Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

長次郎と14人の吉左右衛門

2016年06月20日 05時15分46秒 | 美術館・博物館etc.
★楽美術館 サイト
 春期特別展『樂歴代~長次郎と14人の吉左衞門~』 ※6月26日(日)まで

旅行の話にかまけて、しまっているけれど~

GWに行きそびれてしまったので、6月に行ってきた。
(6月の関西行きは5月の取りこぼしを補足する意味合いもあった)

まず、1階の第一展示室。

入ってすぐの独立ケースは展覧会の“顔”ともいうべきものが鎮座していて、
いつも楽しみにしている。

今回は、、、ん? なんだこれ? 現代アートか?

いえいえ、黒楽茶碗を焼く際に使った内窯。

今年(平成28年)4月24日に使用したものだという。

灰色のコンクリートみたいな? ヘルメットを叩き割ったような感じ。
ところどころに茶碗からこぼれ出た釉薬が付着して、しかもガラス質だから、照明にキラキラ光ってとても綺麗。

展示の仕方もしゃれていたけど、ほんとーにアートで良かった。

左側の茶碗は道入さんから。

一入さんの黒楽平茶碗「暁天」がすてき。 馬盥でね、暗い赤の朱釉があやしくてステキ

まさに暁時の空。

宗入さんの赤楽茶碗は白っぽい釉薬でまるで志野茶碗みたい。

左入さんの黒楽茶碗「ヒヒ」。
マウントヒヒは江戸時代、まだ日本に知られていない。「老猿」か「霏々」←雨や雪が混じって降る様

長入さんの竹之絵黒楽茶碗。
何度も拝見して慣れっこになっていたけれど、改めて「この竹之絵はどうやってつけた?」と考えると「?」だなぁ。

得入さんは黒楽茶碗「常盤」。 18歳の頃の作品。
代を継いだものの、父長入さんが亡くなると同時に隠居。

了入さんの白楽筒茶碗。
これも何度目かの拝見だけど、削りの大胆さがいい。
78歳まで生きた了入さんは数え年15歳で父長入さんを失って、お兄さんから代を譲られ、
わずか4年後に兄得入さんをも失う。

満でいえば19歳。そんな若さで楽家を背負うなんて、すごい。
さらに、後年になって跡継ぎの長男にも先立たれ、たしか奥さんにも先立たれたような。

改めて、激動の楽家を支えた人だったのね。 今年のマイブームは了入さんかもしれない。

だから、旦入さんは次男だったわけ。 初めて知った。

その後、養子に入った慶入さんは85歳の時の作、黒楽茶碗「大空」。

弘入さんは赤楽茶碗だけど、赤と灰色と白の釉薬がいい。さすが歴代の中でも「釉薬の妙手」と言われるだけある。

覚入さんは42歳の時の作品「林鐘」。内側が全面金色

御当代の吉左衛門さんは赤楽茶碗「月波」。38歳の時の作品。 覚入さんっぽい?

そして、16代を継ぐ予定の楽篤人(またの名を楽惣吉)さん。 黒楽茶碗。 ん~ 印象に残ってない。

中2階の第二展示室は茶碗以外。

惺入(せいにゅう)さんの紫釉糸目茶入と左入さんの香炉釉立鼓花入れが印象に残った。(ひろい子さんみたいだから)

それから一入さんの赤楽平水指「蝸牛」もあいかわらず大きく見えた。

そうそう、初めて楽家の利休座像を拝見。 旦入さん作。楽家のお仏壇に安置されているもの。

2階の第三展示室は長次郎さんと楽家の歴代の中でも長次郎に対抗しうる名品。

長次郎は黒楽茶碗「面影」。
隣に常慶の黒楽茶碗「黒木」。 常慶の中ではコレが一番好き。

道入の赤楽筒茶碗「山人」。

宗入の代表作、黒楽茶碗「亀毛」 ←バロック!と私は呼んでいる。

徳川家の関連は飛ばして、真打ちは田中宗慶の黒楽茶碗「いさらい」。

彼もまたもう一人の長次郎だった、と私は思っている。








お手洗いのお花はすてき。


☆次の展覧会
 親子で見る展覧会 シリーズ『楽ってなんだろう』 ※7月2日(土)~8月28日(日)


★楽美術館バックナンバーリスト
 2016年1月 『樂歴代 優しいすがた』
 2015年10月 『本阿弥光悦 光悦ふり・様式と展開』 
 2015年3月 『樂歴代 装飾への荷担・抑制と解放』
 2014年12月 特別展・宗入生誕350年 パート2『初源への視線 樂家五代宗入と三代道入、四代一入、九代了入、十五代吉左衞門』
 2014年9月 『元禄を駆け抜けた雁金屋の従兄弟ども 「樂家五代宗入と尾形乾山」』
 2014年7月 『親子で見る展覧会「シリーズ 樂ってなんだろう」―手捏ねと轆轤制作―』
 2014年5月 『定本 樂歴代』
 2014年2月 『樂歴代 干支・動物たちの新春 日常の風物、いろいろな物語、干支、吉祥の動物たち』
 2013年10月 『利休/少庵/元伯/千家の時代 と長谷川等伯「松林架橋図襖」修復完成記念特別展示』
 2013年3月 『楽歴代名品展 楽家歴代が手本としてきた伝来の茶碗』
 2013年1月 『楽歴代 春節会』(第二、第三展示室)
 2013年1月 『楽歴代 春節会』(第一展示室)
 2012年10月『工芸 肌をめでる。樂茶碗の陶肌 茶の湯釜の鉄肌 一閑・宗哲の漆肌』 
 2012年8月 『季節を感じよう!! 夏祭りと茶の湯』
 2012年3月 『樂歴代の名品 秘蔵の長次郎を見る』
 2012年2月 『京の粋 樂家初春のよそおい』
 2011年10月 『樂と永楽そして仁清 京の陶家 「侘と雅」の系譜』
 2011年8月 「樂焼のルーツは、なんと! カラフルな中国の焼き物」
 2011年5月 「樂美術館コレクション-樂歴代とその周縁」
 2011年2月 「特別展樂吉左衞門還暦記念� 個展「天問」以後今日まで」
 2010年11月 特別展『千家十職 楽家の茶碗-極められた赤と黒の美-』 表千家北山会館
 2010年11月 『楽吉左衛門還暦記念展』
 2010年5月 春季特別展『楽歴代展』
 2009年11月 重要文化財新指定記念特別展『長次郎二彩獅子像+勢揃い京の焼き物 侘と雅』
 2009年8月 「『楽焼のはじまり、そして今』親子で見る展覧会/シリーズ「楽ってなんだろう」
 2009年5月 春期特別展『樂歴代』 
 2008年10月 開館30周年記念特別展『長谷川等伯・雲谷等益 山水花鳥図襖&樂美術館 吉左衞門セレクション』
 2008年8月「楽茶碗を焼く」
 2008年5月「楽家の系譜」
 2008年3月「動物の意匠」
 2007年11月「元伯宗旦」

 ※2006年9月 「赤と黒の芸術 楽茶碗」(三井記念美術館)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 6月棚ぼた旅その8~京都市内... | トップ | 夏至 初候 乃東枯 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

美術館・博物館etc.」カテゴリの最新記事