とか老朽化した建物も直せないし医療機器も買えないし人材も呼べないんですね。そういう経営面というのを考えるなら、今までのような費用のかけ方では全然足りないのだ、ということが明らかとなってきたのです。今後、高齢化が進むわけですから需要というのは増えるし、潜在的需要はそれこそ「山ほど」あるのですよ。雇用創造の最も有力なものがこの分野なのです。介護なんかですと一気に生産性を向上させる、ということは難しいかもしれませんが、仕事に定着できるなら個々のスキルを向上させていくことで改善できる部分はいくらでもあります。新規需要を生み出したい、という企業が多い中で、需要が伸びることが判っている産業分野があるのすから、日本は。それを無理に抑制しようとするのは、あまりに不自然なのです。こういう時にこそ経済学理論を出してこないのは、何故なのでしょうか?政府が介入して需要を抑制せよ、などという理論があるのでしょうか?(笑)

例えば大学の費用を無料化している国では、全員が大学に行っているのですか?
入学希望者を無理にでも抑制しなければ入学者が殺到して国の予算がパンクする、ということになっていますかね?そうはなってないでしょう?そうじゃないんです。
別に社会保障費の自己負担を無料化しろ、と言っているのではありません。一部は利用者負担で払える人は払えばよいのです。大したことがないのに何でも病院に行く人を抑制したいのであれば、入学試験のような「ゲート」を設定しておけば済む話です。予備的診察をして、その時点で「専門医の治療が必要」という人とそうではない人とを区分し、前者は3割負担、後者は5割負担とかにしてみるとか。後者の場合、大した治療の必要性がなければ高額な治療自体を受けないので、自己負担額がべら棒に高くなるということにはならないでしょうから。「ゲート」以降の段階では、治療の必要度の高い人たちだけが残ることになるので、時間や医療費の無駄も減らせるようになるでしょう。不安だからどうしても「採血してくれ」「写真(CTとかMRIとか)撮ってくれ」と言って聞かない人には、そのわがまま分を多く負担してもらえばよいのです。


いずれにせよ、たとえ同じエロじじいを相手にしても、医師や看護師等の得る収入が安すぎるのが問題なのです。人的サービスに対する評価が低すぎるのです。こうしたサービス価格を恒常的に上げていかない限り、デフレからも抜けられない、雇用も増えない、個人消費も増えない、ということになってしまっているのです。全体を見ない・考えないという人間が増えてしまったからこそ、ダメ理論にまんまと飛びついてしまうのだ。


日本の企業経営者たちが目先の金を最優先するなら、そういう強欲企業に未来はないと思え。

自分の妻の労働価値が何故高くなったのか、じっくり考えてみろ。
ああ、強欲じいさんというのは、大体ハゲたエロじじいが多いから、ホステスの方が好きか。
自分の妻が「どこぞのホステス以下しか稼げない生産性の低い無能な人間」だということが再確認できることだろう(笑)。良かったじゃないか。あなたにはお似合いだろうて。


そういえば最近、大企業の短期資金調達ができなくて汲々となっているらしいじゃないか。あれだ、大銀行さんが貸してくれないなら、信組だろうがノンバンクでだろうが土下座するなり「ヤミ金」にでも行って借りるなり、金策に走ればいいよ(笑)。
下請け企業はこれまでにそうやって金策に苦労してきたんだ、いっぺんくらい「首をくくるか、ヤミ金に借りるか」という究極の選択を迫られるような危機に直面した方がいい薬になるって。これまでのうのうと殿様商売みたいな「大企業族の商売」をやってきたんだから、少しくらい苦労したっていいと思うよ。


中には市場から資金調達する「金利が正しい」んだ、って言い張る人たちもいるだろうから、市場の原則に従って何%だろうが何十%だろうが金利を払えって言うと思うけどw。そういう人たちから見れば「低い金利で甘やかしてはいけない、もっとシバいてダメな企業を潰した方がいい、調達金利が低すぎるのは単なる過保護」らしいから。
CP発行できないよ~、買い手がいないよ~、とか生ぬるいことを言ってるからダメなんじゃないのか?日本の産業構造は(爆)。今こそ、「構造改革」だろ?その旗を振ってみろよ。


企業努力でいい成績を出してきたんだ、楽してる中小企業なんかとは違う、と豪語してみればいいんじゃないか?自前で資金調達せよ。
日本政策投資銀行みたいな官業の「公的金融機関」から、「大災害時と同じだから」とかいう屁理屈だかこじつけみたいな理由で、「金を引っ張る」というのもどうかとは思うね。泣きつく先が「国」ですか。大笑いだな。完全民営化してなくて助かったな、オイ?

05年10月
熱闘!官業金融~第1R

熱闘!官業金融~第1Rの続き

熱闘!官業金融~第2R



常々、ことある毎に「民間は…」って言ってきたではないか。
資本主義経済なんだから、今こそ「自助努力」「自己責任」だろ?(笑)


だから大企業に資金枠をとる必要なんかない。
「中小企業は特別に優遇されている」とか何とか、御託を並べていたんじゃなかったの?だったら、自分で資金調達くらいしてこい。

中小企業は資金調達が難しいのでやむを得ないが、なぜ大企業のためにわざわざ融資枠を確保せにゃいかんわけ?CP買入をするのは、市場でやってもらえや。それが経済原則なんだろ?


要するに、どいつもこいつも調子いいんだよ。
困ったときだけは、「助けてくれ」って、日本がかつて金融危機に陥った時の大銀行なんかも同じなのだ。大企業や大銀行の経営陣には、まだ骨身に染みてないのさ。本当に倒れる寸前に行くまでは、「痛み」とか社会のことを考えられるようにはならないんだ。

だから、「甘やかすのは良くない」と経済原則を掲げていた人たちこそ主張したらいいよ。

市場で資金調達してこい、ってな。
その金利こそが正しいんだ、ってな。




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