目の前の山脈を越えれば、そこはすぐにも、アドリア海を望む。
そしてそこからは、あの憧れの中世都市ドゥブロ二クが真近だ。
そう思い、心が弾んだ矢先、これから正にその最後の峠をこれから下ろうという
所がちょうどカーブになっていて、そこに折悪しく、故障車のオイルが何十mにもわたって
流れていたのだから、堪らない。 それもちょうどカーブで見えなかったところへ、
目の前を走るタンクローリーと乗用車を追い抜いたばかりで、スピードが出ていただけに
たまらず勢いよく横転。
「あっ、しまったー!」と思わず、口をついてほとばしった。
バイクは50m以上、僕も20mぐらいすっ飛ぶ。
身体が転がり、止めようと思っても止まらない。
バイクの方はと見ると、バンパーが路面に擦れて、火花を上げて滑っていくのが見える。
幸いにも対向車が無かったので助かったが、バイクも僕も反対車線にまですっ飛んだのだから、
本当にラッキーこの上なかった。
しかしバイクは路面を覆っていた故障車のオイルがべったり。
この身もそのオイルにまみれ見られた姿でない。
その上、転んだ時、足のくるぶしを骨折(ヒビ程度だが)したらしく痛む。
インドに上陸して以来始まったこのバイクの旅、これで何回転倒しただろうか?
それでもラッキーなことに怪我にまでは至らなかったっが、今回ここで初めて負傷したわけだ。
インドは公立病院は無料だったが、ここユーゴではどうか分からない。
そんなこともあって、、痛みをこらえて、手当無しでそのまま旅を続けた。
そしてそれは予想が当たり,その後、気が付いたらいつの間にか治っていたようである。
問題はやはり以前の時のように、ベッタリと付いたオイルの汚れを取ることであった。
こんな事故があって、これからのユーゴスラビアの旅は油断ならないと、ここでも感じさせられたのであった。
次回に続く!
ユーゴスラビア編では残念ながら、自前の写真がない。 それはユーゴに入って早々にフォグランプを
盗まれたから、すっかり泥棒恐怖症になってしまったのだ。
それでカメラは旅に欠かせないある意味一番大切なものなので、荷物の奥にしまい込んだのだ。
それに、フィルムの残りも少なくなり、倹約したいという思いもあった。
というわけで、この写真は無料サイトから厚かましくもお借りしたものです。
それにしても、シャッターチャンスといい、上手いものですね。