温泉水止まったメカニズム解明、熊本県阿蘇市内 泉源には問題なし 九州大研究グループ
九州大の辻健准教授の研究グループは20日、熊本地震後、熊本県阿蘇市内の内牧温泉街で温泉水が止まったメカニズムを突き止めたと明らかにした。液状化が起き、地下50メートルの地層が水平方向に横滑りしたため、温泉水をくみ上げる井戸が壊れたのが原因。田んぼでの自噴や湧き水の発生も、この水平滑りが引き起こしたとみられるという。メカニズムをまとめた論文を20日付の英科学誌に発表した。
【画像】田んぼの真ん中から“温泉”が湧いた?阿蘇市狩尾地区
研究グループは地震直後から昨年10月まで、内牧温泉の14カ所で調査。うち温泉が止まった5カ所の井戸にカメラを入れたところ、深さ50メートルの地点でパイプが曲がったり、破損したりしていることが判明した。
この地点は地熱貯留層にあたり、石や泥など液状化しやすい地層。地震動によって液状化が発生し、地層が水平に約1メートルずれていたことを確認した。横ずれに伴って井戸が壊れ、温泉水をくみ上げることができなくなったという。
内牧温泉街は今回の地震を引き起こした布田川断層帯から十数キロ離れ、地表では1メートル以上の横滑りが確認されている。辻准教授は「温泉の泉源には問題なく、50メートルの地層を掘り抜けば湯は出る。活気を取り戻してほしい」と強調。田んぼでの自噴などについても「地中の水が圧縮されて出てきているだけで、いずれ止まる」としている。
阿蘇温泉観光旅館協同組合によると地震後、加盟19軒のうち15軒が再掘削を行い、残り4軒が作業中という。同組合は「原因が分かり安心した。このメカニズムを今後の防災に生かしたい」としている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます