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おうちの童話

2013-11-18 10:36:49 | 子育て・夫婦・カウンセリング
木枯らしの吹く季節になりました。

日暮れもとても早くなりました。

おかあさんは仕事からで帰ってくると、

急いでゆうはんの仕度です。

しゃかしゃかしゃかお米をといでいると

コー君がいいました。

「おかあしゃん、あした枯れ葉を学校に
持っていくんだって」
「えーっ!?」
「枯れ葉で絵をつくるんだって」

(早く言ってよー、せめて夕やみまでにー)
とは言いたかったけれど、おかあさんはこら
えました。

日頃から、あした学校でいるものはおかあさん
が帰ったらすぐ言うようにと言ってありました。
赤白帽・てぬぐい・竹ひごとかーーーお店が閉
まる前に買ってこないとなりません。

でも、言い損なうことだってあるでしょう。

「そうかあ、枯れ葉はお店じゃないからいいけ
ど、どこにあるかねえ」

こんな真っ暗などこに拾いに行けばいいのでし
ょう。

ふと、おかあさんはいつも行く魚屋さんのと
なりの路地に大きな木があって落葉している
のを思いだしました。

お米のスイッチを入れてからふたりで拾いに
行くことにしました。

魚屋さんは灯りがまだついていましたが、路地
は真っ暗でした。
かがんで葉っぱらしいものを地面から拾い、2人
はポケットに入れました。

「ああ、寒い寒い、急に冷えてきたね」
おうちに帰りテーブルの上にポケットの中身を
出して、ふたりは目を丸くしました。

ひかりの下になんてきれいな赤・黄色があふれて
いたことでしょう。まるで魔法の棒を一振りした
ようでした。

光の下のこの日の色は一生忘れないだろうという
色でした。