教団「二次元愛」

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ローン特約で手付金を取り返そう

2014-08-03 23:12:00 | 経済/経済/社会
不動産を借金して買うと、銀行からローンを引っぱってきてその銭で補てんして買うということになる。

まず不動産の購入の申し込みをして手付金を払う場合、
「ローンが通らなかったら白紙撤回してもいいですよ。手付金も全額かえします」
という文面がついたもので契約する場合が多い。

通称これをローン特約という。
ふつうはこっちの事情で白紙撤回する場合は手付金を放棄して解約となるが、その手付金も全額かえってくるところがミソである。

この特約は宅建業者が入れなければならないものではないが、マトモな業者なら必ず入れると思われ、逆に入れていない業者からは買わないほうが得策である。

さてこのローン特約、いったいどこまで白紙撤回できるのだろうか?



[ケース1]
第一希望の金利の低いA銀行は断られたが、業者がみつけてきた金利のやたら高いB銀行なら融資してくれることがわかった場合。

モデルケースとしては、住宅ローン1%で貸すと宣伝している都銀に断られ、スルガ銀行なら融資してくれるとは言っているらしいが、よくよく聞いてみたら4.5%なら貸すというボッタクリな条件だった…という場合だ。

これは契約書の文面からいえば、解約すると手付金を没収される。
ただ実務的には相談に応じてくれる場合がある模様。

そもそもスルガ銀行から借りてしまうと、
「こいつスルガ銀行からしか借りられないようなヤツなのか…。こいつ何かあるな」
と金融機関から要注意人物とされてしまうので、可能なかぎりやめといたほうが良い。
しかも4.5%なんて金利で借りて元がとれる物件なんて今のご時世存在しないので、そんな無理して買うのはやめといたほうが良いと言っておく。

いちばんの防衛策としては、
「ローンのあっせんもお願いしたいのだが、ふだんどこの銀行を紹介していますか?」
と不動産屋に聞き、そこでスルガ銀行なんて答えるヤツとは取引しないとことが望ましい。

ついでにいうと。
投資マンションの世界では、
「買うかどうかはともかく、試しに金融機関にローンの審査を出してみましょうよ?」
なんて気軽に言うキャッチセールスの営業マンがたくさんいる。
だが、ローンの審査は3つ目から極端に通りにくくなるので絶対やめたほうがいい。
(どうやら金融機関が個人の信用を調査するデータベースに他の銀行のアクセスした履歴が残るらしく、いろんな銀行が短期間にアクセスしているヤツは「こいつ何かあるな…」と思われてローンが通りにくくなるらしい)



[ケース2]
貸してはくれるが、予定していたよりたくさん頭金を要求された場合。

低金利で貸してくれる銀行の場合、新築や築浅でも3割の頭金を要求される場合がある。
築古になると市場価格から乖離した破格に安い評価額を出され、がっつり頭金を入れなければならなくなることがある。

なんでたくさん頭金を要求されるかというとだな・・・。
これはローンの保証会社の査定額で決まるので、銀行に言って
「事前審査ならOKだって言ってくれたのに、なんで今になって手のひらをかえしたことを言うんですか! そんなことされると困ります!!」
なんて言ったところで
「いや、保証会社の査定額がこの額だからですよ」
と言われるだけでどうしようもない。

このケースは不動産屋としては”ローンが通る”とみなすので、解約すると手付金を没収される。



[ケース3]
リフォームして使おうとしたのにリフォーム予算までローンが降りなかった場合。

2007年のプチ不動産バブル時代ならオーバーローン(物件の購入金額よりもたくさん貸してくれるローン)も通ったが、今はほとんどはリフォーム予算までローンは下りないか、別口の金利の高いリフォームローンを紹介される。
ただ、りのべるを通すと、リフォーム予算まで含めたローンを引っぱってこれる場合もある模様。

これも不動産屋としては”ローンが通る”とみなすので、解約すると手付金を没収される。

裏ワザとして業者がリフォームを済ませた物件を買うという方法(物件価格にリフォーム費用が含まれていて外からは見えない)もあるが、うまくやらないとそのほうがかなり高くつく。

ってか、オーバーローンがまかり通る時期になったらもう不動産は買ったら損する時期になっているからやめといたほうが無難。



[ケース4]
希望の期間のローンが降りなかった場合。

長いほうでいえば、新築や築浅ならば35年ローンが通るが、築古は築35年までの残りの年数しかローンが通らないことがある。
築10年の物件に35年ローンが通るのに築20年の物件は15年までしかローンが通らないのだからフシギだ。
買うときには、不動産屋の言うことをうのみにせず、あらかじめその長さのローン(ようするに月々の支払額が増える場合)でも自分が返せるどうかを自分で見積もっておかないと痛い目にあう。
ただ最近は築古でも長期で貸してくれる銀行が増えつつあるらしい。

短いほうでいえば、金融機関から
「あんまり短いと俺たちが儲からないのでせめて15年以上にしてくれ」
と言われることがあるが、頻繁に繰り上げ返済すればほぼ同等になるのでそれほど問題にはならない。

これも不動産屋としては”ローンが通る”とみなすので、解約すると手付金を没収される。



[ケース5]
共担を断られた場合。

共担とは共同担保のことで、担保として差し出せる不動産を複数持っているから銭を貸せという場合である。
事業をやっていて1億円以上借りる場合は根抵当でそれをやる場合もあるようだが、個人の場合はふつうやらないので、これは相談するだけムダである。

購入したい物件の査定額が0円でローンが通らないなら手付金が返ってくる解約なのでまだ良いとしても、スルガ銀行なら共担やると言う。
なのでヘタするとケース1に準ずる条件になってしまう場合があり、解約時に手付金没収になりかねない。



[ケース6]
相手が「履行に着手した」からというリクツで違約金20%を要求してくる場合。

ほとんどの場合、手付は解約手付といって、買うほうは手付を放棄することで解約できるような契約になっている。
こうなっているかどうかは契約書を熟読のこと。

ただしこれには例外がいくつかあって、たとえば相手が「履行に着手した」ときは手付放棄の解約はできず、ほとんどの場合は違約金20%を要求されるという契約になっている。

ここでいう「履行に着手した」というのがミソである。
これは、今まさに所有権移転登記を申請しようとして法務局に出頭したのに買い手が現金持って現れなかった…というくらいギリギリの状況でないと「履行に着手した」とは解釈されない。
なので少なくとも登記予定日の前日までに到着するように内容証明で手付放棄の解約の意思を伝えれば大丈夫だと思われる。

ただ悪徳業者は買い手の無知につけこんで「物件の調査に着手していて既に出費している」ことを「履行に着手した」と答える場合がある。
この場合は内容証明送り付けたうえで国土交通省にチクればその業者は業務停止処分になるので、それを盾に戦えば絶対勝てる。

実務的には、違約金20%を請求するような場合とは、
「所有権移転登記をしたのにお金を払う気配がないというような、よっぽど悪質な客でないとまずやらない」
とのこと。



[ケース7]
こっちに借金があるのを隠して申し込んだことを理由に手付金没収だと言いだした場合。

こっちに借金があるかどうかは金融機関が業者のデータベースへアクセスすればすぐにわかるようにできている。
なので銀行としては借金があるのを隠して申し込んできたかどうかはそれほど重要な問題ではない。

道義的にはそれで手付金没収だと言われてもしかたがないような気もしてくるが、単にこれでローンが通らないだけなら解約しても手付金は戻ってくる(そういうローン特約になっていれば)。
この場合も内容証明送り付けたうえで国土交通省にチクればその業者は行政処分になるので、それを盾に戦えば絶対勝てる。

なお、カードローンがあるから貸してくれないというわけでもなく、
「今あるカードローンを今すぐ一括返済するなら貸してやる」
というケースもあるらしい。
それを逆手にとって、不動産屋と共謀してカードローンの残高分だけ物件価格を余分に釣り上げたうえで差額をキャッシュバックしてもらい、その銭でカードローンを一括返済するという裏ワザもある模様。



[ケース8]
こっちの都合で解約したいが、それで手付放棄するにしては手付金が多額でもったいない場合。

ほとんどの場合ダメだが、1つだけゴネたらうまくいく場合がある。

業者が手付金を受け取る場合、一定額以上だと、あらかじめ手付金の保全処置をしておいて、その保全処置をしたという書類をあらかじめ渡しておかないと手付金を受け取ってはいけない(実務的には契約の場で同時に交換)ことになっている。
一定額以上とは、未完成物件だと5%か1000万円以上、完成物件だと10%か1000万円以上である。

その一定額以上の手付を支払ったにもかかわらず手付金保全処置の書類をくれなかった場合、国土交通省にチクれば行政処分になるので、それを盾におどかせば手付倍返しで向こうから解約を申し出てくれるかもしれない。
たぶん業者は
「手違いでやっていませんでした」
と言い訳をしにくるだろうが、そこで引き下がってはダメである。

ちなみに実務的には中古物件の手付金は5%くらいの切りの良い値にするのが相場である。
未完成物件の場合、手付金とは別名義で中間金という名の金銭を要求される場合があるが、その場合も保全処置の対象になる(名義が手付金かどうかにはかかわらない)。
完成物件の場合にはたいした額でもないのに保全処置をしないといけないのはめんどうなので、ふつうは10%以上にはまずならない。
完成物件にもかかわらず保全処置のいるような多額の手付金を要求する業者がいたとしたら、そいつはあやしいから切ったほうが良い。

なお、
「ATMで一括で降ろせないかもしれないから手付金を減額してほしいんだけど?」
といったら半額までまけてくれたことはあるし、
「手付金いくらがいい?」
と逆に聞かれたので
「できるだけ安くして」
といったら2%代になったこともある。