始まりに向かって

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卍、あるいは十字架の起源・・「蛇と十字架」(1)

2013-06-11 | 古代キリスト教



「蛇と十字架」という安田喜憲氏の本を読んでみました。

「十字架は蛇の変形である」という、面白い説です。

リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。


             *****

           (引用ここから)


私が1991年に「大地母神の時代」を書いたきっかけは、山形孝夫著「レバノンの白い山」を読んだことにある。

その本には、次のようなことが書かれていたのである。


「紀元1世紀から2世紀は、地中海世界に初期キリスト教が最初に浸透する時代にあたっていた。

当時の地中海世界では辺境の地にすぎないパレスチナで誕生した、素性の知れないキリスト教が、文明の中心地に拡大浸透していくためには、病気を治し、奇跡を起こす神としての性格を強調しなければならなかった。

しかしすでに地中海世界には、アスクレビオス神という強力な病気治しの神がいた。

そしてその神の象徴は、「蛇」だった。


キリスト教が地中海世界に浸透していくためには、このアスクレビオス神と戦わなければならなかった。

キリスト教徒は、「蛇」を象徴とするアスクレビオス神と戦い、ついに勝利を手にする。

キリスト教徒は「蛇」を殺しアスクレビオスの神殿を焼き払い、地中海世界の支配者となった。

私はこの本を読んで初めてキリスト教が担わなければならなかった暗い闇を知った。



1989年の秋、私はシリアのアレッポの考古学博物館で、奇妙なものをみつけた。

それは2匹の蛇が絡まり合って、大木のようなものを取り巻いている彫刻であった。

そして絡み合った2匹の蛇は、最後に鎌首をもたげてキスをしているのではないか?


説明文には「5000年前のマリ遺跡から出土した」と書いてあった。

さらにこの絡み合った2匹の蛇を抽象化した波型の模様は、土器など至るところに造形されていた。

いったいこの2匹の絡み合った蛇は何を意味するのだろう、とずっと考えていた。


吉野裕子先生はそのご著書「蛇」でこんなことを書いておられる。

「日本の縄文中期の土器の中で、常に注目の的になるのは、生々しく活力にあふれた「蛇」の造形である。

この縄文人が「蛇」によせた情念、信仰にまで高められた思いの源はどこに求められるのか?

それは「蛇」の形態がなによりも男性を連想させることにある。

縄文土器の「蛇」が躍動するのは、「蛇」によって象徴される、縄文人の性に対する情念の表現に他ならない。」


その吉野先生にお会いした時、私の疑問に対して、こう言われた。

「安田さん、しめ縄は、じつは「蛇」なのですよ。そう、絡まって交合している雄と雌の「蛇」なのですよ。」


私の謎は、吉野裕子先生の一言で明快に解けたのである。

マリ遺跡から出土した2匹の絡み合った「蛇」が、大木のようなものを取り巻いているのは、しめ縄と同じく、雄と雌の「蛇」が交合している状態を表わしているものだったのだ。

シリアのアレッポ博物館で見た5000年前の2匹の絡み合った「蛇」の彫刻と、日本のしめ縄は、こうしてしっかりと赤い糸で結ばれたのである。


土器につけられた波状型の文様は、メソポタミア地方のみではなく、トルコ、ギリシア、イタリアなど、古代地中海世界に広く見られるものである。

巨大な神殿をつくり、数々の彫刻を残し、金属器を携えていた古代メソポタミアや地中海世界の人々と、古代の日本人が抱いていた世界観は、実は極めて類似したものであった。

物質文明のレベルでは、古代のシリアと日本とでは月とすっぽん以上の隔たりがある。

しかし人々の抱いていた世界観は大変よく似ていたのである。


                  (引用ここまで)


                     *****



こういう本を読むと、人間とは、不思議な生き物だなあ、と思わずにいられません。

安田氏や、吉野氏のご意見が、100パーセント正しいものであるのかどうかはわかりません。

いったいどのようにしたら、それを証明することができるのだろうか、と思うばかりです。

しかし、これらの人々が捉えている(あるいは、囚われている)奇妙な観念は、もしかしたら正解なのかもしれません。


爬虫類である「蛇」と、哺乳類である人間の間に、いったい如何なる因果があるのだろうか?。。

人類の「蛇」への畏敬の念は、哺乳類が持つ、祖先としての爬虫類の記憶かもしれません。

地球の覇者は、本当は今も爬虫類なのかもしれません。

「爬虫類は哺乳類に進化をとげた」というのは、人類の記憶の誤りで、もしかしたら、爬虫類から哺乳類への移行は、退化なのかもしれません。

人間が「神」という概念を保持し続けてきたのは、「爬虫類こそが神なのだ」という思い(あるいは、事実)を伝えたい一心からであったのかもしれません。



wikipedia「アスクレーピオス」より


アスクレーピオスは、ギリシア神話に登場する名医である。

ラテン語ではアイスクラーピウスという。長母音を省略してアスクレピオス、アスクラピウスとも表記される。

優れた医術の技で死者すら蘇らせ、後に神の座についたとされることから、医神として現在も医学の象徴的存在となっている。

ユーロ導入まで発行されていたギリシャの旧10000ドラクマ紙幣に肖像が描かれていた。


神話

アスクレーピオスはアポローンとコローニスの子。

コローニスはテッサリアのラピテース族の王プレギュアースの娘で、アポロンは一羽のカラスを使いとしてコローニスとの連絡係にしていた。

このカラスは言葉を話し、その羽は純白だった。

あるとき、カラスがコローニスの浮気を告げたために、怒ったアポローンはコローニスを矢で射殺した。

このカラスの報告は道草を食っていた言い訳に付いた嘘だったという説と、カラスがうっかり者で早とちりをしたという説がある。

いずれにしても、アポローンはカラスを罰して言葉を取り上げ、白い羽を真っ黒に変えた。

このカラスの姿が現在のからす座である。

一説には、からす座のすぐ近くにコップ座があるにもかかわらず、そのくちばしは永遠にコップの水に届かないという。

コローニスは身ごもっていることを告げて死んだため、アポローンは胎児を救い出してケンタウロスの賢者ケイローンに養育を託した。

この胎児がアスクレーピオスである。

ケイローンのもとで育ったアスクレーピオスは、とくに医学に才能を示し、師のケイローンさえ凌ぐほどであった。

やがて独立したアスクレーピオスは、イアーソーン率いるアルゴー船探検隊(アルゴナウタイ)にも参加した。

その医術の技はますます熟達し、アテーナーから授かったメドゥーサの右側の血管から流れた蘇生作用のある血を使い、ついに死者まで生き返らせることができるようになった。

アスクレーピオスはアテーナイ王テーセウスの息子ヒッポリュトスを蘇らせたという。

冥界の王ハーデースは、自らの領域から死者が取り戻されていくのを“世界の秩序(生老病死)を乱すもの”とゼウスに強く抗議した。

ゼウスはこれを聞き入れ、雷霆をもってアスクレーピオスを撃ち殺した。

逆に収まらなかったのは子を殺されたアポローンであった。

ゼウスに対して直接の非難はできなかったため、アポローンはゼウスの雷霆を作っていた巨人族で一つ目のキュクロープスたちを腹立ち紛れに皆殺しにしたという。

アポローンはゼウスに罰せられ、テッサリアのペライの王アドメートスのもとで羊飼いとして家畜の世話をさせられたという。

アスクレーピオスは、死後天に上げられてへびつかい座となり、神の一員に加わったとされる。


医学の守護神

古代ギリシアにおいては、病院を「アスクラピア」と呼んだ。

アスクレーピオスの子どもたちはいずれも医術にかかわっており、息子にはともに医学の知識に長け、トロイア戦争で活躍したマカーオーンとポダレイリオスが、娘には衛生を司るヒュギエイアや治癒を司るパナケイアがいる。

ヒポクラテスは彼の子孫であるとも言う。


アスクレーピオスの杖

杖にヘビの巻きついたモチーフは「アスクレーピオスの杖」(蛇杖)と呼ばれ、医の象徴として世界的に用いられている。



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