Con Gas, Sin Hielo

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「クリード チャンプを継ぐ男」

2016年02月14日 18時44分12秒 | 映画(2016)
サンライズ、サンセット。


「ロッキーザファイナル」からもう9年経っていたらしい。S.スタローンも70歳を迎えようとしている。

前作では老体に鞭打って、ぎりぎりリアリティを保つ脚本で戦ったロッキーであったが、さすがに今回彼が戦う相手は老いと病気だけだ。

代わりに、後継者としてリングに上がるのは、ロッキーにとって生涯のライバルであり親友であったアポロ・クリードの血を引いた子供、アドニスである。

本作の大きな特徴として、監督も脚本もスタローンではないことが挙げられる。良くも悪くもスタローン=ロッキーが全力で引っ張ってきた歴史を、破壊したり上書きしたりすることなく、穏やかにフェイドアウトさせている。

アドニスはアポロが遺した豪邸で育ったが、実は愛人の子供である。養護施設にいるところをアポロの妻・メリーアンに引き取られたという経歴だ。故に、貧困ではないが、父親に対しては複雑な感情を抱いている。

抗い難いボクサーの血が騒ぎ、アドニスは自分の存在意義を確かめるかのようにリングに引き寄せられる。そして、他界した父親を最もよく知る人物のもとへ足が向くのであった。

ドラマティックな設定に加えて、かつてのロッキーのように町外れからスターダムへ駆け上がる青年の姿が描かれる。当人の性格も時代背景も異なっていながら、時折薄くシンクロする場面があるところが興味深い。

ロッキーが指導役を引き受けるまでや、隣人のビアンカと仲良くなるまでが、とんとん拍子過ぎる感もあったが、完成度の高さを評価されているのは十分に理解できる。

本作でスタローンは、なんとアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたそうだ。これまで肉体派俳優と言われてきたが、彼が有する価値は肉体よりも顔やキャラクターの方が大であったということが証明されたのかもしれない。

(75点)
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