Con Gas, Sin Hielo

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「高慢と偏見とゾンビ」

2016年10月02日 13時20分57秒 | 映画(2016)
危機に立ち向かうことで結び付く関係。


最近、自分が映画を観るときに無意識に求めていることが分かってきた。

それは、これまで目にしたことがないような新しい体験。

俳優のすばらしい演技でも、映像技術でも、どんでん返しでも、心に刺さる印象的な何かを欲しているのである。

その意味で本作はそんな「何か」の気配に満ち満ちた作品であることは間違いなかった。なにしろ「不朽の名作、感染。」である。

死者の生き返りから感染という展開を見せてからのゾンビ業界の広がりは目を見張るものがある。まだまだアイデアの泉は尽きないようだ。

ただ個人的に本作に関しては問題があって、学のない私は元ネタを読んだことがなかった。

どうしたもんかなーと思いつつも、時間があってファーストデイだったので映画館に飛び込んだのだが、結果としては十分楽しむことができた。

物語のベースはあくまで主役であるエリザベスとダーシーの恋愛であり、ゾンビが人肉をむさぼるようなホラーのインパクトに頼る演出は極力控えられていた。

ただ、二人にとって感情の岐路となる場面にゾンビが居合わせることによって、ありがちな恋愛モノと完全に一線を画しているのだ。まあ上手く考えられた企画である。

戦争が身近にあった18世紀の世界において、戦いの相手が異国からゾンビに変わったとすれば、設定としてハマりやすかったというのが勝因であろう。

今後、いろいろな作品にゾンビを絡ませることが流行る可能性は・・・どうだろう。調理次第ではおもしろい作品ができると思うのだが。

とここまでは良い点を中心に述べたが、もちろん首をかしげるような場面を見られた。

途中から出てくるレディ・キャサリンの立場と行動が不明だとか、ゾンビを凶暴化させるダーシーの行動はどう見てもおかしいとか、原作を上手くすくいきれていなかったせいかもしれないが、物語としては粗い作りだったと言わざるを得ない。

主役を演じるL.ジェームズは好みという点では微妙だが、意志の強い表情は優雅さと強さを併せ持つ女性として合っていた。

跡継ぎのいないベネット家の姉妹に擦り寄り、節操なく求婚するコリンズ牧師がツボだった。ラストは、ゾンビものとしては概ね納得の収まりだが、コリンズ牧師の身を案じてしまった。

(75点)
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