世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●“なぜなぜなぜ”の安倍政権 すべて、チャンバラごっこ

2015年01月31日 | 日記
ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼 (PHP新書)
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●“なぜなぜなぜ”の安倍政権 すべて、チャンバラごっこ

 「政府が懸命に人質解放の為に奔走している時に、安倍批判は慎むべき」こんな言説が、ネトウヨがほざいているのならいざ知らず、野党の政治家は共産党に至るまで、自粛ムードに包まれているそうだ。馬鹿じゃないのか、このように、「待つ以外に何もできない政府」の対応を批難せずに、なにを批難すればいいのだ。イスラエルやアメリカの顔色見ながら王国を維持している、イスラム原理主義に敵対的政治姿勢を堅持するヨルダンに、後藤、湯川両氏の救出を任せるミスジャッジが間違いのはじまりである。後藤氏が解放されようが、そうでなかろうが、中東イスラム圏には、イスラム圏の普遍的価値があるわけで、アメリカン主義が普遍的価値と思う思考停止が、すべての元凶なのである。

  ゆえに、今頃になって、唯一、イスラム国と意を通じ合える可能性のあるエルドアン・トルコに頼み込むなど、笑い話のような本末転倒な選択をしているのだ。このような決定は、米国の意向に沿ったアメポチ外務官僚が出した案を鵜呑みにした、時の内閣総理大臣に、責のすべてはある。この問題は、単に後藤氏の命の問題に限定される話ではなく、イスラム教を信じて生きている人々との間に、見えない溝を作る契機になることが問題なのだ。時事通信が、淡々と、この馬鹿げた大間違いな手順ミスを、エクスキューズのように伝えている。

≪ トルコとも連携=人質解放実績に期待―日本政府
日本政府は、過激組織「イスラム国」に拘束された後藤健二さんの解放に向け、イスラム国と人質交換の交渉を行うヨルダンへの協力要請と並行して、人質解放の実績があるトルコとの連携も深めている。安倍晋三首相がこれまで培ってきたエルドアン大統領との信頼関係を生かし、事態打開へ懸命だ。
 菅義偉官房長官は30日の記者会見で、後藤さん解放に向けたトルコとの関係について「快く理解をいただく中で、態勢を整えている」と説明。政府筋は「中身は言えないが、トルコに協力要請はしている」と語った。
 トルコはイスラム国の支配地域と隣接しており、シリアとの国境に近いアクチャカレはヨルダンが収監する死刑囚との人質交換の候補地に挙がっている。トル コは昨年9月、イスラム国に拘束された外交官ら49人を解放させることに成功。イスラム国と直接交渉ができない日本政府は、「トルコは地域の大国として多 角的な外交を展開し、情報も多い」(政府高官)として、トルコが持つパイプに期待を寄せる。 ≫(時事通信)

 今さら事態打開に懸命はないだろう。端から間違っているのだ。否、間違っていたと云うのも間違いで、こうなる事を望んでいる半端者達が存在するとしか思えない。その半端者たちの思惑は様々だろうが、国家とか国民の共通認識を無理やり捏造しようとする人種がいると云うことだ。その試みが、成功するかどうか、そんな事とは関係なく、米国依存のフリをしながら、米国依存だけでは独立国を成立させられないと妄執する人々が、否、風潮が存在し、その風が動き出したのだろう。以下は、ハフィントンポストがロイターの記事を訳した記事だが興味深い。

 ≪人質事件に自衛隊派遣可能か、政府が新安保法制の想定問答集=関係筋
[東京 23日 ロイター] - 過激派組織「イスラム国」による日本人人質事件のようなケースが起きた場合に、作成中の新しい安保法案で自衛隊に何ができるのか、政府が検討作業をしたことが明らかになった。
関係者によると、政府はメディアや野党に問われた場合の想定問答集を作成。今回のように日本人が拘束された場合に、新法制では自衛隊を派遣して救出できるかどうかについて「領域国の同意に基づく邦人救出などの警察的な行動ができるよう法整備を進める」としている。
武力行使をしないよう、あくまで「国家に準じる組織」が当該地域に存在しないことが前提となる。 日本人2人を拘束した今回のイスラム国が「国家に準じる組織」かどうかについては、現時点で「政府として判断していない」としている。
一方、イスラム国との戦闘に自衛隊を派遣することは「2名の日本人の人命を盾にとって脅迫する許しがたいテロ行為」としつつも、昨年7月に閣議決定した武力行使の「新三要件を満たすとはいえないもののと思われる」と、否定的な見解を示している。
米軍などが実施している空爆にも「参加する考えはまったくない」としている。
イスラム国への空爆を行う米軍などの後方支援については、個別具体的なケースには言及せずに「国際社会の平和と安定への貢献のために活動する他国軍に対して、必要な支援活動を実施できるようにするための法整備の検討を進めている」としている。
想定問答集はさらに、今回の事件が安保法制の見直し作業に影響することはないと指摘。
「安全保障政策を変更するようなことがあれば、わが国がテロに屈したとも受け止められ、かえってテロを助長する可能性もある」としている。 菅義偉官房長官は23日午後の会見で、想定問答集作成の有無に関するロイターの質問に対し、「全くそのようなことはない」と述べた。
安倍政権は昨年7月、集団的自衛権の行使を可能性にする憲法解釈の変更を閣議決定した。日本と密接な関係にある他国が攻撃された場合でも、1)日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由と幸福の追求権が根底から覆される明白な危険がある、2)日本の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない、3)必 要最小限の実力行使にとどまる──の3条件を満たせば武力行使をできるとした。
政府はこの閣議決定にもとづき、実際に自衛隊が動けるよう新しい安保法案を作成中。1月末に始まる通常国会に提出する予定にしている。 ≫(ハフィントンポスト訳・ロイター)


 筆者の目から見ると、この記事には、否、菅スダレは二つのハグラカシを言っている。一つは、安全保障に関して、政治は閣議決定において、幾らでも解釈の変更も、拡大解釈も可能なのが行政機構であり、常にフリーハンドなのが、日本と云う国だ、と云う事実を隠して答えている。まあ、理解度の違いでもあるが。二つ目のハグラカシは、当面アメリカブラック金魚の糞でいるが、いずれは糞から卵を産み、育てたい。TPPも当面は参加方向にあるが、いずれ、安保関係の独立が可能になった段階で、なし崩しにTPPなんて不平等協定など破棄すれば良い。

 原発再稼働にしても、もんじゅの持続も、核開発までのモラトリアム、核保有国になったあかつきには、原発なんて不効率なものを抱えておく理由はこれっぽっちもない。ただ、現時点は、道すべて半ば、ここからが我々の考える独立国再生の第一歩なのだ。どれだけの人間が、このような虚妄を信じるかしれないが、そのような幻想を、常に国民の耳に吹き込んでおくことが大切なのだ。我が国の国民にせよ、どこの国民にせよ、大衆とは愚かなもので、実に御しがたい。しかし、我々自体、そのような幻想を追い求められる立場にいたとして、実現可能かどうかなど、確信を持って行っているわけでもない。

 いわば、子供のチャンバラごっこのようなもので、カラスが啼くから帰ろうと、家路につき、また目覚めたらチャンバラごっこをする。本当の戦争も、戦闘も、今さら日本人に出来る筈もない。平和で慾ボケか無力な虚無に陥っている連中に何が期待できる?ただ、あまりにも実現不可能と云う真実を見つめるのは嫌だ、だから幻想を振り撒く、そんな程度の決意である。口では御大層なことが言いたい。威張れる米つきバッタの国には行って、へらへら語り、お大尽遊びで金をばら撒く。そもそも幻想の中に生きているようなものなのだから、気持ちよく、現世を生きる方が愉しくてイイではないか。こんな奴らに、本気で怒っても仕方がないわけで、好きにさせておくしかないだろう。

 まあ、好き勝手を書いたが、安倍政権と言うのは、アベノミクス、安全保障、外交、社会保障、税制改正、TPP、原発再稼働、沖縄辺野古基地、中韓問題、慰安婦問題‥等、すべてが「なぜ」なのだ。この政権のすべてに「なぜ」がつくと云う事は、「なぜ」と思わせる本質があるのだろう。その本質を発見できない理由は、実はすべての発想が「ごっこ」というオブラートに包まれ、ロボット官房長官が、無機質なで腹話術をやっている政権であり、安倍は嘘話を聞かされて、ゴッコ遊びの中で、神輿の上で団扇を仰いでいるのだろう。ただ、各省庁の絵図に時々赤鉛筆を入れるくらいの権力しか行使しないので、官僚らにすれば、手ごろな政権だと云うことだ。

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なにもしていないに等しい無能日本政府 ヨルダンに任せきり

2015年01月30日 | 日記
猪変
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なにもしていないに等しい無能日本政府 ヨルダンに任せきり

 もう、日本政府の独自性のなさに呆れ果て、事件を追いかける気力も失せた。米国の有志連合団結を表向きに、トルコ経由で、身代金の受け渡し交渉をするものと思っていたが、今のところ、後藤氏解放のニュースは飛び込んでこない。親米中東国と知られるヨルダンに全部任せっきりが日本の公式見解であるのなら、国民の命を守る政府などとは言えない。

 ISに西側諸国の生命への価値観を強要しても意味はないわけで、すべてを西側価値観で解決しようと試みる姿は、情けなさで胸が詰まる。だからと云って、英米が考えるように、積極的平和外交で火に油を注いだ安倍晋三に共感する愚民が多数であっても、国内テロの一つ二つ起きれば、ガラリと世論は変わるもの、そんなに物事、シナリオ通りには行かない。あまり、国民を舐めるものではないぞ、外務省、官邸よ! ヨルダンが、国内世論や米国の監視の目をかいくぐり、ISの声明通りの対応をしてくれていると官邸は高をくくっているのかもしれない。


≪ パイロット生存確認が最優先=後藤さん解放交渉-ヨルダン
【アンマン時事】過激組織「イスラム国」が拘束する後藤健二さん(47)の解放交渉で、犯行組織の人質となっているヨルダンの空軍パイロットの生存確認が 焦点となっている。犯行組織は後藤さん解放の条件として、ヨルダンで収監中のイラク人女死刑囚の釈放を求めているが、ヨルダン政府はパイロットの安否確認 が先だとして応じていない。
 死刑囚釈放の期限は日本時間29日夜とされたが、30日午前の時点で犯行組織から新たな声明は出ていない。交渉はこう着状態が続いている。
 犯行組織は後藤さんと交換する形で、ヨルダンで収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放を求め、死刑囚をトルコとの国境で引き渡すよう要求。応じなければパイロットを殺害すると主張した。
 これに対し、ヨルダン政府はパイロットの生存確認を優先する立場を崩していない。モマニ・メディア担当相は29日夜(日本時間30日未明)、「死刑囚はヨルダンの刑務所にいる」と述べた。
  日本政府は後藤さんの解放に向け、ヨルダン政府に協力を要請しており、モマニ担当相は後藤さんの解放交渉について、「日本と常に協力している」と語った。 また、ジュデ外相は米CNNに対し、パイロットと後藤さんの2人の解放を犯行組織に求めていることを明らかにしている。
 ただ、ヨルダン国内ではパイロットの救出を求める世論が高まっている。現時点では後藤さんだけの解放を目的に死刑囚の釈放に応じることは困難な状況だ。  ジュデ外相もパイロットの解放を最優先にする考えを明確にしている。日本とヨルダン両国政府は後藤さんとパイロットの同時解放を目指すが、見通しは不透明だ。(時事通信)

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●IS要求不変 脅しに屈しないのなら、安倍は泰然自若を

2015年01月29日 | 日記
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●IS要求不変 脅しに屈しないのなら、安倍は泰然自若を

  まだ後藤氏は健在だったのは良いことだが、残念ながら、“Kenji Goto Jogo is no longer a prisoner of the Islamic State.”(ジャーナリストの健二後藤は、もはやイスラム国の捕虜ではない)とアブドゥル・アイルと云う戦士がTwitterの情報は、正しくはなかったようだ。結局、IS側の主張は、当初と何ら変わりなく、リシャウィ死刑囚と後藤氏の交換であり、パイロットのカサースベ中尉の交換には一言も触れていない。

  彼に関しては、即座の処刑か延命までであり、解放に関しては一切触れない戦術を頑なに守っている。後藤氏とパイロットでは、捕虜の格付けが異なるようで、イスラム国やヨルダンにとって、ヨルダン・パイロットは真っ黒な捕虜。後藤氏はグレーな捕虜と云う立場にあるようだ。筆者の就寝後、事態は以下のように展開した。朝日の記事を引用して追いかけてみる。注目すべきは、何らなの交渉接点が存在し、時間が半日延長されたことだ。この辺に希望を持ちたい。

≪ 日本時間のきょう深夜を期限 後藤さん名乗る新たな音声
過激派組織「イスラム国」に拘束されたフリージャーナリストの後藤健二さん(47)を名乗る男性による新たな画像と音声のメッセージが29日、ネット上に投稿された。イラク時間の29日日没(日本時間同日午後11時半ごろ)までに、後藤さんとサジダ・リシャウィ死刑囚を交換する用意ができなければ、「イスラム国」に拘束されたヨルダン軍パイロットが即座に殺害されるだろうと述べている。
 後藤さんとみられる男性の映像や画像、音声が公開されたのは4回目。今回は映像や写真がなく、静止画像にアラビア語で書かれた文章と同じ内容を男性が英語で話す音声が流れる。 男性は冒頭で「私は後藤健二だ」と名乗り、「この音声メッセージを送るように言われた」と続ける。
 「イスラム国」がヨルダン政府に釈放を求めているサジダ・リシャウィ死刑囚について、「(イラク北部)モスルの29日木曜日の日没までに、トルコ国境で私と交換する用意ができなければ、ヨルダン人パイロット、ムアーズ・カサースベ(中尉)は即座に殺害されるだろう」と結ぶ。画像のアラビア語の文章では「殺害されるだろう」を含む最後の一文のみ赤い文字で強調されている。
 モスルは「イスラム国」が勢力範囲とする拠点都市。メッセージは「トルコ国境」について、具体的な場所は明示していない。
 ヨルダン政府は交渉を継続している模様だ。後藤さんの安否に関する情報は明らかにしていない。
 ヨルダンのジュデ外相は米CNNに対し、拘束されたヨルダン軍パイロットのカサースベ中尉の救出をめざす一方で、後藤さんの解放も合わせて「イスラム国」と交渉していると語った。ヨルダンが求めるパイロットの生存の証拠が得られていないとしており、交渉が難航している可能性もある。交渉を仲介したというイラク国内の部族長は「交渉は12時間延長された」と朝日新聞に語った。
 ヨルダン国営放送は28日、カサースベ中尉が解放されればリシャウィ死刑囚を釈放する用意がある、としたモマニ・メディア担当相の発言を報じたが、後藤さんには言及しなかった。
 ヨルダンのアブドラ国王は28日夜、カサースベ中尉の家族と面会した。早期解放を求めた父親によると、国王は「安心してほしい。(交渉に)全力を尽くす」と語ったという。
 日本政府は現地でヨルダン政府にも協力を要請し、情報収集などを続ける。後藤さんの安否確認について、中山泰秀外務副大臣は「実際にオンゴーイング(継続中)で進んでいる問題」などとして詳細を明らかにしていない。 ≫(朝日新聞デジタル:渡辺丘、渡辺淳基=アンマン、鈴木暁子)

  パイロットの生存確約がヨルダン側の最重要課題のようだ。しかし、ISはパイロットの交換を条件には一切していない。ヨルダン政府の最重要な要求が、パイロットの生存確認と云う点に注目しておくことも大切だ。生存していないパイロットの延命手段とし、ヨルダン政府がリシャウィ死刑囚を解放したのでは、ドジな汚点だけが残される。表向き、パイロットの家族や国内世論に配慮して、パイロット交換をメインで交渉しているように見せているヨルダン政府の動きだが、その前提として、生存を確認する必要があると強く主張している。まだ、パイロットに関しての解放交渉は窓口にもなっていない可能性がある。

   このような、極めてセンシティブな状況下においても、我が国の首相は、自分の言葉が、事件の経緯に、それ相当の影響力が及ぶことを、まったく考慮しない、自己陶酔発言を繰り返している。IS側に、あの発言はアメリカ用で、本当はこう云うことです等と伝えられるくらいなら、日本政府が交渉できるわけで、その発言は、ISへのメッセージでもある。

  安倍は今日の予算委員会でも声高らかに、≪「無辜の市民を巻き込んだ卑劣なテロ行為は断じて許せない。強く非難をする」、「世界情勢はテロ事件の頻発により緊迫度を増している。もはやどの国もテロの脅威から安全な国はないと言ってもいい」、「テロを恐れるあまり、脅かしに屈するようなことがあれば日本人に対するさらなるテロの誘発を生み、卑劣な暴力を行使する者の意図がまかり通る世界になってしまう」≫等と相も変らぬ発言をしている。

  交渉は一切しないと言いながら、ヨルダン政府を通じて、交渉をして貰っているのだから、脅しに屈しないと口で言いながら、「どうなってる、どうなった」と閣僚同士でもぞもぞやっているのも醜い。テロは許さない、脅しに屈していはならない、と云うのであれば、ここは言葉通り泰然自若の様子が窺えても良いものだが、あっちとの交渉は、こっちとの接点はと、動き回っている姿は、庶民受けはするだろうが、論理的には矛盾している。

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●政府、マスコミの無能低能狡猾を「イスラム国」に教えられる皮肉

2015年01月29日 | 日記
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●政府、マスコミの無能低能狡猾を「イスラム国」に教えられる皮肉

 不謹慎だが、小生は日本のマスメディアの無能で低能な姿を「イスラム国」が、人質事件を通して教えてくれているように思ってしまう。ただひたすらに慌てふためき、記者クラブからの発表以外、まともな取材報道能力がないことを露呈した。平和の島で、立身出世だけを目標に生きている、新聞、テレビのジャーナリスト精神なんてものは、なきに等しいことを、あらためて教えられた。

 朝日は29日午前零時を回った時点で、以下の通り、一応事件のあらましを記事にした。日本のマスメディアとしては一番頑張ってはいるが、記事に今ひとつ迫力がない。その点については後述するとして、まずは記事を一読して貰おう。

≪ ヨルダン、死刑囚釈放の用意 パイロット解放が条件
ヨルダン国営テレビは28日午後1時(日本時間同8時)過ぎ、同国のモマニ・メディア担当相が、「イスラム国」に拘束中のムアーズ・カサースベ中尉が解放されれば、サジダ・リシャウィ死刑囚を釈放する用意があると述べたと報じた。後藤さんについての言及はなかった。 後藤さんの解放について「イスラム国」は、アンマンで2005年にあった連続爆破テロの実行犯とされるリシャウィ死刑囚との「1対1」の交換を要求していた。
 ただ、ヨルダン国内ではカサースベ中尉の解放を求める声が強く、ヨルダン政府は中尉とリシャウィ死刑囚の交換を模索。さらに日本政府からの要請を受け、後藤さんも含めた「1対2」の交換を検討していたとされる。
 ヨルダンは昨年9月から、米軍が主導する対「イスラム国」軍事行動に参加。カサースベ中尉は同12月、シリア北部ラッカで墜落した戦闘機に乗っていて拘束された。
 「イスラム国」との交渉で後藤さんだけが解放されれば、カサースベ中尉を「見捨てた」とする批判が国内で高まるのは必至。このため、ヨルダン政府は中尉の解放に全力を挙げている姿勢を見せる必要があったようだ。ジュデ外相はツイッターで「中尉の無事を証明してくれと頼んだが、まだ返事はない」と述べた。
 一方、ヨルダンでは28日、様々な情報が飛び交った。「ヨルダンと『イスラム国』がリシャウィの釈放に合意する見通し」など、複数のメディアが交渉の進展をうかがわせる情報を相次いで速報した。ヨルダン政府が近く声明を出すとの報道もある。
 交渉を仲介したというイラク国内の部族長は朝日新聞の取材に応じ、リシャウィ死刑囚をイラク北部のクルド人自治区経由で「イスラム国」側に移送することで合意したと述べた。「イスラム国」は日本、ヨルダン両政府が米国主導の「有志連合」支援をやめ、空爆で死亡した戦闘員家族らへの補償金を払うよう求めたという。
 ただ、日本政府の現地対策本部を指揮する中山泰秀外務副大臣は28日午前、記者団に「情報が飛び交っているが、こうした事実に関して私どもは全く知らない」とし、「粘り強く情報収集にあたる」と述べるにとどめた。 ≫(朝日新聞デジタル:アンマン=渡辺淳基、渡辺丘)


 “Kenji Goto Jogo is no longer a prisoner of the Islamic State.” (ジャーナリストの健二後藤は、もはやイスラム国の捕虜ではない)とアブドゥル・アイルと云うイスラム国戦士がTwitterで呟いているが、解放されたとも受け取れるし、生きていないのだから捕虜ではないと発言しているとも受け取れる。つまり、意味が不明なのだ。

 ハフィントンポストも、このTwitterを引用したのか、如何にも事件が解決したような本日のまとめを報じているが、真偽のほどは不明なままだ。まあ、日本のマスメディアが、白河夜船で眠っているのに比べれば、藁にもすがりたい状況なのだから、情報として価値はあるだろう。ただ、人命にかかわることなので、ウッカリなことが言えないのも理解はするが、どうも政府の動きには、キナ臭さと演技が加わっているようで解せない。

 何故かと云うと、イスラム国の最終の公式声明では、既に後藤健二氏に関しては、過去の話のような扱いになっており、既に解放されている可能性の方が高いのだ。つまり、後藤健二氏のビデオが言う通り、処刑はパイロット、後藤氏の順になっている。彼らは、そう云う点で正確な物言いをする習慣があるので、パイロットの解放云々でヨルダン国内が騒然としていると云う事は、後藤氏の解放が過去形になっているような気がする。無論、推論に推論を重ねた結論なので、絶対の自信はない。

 仮に、後藤氏が無事に解放されていた場合、現在の政府が心配げに、官邸公邸に籠っている有様は何なのだろうと疑問符の連鎖になる。ヨルダンが、自国軍のパイロットの解放に躍起となっていると云う事は、ものの順番として、後藤氏の問題は片付いたと云う事に他ならない。後藤氏の解放を知った上で、このような国家総動員体制のような茶番を演じているのだとすると、自国民の命を弄んでいる、トンデモナイ政権であり、トンデモナイ外務省と云う事になりかねない。

 筆者が、目を皿のようにして調べた結果は此処までだ。もう睡魔の限界がきている。ただ、日本政府の立場も理解できないわけでもない。単に悪しざまに言えば済むものでもないのも判る。米国追随の地位も確保したい。イスラム全体と対峙もしたくない。感情が劣化した国民をリードするのは容易いことで、このような事件に絡めて、大衆を吹き上がらせるのは911で十二分に我々は学んだはずなのだ。ただ、この表裏な関係を、政治保守な安倍晋三のパフォーマンスに取り込む辺りに、プロパガンダ性を感じるのは筆者だけだろうか?まずは、後藤氏の無事を祈り、緊急のコラムにさせて頂く。

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●積極平和主義の不様な姿は枯れ尾花 イスラム国24時間

2015年01月28日 | 日記
決定版 東京空襲写真集 アメリカ軍の無差別爆撃による被害記録
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●積極平和主義の不様な姿は枯れ尾花 イスラム国24時間

  金をばら撒き、大口叩くだけの安倍外交。アメリカの顔色見ながら、ナショナリストを気取る安倍晋三の真の姿が見えて来た。自ら、イスラム国の支配地域のど真ん中にでもオスプレイで降り立つのであれば、そりゃ流石の俺も、晋三ヨイショの一員に加わるも悔いなしだが、そんなことは金輪際ないだろう。

 まあ悪しざまにコケにしてやるのはこの位にして、現実を見つめてみよう。朝日に佐藤優のコメントが出ていたが、親モサドの佐藤らしいコメントだった。≪イスラム国に交渉の意思ない。ヨルダンの死刑囚交換も思いつきだろう。首相は後藤氏の価値観を高める情報を発信すべきだ‥等≫と言っている。反イスラム国一点張りの彼の立ち位置が窺える。逆に、中東調査会の高岡豊氏の指摘の方が納得できる。≪イスラム国ここにありの宣伝効果であり、捕虜交換は金に換算できない重要事項と云うメッセージ性を狙っているかもしれない≫こちらのコメントに分がある。今回のイスラム国の動きには、ヨルダン領土へのイスラム国拡大も視野だから、その辺の考慮せよと云うメッセージも含まれているだろうから、ヨルダンは安倍と違い、アメリカ一辺倒の判断になるとばかりも言えない。

 現実には、ヨルダン政府にボールが渡された状況なので、安倍の積極平和主義とは、金目つき口爆弾をまき散らすことしか出来ない事を証明した。ヨルダンにしてみれば、金目も魅力的、民意も無視できないだが、長い目で見ると、人命尊重の国と云うイメージの方が国際的には有効だ。であれば、人質になっている自国パイロットの交換を組み合わせた解決交渉をしているに違いない。リシャウィ死刑囚と数人の収監している罪人との交換なら、メリットは充分だ。アメリカが、この問題にどこまで首を突っ込むかが一番の懸案事項である。捕虜の交換などトンデモナイ、捕虜奪還に特殊部隊だ!概ね、大失敗するのだが、理念の前には人命など関係ない。

 時間が迫っていることなので、予断を許さないわけだが、安倍晋三に打つ手なしなのだけは確実。如何に、自分の軽挙妄言が、世界平和の原理原則に沿うものだと証明することに躍起で、人質やヨルダン政府の決断への興味よりも、自己責任を逃れるエクスキューズをひねり出す作業で必至だろう。今のところ、口を開くたびにアメリカン風になっている。筆者は、この帰結が、後藤氏の身が安全になることを祈るが、日本人の生命財産を守るのが「俺だ、安倍だ」と言っていたのに、それを決定できるのは、ヨルダンであり、イスラム国である。この事実が、歴史の事実と云うものだ。最後に、一番参考になりそうなAFPの記事を載せておく。

≪ イスラム国の人質交換要求、狙いは有志連合の分断 専門家ら
【1月28日 AFP】イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」が、日本人の人質の解放と引き換えにヨルダンで収監されている死刑囚の釈放を求めていることについて、アナリストらは、中東の過激派組織に対抗する米国主導の有志連合の結束を弱める狙いがあると指摘している。
 イラクとシリアで制圧した地域で残虐な支配を続けるイスラム国は、ジャーナリストの後藤健二(Kenji Goto)さんの助命を提示することで、ヨルダンと日本、そして米国の関係をぎくしゃくさせようとしている。
 後藤さん解放の代償としてイスラム国が要求しているのは、サジダ・リシャウィ(Sajida al-Rishawi)死刑囚の釈放だ。同死刑囚は、2005年にヨルダンの首都アンマン(Amman)のホテル3か所で起きた同時爆破事件に関与したとして死刑判決を受けた女だ。同事件は「ヨルダンの9・11」とも呼ばれている。  イスラム国は27日に新たに公開した音声付き画像の中で、リシャウィ死刑囚の24時間以内の釈放を要求。さもなければ後藤さんに加え、同じく拘束しているヨルダン人パイロットのモアズ・カサスベ(Maaz al-Kassasbeh)さんを殺害すると脅迫した。カサスベさんは、シリア上空を戦闘機で飛行中に撃墜され、イスラム国によって拘束されていた。
 イスラム国は先週、人質に取っていたもう1人の日本人、湯川遥菜(Haruna Yukawa)さんを斬首して殺害したとみられており、人質交換は日本政府にとって魅力的な提案にもみえる。
 だがこの提案により、ヨルダン政府は、大口支援国である日本の意向と、カサスベさん解放実現に向けた最大の切り札の確保とを天秤に掛ける必要に迫られている。
 同志社大学(Doshisha University)の内藤正典(Masanori Naito) 教授(現代イスラム地域研究)は、もしリシャウィ死刑囚が釈放されることになればヨルダン国民は激怒するだろうと話す。さらに、ヨルダン政府が日本の利益 のためだけにリシャウィ死刑囚釈放という最大の切り札を使えばヨルダン国民の怒りはさらに増し、ヨルダン政府は深刻な打撃を受けるだろうと指摘し、非常に 厳しい状況だと述べている。

■衝突する各国の思惑
 人質交換は、日本と強固な同盟関係を結び日本の外交政策の基盤でもある米国の怒りを買う可能性もある。米政府は26日、人質交換は身代金の支払いと「同じカテゴリー」に入るとの見解を示した。
 穏健派イスラム国のヨルダンは、中東諸国の中でも日本と最も良好な外交関係を築いている国の一つだ。
 安倍晋三(Shinzo Abe)首相は今月の中東歴訪で、ヨルダンのアブドラ・ビン・フセイン国王(King Abdullah II)と会談。同国のイスラム国に対する戦いをたたえた他、1億ドル(約118億円)の円借款と、国際機関を通じた2800万ドル(約32億円)の支援を約束した。
 イスラム国が先週、後藤さんと湯川さんの映像を公開し、2億ドル(約236億円)の身代金を要求すると、日本政府はヨルダン政府に協力を要請した。
 だが、イスラム国が湯川さん殺害を発表し、要求の内容をリシャウィ死刑囚釈放へと一方的に変えると、事態はヨルダン政府にとって望ましくない方向に展開した。
 人質になっている自国民の解放を最優先課題にしているヨルダン政府は、資金力のある日本を失望させて将来の両国関係に悪影響を及ぼすことも恐れているかもしれない。

■「交渉内容拡大の機会」
 アンマンにあるアル・クッズ政治学研究センター(Al-Quds Centre for Political Studies)のオレイブ・レンタウィ(Oraib Rentawi)所長は、自国のパイロットが拘束された状態で後藤さんと引き換えにリシャウィ死刑囚を釈放することをヨルダン政府に期待するのは非合理的だと指摘する。だが、両国は両方の人質の解放を要求するという大胆な試みに打って出る可能性もあるという。
 レンタウィ氏はアンマンでAFPの取材に応じ、「ヨルダン政府にとっては、イスラム国との交渉内容を拡大し、日本人の人質とヨルダン人パイロットの両方を解放する約束を取り付ける機会ができた」と語った。
 読売新聞(Yomiuri Shimbun)は、ヨルダン政府が、後藤さんとカサスベさん2人の解放と引き換えにヨルダンが収監している2人の受刑者を釈放するという提案をする可能性もあるが、イスラム国がこれに合わせて要求を増やしてくる恐れもあると伝えた。
 日本政府側の動きからは、2対2の人質交換に向けた下地作りを進めている可能性もうかがえる。アンマンの対策本部を率いる中山泰秀(Yasuhide Nakayama)外務副大臣は記者団に対し「パイロットの救出もわれわれのテーマだ。2人が無事に戻れる日が来るよう、ヨルダンと日本の両国で力を合わせて取り組む」と語った。
 だが中山外務副大臣のこの発言の数時間後には、米国のジョン・ケリー(John Kerry)国務長官が日本の岸田文雄(Fumio Kishida)外相と電話会談を行っている。
 東京にあるテンプル大学(Temple University)ジャパンキャンパス現代アジア研究所のロバート・デュジャリック(Robert Dujarric)研究所長は、日本にとって望ましい行動をヨルダン政府に取らせる自由裁量を日本政府が持っているわけではないことを認識することは重要だと述べるとともに、米国の意向も関係してくると指摘した。 ≫(c)AFP/Hiroshi HIYAMA

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●束の間の陽だまり 世界を巡り異なる視点に触れてみる

2015年01月28日 | 日記
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●束の間の陽だまり 世界を巡り異なる視点に触れてみる

 今日は、気が向いたので世界のメディアが何を伝えているのか、ざっくりと眺めてみた。たいして意図するものはないく、なんとなく世界の人々が今日はどのようなニュースを話しているのか、感じてみようと思っただけだが、日本のメディアばかり追いかけていると、世界の孤児になりそうなので、時折、こういう試みをしている。仏語、ドイツ語、ロシア語、ラテン語などはからっきしだから、その辺のフォローはおざなりだ。

 日本のメディアでは、イスラム国人質事件と安倍政権の宣伝ニュースが中心だが、世界は、必ずしも、日本の重大ニュースの価値に合致はしていないようだ。国内で注目の記事は、世界では、どうでも良い記事と云うことなのだろう(笑)。しかし、掲示板などを覗いて見ると、その国内話題で喧々諤々なのだから面白い。以下は国内メディアの目についた“見出し”の一覧だ。

 ■ 国内メディア見出し抜粋
・クルド人組織、シリア要衝を奪還 「イスラム国」から(朝日)
・東証大引け、大幅反発 ギリシャ懸念後退で1カ月ぶり高値(日経)
・消費再増税「確実に実施」=アベノミクス批判に反論-衆院代表質問・安倍首相(時事)
・対テロの連携を確認=日米外相が電話会談(時事)
・官房長官「ヨルダン側は理解」=人質解放の協力要請に(時事)
・ロシアを「投機的」に格下げ=格付け大手で初-S&P(時事)
・「ウクライナ軍はNATO」=ロ大統領、反欧米感情あおる(時事)
・シリア北部の町「9割掌握」=米軍発表(時事)
・イスラム国:「アフガン・パキスタンも領土」(毎日)
・クルド人部隊:シリア北部拠点を掌握…イスラム国撃退(毎日)
・円安効果、中国チャーター便が定期便化する空港(読売)
・朝日のコラムはまた日本を貶めるのか(産経)
・TPP、米豚肉団体が姿勢軟化 交渉の現状を評価(東京・共同)
等々

 一番目立つのは「イスラム国」への悪口であったり、形勢不利で、今にも「イスラム国」が安倍晋三とオバマのお陰で殲滅される寸前のような論調が目立つのが、国内メディアの特長だと言える。イスラム国なるものと、有志連合の戦いにおける大本営発表のような報道なのだが、大衆の多くは、信じることになるのだろう。ギリシャ危機も軽微で、株価も上がり続けていると囃し立てている。アベノミクスも順調らしく、景気回復の兆しに満ちており、今しばらくの辛抱だそうだ。読売などは円安効果の宣伝に力を入れている。共同はTPPの妥結に向け、日米の歩み寄りが鮮明になっていると報じている。以上が、日本メディアの主なところだ。

 さて、海外では何が話題なのか、ざっと眺めてみる。米国メディアもイスラム国の形勢不利を愉しそうに伝えているが、ロシアの絶不調への言及も忘れてはいない。たまたまNYにおける大雪が話題になっていたので、他のニュースは幾分影が薄い。ブルームバーグは東京市場の株価高騰を好意的に報じ、ロイターは幾分水を差そうと試みている(笑)。後は、キューバ・カストロ前議長の生存説議論などである。中国人民日報は、安倍政権の侵略の歴史偏向に日本人も抗議している事が大きく報じられたり、最大の貿易赤字を出したと、鬼の首でも取ったように語っている。ロシアは、ウクライナ政府がガタガタで国民の信頼を失いかけていると、これも情報合戦に参戦している。

 日本になく、世界が目を向けているのが、サウジアラビアの動向とギリシャの動向だ。特に、サウジアラビアとアメリカの原油を巡る争いは、世界的影響を伴うものであり、筆者も強く意識している。ワシントンポスト紙の「Oil-rich Saudis find new help in struggle to delay action on climate change: Cheap gas」のコラム記事が面白い。どうも、原油暴落ではアメリカも困っている傾向があり、地球温暖化問題、再生可能エネルギー、大型排出SUV車の売り上げ好調等々が絡み合っている現状が解説されていて興味深い。

 意外に思ったのが、韓国・中央日報の記事だ。少なくとも、言論の自由に関して、日米に比べて優れているようだ。堂々と政府批判を愉しんでいる。“このままでは韓国もギリシャのように国家破産に追い込まれる”、“韓国軍、国産武器K-11複合型小銃にまた欠陥…隠蔽疑惑”日本のマスメディアより余程権力批判の根性は生きている。記憶に間違いがなければ、韓国は、だいぶ前に司法改革も行ったし、記者クラブ制度も廃止したらしい。TPPに参加の場合、痛みも酷いだろうが、日本の官僚機構に風穴が開くこともあり得るだろう。

■ 海外メディア見出し抜粋
・日本株やドルに楽観なきショートカバー、ロシアめぐる強い不透明感(ロイター)
・日本株ことし高値、円高一服と国内決算期待-金融、輸出買い(ブルームバーグ)
・クルド人部隊、シリアの要衝コバニを制圧 イスラム国を撃退(AFP)
・カストロ前議長、国交正常化支持も「米国は信用しない」 キューバ(AFP)
・ウクライナ、2014年の給与未払い額が3倍に(ロシアの声)
・日本国民が抗議活動、侵略の歴史の反省を安倍内閣に促す(人民日報)
・日本の貿易赤字が過去最高に 12兆7800億円(人民日報)
・このままでは韓国もギリシャのように国家破産に追い込まれる(中央日報)
・韓国軍、国産武器K-11複合型小銃にまた欠陥…隠蔽疑惑(中央日報)
・国家破産の警告まで出た…政治家は答えろ=韓国(中央日報)
・Oil-rich Saudis find new help in struggle to delay action on climate change: Cheap gas(ワシントンポスト) ・カナダ軍がまたイスラム国と地上戦? 政府は従来の見解崩さず(WSJ)
・ギリシャ総選挙、懸念される他国への波及(WSJ)
・Weather Causes Road and Transit Bans as Snowstorm Barrels Into Northeast(NYT)
・U.S. and India Share Sense of Unease Over China(NYT)


PS:後藤健二氏が最後通牒メッセージ
 イスラム国が発信したと思われる後藤氏からの静止画と音声メッセージが27日に深夜に流された。メッセージの内容は日本のメディアによると、ヨルダンに収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚と1対1の交換交渉期限は、24時間のリミットがあると発言している。政府は画像や音声の信ぴょう性を確認中だそうだが、24時間が制限時間だから、忌々しき事態のようだ。
 メッセージの内容では、この責任はヨルダン政府に帰すとなっているが、安倍政権へのダメージも相当なものだろう。しかし、今さら振り上げた拳と云うか大風呂敷を畳むことも出来ず、右往左往が現実なのだろう。困るのは、安倍のような性格の人間は、火に油を注ぐようにキレる人格なので、国民を守るどころか、火の海に投げ込むのだろう。
 ロシアの報道によると、≪可能な限り早く、ヨルダンの監獄 にとらえられている確定死刑囚、テロリストのサジド・リシャウイ氏の解放を実現するよう求めた。これが最後のメッセージであり、残された時間は24時間である、という。また、ヨルダン人操縦士に残された時間は自分よりさらに短い、とも。「私の生命はヨルダンにかかっている。ヨルダン政府に圧力をかけていほしい」と後藤氏。イスラム国は監獄に囚われているテロリスト27人の解放を求めている、との報道も先になされている。≫ヨルダン政府が行動しやすいように、後藤氏とパイロットと囚人27名の交換と云う提案もあるのかもしれない?

神学の思考: キリスト教とは何か
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●高齢化で社会問題化「子供の声」 たしかに癇にさわるが

2015年01月27日 | 日記
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●高齢化で社会問題化「子供の声」 たしかに癇にさわるが

 筆者は、子供の声は大変嫌いだ(笑)しかし、30分や1時間なら堪えられる。もっと我慢すれば2時間くらいは堪えられるだろう。自分の子供の声も、他人様同様にうるさいだけだった。しかし、現実に“怒鳴る”ようなことは経験していない。子供たちに対し、注意をしに行くことはある。にこやかに、我が家の近所における、遊びのルール化を提案してみる。彼らは、わけが分からない生きもののようでいて、実は思いの外、理解力がある。恐怖で頷いているとは思いたくない(笑)。

 しかし、実は、彼らの両親たちには、その理解力がなくなっている。親たちの方が、子供たちよりもレベルが低いのである。子供らは、他人の窮状に同意し、同調する感性を有しているが、その親たちには、その同調感性がない。親たち親たちと貶したが、都市文化においては、これは共同体の喪失そのものだから、親たちだけでなく、構成する人々全員の問題、否、都市文化の非人間的社会性なのであって、どちらが良いとか悪いとかの問題だとは思わない。

 共同体的な共通意識が存在する学校における親たちの情報の共有などは好例で、学校に通っている期間だけ意識の共有がある。しかし、それは一時的で、小学校などを卒業した途端に、共通意識は胡散霧消して核に逆戻り、意識の共有現象は消える。実際問題は、我が国の60年以降の高度経済成長と都市化の影響として誕生した核家族は、核家族の中に於いてまで、核化が進んでいると云う状況まである。爺婆両親子供らが、同一の情報を共有できない時代になっているので、益々、他者の考えに触れる機会も減って行く。

 おそらく、教育の方向性の中に、個を優先するあまり、個らしきものでないものまで、個性と云う便利な語彙に包み込まれたのかもしれない。或る、非常に優れた大学を出ている夫婦が近所にいるのだが、彼らは、声の強弱の使い方が苦手である。常に声がでかいのだ。誰に聞かれても問題のない発言だけをしているのかもしれないが、近所に大声が筒抜けなのだ(笑)。もしかすると、最近の若者に多い、声のトーンを変えられない人々。つまり、囁き話すテクニックを持っていない人々も増えている。

 昔は、大声の人間は耳が遠い所為だったが、都会では違ってきている。声を潜めることは、時に公明正大な発信でない場合も多いわけだが、時に、他者を意識して生きなくて良い都会の特性かもしれない。メールを読みながら歩く人、うっかりするとメールを打ち込んでいる人。大音量でイヤホーンから音を洩らして平気でいられる人。街宣車のような音量でヒップホップを流し、走り抜けるバイク。結局、他者の存在を無視しても良い文化は、恥を恥と思わない文化に繋がる。それが都市文化だとすると、これから、このような保育園や幼稚園の騒音問題も拍車が掛かるのだろう。

 高齢化が進めば進むほど、東京などでは、子供の声問題は激化するに違いない。大らかに子供を育てることと、ひそひそ話が出来る子を育てることは、メリハリと云う情緒を育む意味もあるだろうから、やろうと思えばやれる。自由で好き勝手な唯我独尊で、社会からの評価を無視して生きる人種が増えるのだろう。高齢者と云うものも、テレビの音量などでは、耳が遠いのだが、周囲の子供の声などには敏感になる。おそらく、波長の問題なのだろうが皮肉な現象だ。

 都市文化のイイとこ取りは出来ないわけで、都市文化とのバーター取引のようなもので、互いに理解すると云うよりも、互いに不便を与えあっている対峙する関係である事を自覚した提案の方が知的だ。この朝日の関連記事には、子育ては、地域が参加し、「絆」を大切にと云う綺麗ごとの羅列にも思える。ウルサイものは五月蠅いのだ。悪さをしたら、怒鳴っても良い文化こそ、子供の情操教育になる。ピアノのレッスンよりも、近所の親父の怒鳴り声の方が、教育上は意味深いかもしれない(笑)。

≪ 子どもの声は騒音ですか? 絶えぬトラブル、条例改正も
保育園や遊び場の子どもの声をめぐるトラブルが絶えない。厳しく騒音を規制する条例がトラブル拡大を招いた東京都では、就学前児童の声を規制対象から外す改正案が2月議会で提出される。一方、保育園と住民が話し合いで歩み寄ったケースもある。

■園庭ではひそひそ声
 「ネズミさんの声だよ」。東京都練馬区の認可保育所「アスク関町北保育園」。保育士が園庭に出る園児に注意した。壁には「ひそひそ話」のネズミから「思い切り」のライオンまで、動物に例えた声量別の絵が貼られている。
 2012年夏、近隣住民が園の運営会社などを相手取り、騒音差し止めと慰謝料を求めて東京地裁に提訴し、現在も係争中だ。園児らの声で平穏な日常生活を送る権利を害されている、と主張している。
 運営会社によると、07年の開園前から近隣住民と協議を重ね、園の周囲に約1千万円かけて高さ約3メートルの防音壁を設けた。130人の園児が園 庭を使うのは午前中の2時間弱に限り、歓声が上がりやすいボール遊びは禁止。はやっているのは忍者ごっこだ。スタッフの今井めぐみさん(32)は「ストレ スをためないように散歩などをさせている。地域と交流して関係を深めたいが、きっかけがつかめない」と話す。
 待機児童解消のため、認可保育所を毎年増やしている仙台市。12年度は133園、13年度は135園、14年度は141園になった。施設の増加につれて、住宅街では子どもの声に対する苦情も増えているという。
 トラブルが起きる場所は保育園に限らない。川崎市では「こども文化センター」の遊び場での子どもらの声に悩んだ夫妻が、市などに騒音差し止めと慰謝料を求めて提訴。夫妻の自宅の窓を二重サッシにする工事費を市が負担することで13年に和解が成立した。

■基準は「45デシベル」
 トラブルの火に油をそそいでいるのが都の環境確保条例だ。「何人(なんぴと)も規制基準を超える騒音を発生してはならない」とし、数値を定めて規制している。
 「何人も」とある以上、子どもも対象になる。練馬区の認可保育所の訴訟では、都条例が定める住宅地の騒音基準の45デシベルを園児の声が超えていると原告側は指摘する。
 都条例の適用を受ける都内の62区市町村を対象に、都は昨年3~9月、子どもの声のトラブルを調査。42自治体が「苦情が寄せられたことがある」、40自治体が「都条例を改正するか緩和すべきだ」と回答した。
 影響は都外にも及ぶ。神戸市の保育園を相手取り、近所の70代男性が園児の声などによる騒音の慰謝料を求めた訴訟で、原告側は都条例を挙げ、「同じ音が都民は受忍限度を超え、神戸市民は超えない理由はない」と主張している。
 都大気保全課によると、この条例のもとになった公害防止条例は1969年に制定された。当時の東京は急激な都市化で騒音や大気・水質汚染が深刻化 していた。快適な生活環境を保つには、車を日常的に使う都民も騒音などを抑える義務があると考え、都は「何人も」と規定した。担当者は「子どもの声も含まれるという議論になるとは想定していなかった」と話す。
 一方、都が13年夏に実施した調査では、政令指定都市20市で子どもの声を騒音規制の対象としている市はなかったという。
 こうした状況を踏まえ、都は昨年12月、「東京都だけが子どもの声も騒音の規制対象になっている現状は好ましくない」として、条例の見直し案を発表。保育園や幼稚園、公園、児童館などで小学校就学前の乳幼児が出す声や楽器音、遊具の音などを規制から外す。子どもと一緒にいる保護者らの音も除く。ただし送迎時の保護者同士の会話や保育園の空調音などは従来通り規制する。
 都が見直し案への意見を公募したところ、今月13日までに約150件が寄せられた。「対象年齢をもっと引き上げては」などという賛成の一方、「受忍限度は人によって様々。引き続き数値で規制すべきだ」といった反対の声も届いた。
 それでも、都道府県でワースト1位の待機児童数を抱える都は、2月の都議会定例会に条例改正案を提出し、住宅地で保育園の建設が難航する現状の改善を目指す。担当者は「改正で訴訟が減り、子どもを育てやすい社会になるはず」と話す。騒音に悩む人にも配慮し、子どもの声が受忍限度を超える場合は勧告や命令の対象とする規定も盛り込む。

■住民と対話、歩み寄りも
 住民と園が協議を重ね、理解を深めたケースもある。東京都世田谷区の住宅密集地に、11年に開設された認可保育所「太子堂なごみ保育園」。区は元々、敷地の区有地を防災目的の公園にする予定だった。待機児童を減らすため保育所に変更すると、近隣から建設反対の声が上がった。
 地元のまちづくり協議会メンバーの吉田昌史さん(63)は「急に保育園ができると言われたら、住民は不安になる。顔が見える関係づくりから始めた」。
 住民と園の協議は10年8月までの9カ月間に計7回。区の担当者や設計事務所のスタッフも参加して知恵を出し合い、ルールづくりを進めた。車での送迎は禁止▽送迎に自転車を使う場合は園の敷地内に止める▽園の窓を二重ガラスにする▽顔を知ってもらえるように地域の行事には園児も職員も参加する――。
 当時園長を務めていた栗田怜子さん(67)は「後から地域の中に入れていただく立場。住民の方の率直な意見を聞き、変えられる部分は変えた」と振り返る。
 保育士の女性は「教えてもらって気づくこともある」と話す。狭い園庭では遊び回れないため、近くの広場を遊び場にしていた。広場の前のアパートの 家主から「この辺は夜勤で午前中は寝ている人も多い」と声をかけられた。それから午前中は別の公園で遊び、広場は夕方にしたという。
 開園時から長男(5)を通わせている母親(38)は「お迎えのときのママ同士の雑談は貴重な情報交換の場。ただ、園の外では立ち話をしないように気をつけている」と言う。(川口敦子)   
   ◇
<子どもの生活環境に詳しい木下勇・千葉大大学院教授(都市計画)の話> 昔は子どもが外で遊んでいて悪さをすれば近所の大人が注意し、子どもは地域で育っていた。核家族化が進んで世代間を超えた関係が築きにくくなり、子どもの声を騒音と受け止める社会が生まれた。人口が集中した都市部の住宅街で子どもが遊ぶ空間が減ったことも、コミュニケーション不足に拍車をかけている。住民らが声をかけ合い、顔の見える関係を築けるまちづくりを社会全体で編み出すことが必要だ。 ≫(朝日新聞デジタル)


≪(耕論)子どもの声は騒音か  梅田聡さん、宇野常寛さん、斎藤慈子さん  
 
「声がうるさい」と保育園建設に反対が起きたり、子どもを外で遊ばせられなかったり。こんな動きが広がり、東京都は関連の条例を見直します。あなたは、うるさく感じますか?

■共感のスイッチをオンに 梅田聡さん(心理学者)
 子どもの声がうるさい。そんな訴えが増えているのだとすれば、時代背景も含めてその要因を広く考える必要があるのではないか、と思います。
 まず、個人レベルでは「心理的な抵抗力」です。今も昔も、身の周りの環境は静かであってほしい気持ちはある。でも、抵抗力が高ければ多少うるさく ても我慢しよう、見逃そうとなります。低ければ怒りやすくなる。最近の少子化で年下の人と接する機会が減り、周囲に気を使って我慢する機会も少なくなっていることが、心理的抵抗力を弱める要因となりえます。
 さらに、「子どもがうるさい」という場合、単に声の問題にとどまらず、状況によることがよくあります。電車の中で子どもが叫んでいたとして、親が 懸命にあやしているならば理解を示しやすいのに対し、親が放置していると、「うるさい」となりがちです。親へのイライラが子どもの声の解釈を左右するので す。社会的な要因です。
 脳科学でみれば、イライラや興奮の主な中枢は扁桃(へんとう)体です。ストレス刺激に対し、発汗や血圧上昇をもたらし、ストレスに対応します。個人差がありますが、地域差もあることが最近わかってきました。
 2011年の研究では、大都市、中都市、田舎の3群でストレス刺激への反応を調べたら、人口が密集する大都市群で扁桃体が最も強く動く結果が出ました。常に緊張を強いられる都市部という環境では、子どもの声というストレス刺激にも、強く反応する可能性があります。
 こうした要因を踏まえ、他者の気持ちをくみとる「共感」という心の働きを考えてみます。共感と見られる行動は人間以外の動物でも観察されますが、高度な社会を営むうえで不可欠な、人間が人間であるための重要な働きといえます。
 共感には、いわば自動的に起こる部分と、状況次第でコントロールできる部分とがあります。子どもを見てかわいいと思う感情がわいても、親の態度などに反発すれば、その気持ちのスイッチを切ってしまいます。
 スイッチをオンオフする境界線は本来、高いところにあるのが人間。でも先に挙げた様々な要因もあって、簡単にスイッチを切ってしまうのが現代社会に生きる私たちかもしれません。
 子どもの運動会の冒頭、校長先生が「地域の方々にご迷惑をおかけしています」とあいさつするのを聞き、時代だなと思ったことがあります。目の前にいない人にも気を配ることで、「そこまで言うなら」と地域の人も許すのかもしれません。そうした配慮があれば、我慢の限界も変わってくるのでしょう。
 共感のスイッチをオンに保つためにも、地域での人間関係づくりはこれまで以上に大切になってきたのかもしれません。  (聞き手・辻篤子)     
*  うめださとし 68年生まれ。専門は心理学、認知神経科学。14年から慶応大学教授。人間に「共感」が生まれる仕組みやメカニズムの研究に取り組んでいる。編著に「共感」など。

■未来に賭ける視野ほしい 宇野常寛さん(評論家)
 日本社会の世代間の断絶や劣化を思い知らされる話題ですね。僕に子どもはいませんが、同世代の友人たちが共働きをしながら子育てに奮闘している様 子を間近で見て、悩みも聞いています。「子どもの声がうるさい」と苦情を寄せる人たちには、中高年層が多いと聞きます。自分の環境を静かに穏やかに保つためなら、いま育っている子どものことなんて知らないよ、って話でしょうか。
 上の世代が子どもの声さえ我慢できないのは、つまり子どもを社会全体の財産とみなせないということです。自分たちの世代の利害を中心に考える、こんな姿勢がまかり通るのなら、たとえば高齢者に有利な年金制度なんか、やめるべきです。
 いまの年金制度は、下の世代のクレジットカードを高齢者が使っているようなもの。個人的には不満だし、将来の年金制度の崩壊への不安もあるけど、いちおう民主国家で決められたことだから従っています。
 寒々しい分断状況の根っこには、「未来に賭ける」という考え方がこの社会で愕然(がくぜん)とするほど薄れてしまった状況があるように思います。その考え方は僕たちの社会が成立する最低限のルールのはずなのに。
 そうした風潮は原発問題などとも無縁ではありません。僕は、何が何でも原発反対を唱える主張とは一線を画した上で、長期的には原発を見直していく べきだと考えています。未来に負債を残すべきではないから。生まれてくる世代に少しでも良い世の中を残したいから。いまあるものを食いつぶすだけでは、社会の持続性が失われてしまうと危惧しています。
 世の中すべてが近視眼的になり、小さなパイの取り合いのような議論しかできていない。50年単位で物事を考えていく長期的視野が必要です。
 ただ、ここまで薄らいでしまった社会の相互理解は、すぐに修復できるものとは思えません。短期的には説得を諦めて、実際的なアプローチを試みてはどうでしょう。
 たとえば、IT関連企業の従業員が加入する「IT健保」のような仕組みをイメージすればいい。加入者の平均年齢が若いため、保険料なども割安に抑 えられるのがIT健保の利点のひとつですが、要は一度、子育て世代など若手世代がまとまって、相互扶助を行うことを考えていいのではないかということ。そうした動きが、政治的な圧力団体としての活動につながってもいいはずです。
 こうした足場を固めた上で、自分たちの意見を広く社会や上の世代にも訴えかけて、同時に上の世代の意見も聞く。そうした試みを重ねて、ギブ・アンド・テイクの社会を取り戻すしかない。そういう局面にきているように思います。  (聞き手・藤生京子)     
*  うのつねひろ 78年生まれ。著書に「楽器と武器だけが人を殺すことができる」など。共著に「ナショナリズムの現在」など。編集長を務める「PLANETS」第9号が近刊予定。

 ■多くの大人がかかわって 斎藤慈子さん(行動生物学者)
 私自身、自分で産むまでは子どもが嫌いでした。うるさいし、近くにくると嫌悪感すら抱きました。でも、生物は自分の遺伝子を残すことで進化してきたし、子どもは次世代につながる大切な存在のはず。なのにかわいいと思えない。これって生物としてまずいのではないか。なぜなのだろう。生物の行動を進化の観点で研究する者として、気になっていました。
 子どもと接する機会の有無が大きいのではないかと思います。現代社会は核家族化して、子どもは子ども、大人は大人と世代が分断されています。多くの大人が子どもと接する機会も少なくなってしまいました。
 子どもの泣き声はもともと、注意を引くために気にさわるようにできている。子どもと接していない人は、泣き声は聞き慣れず、うるさく感じてしまうのでしょう。ふだん孫に接している高齢者なら、さほどうるさいとは思わないでしょうが。
 子どもとの接触が限られるいまの社会のありようは、生物としてのヒトを考えると、本来、不自然といえるでしょう。ヒトの子育て戦略は「共同繁殖」だからです。
 ヒトはかなり未熟な状態で生まれ、脳の発達にも時間がかかるから育てるのが大変で、子育てには父親や周りが参加するのが大前提です。チンパンジーだと、生まれたばかりでもぶら下がる力もありますから、基本的に母親が育てます。
 ヒトの進化に関連して「おばあちゃん仮説」といわれるものもあります。子育てが終わった女性が孫などの子育てに参加することが、自己の遺伝子を複製するうえで有利だ、という説です。実際、日本社会でも、昔はコミュニティーが子育てにかかわってきました。お互いさまで助け合うことが自分のためでもある、ということでしょう。
 完全に一人で、というのは、ヒトの子育てに適さないともいえます。働く母親より専業主婦の育児ストレスの方が大きいという調査結果もあります。
 いまさら大家族に戻れ、は無理ですが、多くの人がさまざまな形で子どもと接し、子育てにかかわることが大切です。
 そうしないと、子どもは健康に育ちません。うるさがられるからと外で遊ばせる機会が減れば運動能力がつかず、ひ弱な大人、高齢者をつくって社会の負担を増やします。子どもを元気に外で遊ばせることが、未来のありようを決めていくのです。
 真の意味で子どもを社会で、健康に育てることが大切です。たとえば、公園でも町のあちこちでも、子どもが元気に遊べるようにすることです。そのためには、事故や犯罪に巻き込まれないよう周りでみんなが見守らねば。それは本来、一人ひとりの大人の責任であるはずです。  (聞き手・辻篤子)     
*  さいとうあつこ 77年生まれ。専門は認知行動科学。2011年から東大講師。サルの仲間のマーモセットなど動物も使いながら、子育ての進化的背景とメカニズムの研究に取り組んでいる。  ◆キーワード  <東京都の環境確保条例改正> この条例に基づき子どもの声を騒音とする訴訟が起きていたが、子どもの声は規制対象から除外する。2月都議会に提案。限度を超える場合、都が改善勧告できるようにする。  ≫(朝日新聞デジタル)

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●国民に恐怖を抱かせる印象操作 予定通り軍事国家への道

2015年01月26日 | 日記
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●国民に恐怖を抱かせる印象操作 予定通り軍事国家への道

 今回の「イスラム国」による日本人人質事件は最悪のパターンで展開している。筆者は、今回の事件を時系列に沿って追いかけてみた時、日本政府及び対スラム国包囲網を米英中心に対ISIL有志連合60か国程度で構成している。この「対ISIL有志連合60か国」とは、如何にも巨大な実態があるように表現されているが、アメリカ一国が突出した軍事作戦であり、その空爆の規模も、イラク戦争などに比べて小規模なものである。

 おそらく、「イスラム国」の実態が、倒すべき政権や国家の概念が定まっていないのだから、勝ち負けが、どこで決するかも判断のつかない戦いになっていることだ。つまり、魔女として血祭りにあげ、我々の勝利だと宣言できることの出来ない戦争なのである。このように、誰と誰が戦っているか判らない戦争は、ウクライナ内戦にも通じることで、誰が味方で、誰が敵か判らない戦争に西側中心に巻き込まれつつあると云う状況なのだろう。

 アメリカ一国の腰が座っているかといえば、オバマは地上軍の投入はあり得ないと明言しているので、オバマ政権が続く限り、本腰は入れない。次の大統領がどうするかは、現時点でまったく不明だ。なにせ、カリフ(最高指導者)だと云うバグダーディーと云う人物が、本当に支配者として君臨しているのかさえ、明確ではない。21世紀の混沌を象徴するような、国家的勢力の誕生であり、国境なき国家のようで、本当は手の施しようがないのだろう。

 しかし、世界の覇者として21世紀も出来るだけ長く君臨していたいアメリカにとって、「イスラム国」のような勢力の抬頭は看過しがたいのだろう。しかし、このような勢力乃至は人々は、西側諸国にとってはウィルスのようなもので、大手術を行えば、体中に拡散させる危険もあるのだから、塊である時点で殲滅したと叫びたい欲望が生まれるのも理解出来る。その意味で、「対ISIL有志連合60か国」はシンボリックだが実効性は怪しい。

 にも拘らず、なぜこのような勝者なき戦争をしなければならないかだが、一つはアメリカの中東政策が、悉くイスラム的考えに跳ね除けられている問題が根底にあるようだ。そこで、戦略好きのアメリカが考えたことは、イスラム教徒の集団を分断統治するアイディアを考えついたのだろう。テロをするような野蛮なイスラム教信者はイスラムにあらずと云う構図を描いたのだろう。つまり、イスラム教文化圏から危険な思想(ジハードなど)を切除する方法に走った可能性がある。

 しかし、21世紀の混沌と云うものは、なにもイスラム教文化圏だけの問題ではなく、富の偏在性であるとか、ナショナリズムであるとか、地球温暖化であるとか、核の小型化と拡散リスク‥等、混沌の要素は溢れているわけで、モグラ叩きのように、混沌の原因は潰しても潰しても生まれてくるだろう。しかし、米英仏独を含め、親イスラエルな中東諸国も含め60カ国以上が、「イスラム国」への十字軍として名目的にせよ、名を連ねたわけである。日本も、この十字軍に明確参加したとは言っていないが、相手方が、そうだと認定した以上、参加と同義になる。

 彼らに、人道支援の範囲なのになど云う寝ぼけた主張が通じるわけもないので、日本政府のやっていることは、時間潰し、粛々とシナリオを実行する、一つのコマになっていると見るべきだろう。おそらく、アメリカの権力二重構造にあって、日本政府は議会側(共和党)の権力に阿り、そこからの一点突破を企てる話に乗ったのだろう。いわゆるネオコンの話に乗ったと云うことだ。無論、ネオコンと同じ周波数を持つ安倍晋三にしてみれば、渡りに船な話で、本気で救出するよりも、話が拗れればこじれるほど、自分の感情と同調する空気が国内に醸成される。

 このような視点に立てば、軍国主義的風味の政権を作れたと自己満足できるわけで、意図して、湯川氏や後藤氏を人質に差し出したわけではないが、殆ど救わなければいけない理由を探す方が困難だ。「テロには屈しない」と断固たる態度を示しながら「テロ実行死刑囚を釈放してよ」なんて、口が裂けても言える理由がない。湯川氏にせよ、後藤氏にせよ、11月時点では、完全に捕虜になっているのを知った上で、衆議院選を実施して、全面的信任を得たと強弁し、親イスラエル中心(パレスチナ除く)の国を訪問し、2億ドルをばら撒き「イスラム国」の殲滅に協力すると宣言したのだ。

 おそらく、このようなネオコンの話に乗った時点で、中東訪問もシナリオに含まれていただろうし、人質がどのような」扱いをされるだろうかも想定済みだったと推量する方が自然だ。なにも、安倍官邸が馬鹿阿保だから、こういうことになったと云うのは甘い考えで、起こるべきことを予期した上で、軍事国家の道に一歩また進む、ベターな口実が出来たと云うことだ。捕虜二名には悪いけど、運の悪いときにイスラム国などに捕まってしまったものだくらいの感想しか持っていないだろう。まあ、たしかに、両名ともリスクは承知で紛争地帯のシリアやイラクに自らの意志で言ったわけだから、政府が強く非難される可能性は低い。

 現に、世論調査では、安倍たちは良くやっていると6割の人間が思っているのだから、どうしようもないだろう。世界の混沌と云うものは、こうして次から次と、世界の人間達に難題を投げかけてくるのだろう。正直、個人で、どれほど頑張ってみても、幾つもの仮説が成り立つわけだから、その推論にも限界がある。ただ、アメリカネオコンらが考えているシナリオも、とどのつまりには、行き詰るのだろう。勝者なき混沌は、あらゆる要因に対しても有効で、どこまで続くのか、想像もできない。以下は、幻のような「対ISIL有志連合」の実態を報じているロイターの記事である。口だけの有志連合60カ国に新たに参加する日本が、気がついたら突出したポジションに座っていると云う冗談のような事態も、安倍政権ではあり得るのだろう。


 ≪ 焦点:米主導のイスラム国掃討、有志連合の結束は続くか
[ワシントン 23日 ロイター] - イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」の掃討に向け、オバマ米大統領が「幅広い有志連合」を構築すると発表して約2週間。中東の有志国がシリアでの空爆に参加するなど、米軍事行動に対する国際協力の構図は固まりつつあるように見える。
  しかし、各国の思惑には大きな差があり、オバマ大統領自身が数年かかる可能性もあると認める作戦で、有志連合が実際にどこまで結束できるかは依然不透明だ。イスラム国掃討作戦では、有志連合側の兵士や民間人に犠牲者が出るなどの難しい事態も予想される。 「幅広い有志連合を団結させる力は共通の脅威だ」。
 こう語るのは、1991年の湾岸戦争時に米国主導の連合構築に携わったエドワード・ジェレジアン元米大使。 現在はライス大学ベイカー研究所の所長を務めるジェレジアン氏は、「(今回の)有志連合が、結束力の点でどの程度強いのかは分からない。それが大きな問題だ」と指摘した。
  米中央軍によると、シリアで夜間に始まった空爆には、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダン、バーレーン、カタールが参加した。 米国や西側の当局者らは、「圧倒的多数」の爆弾やミサイルを投下したのは米軍だが、中東諸国の参加は地政学的に重要な意味を持つと語る。
 西側と戦っているというイスラム国の大義名分を弱めることになるからだ。 中東諸国はこれまで、シリアの内戦ではそれぞれ異なる勢力を支援していた。サウジと同国周辺各国は、米国との軍事協力に反対する武装勢力から報復攻撃を受けるかもしれない。
 一方、ヨルダンは、国境を接するシリアから流入する多くの難民の扱いに苦慮している。 ただ、匿名の米国務省の高官は、中東有志国とオバマ大統領・ケリー国務長官の間で行われた複数の会談では、「長期間にわたる」作戦遂行に「完全な合意」があったと明かしている。
 別の同省高官によれば、サウジのアブドラ国王は今月11日に行われたケリー長官との2時間にわたる会談で、「必要なら空爆を含めて何でも協力する」と申し出た。 また、ケリー長官はその数日後、パリで会談したUAE外相に対し、サウジの後に続くよう要請。ヨルダンのアブドラ国王に対しては、今月に入ってアンマンで開催された夕食会で有志連合に参加するよう呼びかけ、19日にワシントンで行われた非公表の直前会合でも協力を求め たという。

<思惑交錯で「玉虫色」>
シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」のジョン・アルターマン副代表は、中東有志国の軍事力は米国に比べると非常に限られていると指摘。中東有志国はオバマ政権に「象徴的に」軍事支援を提供したが、実際の役割に変化は生じないと述べた。
 中東有志国とは対照的に、これまで米国と軍事行動を共にすることが多かった英国とフランスは今回、武力行使は慎重に進めている。
 フランスは、イラクではイスラム国を狙った空爆を数回行っているが、シリアでは実施しないとしている。 英国はここまで、人道支援物資の輸送支援のほか、諜報活動やクルド民兵組織への武器供与は行っているが、直接の戦闘行為には踏み込んでいない。
 キャメロン英首相の報道官は23日、同首相はシリアでの空爆を支持しており、「ISIL(イスラム国の別称)の脅威に対する国際的な取り組みに英国がより貢献できる方策」について国連総会の場で協議すると述べた。
 中東有志国の空爆参加は、米国主導の軍事行動に懐疑的な欧州の世論を変える可能性がある。 米国務省が公表した報告書には、イスラム国掃討に協力を表明した国として54カ国が名を連ね、その中には、自国東部で親ロシア派との深刻な衝突を抱えるウクライナも入っている。 米当局者によれば、グルジアからは、米国が支援するシリア反政府勢力の訓練を引き受けるとの申し出もあったという。
  ただ多くの国は、政治的支援の表明にとどまっているようだ。 ギリシャのベニゼロス外相はロイターの取材に対し、米政府から具体的な要望は受けていないが、人道支援や軍事支援の用意はできていると説明。「われわれからの提案はまだ何もないが、政治的に言って、われわれも有志連合の一部だ」と語った。
 協力国リストには入っているが、態度を明確にしていない国の1つは、北大西洋条約機構(NATO)加盟国でもあり、シリアと国境を接しているトルコだ。 一部のアナリストは、イスラム国が6月から拘束を続けていたトルコ人約50人が先に解放されたため、トルコは行動の選択肢が増えたと指摘する。 しかし、米当局者は、シリア人難民の大量流入に頭を悩ませているトルコは慎重姿勢を崩さないとみている。
  トルコのエルドアン大統領は23日、米国主導の空爆について、軍事支援もしくは後方支援を提供することが可能だと表明したが、具体的な中身については言及しなかった。 ≫(ロイター:原文:Warren Strobel記者、翻訳:宮井伸明、編集:伊藤典子)

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●中世と呼ばれる日本の人質司法 それを信じる愚民の感情

2015年01月25日 | 日記
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●中世と呼ばれる日本の人質司法 それを信じる愚民の感情

 まず初めに、「イスラム国」の人質となった二名の内、湯川遥菜氏を日本政府が情報収集と称して、予定調和的行動が取られる時間潰しをしているうちに、小生も予測した通り、意味不明の民間軍事会社設立の湯川遥菜氏が処刑されたらしき報道がなされた。その報告を残る一名の後藤健二氏に報告させるなど、欧米広告会社と同じような効果的手法を取るなど、中々レベルの高いプロパガンダ報道に徹している。

 菅スダレは、官邸で記者会見を開いたくらいだから、かなり、この後藤氏のメッセージは信ぴょう性があるのだろう。「湯川遥菜氏とみられる邦人1名が殺害された写真を持つ後藤健二氏の写真が ネット上に配信された。言語道断の許しがたい暴挙であり、残る1名の後藤健二氏に危害を加えないよう強く要求する」などと、まったくもって役立たずな発言に終始している。本当にバカの標本みたいな政府である。まあ、民主党であれ維新であれ、結果は同じだったろう。日本が、この程度の国だと云うことで、解決策ひとつ見出せない。おそらく、誰に泣きついて良いのか判らなくなっているのだ。

≪ 「イスラム国」と見られる新声明 公開映像で流れる
24日夜に公開された映像で流れた声明の概要は以下の通り。 私は後藤健二だ。あなたたちが見ているのは、同じように拘束された湯川さんが「イスラム国」の大地で虐殺された写真だ。
 あなたたちは警告され、期限を与えられ、人質には言葉通りに決定が下された。  安倍首相が湯川さんを殺した。あなたは人質に対する我々の脅しを真剣に受け止めず、72時間以内に行動しなかった。
 私の愛する妻、愛している。2人の娘に会いたい。安倍首相に同じことをさせないでほしい。あきらめないでほしい。あなたは家族、友人、私の仲間とともにある。私の仲間たちは、私たちの政府に圧力をかけ続けないといけない。
 要求は難しくなくなった。彼らは公正だ。彼らはもうお金はほしくない。だから、テロリストに資金提供するという心配をする必要はない。彼らはただ、まった同胞サジーダの釈放を求めている。
 とてもシンプルだ。サジーダを彼らに引き渡せば、私は解放される。この要求はちょうど今、可能に思える。我々の政府代表は今、皮肉なことにヨルダンにいて、サジーダはヨルダン政府に収監されている。  改めて、いかに私の命を救うことが簡単であるかということを強調したい。あなたがサジーダをヨルダン政権から彼らに戻せば、私はすぐにも解放される。彼女あっての私だ。(妻の名)。これがおそらく私のこの世での最後の瞬間であり、私は死すだろう。これを私の最後の言葉にしないでほしい。安倍首相に私を殺させないでほしい。 ≫(朝日新聞デジタル)

 このような問題は、原因と結果が、一目瞭然とはならない点が悩ましいわけだ。アメリカが、軍事的
プレゼンス能力を失うと同時に、諜報や陰謀的な行動を好むようにならざるを得なくなっている世界情勢の大きな変化だと捉えておく方が良いだろう。おそらく、今後とも、日本を含め、あらゆる国が、アメリカの騒乱戦術の犠牲になるのだろう。アメリカは、自らハルマゲドンな世界が到来することを望んでいるようでもある。

 NYTには、米国放送問題管理会議の会長にインタビューで「「我々はRussia Todayのような組織側からの挑戦に直面した。Russia Todayは、中東における『イスラム国』やボコ・ハラムのような組織グループらと同様、自分の視点を放送している。」と述べ、アメリカがプロパガンダ報道をしていない唯一の神聖な国家であるような事を言い出している。911以降のアメリカは、完全に狂い出したのだ。その狂気が怖くて、日本政府は狂喜乱舞しているのだから、国民を守るなんてことは一切できないのだろう。これでTPP批准なんて事になれば、日本の国は、韓国以下の国家になるのは必須のようである。南無阿弥陀仏だね(笑)。

 まあ、このような話は、半分陰謀論的で真実味に欠けると思うのなら、以下の朝日の報道はどうだろう。今や日本の司法は腐れ切り、正義などと云うものから、最も遠い所に位置する、中世の裁判と言われるレベルなのだが、国民の目線は“中世以下”の情緒に突き動かされているようだ。被害者の、残された家族への同情が、冤罪を生み、無辜な無力の弱者であった一人の人間を、大衆の面前で捕獲し、吊るし首にしようとする日本刑事司法なのだが、そこに罪の意識すら持たない人々が、「やむを得ない」なんて、緊急避難的な曖昧な情緒に逃げ込む。

 このような教養の劣化どころか、感情まで劣化して、臭いものは殺せと云う感情を多くの日本人が「正義」だと思い込んでいる、教養レベルの低さは、あの仲間を救おうとしていた「エテ公様」よりも劣るのだろう。ただ現実には、そういう人々が、10人中8人いるのが日本なのだから、安倍晋三が内閣総理大臣でも不思議はないし、国民の鏡だと言っても過言ではなさそうだ。ゆえに、日本がアメリカに永遠に追随する国家であることも自明的なのだろうが、それって、アメリカの凋落と殉死するのと同じなんだけどね。筆者は御免蒙りたい。まあ、凋落が決定的になるのに、30年は掛かるだろう。その前に、小生の命が尽きることを期待したいものである。


≪ 死刑「やむを得ない」80%、高水準続く 内閣府調査
死刑制度に対する内閣府の昨年の世論調査で、「やむを得ない」と容認する人の割合が80・3%だったことがわかった。内閣府が24日、結果を公表した。1994年以降、ほぼ同じ質問で5年ごとに調査し、これまでは一貫して容認する人の割合が増えていたが、初めて減少した。ただし、8割以上の高い水準は維持している。被害者感情への共感などが背景にある。
 調査は昨年11月、全国の20歳以上の男女3千人を対象に面接で実施。有効回答は1826人(60・9%)だった。  死刑制度の是非については「やむを得ない」が80・3%で、2009年に実施した前回調査の「場合によってはやむを得ない」の85・6%から5・3ポイント減った。これまでは、94年が73・8%、99年が79・3%、04年が81・4%と上昇し続け、前回が最高だった。
 一方で、「廃止すべきだ」は9・7%。前回調査の「どんな場合でも廃止すべきだ」の5・7%から、4・0ポイント増えた。「わからない・一概には言えない」は9・9%だった。
 今回の調査では、前回までの選択肢の「場合によってはやむを得ない」「どんな場合でも廃止すべきだ」から、「場合によっては」と「どんな場合でも」をそれぞれ削っている。超党派の国会議員でつくる死刑廃止議員連盟が、12年に「設問が誘導的だ」と批判したことを受けたものだ。法務省はこの変更が「結果に影響を与えた可能性はある」としつつ、「容認か廃止かを質問しており、調査の連続性は保たれる。肯定的な意見が多数派と言える」としている。
 容認する人に理由を尋ねると、廃止すれば被害者や家族の気持ちがおさまらない(53・4%)、凶悪犯罪は命で償うべきだ(52・9%)、凶悪犯を生かしておくと同じ罪を犯す危険がある(47・4%)の順に多かった(複数回答)。
 廃止を求める人は、「裁判に誤りがあったときに取り返しがつかない」(46・6%)と冤罪(えんざい)を心配する意見が最も多かった。
 今回の調査では初めて、日本には現在ない「仮釈放のない終身刑」を導入した場合の死刑制度の扱いも聞いた。「廃止しない方がよい」が51・5%、「する方がよい」が37・7%で、死刑容認の割合が大きく減る一方で、半数以上は「終身刑は死刑の代わりにならない」という認識であることもうかがえる。 ≫(朝日新聞デジタル:北沢拓也)

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●終末時計が2分進み残り3分 世界の危機観念の共有

2015年01月24日 | 日記
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●終末時計が2分進み残り3分 世界の危機観念の共有

 「終末時計(Doomsday Clock)」がDoomsdayを2分も進めた。残りは3分だけらしい。AFPは以下のように伝えている。日本文化圏では、注目を浴びない特殊な「概念論的時計」だが、欧米ロの文化圏では、それなりの信頼性を持って扱われている。アメリカ文化圏のご都合主義的概念や観念が入り込む余地は大きいだろうが、かなりアカデミックな評価基準があるので、日本政府のように、発言の責任が世間を漂うようないい加減な根拠に依るものでないのは確かだ。

≪「終末時計」2分進む、地球滅亡まで残り3分 気候変動など影響
【1月23日 AFP】ノーベル賞受賞者を含む著名な科学者らのグループは22日、気候変動と核戦争の危険性が文明に及ぼす脅威が高まっているとして、地球最後の日までの時間を象徴的に示す「終末時計(Doomsday Clock)」の針を2分進めたと発表した。
 終末時計を設置した米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ(Bulletin of the Atomic Scientists)」のケネット・ベネディクト(Kennette Benedict)理事長は、「(滅亡時刻を表す)午前0時まで、これで残り3分となった」と語った。
 1947年に創設された終末時計の時刻は、1953年の「残り2分」から1991年の「残り17分」の範囲で18回変更された。  2012年以降は「残り5分」となっていた。「残り3分」とされた最後の年は、米国と旧ソビエト連邦(Soviet Union)間の冷戦(Cold War)が最も深刻だった1983年だった。
 ベネディクト氏は「今日、歯止めが利かない気候変動と巨大兵器工場の現代化に起因する核軍備競争は、人類の存続に並々ならぬ不可避の脅威を及ぼしている」と指摘する。 「だが各国指導者は、起こり得る破滅的大惨事から国民を守るために必要な迅速さと規模をもった行動を起こせていない」
 同グループは、化石燃料による汚染を抑制し、地球を危機にさらしている近代核兵器の開発がこれまで以上に進むことに終止符を打つために、各国指導者からの行動を強く要求するよう人々に呼び掛けた。 ≫(AFP)

 上記記事でも触れているように ≪「残り3分」とされた最後の年は、米国と旧ソビエト連邦(Soviet Union)間の冷戦(Cold War)が最も深刻だった1983年だった。≫と言及している。このことからも判るように、米ソ冷戦時代並みのリスクが世界に差し迫っていると判断したものと思われる。記事では、原因を地球温暖化や近代核兵器のリスクを考慮して、となっているが、おそらく、それ以外の世界の不安定要素にも議論は広がったものと推量する。

 「ロシアの声」では、1分は進めるだろうと予測したが、「原子力科学者会報(Bulletin of the Atomic Scientists)」が核兵器(世界核戦争のリスク)を大きなテーマに据えて予測を出すわけだが、その他の要素も広く議論されたようである。つまりは、国際情勢の不安定度によって、近代核兵器が使用される危険度を探って、その判断を示すわけだから、解を得る過程が非常に意味深いわけで、地球の自然環境から、経済、文化まで幅広い国際情勢を俯瞰した結果とみて良いだろう。

 この時計は、当然国際情勢の緊張度に応じて変化するものなので、一般的時計と違い、逆に進むこともあるのが特長的だ。今までに、一番長くなったのは 1991年に“米ソが戦略兵器削減条約”に署名した時で、17分残されていた。現在ではロシアと云う表現がわかり易いだろうが、始まりにおいて、米ソの対立がコアになっていたので、ロシアとしてみれば、米国がロシアのリスクを、どの程度に予測しているかのバロメータとして、強い関心を持っている。

 ここ数日は「イスラム国」の話題で持ち切りの日本のプロパガンダ・マスメディアだが、イスラム国自体の脅威が針を進めたと云うよりは、その当事者の急先鋒である、イスラエルの存在は強く意識しただろうと思われる。米国の軍事謀略作戦の代執行人と思われている核保有国であることは自明なのだから、当然議論の俎上に上がる。そのイスラエルと兵器の共同開発諸々で、たいした深い思考もなく、急接近した日本の政府のリスクも考慮に入ったのだろう。おそらく、ロシアの関心度に比べ、「Bulletin of the Atomic Scientists」は、関心度をイスラエルや中東、日本、中国の動きのウォッチに傾斜しているのかもしれない。

 サウジの国王死去のニュースは大きな扱いではないが、原油暴落やイスラム国やアルカイダへの資金援助など、キナ臭さも多いオイルダラーの動きにも目が離せない。OPECが減産に踏み切った場合、シェールオイルの安定化に寄与するとか、グローバル世界のシステムは、難しすぎて筆者のキャパをはるかに超えている。あまり、世界の情報戦の渦中に入ることはお勧めしないが、ロシアTodayをはじめ、中国、ドイツあたりの報道には目を通す方が、世界には大きな対立が、幾つもある事に気づくだろう。だから、どうだと言うのだと云う考えもあるが、少しは考える機会が増えるし、ボケ防止にも役立つ。

 アメリカにとって、世界の支配者でいることはレゾンデートルなわけで、その地位からの脱落は、ただのデカい土地を持つ、中身がスカスカな移民人工国家の出現であるので、これも世界の終末時計を2分進ませる要因になる。ハルマゲドンを、自ら望む積りはないが、終末時計がゼロを指す時、世界がどのようなものになっているか、想像をたくましくするのも、ロマンティックではないかと思う今日この頃だ(笑)。

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●資本主義は“グローバルと金融”に逃げ込み 民主主義破壊

2015年01月23日 | 日記
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●資本主義は“グローバルと金融”に逃げ込み 民主主義破壊

 本題の前に、日本の首相の、「イスラム国」を挑発したが故に、身代金の支払いを迫られた日本政府は、ひたすら周辺国間をウロチョロするばかりで、無為な時間を費やし、23日(金曜)午後2時50分には、支払期限が切れる事態になっている。この制限時間はかなり曖昧なので、身代金が支払われる脈があるようなら、「イスラム国」も不要に殺害に至るとは限らない。日本の首相を脅すべき材料出尽くしになるような軽挙には出ないと筆者は推量する。

 西側メディアの現在のプロパガンダ戦術は、「イスラム国」は原油の暴落により、資金面で苦しんでおり、イスラム・イデオロギーのジハード的集団ではなく、ただの世界の追いはぎに過ぎないと言う言説を、披露している。つまり、イスラム教信者と異なる、ただの強盗集団だ、と云う解説に極端に統制された言論を振り撒いている。しかし、それは、西側の都合の良い解釈であり、「イスラム国」と交渉のテーブルにつくことが出来ない、米英にせよ、日本にせよ、偉そうに解釈を加える情報など持っているわけがないとは当然だ。

 そんなに確信的に「イスラム国」の実態が把握できているのなら、交渉窓口くらい伝手はあるのが当然だ。つまり、西側諸国のプロパガンダ報道は、これを奇禍として、「イスラム国」の魔女戦略に出たに過ぎない。この問題は、前回前々回で語ったように、日本を中東紛争に参加させる米戦術か、或いは安倍晋三を引き摺り下ろすオバマ政権の陰謀か、その二つに一つだろう。現状では、安倍政権が今国会で成立させ、速攻で自衛隊海外派遣の実績を積むという前者の思惑が優勢に思われる。その意味では、敢えて罠に嵌ったフリをして、戦争の出来る国として、9条を無力化しようとしている可能性が最も高い。あの二人は、そういう意味で、良い面の皮なのだろう。

 ところで、本題について、多くを語る時間が少なくなった。ピケティの「21世紀の資本」では、かなり資本主義の修正点を明示しているが、それでも彼は、ギリギリ資本主義の土俵からは降りていない。まだ次なる資本主義に変わるステージを用意したわけではない。ただ、このままの、金融中心の資本主義が、人間を強欲なマネーの奴隷にして行く状況からの打破を論じているのだから、かなり穏健な考えの範囲にいる。現在進行形の、IT金融主義(金融資本主義)の行きつく先は、通常の人類と富裕な人類の激突が必ず起きるわけである。結局、極論を言えば、弱者が強者に切れるわけだ。弱者がキレて行動する場合、それがテロ的な行為になるのは、倫理も道徳も普遍的価値もあったものではなく、憎しみに満ちた殺戮の連鎖になるのだろう。

 そのような未来予測が可能であるにも拘らず、マネーと云う獰猛な無機物は、魂でも有しているように、人類の99%を苦しみに追い込むのだから、どこかで止めに入らなければならない。第三次世界大戦で、ボロボロになる方法もあるが、マネーの奴隷にならざるを得ない(金融資本主義が可能なドルベース)からの脱却が、穏健な一つの手法だろう。今一番有力なのは、通貨の金本位制への移行なのだろう。以下、参考になる記事とコラムを掲載しておく。

 ≪ 1%の最富裕層、2016年までに世界の富の半分以上を独占へ=調査
[ロンドン 19日 ロイター] - 国際非政府組織(NGO)オックスファムの調査で、世界の人口のわずか1%にあたる富裕層が、2016年までに世界の富の半分以上を独占する見通しであることが明らかになった。 スイスのダボスで世界経済フォーラムが開催されるのを前に発表されたリポートで、最富裕層が独占する資産の割合は2009年の44%から2014年に48%へと上昇。
このままのペースだと、2016年に50%を超えるという。 オックスファムの幹部は「格差拡大への対策が失敗すれば、貧困対策は数十年前の状態に戻る」と指摘した。 オックスファムによると、世界全体で上位80人の富豪の資産が、下位50%(約35億人分)の資産と同水準だった。 上位1%の平均資産は1人当たり270万ドル(約3億2000万円)という。 ≫(ロイター)

 ≪ 古市憲寿氏「東京五輪・リニアもおじさん暴走に気をつけろ」
 東海道新幹線に乗るたびに疑問に思うことがある。狙ったように間が悪いタイミングで訪れる車内改札 だ。海外の列車でも検札が行なわれることはあるが、その場合は駅での改札がない。一方、駅に改札がある場合、検札がないのが当たり前。事実、日本でも東北 新幹線や成田エクスプレスでは検札はない。 それなのに、東海道新幹線だけは、かたくなに車内改札を続けている。しかも、二重で改札をしているくせに、切符をなくした場合は再購入を求められる。本当に意味がわからない。
 不可解な東海道新幹線の車内改札。それには雇用の確保といった彼らなりの理由があるのだろう。しかしJR東海に限らず、内輪の論理で物事を進めようとするあまり、世間とのズレが発生し、外部の人間が不便を被る出来事が日本では相次いでいる。
 2014年に『だから日本はズレている』(新潮新書)という本を出版したのだが、僕はその中で「おじさん」という言葉を使った。ここでいう「おじさん」 とは、ただの中年男性という意味ではない。僕が「おじさん」と名指すのは、いくつかの幸運が重なり、既得権益に仲間入りすることができ、その恩恵を疑うことなく毎日を過ごしている人々のことである。 「おじさん」とはどうやら思い込んでしまうものらしい。東京オリンピックを開催さえすれば日本経済は復活する。リニアモーターカーが開通さえすれば、東京と名古屋、そして大阪の経済圏は一体となり、その経済効果は計り知れない。そんな思い込みとも願望ともつかない言葉が、この国では溢れている。
 少し調べればわかるが、事態はそんな単純ではない。過去にオリンピックを開催した都市や国では、確かに瞬間的にお祭り騒ぎが起こるものの、経済効果は期待したほどではなかったことがわかっている。また、かつてのニュータウンがそうであったように、移動にかかる時間がいくら短くなったところで経済圏はそう 簡単に一体とならない。 ≫(SAPIO2月号:文/古市憲寿(社会学者)

だから日本はズレている (新潮新書 566)
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≪ コラム:資本主義の「病気」がもたらす長期金利低下
[東京 16日 ロイター] - 米欧日の長期金利が低下の一途をたどっている。市場では、ユーロ圏経済の低迷や原油安を発端にしたリスクオフ心理の波及などが原因として指摘されているが、世界経済を俯瞰してみれば、高いリターンが期待できる投資先が少なくなっているということではないだろうか。

ある意味で資本主義の「病気」とも言え、この停滞感を突破するには、低コストのエネルギー源の開発などの抜本的なイノベーションが不可欠だと考える。

<10年日本国債は一時0.225%>
16日の東京市場で、日本国債の10年最長期債利回りJP10YTN=JBTCは一時、0.225%と過去最低水準を更新した。
15日のNY市場で10年米国債利回りUS10YT=RRは一時、1.756%と1年8カ月ぶりの低水準を付け、30年債US30YT=TWEBは2.393%までいったん低下し、過去最低水準を更新した。
15日の欧州市場では、スイス中銀の対ユーロ相場上限の撤廃を受け、同中銀によるユーロ建て国債買入減少の思惑から、フランス、ベルギーの国債価格が下落した。だが、10年独国債利回りDE10YT=TWEBは過去最低の0.402%を付け、10年イタリア国債利回りIT10YT=Tも1.74%と過去最低の1.71%近くで取引され た。

<懸念される世界的な需要不足>
米欧日の長期金利低下には、多様な要因が指摘されている。短期的には、15日のスイス中銀による対ユーロ相場上限の撤廃と利下げで、米国債や独国債に資金が流入したことや、スイスフラン高につれた円高の進行で、日本株に売りがかさんだなどのマネーフローの波及が影響したと言えるだろう。 また、年初から進んでいる急ピッチの原油安で、ロシアなどの産油国経済が圧迫を受けるとの観測から、通貨と株価の同時安が進行。合わせて米シェール業者の発行したハイイールド債や関連するプロジェクトファイナンスへの懸念から、リスクオフ心理が広がり出したことも、世界的に株価の下押し要因として意識されている。

さらに欧州中銀(ECB)の量的緩和決断観測の背景にある欧州経済の低迷や、中国経済の不透明感の高まりも、世界的な需要不足に対する不安感を強めている。

ただ、こうした多様な現象を俯瞰して見れば、米欧日の中銀による超金融緩和政策でマネーが過去最大規模に膨れ上がっているにもかかわらず、高いリターンを見込める投資が実物経済に見当たらず、様々なマーケットに流れ込んだマネーも、結局のところ、最近の原油や非鉄金属などの価格急落を見て、安全資産に流れ込んでいるということではないか。

少なくとも、実物経済には高いリターンを見込める事業が少なくなっている可能性が高いと言えるだろう。

<世界的な長期金利低下を予見していた水野氏>
このような未曽有の世界的な超低金利現象を「予見」していた経済学者が日本にいる。日本大学・国際関係学部の水野和夫教授だ。昨年3月に刊行され人気書籍の上位にランクインした「資本主義の終焉と歴史の危機」の中で、「金利はすなわち、資本利潤率とほぼ同じだと言える」とし、「利潤率が極端に低いということは、すでに資本主義が資本主義として機能していない証拠だ」と主張している。

そのうえで「資本利潤率の著しく低い状態の長期化は、企業が経済活動をしていくうえで、設備投資を拡大することができなくなったということ」で、「裏を返せば、設備投資をしても十分な利益を生み出さない設備、つまり過剰な設備になってしまうことを意味する」と分析している。

この水野教授の指摘に説得力を持たせるような現象が米国で起きている。米連邦準備理事会(FRB)は、今年4─6月にも利上げに踏み切るとの観測が盛り上がっていたが、米長期金利は2%台から1.7%台まで低下している。

これまでの経験では、利上げ観測が台頭すると、その背後にある景気上向きのトレンドをマーケットがとらえ、長期金利は上昇基調に入る。

だが、足元の米債市場が示しているメッセージは、他の実物投資に向かうよりも、米国債投資にマネーを向けた方が効率的だ、ということだ。つまり、米景気はFRBが予想しているトレンドよりも下振れした推移を示す可能性があるということにほかならない。

<長期停滞の回避に必要なイノベーション>
米欧日の長期金利が、過去の水準よりも低いトレンド線に推移して新たな均衡(ニューノーマル)を形成するようなら、それは低成長が長期化することを意味する。したがって現在進行中の長期金利の低下基調を「一時的現象」として、軽視するのは世界経済の長期的な構造変化の動きを無視することになるだろう。

この「長期停滞」の動きを変えるには、どうしたらよいのか。 水野教授は「より速く、より遠くへ、より合理的に」という資本主義を駆動させてきた理念を逆回転させ、「よりゆっくり、より近くへ、よりあいまいに」という理念に基づき、ゼロ金利、ゼロ成長の下で豊かさを意識できる社会に転換すべきだと述べている。

私は、この部分でやや意見を異にしている。最新の宇宙物理学では、宇宙に存在しているのは、従来から言われていた漆黒の闇(ダークマター)ではなく、多様な波動を持ったプラズマという説が登場している。 この説に従えば、宇宙空間からこのプラズマを取り出してエネルギー化することができれば、ほとんどコストなしでエネルギーを利用できるようになり、現在の経済構造が一変することになるだろう。 このような抜本的なブレークスルーが、どこかの分野で起きれば、長期停滞を回避できると思うのだが、楽天的に過ぎるだろうか。 ≫(ロイター:田巻一彦)

資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)
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●安倍晋三、あやうし! 雪隠づめが最後の楽園になるとは

2015年01月22日 | 日記
2015 世界はこうなる The World in 2015 (日経BPムック)
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●安倍晋三、あやうし! 雪隠づめが最後の楽園になるとは

 大見得を切ってみたのは良いけれど、新参者の大根役者はどのようにして舞台の袖まで歩いていいのやら判らない安倍と外務省。イスラム国の捕虜となった二名が、どのような経緯でシリアやイスラム国に行き、どのような状況で捕虜となったか、そう云う事ばかりマスメディアは報道しているが、問題は、そんな表層的なものではないだろう。最終的には、在るのかどうかさえ明確ではないテロを行う勢力と、西側勢力の対立構図を創作しようとする目的が何なのか。そして、なぜ、そのような目標設定が必要なのか。そして、その結果、世界では何が起きるのか。そして、日本では何が起きるのかが重要なのである。

 そのような問題の波及に関して、関心を示すメディアも少ないし、国際性皆無の外務省の役人どもの口車に乗って、のっぴきならない状況を作りだした、安倍首相と云う人物は、世界が戦渦の渦になることに大きく貢献した、日本のリーダーとして、年譜に黒いシミをつけるのだろう。安倍、岸田、中谷と安全保障関係の閣僚どもは、中東ヨーロッパに物見遊山、土産は日銀の擦りまくった格安の“¥”を借款させ、経団連重厚長大製造大企業のセールスマンをしているだけだ。

 岸田に至っては、外務の嘘話に乗っかって、ウクライナと北方領土問題を同一線上に乗せる発言をし、ロシアにまでケンカを売ってしまった。どこまで歴史認識がズレまくっているのか、半分狂気の沙汰としか思えないのである。菅などと云うスダレ男は、ソフトバンクのロボット以下で、何でもかんでも「事実関係を確認中」とオウムのように同じセリフしか口に出しないありさまだ。

 そんな体たらくな政府であるにも関わらず、強弁詭弁の連発は良いのだが、いま、自分たちの政府が、どこに向かって帆を上げてしまったのかさえ、おそらく判っていないのだろう。どこで、どのような齟齬が生まれ、安倍官邸がのっぴきならなくなっているのか、それさえも判っていないような感じだ。今頃になって、アラビア語堪能者を探すなど笑止の沙汰じゃないか。殺人国家イスラエルと手に手を取り合って、パレスチナを救う?やっぱりこれは狂っているだろう。人命を第一に考え、テロには断固闘うと平気で記者会見するのだから、世界中が安倍晋三に呆れても不思議はない。

 そうそう、そういえばThe Economist(日経BP社)の「2015年 世界はこうなる」の表紙は、世界の首脳たちの集合写真風なのだが、どこを見ても、安倍首相の顔がない!写楽と自衛官は描かれているが、安倍がいない。省かれた?忘れ去られた?2015年にはいなくなる?これをどのように解釈するかは、そりゃ夫々の勝手だが、昨年あべちゃんはスパーマン姿で表紙を飾ったのだから、この落差は異様である。ロスチャイルド系の経済誌と言われているだけに、非常に気味が悪い。筆者は愉快だが、安倍晋三親派の人々は「エコノミスト」に街宣でも掛けるくらい怒るべきである。おそらく、このエコノミストに予言は当たるような感じになってきた。好事魔多しとはよく言ったものだが、かなり入念な罠が用意されていたと推量できる。

筆者注記:アフィリエイトになってしまうがエコノミスト2014/12/18「2015年世界はこうなる」の写真は以下のバナーをクリック。

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テーマ別アンソロジーvol.40「地政学の復活と不満が規定する世界 ――米ロ対立、漂流するヨーロッパ、中東の混迷」
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●シナリオは狂ったのか、成功しているのか? 安倍の中東歴訪

2015年01月21日 | 日記
統治新論 民主主義のマネジメント
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●シナリオは狂ったのか、成功しているのか? 安倍の中東歴訪

 外務防衛がシナリオを描いたわけだが、晋三君を罠に嵌めたような時系列で物事が進んでいるようにもみえる。安倍首相、岸田外務大臣、中谷防衛大臣、以上三者の中東戦争への関与連携は、いかにもシナリオ通りに行くはずだった。そうして、意気揚々と小鼻を膨らませて帰国の途に就くシナリオだったのだが、大幅なシナリオの訂正が起きたようだ。いや、うっかりするとどころか、帰国後、晋三君の軽佻浮薄な中東歴訪に非難の嵐が静かに打ち寄せるのは確実な情勢になっている。現時点ではだが…。

 なにせ、名指しで、イスラムの敵(中東派遣十字軍呼ばわり)と認定されたのだから、これは相当に厄介だ。イスラム国は、晋三君名指しで、二人の日本人捕虜とイスラム国の報道官紛いの覆面男のメッセージが流された。ビデオは合成しているようだが、二人の捕虜の安否は、事実関係として判っていない。以下は、イスラム国のメッセージ。

『日本の首相よ。 お前は「イスラム国」から8500キロ以上離れた場所にいるかもしれないが、お前らは進んで十字軍への参加を志願したのだ。お前は我々の女性と子供たちを殺しイスラム教徒の家々を破壊するために1億ドルを得意げに献上したのだ。したがって、この日本人市民の命の値段は1億ドルとなる。
そしてお前は「イスラム国」の拡大を抑えようと、イスラム兵士に対抗する背教者を訓練するためにもう1億ドルを提供した。したがって、このもう一人の日本人市民の命の値段も1億ドルになる。 そして日本国民よ。「イスラム国」と戦うために2億ドルを払うというあなたたちの馬鹿げた決定のために、あなたたちは72時間以内に日本政府に対して2億ドルを「イスラム国」に支払うという賢明な判断を迫らなければならない。
あなたたち市民の命を救うために。さもなければ、このナイフはあなた方にとっての悪夢となることだろう。』

 これを受けて、我が国の晋三君は、キャ~キャアピ~ピイ叫ぶように演説を繰り返すが、「どうなってるんだ!こんなの聞いてないよ。どうすんのよ、どうすりゃいいの」と目はうつろ、予定調和な質問だけだったのでボロは出さなかったが、腹が痛くなったのか、怖くて日本に帰りたくなったのか、予定を繰り上げ、中東から8500キロ先のジャパンに逃げ込むそうである(笑)。

 晋三君は「2人の日本人に危害を加えないよう、そして、直ちに解放するよう、強く要求します。政府全体として、人命尊重の観点から、対応に万全を期すよう指示したところです。」って言っているけど、誰の言うことも聞かないし、命に対する価値観も違う考えの人々なのだから、欧米価値観を振り回して、ものごと解決させようとしても駄目でしょう。万全を期すって言ってもさ。副大臣残して、僕ちゃんは日本に帰るから、後ヨロシクねだそうである。

 「卑劣なテロは、いかなる理由でも許されない。断固として非難します。そして日本は、国際社会と手を携えてまいります。国際社会への重大な脅威となっている過激主義に対し、イスラム社会は、テロとの闘いを続けています。」とまた強がりを言い放ち、火に油を注ぎ続ける。

 次々と馬鹿なことを言い続ける、日本の首相だ。「我が国が、この度発表した2億ドルの支援は、地域で家を無くし、避難民となっている人たちを救うため、食料や医療サービスを提供するための人道支援です。正に、避難民の方々にとって、最も必要とされている支援であると考えます。」だと言うが、こういう発言を戯言と言う。家計を管理するために、食費の袋、光熱費の袋…など、世界に通用する話か。支援の2億ドルが、難民支援に回るか、爆弾に替わるか、そんなこと意味ねえんだよ!金に色はついていないのだよ、馬鹿野郎!(この言葉穏当を欠くので撤回)

 「先程、官房長官に対して、人命を第一に、対応に全力を尽くすよう、指示をいたしました。」世界の諜報機関が手を焼いているというのに、今さら、どこの誰を頼りに、人命第一だとほざくのかな?「大切なことは、昨年夏以降の暴力と不信の連鎖を深く懸念しており、これ以上状況をエスカレートさせないことが重要であると考えています。」と言った端から、ネタニヤフ首相と協力してって、世界の火種をまき散らすお先棒国家と協力したら、イスラムの敵イスラエル。イスラエルの仲良、日本の図式が生まれるだろう。阿保くさくて、真面目に話を聞いてはいられないね。

 阿呆のことを、いつまでも阿呆と罵っていても始まらない。チョッとだけ冷静に、事態を分析しておきたい。その前に、事件の裏の指導的立場にいるオバマの一般教書演説が行われたので、その内容の概要も知った上で、考えてみる。

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 ≪ 米大統領:「イスラム国破壊」テロ対策主導 一般教書演説
【ワシントン西田進一郎】オバマ米大統領は 20日午後9時(日本時間21日午前11時)過ぎから、上下両院合同会議で一般教書演説を行い、政権7年目の施政方針を示した。仏週刊紙襲撃事件や過激派組織「イスラム国」とみられるグループが日本人2人の殺害を予告していることを踏まえ、米国がテロ対策などで国際社会を主導する考えを示した。
 大統領は、イスラム国について「弱体化させ、最終的に破壊する」ため、米国は中東での新たな地上戦に引きずり込まれるのではなく、有志国連合を率 いると改めて表明。シリアの穏健な反体制派の支援と共に、「暴力的な過激主義」に立ち向かう人たちも支援すると約束した。そのうえで、イスラム国に対する軍事力行使について正式な承認を議会に求めた。
 一方、キューバとの半世紀ぶりの国交正常化に向けた交渉開始を21日に控え、キューバへの禁輸措置の撤廃などについて議会に理解を求めた。また、議会内で浮上しているイランに対する追加制裁案には、継続中の核交渉に悪影響を与えるとして反対の意向を示した。
 さらに、米政府が「北朝鮮政府に責任がある」とする米映画会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメントへのサイバー攻撃などを念頭に、「いかなる 国やハッカーにも、我々のネットワークを遮断させたり、通商機密を盗んだり、米国人のプライバシーを侵害させたりしない」と強調。政府を挙げてサイバー攻 撃の脅威に対処する姿勢を示し、そのための法整備を呼びかけた。
 演説時間の多くを費やした内政では、格差是正に向けた中間層支援策を中心に据えた。米国の経済や雇用は順調に回復しているが、株など金融資産を持つ富裕層と低、中間所得者層の格差は深刻化し、格差是正に向けた取り組みが急務となっているためだ。
 富裕層への課税強化と大規模金融機関に手数料を課すことで新たな財源を確保し、育児中の家庭の税控除額の拡大、大学生がいる世帯への減税、公立の2年制大学コミュニティーカレッジの授業料無償化などを提案した。 米議会は昨年の中間選挙を受け、野党・共和党が8年ぶりに上下両院を占めている。主要施策の多くで同党と対立する大統領は、議会を迂回(うかい)する大統領令などの権限を駆使して政策の部分的な前進を図るが、主要政策の大きな進展は見込めない。大統領が議会との協力姿勢を示しつつも、同党の理解を得にくい中間層支援策をあえて打ち出すのは、後任を選ぶ2016年の次期大統領選での争点化を狙う思惑もありそうだ。 ≫(毎日新聞)

 オバマは演説の中で、 ≪仏週刊紙襲撃事件や過激派組織「イスラム国」とみられるグループが日本人2人の殺害を予告していることを踏まえ、米国がテロ対策などで国際社会を主導する考えを示した。――イスラム国について「弱体化させ、最終的に破壊する」ため、米国は中東での新たな地上戦に引きずり込まれるのではなく、有志国連合を率いると改めて表明。シリアの穏健な反体制派の支援と共に、「暴力的な過激主義」に立ち向かう人たちも支援すると約束した。そのうえで、イスラム国に対する軍事力行使について正式な承認を議会に求めた。≫とした。

 つまり、あくまでイスラム国掃討作戦は有志国連合を率いることに重点を置き、中東において米国自体が新たな地上戦に引きずり込まれることはないと強調している。問題は、ここで云う「有志国連合を率いる」点にポイントを置いておこう。前述で筆者は≪安倍首相、岸田外務大臣、中谷防衛大臣、以上三者の中東戦争への関与連携は、いかにもシナリオ通りに行くはずだった。≫と語ったが、このオバマの演説に埋め込まれている“有志国連合”と云う言葉を嚙みしめてみると、シナリオは頓挫したどころか、より計画的に進捗していると見ることも可能だ。

 仏週刊紙襲撃事件について、日本では必ずしもイスラム過激派のみが悪玉だという「空気」にはなっていない。イスラム国の建国に関しても、米イスラエルNATOなどの独善性への疑念がくすぶっており、“有志国連合”の仲間入りする機運にはない現状がある。そうなると、日本政府、特に晋三君、外務省、防衛省は“有志国連合”参加への「決め手」が欲しかったに違いない。仮に、二人の日本人に何らかの被害が拡大した場合、その「空気」(世論)は一変し、イスラム過激派への同調圧力は優勢になる。

 そのような推理も成り立つわけで、今回の一連の事態は、個別の事件として観察すべきではなく、西側文化とイスラム文化の対立の枠組みで見ておく必要が、より増しているように思われる。この推理の成否は、我が国が、曖昧な位置づけの、対イスラム“有志国連合”に参加するかしないかで、決定づけられる。つまり、今回の晋三君の中東訪問、外務防衛閣僚の連携的動きを踏まえた上で、この日本人二名の殺害予告のメッセージの連動は、「奇禍」として有効にさようする可能性を秘めている。

 そのためだろうが、イスラム教文化圏或いは、イスラムの穏健な人々と、イスラム過激派は違うのだと云う事を、日本のマスメディアも、主要評論家も口を揃えて主張している。あらゆる西側政府筋も、このイスラム文化圏の人々を、穏健派と過激派と云う色分けに執着している点にスポットを当てて、この一連の動きを注視してゆく必要がありそうだ。「分断して統治」は古今東西で常に行われていていることである。本日は、現時点で知り得る情報を基に、考えてみた。

イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北 (集英社新書)
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●霊長類の進化と争いの人類学 人間の劣化はアレルギー症候群?

2015年01月20日 | 日記
秩序の喪失 (プロジェクトシンジケート叢書)
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●霊長類の進化と争いの人類学 人間の劣化はアレルギー症候群?

 昨日の朝日の紙面では、チンパンジーとボノボの類似性と正反対な性格についての記事がある。紙面にもあったのかどうか判らないが、デジタル版には、その記事に関連して、山際寿一教授のインタビュー記事があるのだが、朝日は、こういう記事を通じて、高レベルのメッセージを発信しているのだとすると、かなり隔靴掻痒な報道姿勢だと言える。まあ、何とか馬鹿右翼の目をかいくぐりだろうが、ひねくれた筆者は苦笑いするしかないが、結構面白い記事なので、読まれることをお薦めする。本日は当該記事の紹介のみで失礼。

≪(科学の扉)チンパンジーとボノボ 似ているのに性格は正反対
  アフリカの熱帯雨林で、人間に最も近い類人猿の研究が進んでいる。チンパンジーとボノボ。見た目はそっくりだが、片やオスを中心とした集団で強い攻撃性が見られ、片やオスとメスが対等な平和な営みを築く。進化の過程で何かが起きたのか。
 東アフリカ・マハレ(タンザニア)の森で2011年10月、研究者を驚かせる事件が起きた。  チンパンジーの集団で、順位が1位のオスが仲間に殺されたのだ。このオスは2位のオスとけんかして負傷。騒ぎで集まったオス4頭が取り囲んで攻撃 した。現地で研究していた井上紗奈・日本大研究員は「殺されたオスの力は圧倒的で、それまで明らかな対立関係はなかった。想定外だった」と振り返る。相手が弱ったと見るや、ライバルを倒す好機と捉えたらしい。
 アフリカの熱帯雨林などに住むチンパンジーの研究は1960年代に始まった。身ぶりや表情、音声を使った多様なコミュニケーションや、木の枝でアリを釣るといった賢さが注目される一方、強い攻撃性も明らかになってきた。
 70年代に観察された例では、二つに分裂した集団のオスたちが、もう一方の縄張りに侵入してメンバーを次々に殺害。残されたメスは攻撃した側の集 団に加わり、片方の集団は消滅してしまった。カリンズ(ウガンダ)でも2003年、隣の集団に殺されたと見られるオスの死体が見つかった。
 カリンズで約20年調査を続ける京都大霊長類研究所の橋本千絵助教は「これまでに確認された殺害事例は2件。決して頻繁に起きているわけではない」と話す。ただ、相手が死ぬまで積極的に攻撃する行為は、ほかの哺乳類ではほとんど見られない。研究者は「戦争」とも呼ぶ。

 ■違いは「先天的」
 なぜ「戦争」が起きるのか。20年ほど前から二つの説が対立していた。一つは、食料や交尾の機会を得るため「生まれつき」だとする説。もう一つは、人間の開発に伴う生息地の破壊や、研究者の餌付けなどが影響したという説だ。
 この論争は14年9月、米ハーバード大などのグループが英科学誌ネイチャーに発表した論文で決着した。京大など各国の研究機関の記録を解析した結 果、チンパンジーによる殺害が確認、推定できたのは、1960年以降99件。発生率と人間の行為との間に関係性は見られず、攻撃側、殺害側の双方がオスばかりだったことなどから「生まれつき」が有力と結論づけた。
 一方、チンパンジーと最も近縁なボノボによる殺害は、疑わしい例が1件あるだけだった。  ボノボが住むのはアフリカの中央部で、チンパンジーの生息地との間には広大なコンゴ川が流れる。250万~100万年ほど前にチンパンジーと共通 の祖先から分かれたとみられ、以前は「ピグミーチンパンジー」と呼ばれていた。大人の見た目はそっくりだが、攻撃性はほとんど見られず、「平和主義者」の異名を持つ。
 何が両者の特徴を作り出したのか。

 ■交尾を巡り競争
 京大霊長類研の古市剛史教授は、「性」が深く関わっていると見ている。  チンパンジーは、子育てに長い時間をかける。メスは5~6年に一度しか出産せず、妊娠や子育て中はほとんど発情しない。オスは交尾の機会を巡って激しい競争にさらされる。
 さらに、将来や離れた場所の利益まで考えられるような高い知能も、オスの攻撃性につながったと見る。「競争相手を倒したり、食料条件の良い土地を手に入れたりした方が有利という判断ができるのではないか」
 ボノボのメスも子育てに時間をかけるが、発情期間が長く、妊娠や子育て中も交尾する。オスもメスも互いの緊張を和らげるため、頻繁に性器をこすり 合わせるあいさつなどをする。「攻撃を仕掛けても返り討ちの危険もある。争う理由が少なければ無駄に戦う必要はない」と古市さんは指摘する。
 ボノボの生息地にはゴリラがいないため、橋本助教は「チンパンジーと違い、ゴリラと食べ物を競合することがないことも影響しているだろう」と言う。
 生き物は、体の特徴や性質を環境に適応するように変えながら進化してきた。人類学者の山極寿一・京大総長は「非常に近縁なチンパンジーとボノボでこれだけ攻撃性に違いがあるということは、そういった攻撃性は比較的短い期間で適応的(生まれつき)になるのかもしれない」と話している。(阿部彰芳)

 <集団の特徴> チンパンジーもボノボも複数のオスとメスで集団を作り、メスは思春期になると他集団に移る。チンパンジーの集団はオスがメスより優位で、オス同士は順位を巡り争うほか、優劣などを確認し合うあいさつが見られる。ボノボはメス同士の連帯が強く、オスと対等以上。力のあるメスの息子ほど集団内の順位が高い傾向がある。2012年発表の研究によると、DNAはチンパンジーと0.4%、人間と1.3%違っていた。人間は、動物のような生殖のための発情はなくなったとされる。 ≫(朝日新聞デジタル)


≪ 人類の攻撃性、起源はどこに? 山極・京大総長に聞く
 チンパンジーのオスは、ほかの哺乳類には見られない強い攻撃性がみられる。彼らと共通の祖先を持つ人間も長い間、戦争や殺戮(さつりく)を繰り返してきた。攻撃性の起源はどこにあるのか。ゴリラ研究の第一人者で、霊長類研究を通じて人間性について考察してきた山極寿一・京都大総長に聞いた。
     □  
チンパンジーのオスの攻撃性は適応的(生まれつき)だけれど、ボノボにはみられない。非常に近縁なチンパンジーとボノボの間で、それだけ違いがあると言うことは、そういった攻撃性はわりと短期間のうちに適応的になるということを示しているかもしれない。
 人間においても、いま世界中でいろんな民族間や地域集団間で内紛が絶えなかったり、戦争が起こったりしますね。これは、ずっと昔から人間が持っている本性なのかというと、そうではありません。
 第2次世界大戦後に一時、そういうことを言いだした人がいます。レイモンド・ダートという南アフリカで アウストラロピテクス・アフリカヌスという古い人間の化石を発見した人です。彼は、1920年代にその化石を発見した後、アウストラロピテクス・アフリカヌスの骨をいくつも発見してきた。あるとき、その頭骨に同じようなくぼみがあるのを見つけ、人間同士が争った跡だと結論づけた。
 くぼみを付けたのは、人間が動物の大腿(だいたい)骨を使って殴った跡だというわけですね。その結果、200万年ぐらい前から、人間はすでに道具で動物を狩猟し、なおかつ狩猟具を使って人間同士が争う社会を作っていたと推測されたわけです。
 その典型が「2001年宇宙の旅」という映画の冒頭です。毛だらけの猿人の前に、宇宙から来たと思われる直方体の物体が現れる。それに霊感を受けたかのように、猿人たちはその辺にころがっている動物の大腿骨で狩猟することを思いつく。狩猟は大成功。そして、水場をめぐって他の集団と争ったときに、その大腿骨を戦いにも使いだす。
 人間は、戦争により、武器により、社会の秩序を守ってきた――。それは人間の原罪であり、本性であるというのが、その主要なテーマなわけです。
 ダートの説はその後、否定されました。なおかつ、そのころの人類は、狩猟する側でなくて、狩猟される側であることがわかってきました。つまり、肉食獣から追い詰められて食べられる獲物だったわけです。
 でも、あまりにその説の衝撃が強く、いまだに人々はそれを信じています。人間は狩猟によって進化し、狩猟の道具を戦いに使うことで、戦争に明け暮れるような社会を作ったという観念ですね。政治家も利用しています。
 しかし、事実は違います。人間はチンパンジーとの共通祖先から分かれ、500万~700万年は独自の進化の道を歩んできました。でも、道具が発見 されるのは260万年前からです。しかも、武器ではなかった。石を打ち欠いて、そのかけらの鋭利な部分で動物の死体から肉をはがしたり、骨を割って骨髄を取り出したりするのが、恐らくその石器の使用目的だったわけです。
 道具が狩猟に使われるようになったのは、わずか50万年ほど前です。最初は殺傷力の弱い、槍(やり)のようなものです。大規模な狩猟が始まるのは、現代人になってからで、20万年前をさかのぼらないわけですね。
 狩猟能力が、武器によってあっという間に進化したのは確かでしょう。でも、人間同士が戦いを起こすには、さらに時間が必要でした。人間が武器を 使って集団で戦い合った証拠は、せいぜい1万年ほど前でしか見つかっていません。これは人類が狩猟から、自ら食料を生産し、それを貯蔵して食べるという時代、定住して自分たちの土地を持つという時代になってからです。
 なぜ集団間の戦争に至る能力が、人間に高まったのか。大前提は、共感という能力ではないかと思っています。人間の家族は、共感によって作られてい ます。また、家族は単独ではあり得ず、複数が集まって共同体を作ります。それはどんな狩猟採集民でもそうです。複数の家族が集まり、共同体を作ることが、 生きるために欠かせないわけです。
 しかし、ゴリラもチンパンジーも、どちらかなんですね。ゴリラは一夫多妻の家族的な集団を作って、共同体がない。チンパンジーは複数のオスとメスが含まれる数十頭の集団がある。でも、その中に家族はありません。
 なぜなら、家族と共同体は相反する原理でできています。家族は、親は自分の子どもが誰よりも可愛く、子どもは親が誰よりも大切というのが原則。依怙贔屓(えこひいき)が当たり前の集団なんですね。だから何かあげても、お返しを期待しないでいい。
 しかし、共同体は互酬性が当たり前です。何かあげればお返しが来るし、何かしてもらえばお返ししなければならないと思う。そういう心でつながっているわけです。それは同じような共感ですが、原理が違う。人間はうまく両立させながら、生きてきたのです。
 なぜ、そんな変な集団を作ったのか。ゴリラかチンパンジーのような集団でよかったのではないか。ここが問題で、実はそれではやっていけない事態が起こりました。人間が熱帯雨林を出て、樹木のない土地へと足を伸ばしたからです。
 熱帯雨林は年中緑があって、豊富な食料がある。樹木の上なら地上の大型肉食獣から逃れて安全な場所で休める。
 でも、熱帯雨林を離れると、食料はまばらに分散し、乾期になるとなかなか得られない。だから、遠くまで足を運ばないと必要な食料が得られないわけです。また、地上の大型肉食獣にも狙われる。
 食料と安全性という点から非常に不利です。だから、食料を集めるためには、能力が近い小さな集団で動かなければならなかっただろうし、安全という面では、大きな集団のたくさんの目で警戒しなければならなかったでしょう。
 この二つの相反する課題を乗り越えるために、人間は結論から言えば、家族と、複数の家族が集まる共同体を作らざるを得なかったわけです。しかも、これは基本的には子育ての集団でもあります。
 恐らく、サバンナに 出てきた人間は肉食獣に子どもを狙われ、たくさんの子どもを失った。そのため、子どもを増やさなければならず、授乳期や出産間隔を短くして、多産になった わけです。なおかつ、人間の赤ちゃんはなかなか成長しませんから、お母さん1人では育てられなくなった。複数の家族が集って、育児集団を作らなければならなかったわけです。
 そうすると、いろんな分担をするようになる。食料をとりに行くもの、集団を守るもの、育児をするもの、居住条件を整えるもの、というように。そう しながら、自分の子どもに対して与えていた共感能力を、子ども以外の大人や他集団にも向けながら、生活力を高めていったはずです。複数の家族を含む共同体ができあがる時点で、人間は相当に高い共感能力を備えていたはずです。
 こうした高い共感能力に加え、さらにいくつかの契機が重なったと僕は思います。具体的に言えば、一つは言葉。言葉は、時間と空間を越える能力を 持っています。自分が体験していないことを誰かに伝え、それを自分のことのように思い込むことができる。比喩もできる。そういうことによって、想像力が生まれ、それまでとは比べものにならないぐらい高められた。
 次に定住生活。それまでは狩猟採集で移動生活を送ってきたわけです。移動するため、持ち物が限られ、自分の所有物にしてしまうと、持って歩かなくてはならなくなる。だから、ほかの人たちとの共有が当たり前になる。
 また、獲物を追って移動するわけですから、集団の大きさや密度が限られてくる。集団同士、個人同士の出会う頻度が少なく、所有物が個人に帰される ものでなければ争いはあまり起きません。しかも、争いが起きたら離れ合ってしまえばいい。実際、現代の狩猟採集民はそういう解決の仕方をしています。
 しかし、あるときから定住生活が始まった。土地に投資し、そこで食料を蓄え、環境が悪くなった時期を耐えることの方が、移動生活より有利な時代がたぶんやってきたんだと思います。
 1万数千年前ごろから、だんだんと多くの人が定住するようになりました。そうすると、農耕は水場の権利や肥沃(ひよく)な土地が大切ですから、そういったものをめぐり、集団が住む土地の間に境界がひかれるようになる。こうした境界などが、争いのきっかけになったと思います。
 なおかつ重要なのが、集団の規模を保つために、死者にそのルーツを求め、死者を仲間に加え始めたことです。現代の狩猟採集民は墓を作りません。墓は、祖先によってこの土地は守られているという考え、その土地の権利を自分たちで主張する標識にもなります。
 人と人との結束を強めるためにも、祖先は必要です。ほとんど会ったことがなくても、祖先が同じだということで家族のように付き合える。祖先という目印をもとに、互いに助け合い、敵に立ち向かうという精神が育まれるわけです。
 共感能力は本来、人間の協力を高め、一つの行動に向かわせるために利用されてきました。それが、言葉、定住生活、死者によって爆発的に高められ、共同体を脅かす敵に対し、一斉に向けられるようになったと僕は思っています。
 しかし、自然界にもう人間の敵はいなくなってしまった。つまり、人間は自分たちの生活を拡大するために、今度は人間自身を敵にしてしまった。
 それは人間の進化の中では、極めて最近のできごとだと思います。いったん身についた共感能力は、なかなか衰えません。僕はいうなれば、アレルギーみたいなものだと思っている。病原体の刺激に反応するはずの免疫力が、本来の刺激がなくなってきたときに別のものに向かい、爆発を起こす――。それが、いま我々が直面している事態なのではないか、と。 ≫(朝日新聞デジタル:阿部彰芳)

*筆者注記:山際寿一
山極 寿一(やまぎわ じゅいち、1952年 - )は、日本の人類学、霊長類学者、京都大学理学研究科教授。京都大学学長。 東京都出身。都立国立高校を経て、京都大学理学部卒、同大学院理学研究科博士課程修了。理学博士。カリソケ研究センター客員研究員、日本モンキーセンターリサーチフェロー、京都大学霊長類研究所助手、京都大学大学院理学研究科助教授を経て、同研究科教授。河合隼雄学芸賞選考委員などを務めている。
  伊谷純一郎を師とし、人類進化論を専攻、ゴリラを主たる研究対象として人類の起源を探り、著書、業績多数。 1987年京都大学理学博士論 文の題は「Life history and social relationships among males of wild mountain gorillas (Gorilla gorilla beringei)(野生マウンテンゴリラのオスの生活史と社会関係)」。 2014年7月3日、京都大学で行われた学長を決める教職員による投票(意向調査)で、山極は1位となり、翌日の4日の学長選考会議で正式に学長になることが決まった。 ゴリラとヒトの間(講談社現代新書、ゴリラ雑学ノート 「森の巨人」の知られざる素顔(ダイアモンド社)、オトコの進化論 男らしさの起源を求めて(ちくま新書)、暴力はどこからきたか 人間性の起源を探る(NHK出版)その他多数。
山際寿一公式サイト:
http://jinrui.zool.kyoto-u.ac.jp/yamagiwa/index.html?sess=2ecae20f990276b4ff917c419852b09c  
≫(Wikipedia参照)

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●小沢に望むのは酷か? 「21世紀の資本」以降のビジョン

2015年01月19日 | 日記

 

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●小沢に望むのは酷か? 「21世紀の資本」以降のビジョン

 どうでもイイ政党、民主党の代表が票の分散を上手に駆使した、岡田陣営を勝利に導いたようである。現在の民主党が、小沢一郎を排除するために、創設者である鳩山由紀夫をも放逐する事態になった事で、この政党が連合と云う官公労中心の既存の枠組みから一歩も抜け出せない政党だと云う事が自明になった証拠固めをしているようなもので、今さらどうでも良いのだろう。

 おそらく、大方の見識ぶった言説は、霞が関や既存勢力に親和的な岡田克也が代表になった事で、野党再編は遠のいたと云う目先の課題に集中するだろう。小生の見方からすると、現時点で、政治に出来ることは、非常に小さなレンジの再分配・負の分配の差配であって、政治の根本的変革に至ることは、与野党の何処を見ても見当たらない。共産党が、国民政党になると云う方向転換をすれば別だろうが、あの頑迷政党が21世紀以降を見つめ、国民政党への脱皮を企てるとは思えない。やはり、最終兵器的に、政治を動かすのは、国民の気づきだろう。そして、その気づきが、マスメディアや官僚組織に、自己改革を余儀なくされることから始まるのだと思う。

 古賀茂明氏は真面目であり、且つ評論家として生きる選択をした以上、穏当な改革派官僚としての意見を語るのは当然だ。彼の、国内政治の対立軸は「改革はしないが、戦争はする」と「改革はするが、戦争はしない」と云う二項図式を示しているが、彼が、本当にそのように思っているかは、幾分懐疑的にみている小生だ。なぜなら、世界の地政学的眺望や経済学的眺望から行くと、国内問題の立ち位置だけで論じることが、ほぼ無意味な時代に突入している事は知っている筈だからである。

 彼が示す二項図式においてさえも、与党野党と云う枠組みは成立せず、ガラガラポンが起きないことには、二進も三進も行かないと言及している。その上に、イスラム対西側、西側対ユーラシア、グローバリズム世界政府対ナショナリズム。その上、グローバル化による富みの偏在問題、地球温暖化問題‥等。そして、地球上のあらゆる資源の奪い合いは、石油や鉱物資源、水、食料と限りなく争いが頻発することを暗示している。

 まあ、ここ5年に限定すれば「改革はしないが、戦争はする」と「改革はするが、戦争はしない」と云う二項図式も成立するだろうが、それすらも実現出来そうもないのが、今の日本の劣化度なのである。国民一人一人が悪いと云うよりも、為政者、そのバックボーンである官僚組織などの経年劣化が、国体を根腐れさせてきたのだが、これを直す方策は尽きているようだ。つまり、座して国体の崩壊を目の当たりにする方が、最も現実的な解決策だと云う考えが、賢明な国民の中で育っているような気がする。

 小沢一郎にしても、日本に民主主義を根づかせようと、国民の視線を一時は集中させる試みに成功したかに見えたが、想像以上に見せかけだった日本のデモクラシーの重大な欠点に気づかされると云う皮肉な結末を迎えている。このような現象は、小沢の責任ではなく、歴史的世界の流れ(民主主義と資本主義のセットシステムが破壊されていた)には抗うことが出来なかったのだと思う。早い話、戦後60年時点では、まだシステムは有効に作用しているように見えたのだが、日本においては、民主主義が根づく前に、そのセットシステムそのものが、世界的に壊れ始めていたと云う皮肉に翻弄されたと解釈しても良いだろう。

 小沢一郎には、もう一花咲いて欲しい願望はあるが、民主主義と資本主義の歪みと云うか、溶解状況に対応し得るビジョンを期待したいのだが、どうも、そのような考えを発露する気配はないのが残念だ。彼の口から、アメリカとの親和性や中国との協調などの言葉は聞かれるが、民主主義の劣化や資本主義の崩壊への言及は、あくまで変化と云う捉え方である点では食い足りない。安倍とか橋下とか民主党など、小沢一郎と比較するのも無理筋だが、小沢一郎にも21世紀以降のビジョンを期待したいわけだが、幾分ゴリ押し的期待でもある。

 最近、幾つかの書店を覗いて見たが、ピケティの「21世紀の資本」(税込み5940円)が品切れになってモックが展示されていたのには吃驚した。小生のアフィリエイトでもかなり売れていたが、極めて硬派で高価な書物が売れていると云う事は、
≪経済的格差は長期的にどのように変化してきたのか? 資本の蓄積と分配は何によって決定づけられているのか? 所得の分配と経済成長は、今後どうなるの か? 決定的に重要なこれらの諸問題を、18世紀にまでさかのぼる詳細なデータと、明晰な理論によって解き明かす。格差についての議論に大変革をもたらし つつある、世界的ベストセラー。≫

≪本文より 「本書の答えは、これまでの研究者が使えたものよりもはるかに広範な、長期的で比較可能なデータに基づいた答えとなっている…格差の根底にある仕組みについて、もっと深い理解を与えてくれるような、新しい理論的な枠組みに基づいたものでもある」 「1970年代以来、所得格差は富裕国で大幅に増大した。特にこれは米国に顕著だった。米国では、2000年代における所得の集中は、1910年代の水準に戻ってしまった――それどころか、少し上回るほどになっている」 「私の理論における格差拡大の主要な力は、市場の不完全性とは何ら関係ない…その正反対だ。資本市場が完全になればなるほど、資本収益率 r が経済成長率 g を上回る可能性も高まる」 「格差の問題を経済分析の核心に戻して、19世紀に提起された問題を考え始める時期はとうに来ているのだ」 「あらゆる市民たちは、お金やその計測、それを取り巻く事実とその歴史に、真剣な興味を抱くべきだと思える…数字との取り組みを拒絶したところで、それが最も恵まれない人の利益にかなうことなど、まずあり得ないのだ」≫

*この本が売れると云う事は、かなりの部分で資本主義の変調が顕著になってきていると感じる人々が増えてきていることを示唆している。単に、世界のベストセラーだからと云って、5940円の本が売り切れるほど売れるには、それ相当の根拠があるわけで、日本人もまだまだ捨てたものではないと心強くも思うのだが、なにせ、民主主義はマスの最大公約要求を具現化するだけに、果たして、そのシステムの溶解と時間競争している場合、人間の頭脳の方が歴史の流れに負けるのではないかと、他人事のように気にしている今日この頃だ。

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