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ACOP鑑賞会に参加しました!

2014-12-29 | 作品

9月にビジネスパーソン向けのACOPセミナーに参加し、もうちょっと深く体験してみたいと思ったので、京都造形芸術大学のアートプロデュース学科が授業の一環でやっているACOPの鑑賞者として鑑賞会に参加させていただきました。11月から12月にかけて、2週間ごとに3回の実施です。

ACOP(Art Communication Project)とは上述の学科で、1回生の必修授業として行われている「対話を基本とした鑑賞教育」です。ここで学生さんたちは、自らが作品と豊かなコミュニケーションを図ることのできる主体的な鑑賞者になること、そして対話を通して作品と(一般的な)鑑賞者との間のコミュニケーションを促進し、新しい関係性を築くためのお手伝いをするナビゲーターとしての技術を学ばれています。

ここでも基本は、「見る」「考える」「話す」「聴く」。私たちは、学生さんがナビゲーターとして一生懸命練習されてきた成果を試す鑑賞会のいわゆる「観客」です。1回に4名のナビゲーターが登場し、12人による12作品を鑑賞しました。感想は、めちゃくちゃオモシロかったです!

参加した鑑賞者は20名ほど。まず作品をよ~く眺めて、印象を話すのですが、ホント、人によって同じ絵を見ていても、全然違う印象を受けるのだな~というのが、ビックリでした。たぶん、ナビゲートをしていた学生さんも、どんな意見が飛び出すやら、ドキドキだったのではないでしょうか…。

私が一番印象的だったのは、モネの「睡蓮」を取り上げたセッション。モネは晩年、睡蓮の絵をたくさん描いているので、有名なんだけど「この絵」という確信はない、イメージでとらえているところがありました。最初に絵をじっと見つめた時間は、あまりに有名な作品なので、私の中では「モネの睡蓮だわ」という認識以上に何も広がらなかったのです。

ところがセッションが始まると、皆さんおもしろいことをドンドンおっしゃるじゃあないですか!睡蓮が浮いている水面にしか見えないのに、絵の上部にある睡蓮は、あれは「月と雲」ではないか?とか、水面じゃなくて崖を流れている滝じゃないか?とか…。そう言われると、自分の「ゼッタイ」が揺らいできて、そう言われれば「雲」かも、あれは空だったのか?とか思えてくるから不思議!ささいな色味の違いも見逃さず、明るさが違うから時間の経過をあらわしているのではないか…という深遠な意見もあったり。

鑑賞者の皆さんが、実際「モネの睡蓮」をどれくらい認識されていたのかはわからないですが、確かに知らなければ、まず「睡蓮なのか?」から始まるわけです。ひとりの女性が、「あれはゼッタイ睡蓮です!だって私の見た風景とそっくりなんだもの!」とおっしゃったときは、モネの偉大さを改めて思い知りました。

これなどは、複数の鑑賞者がいたことによって視点が広がる(または、ひっくり返る?)おもしろさだな~と実感しました。ひとりの意見が他人へ影響を与え、そこで感じて言ったことがまた別の他の人へ影響を与える…。まさに水の波紋が広がるように、絵の体験が深まっていきます。この楽しさを知ってしまうと、美術館でひとりで鑑賞するのがさびしくなってしまうかも…。

取り上げられていた12作品は、絵画あり彫刻あり写真あり…、西欧の作品がほとんどでしたが日本画も1点。時代もそれこそ古代ローマのカラカラ帝から現代作品まで。作家は有名な方が多いけど、見たことのない作品が多かったです。けっこう謎めいていて、いっぱい話せそう…というのより、「う~、これで何を話すんや…」って作品の方が、展開がおもしろかった気がします。鑑賞者のメンバーによって話の展開も変わるでしょうし、ナビゲーターって大変でしょうね…。

長くなったので、また続きを書きたいと思います。



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