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日本の協力で世界経済を救うべき

2008年06月07日 15時16分09秒 | 経済関連
このまま原油高が続けば、本当に米国経済は大ダメージとなるよ。
インフレと需要低下を防げない。冬が来る前に、一度先物市場が崩落して調整局面を迎えてもらわないと、このまま値上がりを続けてしまうだろう。具体的な例でいえば、米国の自動車産業は売れない状態が今よりも更に悪化してしまうだろう。アメ車の敬遠は更に酷くなってしまうだろう、ということ。


FRBの打つ手にも限界がある、って前にも書いたけれど、米国単独の金融政策では残された手段は少ないと思う。ドル高をすぐに演出するのも難しいのと、新興国通貨の相対的下落はそれらの国々でのインフレが悪化するので、是正しづらい。直接的に原油価格を下げる方法はないのですから、先物市場で売りで対抗するくらいしかない。食糧価格高騰についても、これといってうまい手はないけれど、日本の備蓄米の放出量をできるだけ増やして、世界中に輸出可能な分はギリギリまで輸出するべきだろう。もっと日本側がFRBに積極的に「できることは協力しますよ」って、どうして言えないのかね。協調して取り組めば世界経済の「急激な悪い変化・悪影響」に対処できる手段は増やせるのに。


国内で見れば、企業業績には翳りが出てくるので、直ぐに賃金上昇には結びつかないだろう。企業と労働者が「賃金を上げろ」「業績がアップしないと賃上げできない」というにらめっこになっている時に、解決するべき手段は少ない。「そっちが先だ」論争みたいなものかな、と。労働者側は「賃金が上がらないから消費が増やせない」と言い、企業側は「業績が上がらないと賃金を増やせない」と言って、膠着状態に陥ると、いつまで経っても何も変わらない、ということになってしまう。テレビの大岡越前ではないけれど、「三方一両損」みたいなことを考えるべきだろう、ということ。2者は労働者と企業だから、もう1人入る必要があるんですよ。それが仲裁者的な立場である政府だろうな、と。

一体何の為に財政政策があるかと言えば、この膠着状態を抜け出す時に役立つからですよ。企業側に資金を入れるなら公共事業を増やすといった策だろうし、労働者側に金を入れるのは減税というような策、ということでしょう。睨み合いになっていた労働者側と企業側を解きほぐし、消費増大と賃金上昇という順回転に戻してあげる効果を狙うのですよ。

コレ>車を売りたきゃ金をくれ!~by 家なか子
この記事には、こう書いた。
『労働者たちの「給料・収入が上がっていくであろう」という未来予測とかが大事なのですよ、根本的には。それには、ある水準で「物価が継続的に上昇していくこと」というのが必然なのですけれども。この「給料上がる」「消費増える」「物価が上がる」「企業利益増える」「給料上がる」消費増える」「物価が上がる」というような、正のフィードバックと言いますか、水車が一定方向に回っていくように、経済の水車が回っていかないとならないんですよ。これが長きに渡るデフレ期間で、逆回転になってしまったんですよ。人々の考え方も、その逆回転に合わせるようになってしまっているんですよ。これを解き放つのは、容易ではありませんよ。』

現状では、「物価が上がる」だけが先に来ていて、その後に続く「企業利益増える」「給料上がる」「消費増える」には回転が極めて弱いんですよ。ここで「回転する力」をアシストしてあげなくちゃいけないんですよ。少しの力を加えてあげて、回転を止めないようにしてあげれば、多分乗り切れるんです。物価上がる→消費抑制→業績悪化→賃金抑制ということになってしまえば、経済成長には繋がらないのです。現状では「物価上がる」の時点なので、今後に続く「消費抑制」のダメージを軽減しておかねばならんのです。その為に、財政政策を使うんですよ。


国の台所が苦しいのはわかりますし、財政健全化というのを目指さねばならないことも判りますが、国全体の経済が落ち込めば、結局財政再建がより遠のくだけなんです。今ここで、回転力を止めてしまえば、またデフレに逆戻りですよ。ですから、順回転の力をアシストしましょう、と言っているのです。世界経済が不透明さが増し、米国経済に大きなダメージという「悲観論」が主流になってからでは、余計に大変なんですよ。原油先物相場で2割下落するだけで、約110ドルくらいに落ちるのですから、かなり効果があるんですってば。3割ならば約100ドルです。

昨年10月頃では、まだ90ドルくらいだったんですよ?あれほど「サブプライムショック」が世界中を駆け巡ったのに、それでもこれくらいでしかなかったんですよ。
年末などは米国の利下げ予測で原油価格が上昇してきたのに、今度はFRBの「利下げ余地」なんかがないのにも関わらず、140ドル近くまで上昇する理由なんて、何もないのです。ドル安も止まってしまったですし。


新興諸国の需要が増大する、というのも、あまり真実味がありません。
ロシアは輸出国なので国内需要は自前で賄うだけですし、ブラジルにしても「バイオエタノール化」と巨大油田発見で輸入依存度は将来的には低下していくでしょう、恐らく。中国は原発推進や、国内油田・ガス田開発を強力に推し進めているので国外需要を大幅に伸ばせるということにはなりません。インドは輸入が必要でしょうが、国内経済が未成熟の為「エネルギー需要」そのものがまだ小さいです。発電の供給量にしても急激に増やせるほどの能力はないですし、所得水準自体が低すぎて、そこまで急激な国内需要増加なんてものはまだ存在しないでしょう(極端に言えば、貧乏人が多ければ『高すぎて』電気を使わなくなるだけだから)。

東南アジアの国々でも、例えば発電量が急激に増加しているわけでもなく、あまりに原油価格が上がればただ単に「使えなくなるだけ」でしょうね。例えば、これまでは農作業をトラクターでやっていても、石油価格が高すぎて買えなくなるので、馬や牛に戻る、みたいなことです。それとも、「農作業をやらない」みたいになる、ということです。

経済規模がそれほど大きくなく、未成熟であると、エネルギー価格の占める割合が相対的に大きいのではないかと思います。極端な例が続いてアレですけれども、新興国のA国では「工場1個、発電力10」、先進国のB国では「工場100個、発電力10万」みたいなことです。しかも電力価格の占める割合がA国では高く、B国では低いだろう、ということです。なので、価格が大幅に上昇すれば、A国では石油を買い続けて需要を増やせるだけの成長力はないでしょう。価格が上昇しているのに、「工場10個、発電力100」みたいには増やすことができないだろう、ということです。経済的な余力が小さいからです。日本であると、省エネ化が進んでいますし、石油価格のウェイトが昔に比べると大幅に低下しているので、経済規模の中で吸収余地はあるでしょう。需要減の割合は新興国ほど大きくはならないでしょう。けれども、経済規模の小さい国とか、所得水準の相対的に低い国では、日本みたいに吸収できない、ということです。


従って、世界需要が今後も右肩上がりで増え続けるというのは、ただの幻想であろうと思います。先進国では軒並み脱石油化を推進していますし、主たる需要家である新興国であっても、自国内の需給でかなりの部分が賄われているのですから。よって、大幅な価格上昇は世界需要を大きく減らし、経済成長のマイナスをもたらすだけの結果となりましょう。07年1月には約50ドルくらいでしかなかったのに、これが3倍近くまで急騰するというのは、明らかに異常です。それほどの需要増なんて、世界中のどこでも観察されていないのではないでしょうか。

インフレ加速とかが大袈裟に取り上げられていたりしますけれども、日本でも米国でも、昔みたいな狂乱物価は起こり得ません。日本であれば、過去数年間の原油価格上昇は「賃金抑制」でほぼ吸収されてきてしまいました。簡単な例でいうと、トラック運送の運賃が1万円だったところを、デフレ期間であると原油価格が2倍になって経費が増加してもこれまで通りの運賃1万円でやっていた、ということです。その経費増加分は労働者の賃金を下げて吸収してしまった、ということです。ULCの低下傾向というのは、そういう面が観察されてきた結果ではないか、ということ。今年になってから、物価上昇ということになっていますけれども、それは単に経費増加分を価格に転嫁するようになってきた、というだけです。賃金が変わるわけではないのですから、そうなれば購買力が相対的に落ちるだけなので総需要抑制となってしまうだけでしょう。米国の賃金にしても、昔みたいに上げることなどなく、逆に給与を据え置いていても業績悪化の分は雇用者減で対応しているでしょう。つまりはクビになる人が増加する、ということですね。

日本で起こったオイルショックの頃には、毎年毎年ベア闘争みたいなことがあって、賃金の物価スライドとか何とかが普通でしたからね。今では賃金スライドさえ消滅しているんじゃないでしょうか(調べてないので、判りませんけど)。


いずれにせよ、エコに関心が高い先進国では石油需要は減少していくこと、価格上昇により需要は減少すること、その他地域での大幅な需要増というのも全体的に占める割合が特別に大きいわけではないこと、などから、将来の需要予測が増加傾向であるとしても、石油価格上昇は「作られた相場」と見ることができるでしょう。

石油市場:中長期石油等需要見通し

05年12月時点で書かれたものですので、時間がそんなに経過したものではありません。当時の中長期需要予測や価格予測が出ていますが、1ケースを除いてはほぼ同傾向となっています。予測は全く当てにはならないということなのか、前から書いているように、「買うから上がる、上がるから買う」の自己増殖相場を演出してきた連中がいる、ということなんでしょうか。結果的に、原油バブルとなっているだけでしょう。世界需要が大幅に増加したシナリオなんて、ほぼないとしか思われませんね。


追加:

こんな記事があったようです。
評論:中国石油脅威論を排す 価格高騰は投機が主因--人民網日文版--20051128

05年当時ですので、今とは状況が違いますけれども、カトリーナ被害とかに乗じて投機筋が上げを演出していただけなのではないかと思われますが。
中国の輸入量が目立って急増しているわけではない、ということでしょう。要するに、情報操作のようなもので、世界的にエネルギー需給が逼迫している、という雰囲気を演出している連中がいるのでしょう。OPECの増産はあまりないですが、今は非加盟のロシア、カナダ、英国、ノルウェーなどの生産能力はかなり高いですからね。供給不足なんてことは多分考え難いでしょう。




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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2008-06-07 21:14:15
陰謀論がお好きですね。
まず申し上げますがいくら金融市場より規模が小さくとも原油市場の需要はありとあらゆる方面からあります。
やはりここまで原油価格が上昇するということはかつての需給関係では無くなってしまったと考えるのが自然でしょう。
現在のエネルギーシステムはどうしても石油が主体です。電力に関しては原子力も優秀ですがイメージに問題がある上欧州ではフランス以外にはあまり普及してません。
また各種化学製品の原材料でもありますし、各種機関の燃料でもあるわけです。
バイオ燃料についてはまずそのプラントのエネルギー、農業に必要な各種農機具のエネルギー源も石油ですね。また世界的に食糧供給の問題が出て来ている中、食糧である穀物を燃料に変えていく事に対し、かなりの批判も噴出するでしょうね。基本的に先進国は高効率化で「燃費」が良くなっただけであり、根本的に石油の次のエネルギーを見付出せていないんですよ。
もし脱石油化を生活で実感出来ているなら別ですが、まだ太陽光や風力、潮力などのエネルギーは人類を支えるには程遠く、また人類を衣食住で支える新素材も石油に依存しているからこそ値上がりを誰も停められないという現実を見て頂きたい。
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