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■ 芦之湯温泉 「松坂屋本店」 (リニューアル前)



<芦之湯温泉 「松坂屋本店」 (リニューアル前)>
(神奈川県足柄下郡箱根町芦之湯57、14:00から受付(休前日・多客時不可、要事前問合せ)、1,000円 ←以上、リニューアル前、現在は日帰り入浴不可、0460-83-6511)
オフィシャルHP
紹介ページ (@nifty温泉)
紹介ページ (じゃらんnet)
紹介ページ (温泉みしゅらん)

箱根は古くからの湯場で、江戸期には箱根七湯(湯本、塔之沢、堂ヶ島、宮ノ下、底倉、木賀、芦之湯)と称され湯治客で賑わいました。
なかでも格別の人気を誇ったのが硫黄泉の芦之湯で、温泉番付でもだいたい箱根筆頭の地位を確保していました。

江戸期には湯本に次ぐ規模があったようですが、いまは「松坂屋本店」、「きのくにや」、「山形屋」の3軒の湯宿があるのみ。
駒ヶ岳の山腹にあるこの温泉場は、夏でも比較的涼しく、霧の多いしっとりと落ちついたところで、古くは名だたる文人たちがこの地に逗留、当時の様子は東光庵跡(熊野権現旧跡)でしのぶことができます。

「松坂屋本店」は寛文二年(1662)創業、あまたの著名人が逗留したという老舗中の老舗で、箱根では貴重な非造成の自家硫黄泉をかけ流しているので、とくに温泉好きのあいだでは超メジャー。
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日帰り入浴を受け付けていますが、休前日・多客時不可。
平日でも14時の受付開始時点で客数が多いとその場で受付終了してしまうらしく、日帰り難易度の高い施設として知られています。(玄関前に日帰り可否の看板が出ているが不可のことが多い。)
その攻略法は多くの温泉サイトで話題になるほど。
料金も当初の700円 → 800円 → 1,000円としだいに敷居が高くなっています。

日帰り入浴の状況についてはこちら(一郷一会100名湯記事)をご覧ください。
なお、一時日帰り中止説が流れ、日帰り不可としている温泉ガイドもありますが、オフィシャルHPに日帰り入浴の案内が掲載されているので、完全中止にはなっていないようです。
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(以上はリニューアル前の状況。2007年あたりから日帰りで入れないことが多くなり、2008年7月のリニューアル時より、正式に日帰り入浴不可となりました。)

ここは子供のころ何度か泊まっていて大学時代にも泊まったことがありますが、お湯の記憶はきれいさっぱり消え去っていたので、このレポ時はほとんど初入湯状態でした。


【写真 上(左)】 表門
【写真 下(右)】 落ちつきのある館内

館内は手入れが行き届いて綺麗、中庭を廊下&太鼓橋&地下道(上を湯坂道(鎌倉街道)が通っている)で渡ったおくに男女別の浴室があります。
男女入替制のようで、当日どちらが男(女)湯かは、行ってみないとわからないようです。


【写真 上(左)】 浴場へのアプローチ
【写真 下(右)】 男湯入口

芝生の庭を前景にした明るい浴室に、みかげ石枠石敷5-6人の熱湯槽と同20人ほどの適温槽のふたつをシンプルに配置。
風情はさほどないものの、機能的で手入れの行き届いたいい浴室です。
カラン9、シャワーなし、シャンプーあり、ドライヤーなし。
平日14時で一瞬独占(笑)~6~10人。


【写真 上(左)】 ひろびろとした脱衣所
【写真 下(右)】 浴場

この日まだ誰も入っていない湯船にはうすく緑白濁し白い湯の花の舞う、鮮度の高そうなお湯が満々と湛えられていました。
熱湯槽、適温槽おのおのに湯口があり、木筒の湯口から円形の湯溜めに注ぎ込み、槽内へは側面注入か?
槽内排湯はみあたらず、浴槽ふちからたっぷりと流し出す正統派のかけ流し。
湯口そばにはコップも置かれていました。


【写真 上(左)】 浴槽
【写真 下(右)】 湯口

弱苦味たまご味に、かなり強いしぶ焦げイオウ臭とラムネ臭が入り混じる山の硫黄泉らしい湯の香。
メタけい酸系のヌルとろみと硫酸塩泉系の力強い温もり感。
おだやかな湯ざわりはHCO_3^-=157mg/kgが効いているのかも・・・。
とてもよく温まる硫黄系のお湯なので長湯はきびしいですが、異様にクセになるお湯で何度も入ってしまいます。
浴後は爽快感がでてイオウ臭が肌に残ります。

比較的アルカリ性の高い白濁硫黄泉は日光湯元に近いものを感じましたが、やや成分うすめでより硫酸塩泉の特徴がでているようなイメージ。
すこぶる質感の高いお湯で、同じ硫黄泉系にごり湯の大湧谷造成泉とはあきらかに一線を画しています。

入ってしばらくすると、次第にお湯のにごりが強くなり(透明度40cmくらい)、湯の花もくだけて少なくなってきたので、やはり一番湯が狙い目かと思います。
同浴した人はほとんど常連さんのようで、みなさんまったり超長湯モード。
かなり長湯したつもりですが、一番最初にあがったのはわたしでした。(女湯も同じような状況だったらしい、こんなのは初めて・・・(笑))

お湯の風格といい湯づかいといい、やはり箱根を代表する名湯かと思います。

2008年7月のリニューアルにより「鶴鳴館 松坂屋本店」と名称を一新し、2名1室21,000円~という個人客にターゲットを絞り込んだ和モダン系高級旅館に変貌。
日帰り入浴で親しまれ、学生の合宿に愛好された「松坂屋本店」は、今は昔となりました。

含硫黄-Ca・Na・Mg-硫酸塩温泉(硫化水素型) 62.5℃、pH=7.3、湧出量不明※、成分総計=1182mg/kg、Na^+=89.0mg/kg、Mg^2+=43.8、Ca^2+=108、Cl^-=5.20、HS^-=5.85、SO_4^2-=514、HCO_3^-=157、陽イオン計=255、陰イオン計=683、メタけい酸=227、硫化水素=3.31 <H5.11.12分析> (芦之湯第9号泉(芦刈の湯))

※ オフィシャルHPには、「毎分220リットル湧出する自家源泉を館内全ての浴槽と足湯に直接引いており、加水や加温、循環などは行っておりません。」と掲載されています。
※ 「箱根オフィシャルガイドブック」(生活情報センター刊)によると、「源泉井戸は庭園に続く森の中にあり、湧出する温泉は直接浴槽に引かれる」とのこと。(→泉源の写真

<温泉利用掲示> 当館は掛け流しの(循環濾過・加熱・加水など一切なし)温泉をご利用いただける数少ない旅館であります。

〔 館内掲示(抜粋) 〕
当館は自家源泉より湧出した温泉を直接浴槽に引いております。
約六十度の源泉を自然に冷ますので特に気温の影響を受けやすく、バルブの開閉具合のみで温度調整をおこなっております。
pH7.3という弱アルカリ性の硫黄泉である当館の源泉は大変希少価値が高いものです。
そのコロイドを含んだ温泉成分は、天候・気温・湿度などの影響を受け、その表情も変わり、透明の日もあれば白く濁る日もありますし、湯の花の出具合も違ってきます。(ふたつある浴槽は一つの源泉から引湯しておりますが、温度の差により一方が透明で一方が白濁するといった時もあります。)
蛇口の湯も源泉から直接引いた温泉を使用、(以下略)

一郷一会100名湯

〔 2010/01/04UP (2006/08/17レポ (2005/08入湯)) 〕


E139.2.42.442N35.13.5.350
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