ねじれた太い絆。
風になびくカーテン。断続的に聞こえる機械音。
一転するとトマト祭り。紅く潰れたトマトにまみれる主人公。祭りなのに何故かとても居心地が悪い。
目が覚めた主人公の周りは、日常の平静を装うも至るところに異常さのかけらが点在。紅のペンキが乱暴に塗りつけられた家の壁と車。突き刺すような周囲の人の視線。
家族の影はどこにもなく、この時点で「事件」の想像が粗方つく。
そこからは、「事件」に至る道のりをたどる。息子・ケヴィンが生まれる過程。生まれた瞬間から母親を疲労困憊させ続けるケビンの数々の所業。
子供は千差万別だ。同じ親から生まれても誰一人同じ人間にはならない。天使のような子がいる一方で、当然悪魔のような子がいる。
こんなはずじゃなかったのに。そう思うかもしれないが、子育てに万能な方策などない。
学校に通うような年代になってもおむつがとれないケヴィン。それでいながら、ことごとく母親に好戦的な態度をとる。父親には屈託のない笑顔を見せるのに。田中将大のような顔をした子役が憎々しく演じる。
もともと華奢なイメージのT.スウィントンだが、育児疲れでますますこけていく。そして、追い詰められながらも健気に立ち回っていた彼女を、とどめの「事件」が襲う。
想定内の展開。決定的な場面は見せない。それなのに、直視できない緊張感に満ちている。
救いようのない悪魔のわが子に母親は何ができるのか。かすかな光が見えたのは、皮肉にも事件から2年の時が過ぎてからであった。
「事件のときは分かっていたはずなのに、今は分からない」
母と子は、意識する必要もなく親子である。ケヴィンの場合、その無意識が母親に刃を向けていた。
母親以外を見ることができなかった世界から一歩を踏み出して、初めて自分の立ち位置を確認する作業に入った。
しかし、あまりに大きい代償に比べて、よかったと言えるほどでもない小さな希望。興味深い作品ではあるが、心身ともに元気なときに観ないととにかく疲れる。
(75点)
風になびくカーテン。断続的に聞こえる機械音。
一転するとトマト祭り。紅く潰れたトマトにまみれる主人公。祭りなのに何故かとても居心地が悪い。
目が覚めた主人公の周りは、日常の平静を装うも至るところに異常さのかけらが点在。紅のペンキが乱暴に塗りつけられた家の壁と車。突き刺すような周囲の人の視線。
家族の影はどこにもなく、この時点で「事件」の想像が粗方つく。
そこからは、「事件」に至る道のりをたどる。息子・ケヴィンが生まれる過程。生まれた瞬間から母親を疲労困憊させ続けるケビンの数々の所業。
子供は千差万別だ。同じ親から生まれても誰一人同じ人間にはならない。天使のような子がいる一方で、当然悪魔のような子がいる。
こんなはずじゃなかったのに。そう思うかもしれないが、子育てに万能な方策などない。
学校に通うような年代になってもおむつがとれないケヴィン。それでいながら、ことごとく母親に好戦的な態度をとる。父親には屈託のない笑顔を見せるのに。田中将大のような顔をした子役が憎々しく演じる。
もともと華奢なイメージのT.スウィントンだが、育児疲れでますますこけていく。そして、追い詰められながらも健気に立ち回っていた彼女を、とどめの「事件」が襲う。
想定内の展開。決定的な場面は見せない。それなのに、直視できない緊張感に満ちている。
救いようのない悪魔のわが子に母親は何ができるのか。かすかな光が見えたのは、皮肉にも事件から2年の時が過ぎてからであった。
「事件のときは分かっていたはずなのに、今は分からない」
母と子は、意識する必要もなく親子である。ケヴィンの場合、その無意識が母親に刃を向けていた。
母親以外を見ることができなかった世界から一歩を踏み出して、初めて自分の立ち位置を確認する作業に入った。
しかし、あまりに大きい代償に比べて、よかったと言えるほどでもない小さな希望。興味深い作品ではあるが、心身ともに元気なときに観ないととにかく疲れる。
(75点)
この作品、興味深いし面白かったですよね。
結局この子は最初から悪魔のように描いてたけど、
最後に
本当に求めていたのは母親の愛だったのか
そこもあいまいにしてあって逆によかったんですが、
原作ではどう描いて、
どちらを言いたかったのか知りたいなと思いました
さすがに妻がはっきり「嫌い」と言ったのは数えるほどですが、
娘とはとことん合わないみたいで、イライラしているのはよく見ます。
でも逆にそこまで特別な感情を持つのもやはり母子だなあと。
ケヴィンの場合も、愛を求めるなどではなく
母子の特別な感情が不幸にも歪んだ形でしか表に出なかったのだと理解しました。
そして最後にようやく特別な関係を客観視できる、
平たく言えば大人になったのではないでしょうか。
まあ、的外れかもしれませんが。
いろいろと考えさせられる作品でしたね。
母親は無条件で子供を愛するものだという思い込みが
この物語では全く通用しなかったのが興味深かったです。
原作も読みかけましたがその厚さと映画とは違う「饒舌さ」に
あまり好きになれずにとちゅうでやめています。
重さ,痛さ,不穏さ、追い詰められていく感じ・・・・
これらは圧倒的に映画の方が上のような気がします。
こちらの作品も、原作と映画のどちらから入るかで
かなり印象が分かれてくるということですね。
映画は、少年たちのたたずまいをはじめ、
居心地の悪さが全開でしたから、
その後で原作を読むと、
淡々と流れていくように感じられるのも分かる気がします。