Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

優しい楽茶碗

2016年02月02日 13時42分44秒 | 美術館・博物館etc.
★楽美術館 サイト
 新春展『樂歴代 優しいすがた』
  ※3月6日(日)
まで

 先月、それも初日に訪れたのに、
いろいろあって、書きそびれていた。

 今回の展覧会、いつもとちょっと違う。

 ポスターとチラシも。

 長男さんがデザイン、展示の選定に関わったそうな。

 たしか、解説文も担当されているとのことだった。

 テーマが「優しい」というだけあって、

 展示されている茶碗も(その代の)若い頃の作品だったり、かわいい意匠だったり。

 色合いも薄い赤釉薬だったり、シンプルな黒楽だったり。

 当代のお茶碗は(もちろん?)皪釉(れきゆう)の楽茶碗『梨花』。

 6代左入の白楽茶碗『桃里』の貫入がとても魅力的。

 この2つは何度見ても「よいなー」と思う。

 まさに「優しいすがた」の代表格。

 展示されているものは既に一回以上見た物が多かったので、
 興味は専ら解説文。

 メモを見る限りでは何歳から作陶を始めたかを書いてあるので、
 解説文にそう書いてあったのだろう。

 あと、13代の惺入(せいにゅう)さんの作品では
 「晩年は窯を炊く燃料さえなく、削っては壊して土に返す日々だった」
 と、戦時中の苦しかったエピソードも書いてあった。

 惺入さんはそうして失意の中、昭和19年にこの世を去る。

 そうした背景を考えながら、惺入作の赤楽茶碗「松風」。

 ゴツッとした、逞しくあろうという赤。のちの覚入さんの赤に通じる印象を受けた。


 このほかでは慶入さんの作品が印象に残った。

 1階の展示室に黒楽の玉之絵茶碗。

 2階の第3展示室に「印尽し宝珠ノ絵」。

 茶碗か紙かの違いはあっても、同一人物が描いた同じ宝珠の絵。

 帰り際に1階の第1展示室によって、もう一度見直した。


 今年も楽美術館ははずせない。



★楽美術館バックナンバーリスト
 2015年10月 『本阿弥光悦 光悦ふり・様式と展開』 
 2015年3月 『樂歴代 装飾への荷担・抑制と解放』
 2014年12月 特別展・宗入生誕350年 パート2『初源への視線 樂家五代宗入と三代道入、四代一入、九代了入、十五代吉左衞門』
 2014年9月 『元禄を駆け抜けた雁金屋の従兄弟ども 「樂家五代宗入と尾形乾山」』
 2014年7月 『親子で見る展覧会「シリーズ 樂ってなんだろう」―手捏ねと轆轤制作―』
 2014年5月 『定本 樂歴代』
 2014年2月 『樂歴代 干支・動物たちの新春 日常の風物、いろいろな物語、干支、吉祥の動物たち』
 2013年10月 『利休/少庵/元伯/千家の時代 と長谷川等伯「松林架橋図襖」修復完成記念特別展示』
 2013年3月 『楽歴代名品展 楽家歴代が手本としてきた伝来の茶碗』
 2013年1月 『楽歴代 春節会』(第二、第三展示室)
 2013年1月 『楽歴代 春節会』(第一展示室)
 2012年10月『工芸 肌をめでる。樂茶碗の陶肌 茶の湯釜の鉄肌 一閑・宗哲の漆肌』 
 2012年8月 『季節を感じよう!! 夏祭りと茶の湯』
 2012年3月 『樂歴代の名品 秘蔵の長次郎を見る』
 2012年2月 『京の粋 樂家初春のよそおい』
 2011年10月 『樂と永楽そして仁清 京の陶家 「侘と雅」の系譜』
 2011年8月 「樂焼のルーツは、なんと! カラフルな中国の焼き物」
 2011年5月 「樂美術館コレクション-樂歴代とその周縁」 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今日から2月 | トップ | 節分👹 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

美術館・博物館etc.」カテゴリの最新記事