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長期停滞の先にあるもの

2005年07月20日 11時23分02秒 | 経済関連
以前の記事に書いたように(我が家の新聞考)、ここ何年も紙の日経新聞を読んでいない。なので、近年の主張とかよく知らないし、記事も目にしていなかった。たまたま田中秀臣先生が紹介(セミナー情報)しておられた小野善康阪大教授の、昨年お書きになられた記事を目にすることができたことは大変ラッキーで、勉強になりました。前に、バブル後の経済状況について感じたことを書いてみたのですが、「不安」をキーワードとする小野教授の記事に共感するものがありました(とは言っても、私のようなド素人が書くのとモノが全然違いますけれども)。


郵貯ってどうだったかな?

「’97ショック」が原因なのでは?


私の記事では「恐怖」(の連鎖)、(土地、株式等資産の)現金化、「縮み」と表現したのですが、現象を言い表せばまあまあ似たようなものではないのかな(笑)、と思います。イイ線いってたかも。ちょっと嬉しい。だって、教授の見解と近い感じ方をしたということは、経済無学な人間にしてはまずまずでしょ?あと、家計の所得減少についてですが、経済財政白書でも記述されていましたが、ラチェット効果によって消費支出減少がそれに伴わないようで、貯蓄率低下現象が続いていたということのようです。高齢化要因がどの程度影響していたのかは不明ですが、消費支出が維持されたことは貯蓄率低下の一因と考えられると思います。


一方、企業部門の貯蓄が増大し続けたということは、「現金化」に走っていた企業部門が集めたカネを有効に使って投資・雇用・新規市場などの創造するということには、全く役立ってこなかったということを意味しているのか。小野教授が言うところの「カネへの執着」が、企業でも同じように続けられてきたということなのだろう。これは、一部に指摘があるように、企業部門の不安に起因する「極度の守りの姿勢」というがあって、それは政府や家計の責任でもなく、企業経営者達の責任ということなのだろう。これを経済財政諮問会議の民間議員たちがどのように受け止めているのか、よく分からない。


ここからが問題なのですが、過去の現象の捉え方はそうだとして、回復への道筋ということになりますと、経済学者の間でも意見が分かれてしまうようですね。小野教授は、「バブル崩壊」を経験しないような世代が経済の中心的役割を担う頃、自信を取り戻し成長軌道に乗れるだろう、「不安」を拡大させない安心期間を過ごすことで「不安」を払拭するしかない、ということを述べている。


私が「経済は心理の問題なんじゃないか」ということを自分でも書いていたのに、今の自分の主張が「不安を増大させる」方向なのではないか、とも思った。自分も「不安」に煽られているのだ、と。愚かなことに、それを自覚せず「不安を取り除け」と何度も言いながら、実は自分が人々の不安を助長していたのだ、と。

しかし、将来不安を払拭させるのは、やはり年金改革が必要だと思うし、社会保障一体改革が必要だと思っている。今のニュースは、大体悪いニュースばかりだ。「増税」「保険料率アップ」「自己負担増」「医療費にキャップ」とか、「国の借金が膨れ上がる」とか、そういう話題だけである。弱者を救済しようという話は出てこない。私の案では、保険制度を止めて消費税にその財源を求める(企業は別な新税負担)ことになるので、従来の保険料は消費支出に向けられると思っているんだけれどな。これはダメなのかな?その代わり、収入や資産のない高齢者等には、一定以上の生活が可能となるように最低保障は確保するべきだし、収入の少ない若年・女性勤労者などにも労働意欲に繋がるような保障が必要だと思っている。こうした考えが、実は弱者を圧迫するだけなのだろうか?よく分からない。


もう一つ、小野教授は、将来経済インフラが不足するので、機会費用が低い現時点で将来必要になるものを吟味してインフラ整備に取り組むべきで、例えばリサイクル社会の制度・環境規制等のルールづくりを行うことで、財政投入がなくとも将来市場の創造となり、それによって仕事・雇用につなげることができる、と述べている。「ルールをつくる」というのは、財政投入がそれほど必要となったりしないだろうから、「規制緩和」ということが必ずしもプラスにはならないということだろうか。だが、今の「規制緩和」というのは、官業の非効率部門を改めることが主眼であるので、特に周辺部分の特殊法人とか公庫公団等については当然改められるべきである。そうは言うものの、制度・ルールをつくることで市場創造に繋がる分野については、開拓していって欲しいと思う。環境関連もあるが、他にも育児サポート、企業の保育支援制度、医療スタッフの資格制度(行為範囲の拡大)、障害者(行政用語で言えば)の支援制度、起業家経営支援制度、高齢者就業雇用拡大制度、みたいなものとか、あってもいいと思う。あんまりいいのが思いつかなかったけれど(既にあるかもしれないし)。


従来は、何かそういう制度を作ると、大半がまず特殊法人を作り、役人どもが蔓延って、資金も人員も官業として運営するから良くなかったんだと思う。インフラ整備にしても、今までは公共事業のような社会資本に偏り過ぎていて、本当に必要な制度・ルールを作ってこなかった部分があったのではないのかな。


小野教授の記事を読んでみると、「小さな政府」とはどう考えるべきか、「不安」をなくせる行政制度、特に社会保障制度はどうしていくのが望ましいのか、なお更わからなくなってきた。政治システムにしても、昔のやり方は論外だが(消去法的に言えば)、小泉内閣が実施してきた手法を今後どのように改善するか、そういった課題が残されたような気がする。私も「ネガティブサムの罠」に陥ってしまい、そのゲームの一員となってプレーヤーを演じてしまったに過ぎないのかもしれぬ。


では、根本的な解決策を見出そうとする時、どういった政策、政治手法があるのか、その答えを提示してくれる人は誰なのだろう。国会議員?民主党?(笑)経済学者?企業経営者やエコノミスト?何故答えが見つからないのかな?私には益々分からなくなった。やっぱり、経済関係者の集まりで考えてもらって、提言をまとめてもらった方がいいと思うけど(笑)。



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