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【 コラム 】 「五感+αで楽しむ」 第1回 〔 湯色 〕

お正月休みに温泉地に行かれる方も多いと思います。
このブログの本分は「温泉」なので(笑)、たまには温泉記事いれてみます。

とはいっても、11(16)年前の記事をそのままアゲただけです。
まぁ、こういうマニアックな楽しみ方もあるよ、ということで読み流してくださいまし。

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2012/11/07 UP

 

【 コラム 】 「五感+αで楽しむ」
2006年4月に「湯色」、2007年2月に「にごり湯(濁度)」をUPしたきり、筆者の怠慢により(笑)そのままになっていましたが、「湯色」でググると1位に出てきたり、ときおり「続編は??」と訊かれたりするので、5年ぶりに再開します。

時間がたっているので、最初からリニューアルしつつUPしていきます。
※事例としてあげた温泉には、現在、廃業または休業となっているものもあります。
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温泉の楽しみ方はいろいろありますが、よくいわれるのが”五感で楽しむ”というもの。
そこで、見る、味わう、嗅ぐ、触れる、聴くの五感と、これに浴感(温熱冷感や濃度感その他)を併せた6つの視点からみてみたいと思います。
このテーマは奥が深く、全国の名湯を入り倒してからでないと取り組めないよ~な気もしますが、いつになるかわからんので(笑)とりあえずいきます。(で、事例は入湯数の多い関東中心です。。。)

なお、「別冊宝島 本物の温泉ここが一番!」(この本、石川理夫氏編著の名著で、いまでも私の湯巡りのバイブル)の「温泉は五感全体で味わい楽しむ」というコラムでこのテーマを取りあげ情緒豊かな文章で解説されていました。
どうしても内容が似てしまいますが、なるべく泉質面と具体的な温泉の紹介にふみこんでまとめてみたいと思います。
ボリュームがでそうなので、連載でいきます。
(写真は月岡温泉(新潟)と月の湯温泉(静岡))
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【 コラム 】 「五感+αで楽しむ」の予定INDEX (UPは順不同になる可能性あり)

1.見る
1-1).湯色
1-2).にごり湯(濁度)
1-3).湯の花と析出
1-4).浴場と湯船

2.味わう
2-1).泉質・成分と味
2-2).飲泉

3.嗅ぐ
3-1).泉質・成分と湯の香
3-2).湯づかいと湯の香

4.触れる
4-1).湯ざわり
4-2).とろみとアワつき

5.聴く
5-1).湯屋の響き
5-2).ロケーション

6.浴感

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1.見る
これはいちばんわかりやすいので、最近は気の利いた温泉ガイドには載っています。
温泉の色味を構成する要素には、湯色、濁度、湯の花などがあります。順にみていきます。

1-1).湯色

a).白
ふつうは硫黄泉系でにごり湯。
みるからに効きそうな乳白色のにごり湯はすこぶる人気が高く、白骨、乳頭、那須湯本などがその代表格。
肌が透けないので混浴向きでもある。おもにイオウコロイドにより白濁するといわれ、新鮮な湯口のお湯は透明なことが多い。
で、「白濁はお湯がなまった証し」とされることもあるが、硫化水素型ではすぐに白濁するものもあるので一概にはいえないようだ。
ただ、薄めの単純硫黄泉の白濁はなまりによることが多いのであまり歓迎できない。
硫黄泉系でなくても、まれに気泡で一部白濁しているお湯があり、潤沢なアワつきが楽しめる。(フカサワカアナパリ(山梨)、清河寺仮設(埼玉)など。)

 
(写真は万座温泉(群馬)と白骨温泉(長野))

b).赤
おもに鉄分による。新鮮な鉄泉は緑がかった薄にごりだが、酸化するにつれ赤茶のにごり湯となって強烈な印象を与える。
(溶存態(Fe^2+) → 懸濁態(Fe^3+))
こうなると特有のサビ臭やギシギシとした湯ざわりも出て、湯慣れない人にはかなり抵抗のあるお湯になる。
よく洗い流さないと下着まで赤茶に染まってしまうので要注意。
天狗(長野)、伊香保(群馬)、小赤沢(新潟)などが代表格。関西では有馬の金泉が有名。
また、千手(新潟)やすみよし(山梨)など、透明なモール泉系で赤味を帯びるものもある。

  
(写真は天狗温泉(長野)と鹿島セントラル温泉(茨城))

c).褐色~茶~黄(透明系)
有機質を含むモール泉に多い。甲府あたりのモール泉には黄金色透明の非常に美しい湯色をしたものがある。
国母山城(山梨)など。新潟妻有エリアにもこの手のお湯が多い。
茶色のにごり湯を除鉄濾過すると黄色透明になることがあるが、概していまいち。

  
(写真は山城温泉(山梨)とじょんのび温泉(新潟))

d).褐色~茶~黄(にごり湯系)
鉄分が多い化石海水系や土類含みの重炭酸土類泉や食塩泉などで、除鉄をしていない場合にふつうにみられる。
このへんの色味はかなりと微妙で、お湯の状態や光線の加減ですぐに変化する。
ふつうは鉄分が多いとにごりもつよまる。たくさんあるので代表例は省略。

  
(写真は伊香保温泉(群馬)と湯ノ網温泉(茨城))

e).灰色
これはわりに珍しい。硫黄まじりの濃いめの塩類泉などでみることがある。
泉質と湯づかいにめぐまれてはじめて出る湯色なのでおすすめ。「灰色のお湯にハズれなし」の格言が成り立つかも・・・。
奈良田(山梨)、いわき湯本(福島)、塩原福渡(栃木)などが代表格か?。

  
(写真は光源の里温泉(山梨)と水神の湯(長野))

f).緑(翠)色
pH高めの硫黄泉は鮮度がいいと綺麗なエメラルドグリーン(翠色)となり、絶品のイオウ臭とあいまって極上湯となる。
鮮度が落ちてくるとバスクリーン的な緑黄色となるが、これは湯中の藻類のクロロフィルによるものらしい。
月岡咲花(新潟)、熊の湯野沢戸倉上山田上諏訪温泉(湯小路)(長野)などが代表格。
硫化水素泉系白濁湯が緑色を帯びることもあり、芦乃湯(神奈川)、蔵王(山形)などでみられる。
鮮度の高い鉄泉系も緑がかった薄にごりとなり、総社(群馬)、「アクアリゾート清里 天女の湯」(山梨)、前橋ゆ~ゆの絶好調時など、貝汁味臭とともに鮮度感を楽しめる。

  
(写真は屋敷温泉(長野)と潮来水原温泉(茨城))

g).青~水色
関東ではすくない。メタけい酸を多く含むイオウ泉系でみられるといわれ、pH低めの硫化水素泉系白濁湯が青みを帯びて青磁色のにごり湯となることがある。
また、重炭酸土類泉系の極上湯でもみられることがあり、「青色のお湯にハズれなし」の格言も成り立つか?。
阿蘇垂玉の露天は見たこともない群青色がかったささにごりのすばらしい湯色をしていた。浅間隠鳩ノ湯鹿沢万座(群馬)、那須高雄塩原塩の湯(栃木)、奥飛騨温泉郷(岐阜)など。
別府鉄輪「神和苑」の鮮やかな青湯は有名。

 
(写真は垂玉温泉(熊本)と奥飛騨福地温泉(岐阜))

h).黒
黒湯が代表。黒湯はにごっているように見えるが、コーラ色透明の湯色が重なっているので濁度じたいは低い。
もともと赤~茶系が濃くなったものなので、麦茶色 → ワインレッド → チャコール → 黒系のラインが多く、グレー → 黒と変化するものはすくない。
松の湯(神奈川)、養老(千葉)、(埼玉)、小川(茨城)などが漆黒。
イオウ系では”墨湯”といわれる個性的な黒色がでることがあり、塩原元湯「大出館」の「墨の湯」は有名。
おそらく浮遊物の硫化による黒変が原因かと思われるが詳細不明。

 
(写真は新宿十二社温泉(東京)と塩原元湯(栃木))

i).無色
無色透明のお湯は温泉らしくないと嫌う向きもあるが、なかなかどうして名湯も多い。
とくに純度の高い硫酸塩泉系のお湯は澄み切って湯船の底がよくみえる。湯中に沈めた指先が屈折率の加減か青白く発光するのも趣がある。
硫酸塩泉系の代表格は湯宿・猿ヶ京(群馬)、大網(栃木)など。

  
(写真は川治温泉(栃木)と宮城野温泉(神奈川))

※ 湯色のバリエーションについては、コラム「湯色七変化」をご覧ください。

【 コラム 】 「五感+αで楽しむ」 第2回 〔 にごり湯(濁度) 〕
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