前回の記事では、ラコタ族の人の1980年の集会スピーチを紹介しました。
スピーチが収録されている北沢方邦編「シリーズプラグを抜く・近代知の反転」(1983年)には、「ホピの予言」というタイトルで、ホピ族から米大統領にあてた返書も載っています。
これは戦後まもない1949年に出されたホピ族の公式文書です。
居留地での鉱物資源の採掘に同意しないこと、NATOが締結されてもホピはいかなる国家とも対立しないことなどが述べられています。
“近代知の反転”とは、“近代的西洋文明の限界を超えよう”という目論見でありますが、インディアンたちの、自分たちの文明を語る力強さが、西洋文明を超える“もうひとつの文明”の可能性として示されているのだと思います。
以下同書より全文引用します。かっこ内も同書のもの。
*****
(引用ここから)
われわれは、コロンブスの玄玄祖母が生まれるはるか以前から全西半球を所有していたのである。
すでにわれわれのものである土地の問題について、近年われわれの所に来たばかりの白人にたずねる必要はない。
この土地は売ったり貸したりするためにあるのではない。
この土地はわれわれの聖なる大地である。
我らの真の兄弟(いつか必ず別れた「白い兄弟」に会うというホピの伝説)は、まだやって来てはいない。
合衆国政府はその創設以来、われらの所有するすべてのものを、強制や宥和や詐術や、時には呵責なく殺すことによって奪い、みずからを富ませてきた。
あなたがたの統治体系には、恐るべき、悪のなにものかがある。
なぜならこれらの統治の年々のあとでは、われわれはあなたがたの食卓からこぼれ落ちる骨やパン屑をなめているにすぎないからである。
北大西洋条約であれ何であれ、ホピインディアン帝国はいかなる条約にも、外国にも拘束されることはない。
合衆国憲法も諸法も、なんらホピの同意を得て作られたものではなく、われわれは当然それらに拘束されることはない。
われわれは、われら自身の道でみずからの運命を決定しようと思う。
われわれは、われらの弓矢を誰にも向けようと思わない。
われらの伝統と宗教教育は、いかなるものをも傷つけ、殺し、苦しめることを禁じている。
したがって、われわれはわれらの子弟が戦争のための殺人者となり、破壊者となる訓練を強制させられることに、強く反対する。
ホピ帝国は今もなお存続している。
その伝統的な道は破壊されず、その宗教的秩序は完全であり、また実践されており、ホピ帝国の境界が記された石板は、いまなおオライビやホテヴィラ(独立単位としての村むら)の首長たちの手にある。
ホピの統治形態は、宗教的・伝統的基盤の上にのみ、成立している。
この大地の生命の聖なる計画は、偉大なる精霊マサウウ(母なる大地の火と水、生と死の統治者)によってわれらのために整えられた。
この計画が変更されることはあり得ない。
我らには他のやり方はあり得ず、ただこの計画に従うのみである。
ここには他の未来はない。
この国土はホピ人民とこの国土に住む全インディアン種族の聖なる故郷である。
この国土を、
武器や殺人や他種族の所有の侵害によってではなく、
謙虚な祈りによって、
われらの伝統的、宗教的教育への服従によって、
そしてわれらの偉大なる聖霊マサウウへの忠誠によって守護することが、
ホピ人民に与えられた仕事である。
われわれはいかなる外国の権力や国家に対しても、我らの支配権を譲渡したことはけっしてない。
われわれは今もなお自らを支配する国家である。
われらの旗は、今もなお我らの国土にひるがえっている。
">
われわれは、あなた方がアメリカと呼ぶこの国土に、最初にやって来た人民として語っている。
そしてわれわれは、
宗教や言語や集会の自由を、さらには生命や政治的自由や幸福追求の権利を求めて、
われらの岸辺にやってきた最後の人民であるあなた方白人に、語っている。
今日われわれ、すなわちホピと白人とは、各自の生命の危機に直面している。
今日は人類史のもっとも危機的な時代であると予言されてきた時である。
いたるところで人民は困惑している。
いま我々が決定し、そして今からわれらがなすことが、各自人民の運命となるに違いない。
今やわれわれは、まさに審判の日について語っているのである。
ホピの出現の光のなかで、審判の日が近づきつつあり、それはホピ帝国で成就するであろう。
ホピの予言によれば、われわれ全世界の人類は、第4の世界の終末の淵にいる。
第一の世界に誕生した人類は火によって滅亡した。
第二の世界に生き延びた人類は氷によって滅亡し、
第3の世界に生き延びた人類は洪水によって滅亡した。
第四の世界は、戦争によって滅亡するであろう。
この戦争とは、物質的事物に対する精神の闘争であり、
唯一の権力、ただ一つの国家を創造すべく生き残る精神的な人々によって、
物質的事物は破壊されるにちがいない。
その時は、青い星の出現によって予告される。
その時ホピの村むらの広場で、恐ろしい青い星のカチーナ(霊をかたどる仮面装束の踊り手)の踊りが繰り広げられる。
それはホピの予言の成就の時であり、第四の世界の終末と、第五の世界への死と再生がなされる時である。
第五の世界を担うのは、小さな国々、
小さな諸部族、少数民族など、貧しい人民である。
あなた方は、来るべき第五の世界を、この地球そのものの中に読み取ることができる。
先立つ世界からの植物形態は、種子となって飛び散り始めている。
それを読み取るほど賢くあるならば、人々は新しい植物学の研究をはじめるべきであろう。
同じ種類の種子たちは、星星となって天空に振り播かれつつある。
同じ種子達は、われわれの心の中にも振り播かれつつある。
これらすべての種子は同一であり、あなた方のそれらについての見方と不可分である。
それが次の世界、つまり第5の世界への生誕をなさしめる何ものかである。
以上がホピのもっとも重要な九つの予言を形成するものである。
9つの予言は9つの世界の創造と結びつく。
すでにわれらが生きてきた3つの過ぎ去った世界、現在の第4の世界、未知の3つの世界、そして最後に、創造主タイオワの世界と、その甥のソッツナングの世界である。
それらの世界がどのようなものか、まだ誰も知らない。
(引用ここまで)
*****
wikipedia「北大西洋条約」より
北大西洋条約(North Atlantic Treaty)は、北大西洋地域における集団安全保障条約。NATO条約、ワシントン条約(作成地ワシントンD.C.に因む)ともいう。
条約の根幹は、いずれの加盟国に対する攻撃も全加盟国に対する攻撃とみなし、防衛協力を行うことにある。
北大西洋条約機構(NATO)は、この条約に基づいて結成されたものである。
冷戦下でのソ連の軍事的脅威に対抗するために、1949年4月にアメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ノルウェーなど12カ国の間で締結された。
締結当初は、共産主義陣営に対するものであったが、ソ連崩壊後に東欧諸国も加盟し、幅広い集団防衛条約となっている。
スピーチが収録されている北沢方邦編「シリーズプラグを抜く・近代知の反転」(1983年)には、「ホピの予言」というタイトルで、ホピ族から米大統領にあてた返書も載っています。
これは戦後まもない1949年に出されたホピ族の公式文書です。
居留地での鉱物資源の採掘に同意しないこと、NATOが締結されてもホピはいかなる国家とも対立しないことなどが述べられています。
“近代知の反転”とは、“近代的西洋文明の限界を超えよう”という目論見でありますが、インディアンたちの、自分たちの文明を語る力強さが、西洋文明を超える“もうひとつの文明”の可能性として示されているのだと思います。
以下同書より全文引用します。かっこ内も同書のもの。
*****
(引用ここから)
われわれは、コロンブスの玄玄祖母が生まれるはるか以前から全西半球を所有していたのである。
すでにわれわれのものである土地の問題について、近年われわれの所に来たばかりの白人にたずねる必要はない。
この土地は売ったり貸したりするためにあるのではない。
この土地はわれわれの聖なる大地である。
我らの真の兄弟(いつか必ず別れた「白い兄弟」に会うというホピの伝説)は、まだやって来てはいない。
合衆国政府はその創設以来、われらの所有するすべてのものを、強制や宥和や詐術や、時には呵責なく殺すことによって奪い、みずからを富ませてきた。
あなたがたの統治体系には、恐るべき、悪のなにものかがある。
なぜならこれらの統治の年々のあとでは、われわれはあなたがたの食卓からこぼれ落ちる骨やパン屑をなめているにすぎないからである。
北大西洋条約であれ何であれ、ホピインディアン帝国はいかなる条約にも、外国にも拘束されることはない。
合衆国憲法も諸法も、なんらホピの同意を得て作られたものではなく、われわれは当然それらに拘束されることはない。
われわれは、われら自身の道でみずからの運命を決定しようと思う。
われわれは、われらの弓矢を誰にも向けようと思わない。
われらの伝統と宗教教育は、いかなるものをも傷つけ、殺し、苦しめることを禁じている。
したがって、われわれはわれらの子弟が戦争のための殺人者となり、破壊者となる訓練を強制させられることに、強く反対する。
ホピ帝国は今もなお存続している。
その伝統的な道は破壊されず、その宗教的秩序は完全であり、また実践されており、ホピ帝国の境界が記された石板は、いまなおオライビやホテヴィラ(独立単位としての村むら)の首長たちの手にある。
ホピの統治形態は、宗教的・伝統的基盤の上にのみ、成立している。
この大地の生命の聖なる計画は、偉大なる精霊マサウウ(母なる大地の火と水、生と死の統治者)によってわれらのために整えられた。
この計画が変更されることはあり得ない。
我らには他のやり方はあり得ず、ただこの計画に従うのみである。
ここには他の未来はない。
この国土はホピ人民とこの国土に住む全インディアン種族の聖なる故郷である。
この国土を、
武器や殺人や他種族の所有の侵害によってではなく、
謙虚な祈りによって、
われらの伝統的、宗教的教育への服従によって、
そしてわれらの偉大なる聖霊マサウウへの忠誠によって守護することが、
ホピ人民に与えられた仕事である。
われわれはいかなる外国の権力や国家に対しても、我らの支配権を譲渡したことはけっしてない。
われわれは今もなお自らを支配する国家である。
われらの旗は、今もなお我らの国土にひるがえっている。
">
われわれは、あなた方がアメリカと呼ぶこの国土に、最初にやって来た人民として語っている。
そしてわれわれは、
宗教や言語や集会の自由を、さらには生命や政治的自由や幸福追求の権利を求めて、
われらの岸辺にやってきた最後の人民であるあなた方白人に、語っている。
今日われわれ、すなわちホピと白人とは、各自の生命の危機に直面している。
今日は人類史のもっとも危機的な時代であると予言されてきた時である。
いたるところで人民は困惑している。
いま我々が決定し、そして今からわれらがなすことが、各自人民の運命となるに違いない。
今やわれわれは、まさに審判の日について語っているのである。
ホピの出現の光のなかで、審判の日が近づきつつあり、それはホピ帝国で成就するであろう。
ホピの予言によれば、われわれ全世界の人類は、第4の世界の終末の淵にいる。
第一の世界に誕生した人類は火によって滅亡した。
第二の世界に生き延びた人類は氷によって滅亡し、
第3の世界に生き延びた人類は洪水によって滅亡した。
第四の世界は、戦争によって滅亡するであろう。
この戦争とは、物質的事物に対する精神の闘争であり、
唯一の権力、ただ一つの国家を創造すべく生き残る精神的な人々によって、
物質的事物は破壊されるにちがいない。
その時は、青い星の出現によって予告される。
その時ホピの村むらの広場で、恐ろしい青い星のカチーナ(霊をかたどる仮面装束の踊り手)の踊りが繰り広げられる。
それはホピの予言の成就の時であり、第四の世界の終末と、第五の世界への死と再生がなされる時である。
第五の世界を担うのは、小さな国々、
小さな諸部族、少数民族など、貧しい人民である。
あなた方は、来るべき第五の世界を、この地球そのものの中に読み取ることができる。
先立つ世界からの植物形態は、種子となって飛び散り始めている。
それを読み取るほど賢くあるならば、人々は新しい植物学の研究をはじめるべきであろう。
同じ種類の種子たちは、星星となって天空に振り播かれつつある。
同じ種子達は、われわれの心の中にも振り播かれつつある。
これらすべての種子は同一であり、あなた方のそれらについての見方と不可分である。
それが次の世界、つまり第5の世界への生誕をなさしめる何ものかである。
以上がホピのもっとも重要な九つの予言を形成するものである。
9つの予言は9つの世界の創造と結びつく。
すでにわれらが生きてきた3つの過ぎ去った世界、現在の第4の世界、未知の3つの世界、そして最後に、創造主タイオワの世界と、その甥のソッツナングの世界である。
それらの世界がどのようなものか、まだ誰も知らない。
(引用ここまで)
*****
wikipedia「北大西洋条約」より
北大西洋条約(North Atlantic Treaty)は、北大西洋地域における集団安全保障条約。NATO条約、ワシントン条約(作成地ワシントンD.C.に因む)ともいう。
条約の根幹は、いずれの加盟国に対する攻撃も全加盟国に対する攻撃とみなし、防衛協力を行うことにある。
北大西洋条約機構(NATO)は、この条約に基づいて結成されたものである。
冷戦下でのソ連の軍事的脅威に対抗するために、1949年4月にアメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ノルウェーなど12カ国の間で締結された。
締結当初は、共産主義陣営に対するものであったが、ソ連崩壊後に東欧諸国も加盟し、幅広い集団防衛条約となっている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます