ごまめの歯ぎしり・まぐろのおなら

サンナシ小屋&京都から世界の愛する人たちへ

鼻曲山のカモシカ

2008-06-17 | 花と自然
さすがにこう暑くなると1000m以下の低山ではつらいだろうと、1533mの鼻曲山に登ることに決めた。浅間山の展望が素晴らしいと言うことと、トガクシショウマの花が見られるというのを知って、是非とも見たいと思ったためだ。まだ見たことのない花だし、写真で見るその風情は素晴らしい。梅雨の晴れ間を見つけて今日決行だ。

 軽井沢の近くなので朝早く家を出て高速道路で信州をめざす。高速出口の松井田妙義は思ったより近かった。自宅から2時間。
   ・・・母さん、僕のあの帽子、どうしたでせうね?  
   え、夏碓氷から霧積へ行くみちで、
   渓谷へ落としたあの麦わら帽子ですよ。
西条八十の作った詩と森村誠一の小説「人間の証明」で有名になった霧積温泉に向かう曲がりくねった狭い行き止まりの途を進む。

 霧積温泉きりづみ館の前に車を置いて、登り始める。トガクシショウマの花だけではなくいろんな花の写真を撮ろうと身構えて登り始めたが、どうやら当てが外れてしまった。ほとんどの花は終わってしまったか、夏の花はまだ蕾もついていない。シロバナノエンレイソウも楽しみにしていたのだが、たくさんある株のほとんどすべてがすでに種を付けている。緩やかな登りが続く登山道の脇で、それでもクワガタソウ、ツマトリソウ、マイヅルソウ、タニギキョウなどが寂しく咲いている。でも素晴らしいギンリョウソウの花を見ることができたのが収穫だった。

 頂上近くでかなり厳しい登りがあったが、それも20分くらい。あっというまに頂上に着いてしまった。頂上の大天狗は見晴らしが悪い。5万分の1の地形図では頂上は1533mとなっているが、頂上の標識では1654mになっている。100mも違うのはどうしたことだろうか。でも私の腕に付けている高度計では1550m付近を指している。頂上付近ではすでに終わってしまったヤマツツジ、トウゴクミツバツツジ、ヤシオツツジなどに代わって、オレンジ色のレンゲツツジが今まさに咲き始めていた。サラサドウダンツツジも花盛りだ。



 頂上の大天狗から少し下がった小天狗は360度の眺望が楽しめた。すこし霞が掛かっていたが、浅間山の雄大な裾野のすべてが見渡せた。妙義山のノコギリのような岩の峰々がはるか下の方に見える。この頂上付近の北側斜面にトガクシショウマの花が見られるというのでしばらくウロウロと探し回ったが、結局見つけることはできなかった。もう花は終わったのだろうか。残念だ。でもこの山にはマダニが多いとも聞いている。あまり藪の中をウロウロするのも心配で、早々にあきらめてしまった。



 帰路について下り始めた頃、林の中を歩くカモシカを見つけた。あわててカメラを取り出したが、とくに急いで逃げ出す様子も見せず、こちらを興味深そうに見つめている。カメラを構えると少し視線をそらせて歩き始めたが、すぐまた立ち止まってこちらを見ている。カモシカはシカと名前がついているがシカとは縁遠いグループに属し、寧ろ牛に近い。カモシカのような脚というのはアフリカあたりにいるオリックスのようなカモシカのことで、ニホンカモシカは牛か山羊のような感じ。シカが群れを作って明るい草原で餌を食べているイメージがあるのに対して、カモシカは岩山やくらい林の中で一人でじっとたたずんでいるというイメージがある。暗い。孤独。一人で山を歩きたがる私はカモシカのような人間なのかもしれない。



 霧積温泉に帰り着いて、評判の六角の湯船につかり、疲れを取った。ここは初めて入る温泉だ。360湯くらいまでは数えていたが今は何湯目かは定かではない。おそらく375ヶ所くらいだろうか。いいお湯だった。六角の湯船とその建物の明治時代の木造でありながら洋館風の作りが好もしい。窓から見えるのはどちらを向いても緑みどりの葉っぱばかり。花は少なく少し歩き足りない山だったが、いい山行になった。
 

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (プカプカ)
2008-06-21 00:49:29
比呂志さんは他にもブログをお持ちだったんですね~
教えていただいてありがとうございます
私が登った時の写真と見比べると何か感慨深いものがあります。
一ヶ月で雪が溶けてしまうなんて、やっぱり浅間さんはあったかいのかな

> 暗い。孤独。一人で山を歩きたがる私はカモシカのような人間なのかもしれない。

単独行を選ぶ人それぞれ思いや動機があるものですね。
群れることを嫌うからといって比呂志さんが孤独で暗いとは私は思いませんよ

コメントを投稿