Con Gas, Sin Hielo

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「GODZILLA 怪獣惑星」

2017年12月09日 22時50分42秒 | 映画(2017)
はめこみゴジラ。


1か月無料パスポート期間は、普段では観ないような作品にも足を運ぶことがある。今回もそうだ。

記録的なヒットとなった「シン・ゴジラ」から1年ちょっとで、敢えて設定の違うゴジラを作ったというのはどういうことなのか。

わが国のお家芸とも呼べるアニメーションと、世界に知られる日本のキャラクターであるゴジラというのは、ありそうでなかった組み合わせである。

本作のゴジラは、破壊神のイメージを更に拡大し、人類が地球を捨てざるを得なくなったという設定。「シン・ゴジラ」で国の首脳を一瞬で葬り去った悪魔の光線がまたしても絶望的な威力を発揮する。

地球を飛び出したはいいが、適当な移住先が見つからないまま20年が過ぎ、疲弊した宇宙船の乗組員たちは結局地球へ戻ることを決断する。宇宙旅行の間に時間の進行にズレが生じたはずだから、ひょっとしたら地球は再び人間が住める星になっているかもしれないという淡い期待があったのだ。

しかし、再び地球へ降り立った者たちが見たものは、1万年の間地球に君臨し続けたゴジラの新たな姿であった。

ゴジラに地球を支配された後を描くという時点で、これまでのゴジラ作品とは世界観が異なっているのだが、異星人が登場してきたのには驚いた。

その点を含めて、主人公側の人物設定が結構細かい。怪獣映画でもキャラクターを作り込むのは当然のことだが、本作は人間側を描く比重が随分大きかった気がした。

「シン・ゴジラ」もそういう意味では異質であった。ただ、「シン・ゴジラ」はわが国の危機管理を徹底的に掘り下げた脚本や演出が見事だったのだが、本作が熱心に語っているのは、登場人物の過去の出来事や相関関係といったものが主で、いまひとつ深みが出てこない。

これでは、地球規模の脅威に対して立ち向かう人間たちを描いた数多ある過去の作品の枠を超えることはなく、「なぜゴジラなの?」という疑問が湧いてきてしまう。シリーズものらしいので、今後必然性が整理されるかもしれないが。

そうは言っても、本作のゴジラ=GODZILLAの造形は素晴らしい。人間のキャラクターもシリアス調で丁寧に描かれているが、時間こそ少ないもののGODZILLAの場面は違う作品かと思うくらい細やかさが桁違いである。

地底の奥深くから這い出てきたような全身のゴツゴツ感、振り向かれれば己の死を確信せざるを得ないような心のない目など、無慈悲な裁きを下す絶対的存在の威厳をいかんなく発揮している。この姿だけでも一見の価値ありである。

(65点)
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