『八甲田山死の彷徨』(新田 次郎著/新潮文庫)
日露戦争前、厳しい寒さの中での寒地装備をどのように
なすべきかを検証するために行われた冬の八甲田山行軍。
2つの部隊が逆方向から進んでいったが片方は完全走破し
もう片方は遭難、199名の死者を出すに至った経緯が
詳しく書かれています。
指揮系統の勝手な委譲が全ての原因でこれほどまでの
大惨事に繋がってしまった。
登山ではよく言われることですが、「引き返す勇気」も
必要であるし、勇敢な判断となることを教えてくれています。
新田次郎氏の文章は自分に合っているのか、読みやすいし
すーっと心と頭に入ってきます。
感動する言葉を使っているわけでもないし、ストーリーが
面白いわけでもなく、事実を事実のまま伝えているのですが
文章に惹きつけられますね。