貫禄で巻き込みねじ伏せる。
「ジェンダー」という単語が社会的地位を得てからだいぶ経つ。様々な性的な問題が表面化し言葉も増えた。
本作で主に扱われるのは、女性同士の間に生まれた愛情だ。しかし意外なことに、映像で描かれる以上に同性愛がクローズアップされることはない。
裕福な家庭の婦人・キャロルが、買いもので訪れたおもちゃ売場で出会った女性・テレーズと恋に落ちる。しかしそのとき、二人には既に別の異性のパートナーがいた。
満たされてはいなかったものの、彼女らは同性でなければ愛せないわけではなかった。性別に一切関係なく二人は惹かれ合ったのだ。
こんなことある?でも否定はできない。ちょっと見るかぎりはあまり楽しそうではない表情の二人だけれど、心の底から愛情を絡ませ合っているようにも映る。運命の出会いとしか言いようがない。
となると問題は、運命が結び付ける以前に出会ってしまったキャロルの夫と、その間にできた子供だ。夫との結婚は打算であっても、子供の存在に嘘偽りはない。
キャロルを演じるのは、ついに「オスカー女優」の肩書きが加わったC.ブランシェット。眼力がすごい。子供も愛した人も手放すものかという執念を感じる。
対するR.マーラはキャロルに飲み込まれているように見えてしまった。あくまで彼女の意思で行動しているのではあるけれど、最後の選択なんてキャロルの「ほらね」という声が聞こえてくるようだった。
お互いの愛情を認めないわけではないが、ありていに言えばこれは「略奪愛」であり、この先二人と関係者を取り巻く将来図が見えてこないから、もやっとした気持ちだけが残ってしまう。
映画に道徳心を持ち込むのが野暮なことは多々あるのだが、道徳を横に置いたとしても、あまり感情移入できない二人だったというのが正直なところ。
(60点)
「ジェンダー」という単語が社会的地位を得てからだいぶ経つ。様々な性的な問題が表面化し言葉も増えた。
本作で主に扱われるのは、女性同士の間に生まれた愛情だ。しかし意外なことに、映像で描かれる以上に同性愛がクローズアップされることはない。
裕福な家庭の婦人・キャロルが、買いもので訪れたおもちゃ売場で出会った女性・テレーズと恋に落ちる。しかしそのとき、二人には既に別の異性のパートナーがいた。
満たされてはいなかったものの、彼女らは同性でなければ愛せないわけではなかった。性別に一切関係なく二人は惹かれ合ったのだ。
こんなことある?でも否定はできない。ちょっと見るかぎりはあまり楽しそうではない表情の二人だけれど、心の底から愛情を絡ませ合っているようにも映る。運命の出会いとしか言いようがない。
となると問題は、運命が結び付ける以前に出会ってしまったキャロルの夫と、その間にできた子供だ。夫との結婚は打算であっても、子供の存在に嘘偽りはない。
キャロルを演じるのは、ついに「オスカー女優」の肩書きが加わったC.ブランシェット。眼力がすごい。子供も愛した人も手放すものかという執念を感じる。
対するR.マーラはキャロルに飲み込まれているように見えてしまった。あくまで彼女の意思で行動しているのではあるけれど、最後の選択なんてキャロルの「ほらね」という声が聞こえてくるようだった。
お互いの愛情を認めないわけではないが、ありていに言えばこれは「略奪愛」であり、この先二人と関係者を取り巻く将来図が見えてこないから、もやっとした気持ちだけが残ってしまう。
映画に道徳心を持ち込むのが野暮なことは多々あるのだが、道徳を横に置いたとしても、あまり感情移入できない二人だったというのが正直なところ。
(60点)
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