世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

じわじわと進む日本包囲網 米中韓露ASEANに呑みこまれる国家のプロセス

2013年07月09日 | 日記
貨幣と欲望: 資本主義の精神解剖学 (ちくま学芸文庫)
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●じわじわと進む日本包囲網 米中韓露ASEANに呑みこまれる国家のプロセス

 自分の国の政治を考える時、多くの人は国内の政治に関心が向きがちだ。世界の出来事への関心は、仮にあっても表面的情報のキャッチアップが精々である。にも拘らず、グローバル世界と云う認識は強く持っている奇妙な国民である。筆者のように、理想的国家像は鎖国準拠国家だと思っている人間の方が、世界の出来事に関心があるのも奇妙だ。

 実際問題、グローバル世界といっても、その中心は米国である。そして、米国の中心は、そこに拠点をおく多国籍企業や金融資本勢力だと云う点は概ね間違いがないだろう。つまり、グローバル世界とは、世界の“マネー”を中核として、“人類の営み”を巻き込み制御する、一種イデオロギー的スケールがあるのが特長だ。その米国では、議会制民主主義を標榜しながら、実は資本主義的民主主義が主体となっているとか、中国が国家主義的資本主義と云う奇妙な形態を持ち、何時の日か、米国と正面から対峙しようとしている。

 多くの場合、米国の政府は共和党であろうと、民主党であろうと、最終的には“マネー”の強欲を満たせるかどうかで、評価される。米国政府とは、結局マネーの代理人に落ちぶれたと言っても良いのだろう。“マネー”にとって、米国の暴力性と、秘密性と、知的な思考能力は、最高の住み心地を“マネー”に提供し得る唯一の国家なのだろう。EU、英国、ロシア、中国、日本ではなく、なぜアメリカなのか、ここを我々は、心底考えなければならない部分なのである。勿論、単純に世界の唯一の覇権国家と云う認識も可能だが、中国が同等の覇権を握ったとしても、おそらく“マネー”は中国に住もうとはしないだろう。

 この“マネー”のマネージャーが米国政府と云う観点でみるのなら、米国の威勢が悪くなったとはいえ、その存在を無視できないのが、周りの国家と云う事になる。あのロシアのプーチンにしても、面と向かってスノーデン容疑者を庇うわけにはいかないようだ。大義名分を探す時間帯なのだろうが、見通しは立っていない。しかし、名分の立つ中露合同軍事演習は堂々と行っている。この演習が日本を牽制する以上に米国をも牽制しているのは、自明だ。彼らは、米国の力との距離を測っているわけで、抵抗する気力まで放棄して、米国に隷属する日本とは、かなり異なっている。

 エジプトの軍事クーデターが米国の裏工作が功を奏したのは疑いようのない事実だろう。一見、エジプトの政変と09年時の民主党鳩山・小沢政権の崩壊は、違うものに見えるだろうが、意味合いはまったく同じである。時の流れに身を任せ、両国の内政問題として見守っていたが、その結果出来あがった政権が、米国の、延いては“マネー”の生息、成長に不適当と判断された時には、軽々と転覆させられるのである。日本では、行政機構である検察司法が動員されたが、エジプトでは軍と民衆が動員された。米国のマネジメントは、その国の状況に応じて、様々なオプションを持ち得る狡猾さでは、どこにも引けを取らないだろう。

 国内に目を向けてみると、安倍晋三が乗りに乗っている。立憲主義脱退宣言をしても、マスメディアに叩かれることもなく、都合よく聞かなかった事にして貰えたようである。昨日は安定多数に言及“公明党はもういらない”風な失言まで飛び出したようだ。おそらく、安倍自身は公明抜きで“憲法改正”の道筋をつけた戦後唯一の総理になりたいと云うことのようである。幾ら隠そうと努力しても、彼のような愚鈍な情緒主義者には、その心根を隠しきることは至難の業である。

 また、原発再稼働は米国マネーの至上命題であり、承認されるのが当然とばかり、電力会社は群がって原発再稼働の申請を出している。安倍自民には、マネーでは推し量れないナショナリズムは理解できても、国民の生命財産への興味は、それ程ないようだ。まぁ鳩山・小沢が抜けた民主党も似たようなもので、同じ目糞鼻糞なら、既得権益勢力と馴染み深い自民党の方がマシと云う事になる。しかし、安倍晋三を愚鈍な情緒主義者と見限っているオバマ政権である限り、日米関係は米国の一人勝ち状態が続くことになる。

 筆者の興味は、参院選の結果より、いつ自民党が安倍晋三の首をすげ替えるか、その方がよほど興味深い。安倍の首をすげ替えない事には、米国の圧倒的有利外交が継続してしまうし、中韓と話の端緒さえ見えなくなり、流石のロシアも後ずさりする危険さえあるのだから、外交に目を向けた瞬間、安倍は邪魔者なのである。仮に、そのまま改憲論まで突っ走るとなると、日米関係もヒビが入る、中韓とは徹底的にいがみ合い、ロシアもアジアも、日本接近に二の足を踏むことになるだろう。

 そのように事態が推移した場合は、日本は完全に世界の草刈り場になる。TPPへの参加は、その速度をいやが上にも増すことになる。中国人の抜け目のなさが良く現れた記事を見かけた。中国人が、日本の市場開放に合わせ、日本語の習得に励んでいると云う話だが、親日派が増えたと歓ぶのは間違いで、日本を食べるのは、日本語を習得しておいた方が、より美味しいものが食べられると云う構図だと、筆者は読んだ。TPPで空いてしまった穴から、忍び込むのは、米国のマネーだけではない事を良く理解しておくべきだ。白人の顔をしたチャイニーズが大挙上陸する日は近いのだろう。米国にも、中国にも食べられない国家を目指すのに、軍国復古なんてものは陳腐で意味をなさない。本来、鎖国が日本人には非常に似合っていると思うのだが(笑)、誰も同意してくれないようだ。

≪ なぜ?中国で日本語学習者増加 初の首位
 国際交流基金は8日、海外の教育機関で日本語を学んでいる人に関する調査結果を発表、2009年の前回調査に比べ、中国での学習者数が26.5% 増の約105万人となり、国・地域別で初めて1位となった。
 沖縄県・尖閣諸島の問題で反日デモが起きるなど対日感情が悪化している一方、「アニメと漫画への興味」や「将来の就職」を理由に学習する人が多く、日本文化への関心や経済的な結び付きに対する意識は依然高いことが明らかになった。
 これまで1位だった韓国では12.8%減の約84万人で、インドネシア(約87万人)にも抜かれて3位に下がった。同基金によると、韓国の高校で第2外国語が必修科目でなくなったのが主な要因だが、同基金は「中国語に乗り換える人もいて、日本語の学習熱が冷めてきている」と分析している。調査は3年ごとで、今回は昨年7月~今年3月に実施した。≫(産経・共同)

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