Con Gas, Sin Hielo

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「デッドプール」

2016年06月04日 22時37分42秒 | 映画(2016)
「クソ無責任」はいかにも苦しい形容詞。


R.レイノルズのデッドプールといえば、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」でおしゃべりな口を縫合されて悲惨な目に遭っていた印象が強い。

それがどのような形で主役になるのか興味があったが、なるほど悲惨な仕打ちを受けても肉体的にはほとんど堪えない型破りヒーローであった。しっかりと原作があるとはいえ、数年前の作品と違和感のない世界観に収める手腕は相変わらず見事なマーベルである。

で、今回は主役なのでとにかくよくしゃべる。これは実は字幕スーパーを要する洋画には不利であり、どれだけオリジナルの面白さを伝え切れるかが勝負となってくる。

さっそく冒頭に出演者を紹介する字幕からおふざけが入ってくるのだが、ここでは正直本篇に不安を感じざるを得なかった。英語と日本語の空気感の違いなのだろうか、さらっとした遊びをわざわざ翻訳することで途端に野暮ったくなる。これは本当に難しい。

しかしそこは作品の強さが次第に勝ってくる。観ているうちに慣れてくるのもあるかもしれないが、デッドプールのノリに引きずり込まれて自然に笑えるようになった。

やたらと重い運命を背負いがちなアメコミヒーローの中で、彼の底が抜けたような軽さはそれだけで個性である。もちろん彼にも過酷な運命があるのだが、それを越えてなお悪ガキのように振る舞うところが最大の魅力である。

ほかにもコメディベースということで映画の自由度が増して随分と得している。デッドプールがしばしばスクリーンのこちら側へ語り掛けてきたり、X-MENの関係者が2名しか出てこないことを製作費がなかったからと自虐したり。この手があれば弱点をむしろ押し出していけるのだから便利だ。

その調子で、エンドロールもマーベルでありながらマーベルのパロディともとれる演出をしている。次はもっとたくさんのミュータントと絡むことを期待しているが、双方の世界をどう馴染ませていくか非常に楽しみだ。

(80点)
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