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地震を予知し全員避難した・・スマトラ沖地震と海の部族モーケン族

2009-07-17 | その他先住民族
先日の新聞に、スマトラ沖地震のとき、地震が発生する20分も前に津波の発生を予知した部族がいたという話が載っていました。

集落の老若男女1200人全員が高台に避難して無事だったという、タイのモーケン族の人々のことです。
以下転載してみます。

      *****


「スマトラ沖地震 大津波・・先住民、伝承した知恵」

          地震学者・島村英紀
       2009・6・25 朝日新聞



2004年12月26日に起きたスマトラ沖地震。
直後におきた大津波がインド洋沿岸各地を襲い、被害が拡大した

地震と津波で犠牲となった人は22万人を超えた。

タイの観光地プーケット島では多くの観光客も犠牲となったが、島の南端で生活する先住民族モーケン族は、その時一人の死者も出さなかった。

いち早く集落の全員が、近くの高台に避難したからだった。

わたしは5月12日、現地であった国際会議「障害のある人たちの災害への備え」に招かれ、津波をテーマに基調講演をおこなった。

主催したDAISYコンソーシアムは障害のある人や特有の言語を使っている先住民族の人たちにも理解できる無料のデジタルシステムを普及させる目的をもつ。

モーケン族は有名リゾートのプーケット島やランカウイ島があるアンダマン海の沿岸各地に住み、主に漁業を営む。

タイ、インドネシア、ミャンマーの沿岸に最初に住みついた海洋民族と言われる。


地震が起きたのは現地時間の午前8時前。

モーケン族の人たちは、大津波が襲って来る20分ほど前に海の異変を知った。

海洋民族にとっての潮の満ち干は頭に精密に入っているが、それ以上に潮が引いたことに気づいたのである。


“先祖からの言い伝え通り、津波が襲ってくる。”

そう直感した人たちが、ただちに245戸の集落全員を村の高台に避難させた。

約1200人のうち、障害がある人が20人、うち全盲の人が2人いたという。

地震学者の知識では、津波の初動は、引き潮とは限らない。
いきなり満潮として襲ってくる津波もあるし、場合によっては第二波以降の方が大きいことも多い。

とはいえ、同じ場所で何百年と見ていれば、同じような津波の初動に出食わすことは不思議ではない。

モーケンの人たちはこの経験を伝承していたのであろう。


モーケン族の暮らしは貧しい。
彼らの住んでいる土地は自分たちのものではなく、いわば不法占拠している形だ。

タイでは近年までモーケン族には土地所有や義務教育が許されていなかったことが影響している。

水は雨水と井戸水を使うが、井戸水は煮沸しないと飲み水には使えない。

貧しさと医療の不足から、津波から避難できたのに、二人の人が地震後に亡くなったという。
モーケンの人たちも、世界各地の先住民族と同じような課題を抱えているのである。


            *****


記事の筆者は、この民族の暮らしは貧しいけれど、しかし自分たちが教えようと思っていた災害時広報システムが、じつはすでに彼ら先住民族の中には存在し、機能している、と述べているのではないかと思います。

彼ら先住民は大津波発生時、障害者も、全盲の人も、一人も見捨てることなく全員を安全な地に導いたというのです。

科学者たちが教えようとした“緊急避難システム”は、すでに先住民族の社会ではみごとに体現されていた、というわけです。

種族としての生存本能として、先住民族の意識には途方もない知識が内蔵されているように思われます。

災害時にはどうしたらいいか?

先住民族の知恵から学ぶことは多いのではないかと思うこのごろです。


写真は記事と無関係の太平洋。


Wikiモーケン族より

モーケン族(Moken)とは、ほぼ一年中海上で過ごす海洋民族。
別名「海のジプシー」。

ただし「海のジプシー」という呼び名は東南アジアのいくつかの民族集団の総称であり、モーケン族のみを意味するものではない。

オーストロネシア語族に属するモーケン語の他、タイ語やミャンマー語を使用する。

アンダマン海、タイ王国、ミャンマー、メルギー諸島の近海に暮らしている。

ミャンマーとタイの政府はモーケン族を文化的に同化させようと試みてきたが、その成果は限られたものである。

1990年の報告によると、ミャンマーの軍事政権は一部のモーケン族を陸地に強制移住させたという。

主に、カバンと呼ばれる家船(えぶね)に住んでいて、見知らぬものと出会うことを恐れている。

しかし最近はミャンマー政府の政策により、海岸で定住生活をさせられている者もある。

また、陸上での狩猟にも長けている。

ナマコを燻したものを売って現金収入を得て船の燃料を購入するなど、資本主義社会と無関係ではない生活をしている。

一方で、その資本主義社会からやってくる商業船団によって魚介類を根こそぎもっていかれてしまうなど、生活が苦しくなってきている。

海を強く意識しているため、いくつかの地域のモーケン族は2004年12月のスマトラ島沖地震の際に津波の前兆をつかんでいた。

しかし、タイ・パンガー県のタプタワンなど沿岸部の村々では住宅やカバンに対する深刻な打撃に苦しめられた。
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6 コメント

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Unknown (ソクシラベ)
2009-07-17 10:11:57
はじめまして
新着から、訪問しました。
暑い日が続きますね。
外でする仕事は、特に影響を受けて、大変でしょうね。
もしよろしかったら、私のブログとHP「測量・地質調査マッチングサイトソクシラベ」
http://sokushirabe.net/
に遊びに来てください。
コメントありがとうございます。 (veera)
2009-07-18 11:09:25
ソクシラベ様

コメント、ありがとうございます。
HPとブログ、訪問させていただきました。
この季節、外の仕事は本当に大変ですよね。
土地の測量、地質調査、奥の深いお仕事ですね。
わたしは土の中になにが埋まっているのか、地球の奥底はどうなっているのか、とても興味があります。
ロマンあふれる測量のお仕事、がんばってください!
初めまして* (アニマ)
2009-07-18 22:39:42
初めまして*モーケンの伝説を追ってこのブログに辿り着きました。
先史時代には私もとても興味があります。
歴史書は勝者が残したものであるけれども伝統や伝説には本質が見えるような気がします。
古代の精神であるアニミズムに共感し
日々彷徨っています。まだまだ知識はないので
veeraさんのサイトで深めたいと思います。
よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。 (veera)
2009-07-19 10:56:22

アニマさま

コメント、ありがとうございます。
先史時代、先住民族、ほんとうに興味深いですよね。
文字があり、勝ち残ってきた人々の影には、文字を持たず、消えていった人々が、その何倍もいるのだろうと思います。

わたしのブログはちょっとくせがあって、かな~りトンデモがかったところがありますので、気に入ってくださる方と、そうでない方がおられると思います。
テーマが四方八方に飛びますが、どうか気長におつきあいいただけたら、幸いです。
こちらこそ、どうぞよろしくお願い申し上げます。

Unknown (コピペ撲滅委員会)
2011-04-25 22:55:33
後半部分はウィキペディアのコピペですね。
さらに研究 (veera)
2011-04-26 09:53:21
コピペ撲滅委員会様

記事内容・論旨と整合性・補完性があると判断したので、タイのモーケン族に関する資料として一部引用させていただきました。

しかし同項目は、wikipedia編集サイドから、記載内容に関して[要出典]と指摘されていましたので、正確性に欠ける部分があるかもしれませんので、さらに独自に研究したく思います。

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