邪悪の的が伝染るんです。
最近恐怖映画を観ていなかったこともあるだろうか。身体の震えが止まらなかった。
独自設定のルールは斬新だが、迫ってくる恐怖は決して派手ではない。歩く速度で近付いてくる敵は、隠れたり待ち伏せたりといった戦術を一切使わない。見つけさえすれば簡単に逃げられる相手だ。
しかし、そんな能力の差にも拘らず、標的となった者はほどなく絶望へと追い込まれることになる。敵の姿は自分以外の者には見えず、寝ている間もじりじりと自分めがけて近付いてくるのだ。
印象的なのは冒頭の場面。のどかな昼間の住宅街を、ただひとりパニック気味の若い女性が下着姿で逃げ回る。しかも近所の人や父親の目の前でだ。
もうひとつ。主人公が恋人と映画館へ行くが、彼が急に出ようと言い出す。直前のやりとりで彼だけが黄色い服を着た少年を見たことが示される。
違和感として引っ掛かった謎が明かされてからは、周りのすべてを疑い怯えることを余儀なくされる。それも24時間だ。とても精神がもつ話ではない。
そう、これは古典的なゾンビの恐怖に近い。走るゾンビが登場して恐怖のインパクトや鋭さは加わったが、あくまでゾンビの本質は、ゆっくりと、しかし確実に近付いてくる絶望感にある。
更に、本作の敵には存在理由がない。純粋な邪悪だけに、対抗手段の糸口すらないのである。
敵から逃れる唯一の手段は、マークを他者へ移すこと。方法はセックスだ。強引なルールだが、これもある種恐怖映画の基本を押さえた設定と言える。
ただ、多くのスプラッタムービーにおける「盛りのついた男女」は惨劇のフラグである一方、本作は生き延びるためにセックスする点が対照的でおもしろい。
不謹慎な話だが、この敵に打ち克つには、数人の男女が集団でセックスして全員が視認できる状況を作るしかないと思った(真剣に考える話ではないが、そう言い聞かせでもしないと安心できないので・・・)。
(85点)
最近恐怖映画を観ていなかったこともあるだろうか。身体の震えが止まらなかった。
独自設定のルールは斬新だが、迫ってくる恐怖は決して派手ではない。歩く速度で近付いてくる敵は、隠れたり待ち伏せたりといった戦術を一切使わない。見つけさえすれば簡単に逃げられる相手だ。
しかし、そんな能力の差にも拘らず、標的となった者はほどなく絶望へと追い込まれることになる。敵の姿は自分以外の者には見えず、寝ている間もじりじりと自分めがけて近付いてくるのだ。
印象的なのは冒頭の場面。のどかな昼間の住宅街を、ただひとりパニック気味の若い女性が下着姿で逃げ回る。しかも近所の人や父親の目の前でだ。
もうひとつ。主人公が恋人と映画館へ行くが、彼が急に出ようと言い出す。直前のやりとりで彼だけが黄色い服を着た少年を見たことが示される。
違和感として引っ掛かった謎が明かされてからは、周りのすべてを疑い怯えることを余儀なくされる。それも24時間だ。とても精神がもつ話ではない。
そう、これは古典的なゾンビの恐怖に近い。走るゾンビが登場して恐怖のインパクトや鋭さは加わったが、あくまでゾンビの本質は、ゆっくりと、しかし確実に近付いてくる絶望感にある。
更に、本作の敵には存在理由がない。純粋な邪悪だけに、対抗手段の糸口すらないのである。
敵から逃れる唯一の手段は、マークを他者へ移すこと。方法はセックスだ。強引なルールだが、これもある種恐怖映画の基本を押さえた設定と言える。
ただ、多くのスプラッタムービーにおける「盛りのついた男女」は惨劇のフラグである一方、本作は生き延びるためにセックスする点が対照的でおもしろい。
不謹慎な話だが、この敵に打ち克つには、数人の男女が集団でセックスして全員が視認できる状況を作るしかないと思った(真剣に考える話ではないが、そう言い聞かせでもしないと安心できないので・・・)。
(85点)
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