Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「ワールドウォーZ」

2013年08月11日 21時54分24秒 | 映画(2013)
ついに娯楽大作の舞台へ。


市民権を得たのははるか昔。今では全世界で様々なゾンビ映画が作られている(「桐島、部活やめるってよ」の映画では学生が作っていた)。

コメディも恋愛もなんでもござれのゾンビだが、実はシネコンの1ばん大きい箱で上映されるような大作って、せいぜい「アイアムレジェンド」くらいしかなかった。

「アイアム~」は大作だし面白かったのだが、W.スミスがひとりぼっちの世界という設定だったので、あまりスケールを広げる性質のものではなかった。

他方、本作は主役の国連職員OBジェリーにあのB.ピットを配し、とにかく金がかかった感が満載の作品に仕上がった。

わずかなほころびから感染症が爆発的に拡散し、街が一気に破壊されていく。「アイアム~」では描かなかった(描けなかった?)前日譚が、最大級の絶望感を携えて眼前に迫ってくる。

エルサレムに造られた巨大な壁が破られる光景は、不謹慎を承知で言えば巨大な構造物を越えて陸地を飲み込んだ津波のようであった。世の中には人間の知力が及ばないとてつもない存在があるのだ。

しかしジェリーは立ち向かう。それはすべての人類のため以上に、愛する家族のため。・・・って、この辺りの作り方が「娯楽大作」なのである。

もちろんご都合主義な部分も目立つ。数々の苦難に遭うジェリーの回復力が驚異的だったり、思わぬアクシデントに見舞われながらも、目的地から遠くないところに不時着していたり。

それでも、この世界観には萌える。

まず音で反応するゾンビというのがいい。物語の前半は、圧倒的なスピードで襲いかかり集団暴徒化した彼らが、獲物がいなくなり不自然な音がしなくなると、休眠状態となり、あの往年ののろのろゾンビと化すのである。

彼らに気付かれないように移動するジェリーたちの姿が、あるときからコントに見えてしようがなかった。「志村、うしろ!」って立場が逆だが。

そして何よりクライマックスだ。途中から展開は分かったが、それでも、爆発でも転落でもない要素で、あれだけのカタルシスが得られることがあるとは思わなかった。

エンディングには少し変化球が混じる。人類滅亡の危機が遠のいた瞬間から現れる人間のエゴ。

それは感染ではなく、そもそも人間に備わっているウィルスであり、これまで多くの不必要な戦いを生み、人の命を奪ってきたのである。

戦いはこれから。ジェリーの言葉は、すべての人間へと向けられている。

(85点)
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「アンコール!!」 | トップ | 「パシフィックリム」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画(2013)」カテゴリの最新記事